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システム統合

M&Aにおけるシステム統合の課題とは?克服方法・スムーズに進めるコツも解説

更新日: 2024年9月18日

近年、M&Aに踏み切る企業が増加しています。M&A後のシステム統合は、双方の情報共有を円滑にし、業務効率化につながる重要なプロセスです。この記事では、M&Aにおけるシステム統合の種類と重要性を解説します。統合時の課題と対策も紹介するので、参考にしてください。

近年増加が進むM&Aとは?

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、複数の会社による合併や買収のことです。M&Aにはさまざまな形があり、資本提携も広い意味で捉えるとM&Aの一種です。ただし本記事では、事業の譲渡や組織再編が行われるM&Aについて、システム統合の課題や対策を解説します。

買収側・売却側から見るM&Aの目的

M&Aの目的を、買収側・売却側の視点から紹介します。買収側の主な目的は以下のとおりです。

・市場シェアの拡大
・技術・ノウハウの獲得
・事業の多角化

売却側の主な目的は以下のとおりです。

・事業承継
・経営難からの脱却
・不採算事業の整理
・従業員の雇用確保
・負債の整理と資金調達

企業の経営戦略や市場環境によって、M&Aの狙いや目的の優先順位は異なります。買収側は自社の成長や競争力強化を図り、売却側は経営課題の解決や企業価値の向上を目指します。

買収側・売却側から見るM&Aのメリット

M&Aのメリットを、買収側・売却側の視点から紹介します。買収側の主なメリットは以下のとおりです。

・短期間で事業を立ち上げられる
・売却側の不動産や顧客や取引先などを引き継げるため、規模やシェアを拡大できる
・新市場に参入しやすい
・グローバル化しやすい

売却側の主なメリットは以下のとおりです。

・従業員の雇用先を契約によって確保できる
・信用力の高い会社とのM&Aにより、自社の信用力を高められる
・事業承継により、事業やノウハウを途絶えさせずに済む

買収側・売却側から見るM&Aのデメリット

M&Aのデメリットを、買収側・売却側の視点から紹介します。買収側の主なデメリットは以下のとおりです。

・簿外債務を引き継いでしまう可能性がある
・多額の資金調達が必要となる場合がある
・企業文化の違いにより統合が難航する場合がある

売却側の主なデメリットは以下のとおりです。

・取引先との関係が変化する可能性がある
・適切な買収先を見つけるのに時間がかかる場合がある
・従業員のモチベーション低下や人材流出のリスクがある

なお、組織再編やシステム統合にかかる時間とコストは、買収側・売却側に共通する課題といえます。

M&Aで生じるシステム統合とは?

システム統合は、IT統合とも呼ばれます。M&Aで複数の会社が統合されるとき、双方で使用されていたシステムを一本化する場合があります。システム統合が適切に行われないと、業務効率が低下したり、管理コストが増大したりしてビジネスに支障が出るかもしれません。M&A後のシステム統合は、買収側・売却側双方にとって重要なプロセスといえます。

M&Aでシステムを統合するメリット

M&A後にシステムを統合するメリットは以下のとおりです。

・情報共有しやすくなる
・戦略立案がスピーディになる
・管理コストを削減できる
・業務負担を軽減できる

上記メリットにあるように、システム統合はM&Aの相乗効果を大幅に引き上げ、企業価値の向上に大きく貢献します。企業価値の向上に向け、システム統合を進めましょう。

M&Aのシステム統合は3パターン

M&Aのシステム統合方法を3パターンに分けて解説します。メリット・デメリットを把握して状況に合う方法を選択しましょう。

1.データ連携

データ連携とは、双方のシステムを残したまま、システム間でデータを共有・同期させる方法のことです。データ連携は既存システムを大きく変更しないため、現場の負担を抑えられます。ただし、使用しているシステムの種類や構造によっては、スムーズな連携が難しい場合があります。

2.片方のシステムへの集約

片方のシステムへの集約とは、どちらか1つのシステムにデータを移行し、業務フローを調整する方法のことです。もう1つのシステムは、廃止されます。この方法を採用すると、新規システムを構築するよりも、システム統合にかかるコストと時間を抑えられます。ただし、廃止されるシステムを使用していた側の従業員は、新しいシステムへの適応に伴う負担を感じがちです。

3.新規システムの導入

新規システムの導入とは、既存の双方のシステムを廃止し、全く新しいシステムを構築・導入する方法のことです。新規システムを導入すると、統合後の事業戦略に最適化されたシステムを実現できます。一方で、システムの開発と導入には多大な時間とコストがかかります。また、移行期間中の業務への影響や、稼働後の不具合リスクなども考慮しなくてはいけません。

【システム統合関連】M&Aで生じる課題と対策

システム統合関連でM&Aで生じる課題と、その対策を解説します。企業価値の向上に向け、計画的にシステム統合を進めましょう。

業務の手間・失敗が増えるリスク

統合後のシステムを効果的に活用できなければ、業務効率が低下し、運用コストが増大する可能性があります。たとえば、システム間の連携が不十分な場合、手動での対応が必要となり、入力ミスのリスクが高まります。また、システム統合プロセス自体にも、多大な労力と時間を要するでしょう。統合後にシステムを円滑に活用するための対策は、以下のとおりです。

・システムの使用方法を学ぶための研修を開催する
・一時的に負荷が増えるが長期的には業務効率の向上につながる点について、従業員の理解を得る

コストが増えるリスク

システム統合には、要件定義、設計、開発、テスト、移行など多くの工程があり、高額な人件費と時間を要します。システム統合のコストを効果的に管理するための対策には、以下のようなものがあります。

・コストパフォーマンスの高い外注先に依頼する
・必要不可欠な機能に焦点を当て、過剰な機能の搭載を避ける

社会的信用を失うリスク

システム統合の際にシステム障害やデータ損失が起きると、社会的信用を失うリスクがあります。システム上のトラブルによるリスクを避けるには、以下のような対策が有効です。

・システムの運用後に問題が起きないか、慎重にテストを重ねる
・旧システムのバックアップを取っておく
・段階的な移行で、リスクを分散させる

システム統合が上手くいかない理由

システム統合が上手くいかない理由を解説します。M&Aには多様な課題がありますが、統合の重要性を認識して組織的に取り組みましょう。

システム統合の重要性が理解されていない

経営層がシステム統合の重要性を十分に認識していない場合、推進力不足から統合が上手くいかない可能性があります。システム統合を推進するためには、経営層の理解と支持が不可欠です。経営層は、システム統合の戦略的重要性と、統合しなかったときの潜在的なリスクや業務効率の低下について、十分に理解しておく必要があります。

システム統合を主導する人材がいない

高度な専門性とリーダーシップを兼ね備えた人材がいなければ、システム統合が進みません。中小企業には、システムに詳しい人材が少ない傾向です。自社に適した人材がいなければ、外部コンサルティング企業やベンダーなどのサポートを受けられないか、検討するとよいでしょう。

【システム統合関連】M&Aをスムーズに進めるコツ

システム統合関連で、M&Aをスムーズに進めるコツを解説します。経営層が主体となって全社的にシステム統合を進めましょう。

現場任せにせず主体的に取り組む

システム統合はシステム部門だけの責任ではなく、全社的な取り組みとして推進すべきです。経営層のリーダーシップのもと、各部門・各組織がシステム統合の重要性を理解し、積極的に関与するような体制づくりが不可欠です。

現状を可視化し優先順位をつける

システム統合の「あるべき姿」を明確にし、優先順位をつけて段階的に統合を進めてください。システム統合には多様な手順がありますが、一部の工程は後回しにしても支障がない可能性があります。段階的にシステム統合を進めると、各段階で発生する問題を迅速に特定・解決でき、データの消失のようなリスクを回避しつつプロジェクトを達成できます。

綿密なスケジュールを立てる

M&Aの成立からシステム統合完了までの期間は通常限られています。円滑なシステム統合に向け、綿密な計画を立てて行動しましょう。

M&Aでは、旧親会社の資産・サービスを一定期間利用できますが、使用期間の延長は難しいものです。スムーズに導入できるシステムを選ぶ、システム統合に注力する期間を設けるなどして、予定していた期間までに統合作業を終わらせる必要があります。

M&Aに伴うシステム統合の事例

あるエレクトロニクスメーカーでは、M&Aで傘下にした企業の会計システムが統一されていませんでした。各社のデータを手作業でまとめたり、疑問点を各社の担当者に直接確認したりしなければならず、関係者は業務の煩雑さに頭を抱えていました。

課題解決に向け、同メーカーはデータ連携によりシステムを統合しました。統合後は、グループ間取引の集計時間や報告資料作成の時間を削減でき、業務効率が向上しています。

M&Aの現状と増加の理由

近年、M&Aは増加傾向にあります。2021年におけるM&A件数は、買収側が3,275件、売却側が3,403件でした。業種別では、「医療・福祉」、「卸売業・小売業」、「製造業」、「建設業」が他業種と比較して特に活発な傾向が見られました。

M&A増加の背景には、後継者不足があります。後継者不足に悩む企業にとって、M&Aは事業存続のための有効な手立てといえます。また、迅速な投資回収や事業の現金化も、M&Aが増加する理由の1つです。

※参考:M&A支援機関登録制度実績報告等について|中小企業庁 財務課

まとめ

M&A後のシステム統合は、双方の企業にとって重要な課題です。システム統合を円滑に進めるためには、取り組みの重要性を理解し、全社一丸となって取り組む必要があります。システム統合を主導する人材がいなければ、外部のサポートを積極的に検討しましょう。

株式会社Sun Asteriskは、多彩な人材が集うクリエイティブ・スタジオです。DXコンサルティングから設計、本格的な開発まで一貫してサポートします。多数の優秀なエンジニアが在籍しており、柔軟な開発リソースでお客さまの課題を解決します。M&Aに伴うシステム統合の課題を解決したい場合は、ぜひ株式会社Sun Asteriskにご相談ください。

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