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システム開発

システム開発のV字モデルとは?特徴と活用方法を解説

更新日: 2025年4月18日

システム開発では、効率的で確実な進行が求められます。V字モデルとは、開発とテストを連携させ、バグや手戻りを最小限に抑える手法です。この記事では、V字モデルの基本概要やメリット、活用方法などについて解説します。ぜひ参考にしてください。

V字モデルとは?

V字モデルとは、開発工程とテスト工程を一対として進める開発手法です。要件定義、基本設計、詳細設計、実装といったシステム開発の各工程と、システムテスト、受入テスト、結合テスト、コンポーネントテストといったテスト工程を連携して進行します。

V字モデルは、上流工程から下流工程へと順番に開発を進める「ウォーターフォールモデル」の進化型です。V字モデルにおいては、開発とテストの関連性が密接であることから、品質を早期に確保できます。V字型の進行により、開発段階からテスト項目を意識できるため、手戻りが減って効率よく開発に取り組めます。

V字モデルの構成要素とその対応関係

V字モデルは、開発工程とテスト工程が一対となって進行する構成で成り立っています。ここでは、具体的な構成要素とその対応関係について解説します。

要件定義

要件定義は、システム開発における最初のステップです。ユーザーのニーズに基づいて必要な機能を明確にする工程で、システム開発の重要な基盤です。たとえば、ECサイトであれば、必要な商品情報や機能を定義します。定義した要件が、システムテストや受入テストで満たされているかを確認します。

基本設計

基本設計は、要件定義をもとにシステムの外部設計をする工程で、UI(ユーザーインターフェース)や外部システムとの連携方法を決定します。基本設計書に、画面構成や各種ボタンの動作、各部システムとの連携方法などを記載し、その内容に基づいてシステム全体の動作確認をしましょう。結合テストでは各モジュールが正しく動作するかを検証します。

詳細設計

詳細設計では、基本設計で定められたモジュールやコンポーネントを、より具体的に設計します。システムの機能を実現するための詳細な仕様が決まります。対応するコンポーネントテストでは、各モジュールが設計どおりに正しく動作することの確認が重要です。

V字モデルのメリット

V字モデルにはいくつかのメリットがあります。主なメリットについて、以下で解説します。

テスト内容を正確に把握できる

V字モデルを採用することで、開発工程に対応するテスト工程が具体化され、各テスト内容が明確になります。要件定義書をもとにシステムテストや受入テストを、基本設計書をもとに結合テストを実施します。また、詳細設計書をもとにコンポーネントテストも実施します。

テスト内容が事前に決まっているため、漏れなく検証することが可能です。各工程における開発内容を正確に確認できることから、不具合発生のリスクが軽減されるでしょう。また、システムの安定性向上にもつながります。

各プロセスでの責任者が明確化される

各テスト工程における責任者が明確になります。システムテストや受入テストは要件定義担当者、結合テストは基本設計担当者、コンポーネントテストは詳細設計担当者が責任を負います。テストで問題が発生した場合は担当者に直接問い合わせが届くため、問題解決が迅速に進むでしょう。

開発工程とテスト工程が一対になっているため、疑問点や問題の早期解決とテストの効率化が可能です。また、各担当者の役割と作業範囲の明確化により、業務の見通しが立てやすくなり、モチベーションも高まります。

作業の進捗が把握しやすくなる

テスト内容が明確に定義されているため、作業の進捗が把握しやすくなります。システムテストでは、要件定義書に基づいてテスト範囲が決まります。作業内容が具体的になり、スケジュール管理が容易になるでしょう。

進捗状況を把握しながら、テスト作業の遅れや不具合発生率、修正工数をチェックすることで、より正確な作業進捗の管理が可能です。プロジェクト全体の進行状況を効率よく把握できて、人員調整や納期管理もスムーズに遂行できます。

手戻りの発生リスクが抑えられる

各工程で小さな不具合を早期に検出し、修正しながら進行するため、後工程で発生する大きなバグを未然に防げます。従来の手法では、後工程で問題が発生した場合、設計変更やコード修正、再テストが必要になり、手戻りが大きくなりがちです。V字モデルでは、各段階でテストを行うことで早期に不具合を発見し、手戻りのリスクを減らせます。

V字モデルの注意点

V字モデルは有効な開発手法ですが、いくつかの注意点もあります。ここでは、V字モデルの注意点について解説します。

計画やドキュメントを慎重に作成する

各工程に対応するドキュメントをもとに、テスト計画を立てることが重要です。要件定義書や設計書は、テスト担当者が利用するため、正確かつ詳細に記載する必要があります。テスト担当者は、ドキュメントをもとにテスト計画を慎重に策定し、効果的な検証をする準備を整えます。

適切な変更管理を実施する

開発工程のドキュメントにおいては、担当者の作業が中心です。仕様変更や設計変更を実施したら、ドキュメントにも変更管理が必要です。変更内容を適切に反映させないと、テスト工程に影響が出る可能性があり、バグが生じるケースもあります。変更履歴を記録し、関係者への周知が重要です。

V字モデルと他の開発モデルの特徴と違い

V字モデルの特徴は、開発工程とテスト工程が密接に連携している点です。ここでは、他の開発モデルの特徴と、V字モデルとの違いについて解説します。

ウォーターフォールモデル

ウォーターフォールモデルとは、システム開発を進める手法です。要件定義から始まり、設計、実装、テストを順番に実施します。開発が上流から下流へと進んでいくため、後戻りがしにくいことが特徴です。各工程が完了するまで次の工程に進めず、急な変更は難しいでしょう。

V字モデルは、各開発工程に対応したテストを並行して実施することで、品質が高められます。ウォーターフォールモデルを改良した発展型が、V字モデルであるともいえます。

アジャイル開発

アジャイル開発とは、顧客のフィードバックを迅速に反映し、柔軟に仕様変更に対応できる開発手法です。開発とテストを短いサイクルで繰り返しながら進行し、常に進捗を評価します。ウォーターフォールモデルとは異なり、機能ごとに反復して開発やテストをします。

ただし、V字モデルもイテレーションごとに計画を立ててアジャイル開発に組み込むことで、効率的な品質管理が可能です。

プロトタイプ開発

プロトタイプ開発とは、初期段階で試作品を作成し、ユーザーと確認をしながら要件を具体化する手法です。ユーザーのフィードバックを早期に反映させることで、ニーズに合ったシステムを開発しやすくなります。

V字モデルとは異なり、最初に仮のシステムを作成し、その後にユーザーからのフィードバックをもとに、本格的なシステムを組み込みます。ユーザーの要望に応じて、より柔軟な開発が可能です。

W字モデル

W字モデルとは、V字モデルを進化させた手法で、開発工程とテスト工程を並行して進めます。各開発段階の作業が完了する前に、テストエンジニアが上流工程から参加し、設計書の内容確認や要件定義との整合性を確認します。

設計段階での不具合を早期に発見できるため、手戻りの最小化が可能です。テスト工程と開発工程を同時に進行させることで、フィードバックも迅速に行われ、品質向上につなげられます。

まとめ

V字モデルとは、開発工程とテスト工程を密接に結びつけることで、品質の早期確保と手戻りの最小化を目指す開発手法です。各工程でのテスト内容と進捗管理が具体的に定義されており、効率よい進行が可能です。この手法は、要件定義が明確で、変更が少ないプロジェクトに適しています。

Sun Asteriskは、DXコンサルティングからシステム設計、本格的な開発まで、一貫してサポートできる幅広いケイパビリティを誇ります。柔軟な開発リソースを提供し、クライアントのニーズに迅速かつ効果的に対応できるため、複雑なプロジェクトもスムーズに進められます。システム開発の担当者は、ぜひお問い合わせください。

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