新規事業立ち上げの際には、新規事業の企画書作成が必要になります。初めて新規事業部の立ち上げに携わる人は、どのように企画書を作成すればよいかわからないこともあるでしょう。
本記事では、新規事業立ち上げのために企画書を作成する人に向けて、企画書の基礎知識や記載が必要な項目などを詳しく解説します。紹介する作成ポイントを参考にしながら、企画書を作成してみてください。
目次
新規事業企画書に関する基礎知識
まずは、新規事業企画書に関する基礎知識について解説します。
新規事業企画書とは
新規事業企画書とは、新事業を立ち上げる際にその事業の目的や内容、予算、スケジュール、目標などをわかりやすくまとめて、関係者に説明するために作成する資料です。
なお、新規事業計画書に必要なボリュームは、事業内容や資料を見る関係者によって異なります。必要な情報が十分に伝わるのであれば、1枚の資料でも新規事業計画書として成り立ちますが、事業立ち上げの説明に必要なデータや資料が多くある場合は、それらを説明するためにボリュームが必要になるでしょう。
新規事業企画書を作成する目的
新規事業企画書は必ずしも新規事業の立ち上げに必要なわけではありません。しかし、新規事業の立ち上げの必要性を社内外の関係者に理解してもらい、賛同してもらうためには、事業の詳細を明文化して納得してもらう必要があります。
そのため、新規事業企画書は、誰が見てもわかるように内容や資料をまとめるようにしましょう。
なお、新規事業企画書に似た言葉に「新規事業計画書」があります。企画書は「事業を承認してもらう」ための資料であり、計画書は「事業を進めて、成功に導くためのプラン」を記載する資料です。2つの内容が混在しないように気をつけて作成しましょう。
新規事業企画書に必要な項目
新規事業企画書には、具体的にどのような内容を記載すればよいのでしょうか。一般的な企画書に記載する項目を詳しく解説します。
目標
新規事業の企画案がどれだけ魅力的であっても、目的が不明確である場合は、ビジネスとして関係者を納得させることは難しいでしょう。
そのため、新規事業企画書の冒頭には、この事業を立ち上げる必要性や目標を記載します。たとえば、会社の理念や競合他社との優位性などをもとに、新規事業で成し遂げるビジョンを明確にしてください。
立ち上げの背景
目標とともに記載する項目として、立ち上げの背景があります。事業を立ち上げる理由をより明確にするためには「なぜこの事業が必要なのか」という前提を示すことが必要です。
自社が現在抱えている課題や、市場のニーズ・動向、競合他者の状況を明らかにして、これらを打破するために自社が持つ強みや特徴を生かした事業を立ち上げる必要があることを説明しましょう。
概要
事業の立ち上げによって成し遂げたいことを説明したら、次に事業の内容を具体的に説明する必要があります。記載する内容の一例は以下の通りです。
- 事業名(サービス名称)
- 対象の顧客やターゲット
- ターゲットが得られるもの
- 開発する商品やサービスのイメージ
- 商品やサービスの価格
- 商品やサービスの提供方法 など
詳細に記載すると情報量が膨大になり、関係者が理解しやすいように簡潔にわかりやすくまとめることを意識しましょう。
ターゲット
新規事業で提供する商品やサービスのターゲットとなる人物像を明確に記載します。たとえば、英会話アプリを提供する事業の場合、ターゲットは「英会話を学びたい人」です。
しかし「英会話を学びたい人」だけのターゲット設定では具体性に欠けるため、ペルソナを設定して、より詳細にターゲットを絞り込むとよいでしょう。ペルソナ設定の例は、以下の通りです。
海外旅行が好きな20代女性。英語が話せなくてもそれなりに旅は楽しめるが、今後は現地の人ともコミュニケーションを取って、より旅を充実させたいと考えている。しかし、学習コストも抑えたいと考えており、定期的に英会話教室に通う時間もなく、通勤時間や就寝前の時間を有効活用したい。
事業の仕組み
新規事業で提供する商品やサービスは、どのような仕組みでターゲットに提供し、どのような方法で収益を得るかについても企画書に記載する必要があります。
事業の仕組みは、ターゲットの課題を解決する商品やサービスを提供するまでの「プロセス」と、ターゲットとなる人に効果的に認知してもらうための「マーケティング」それぞれの仕組みを分けて考えるとよいでしょう。
リスクや課題
新規事業を進める際に、リスクはつきものです。そのため、あらかじめリスクや課題になり得ることを洗い出しておき、回避する方法も考えられるようにしておけば、トラブル発生時にも柔軟な対応が取れるでしょう。
また、新規事業を進めるには、ネガティブなポイントにも目を向けると、事業のビジョンがより明確なものになります。見通しの甘さや事業内容の見落としにも気付ける可能性があるため、事業を遂行するためには、リスクや課題を知る作業も重要です。
プランやスケジュール
新規事業は、どれくらいの期間で進行するのかも、関係者から承認を得るために重要なポイントです。
プランやスケジュールは、最終目標の達成までにかかる期間と、項目ごとの期間を分けて記載するとよいでしょう。たとえば、「企画するのにかかる期間」「商品やサービスの開発や提供の準備にかかる期間」「提供開始から収益化までにかかる期間」などの項目に分けて、各項目のスケジュールを明記します。
費用対効果
ビジネスである以上、新規事業では、利益を出す必要があります。一方で、商品やサービスの開発には費用がかかります。
そのため、新規事業を遂行するための予算を確保するためにも、新規事業計画書には事業を進めるために必要な費用を記載しなければいけません。また新規事業によって生み出した商品やサービスがどれくらいの収益を上げる想定なのかも記載しましょう。必要な経費と収益とのバランスをみて、関係者は新規事業が必要なものかを判断します。
新規事業企画書を作成する際のポイント
新規事業企画書に記載する必要のある項目について解説しましたが、それらを踏まえて新規事業企画書を作成する際に、押さえておきたいポイントを解説します。
自社の強みに沿った内容にする
新規事業企画書に記載する内容は、自社の強みに沿ったものを記載します。なぜ自社でこの事業に取り組む必要があるのかや、自社の強みを持って新規事業を進めれば、競合他者との差別化が図れるなどが明確になれば、新規事業を成功させる道標になります。
さらに新規事業を成功させることで、自社の存在価値が高まることも記載されていると、より承認者の理解を得られるでしょう。
記載する内容はシンプルにする
新規事業企画書は、その商品やサービスの分野に長けている人物が目を通すとは限りません。社内外のさまざまな人の理解を得るためには、記載する内容はより詳細であった方が良いと同時に、シンプルでわかりやすい内容にする必要があります。
専門用語の使用を避けたり、専門用語を記載する必要がある場合は、注釈をつけたりしましょう。ただし、社内独自のルールがある場合は、きちんとルールに則った内容を記載します。
定量的なデータを根拠にする
社内で提案や主張をする際には、根拠が必要です。新規事業企画書でも、承認を得るためには、事業内容が事実に沿って企画されたものであるという根拠を記載するようにしましょう。
特に、定量的な数値データは説得力を高める材料です。数値の比較や変化がわかりやすくなるように、データはグラフや表を用いて視覚的に伝えられるように企画書を作成するのがおすすめです。ただし、データを盛り込みすぎて、重要な内容が伝わりづらくならないように、承認を得るために必要となるデータをピックアップして記載してください。
顧客の声を盛り込む
新規事業企画書に記載しているターゲットが、実際に新規事業で企画する商品やサービスを必要としているかを盛り込むことによって信憑性を増すことができます。実際に顧客から聞いている要望や意見のデータが手元にある場合は、その内容も企画書に盛り込みます。
また、顧客の声は企画書だけでなく、テストマーケティングなどの場でも活用するとよいでしょう。
完璧を求めすぎない
新規事業企画書は、あくまで企画の承認を得るものであり、実際に事業を遂行するための計画書とは異なります。企画書の段階で完璧を求めすぎるあまり、準備に時間をかけてしまうと、市場動向も変わっていく恐れがあります。
企画書を多くの人に見てもらい、意見をもらいながらブラッシュアップして、最終的に精度の高い計画になることを目指すことが重要です。まずは7割程度の完成度を目標にして作成しましょう。
まとめ
新規事業企画書は、新事業を立ち上げる際に事業の目的や内容、予算、スケジュール、目標などをわかりやすくまとめて、関係者から承認を得るための資料です。どのような事業であっても、どのような人が見ても理解できる内容を目指し、具体的なデータを盛り込んで信憑性の高い内容に仕上げましょう。
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