スマホアプリ開発では、搭載する機能やデザイン、開発手法によってコストが大きく変動します。予算を立てるには、費用内訳や相場を正しく把握しておくことが欠かせません。
この記事では、スマホアプリ開発にかかる費用の目安や種類別の特徴、見積もりの見方やコストを抑える方法をわかりやすく解説します。
目次
スマホアプリ開発コストを左右するおもな要素
スマホアプリ開発では、アプリの種類や開発体制、運用方法によって必要なコストが大きく異なります。ここでは、開発期間やエンジニア単価、インフラ費用など、費用に影響を与える主要な要素について解説します。
アプリの種類別の開発期間
スマホアプリの開発期間は、アプリの種類や搭載する機能、対応OSによって大きく変わります。開発期間が長くなるほどエンジニアの人件費や管理コストが膨らみ、総費用に直結します。たとえば、シンプルな機能のみなら3か月程度で抑えられますが、会員管理や決済機能を追加すると半年以上かかり、その分の費用も増加します。
エンジニアの人月単価と工数
アプリ開発費用は、関わるエンジニアの単価と開発期間によって大きく変動します。システムエンジニア(SE)の月額相場は経験が浅い場合で60〜100万円、一定の実務経験がある人の場合で80〜120万円ほどです。
プログラマーは40〜100万円が一般的です。多くのエンジニアが長期間携わるほど、開発コストは高くなるため、必要な工数を事前に把握することが大切です。
サーバー・ストレージなどの諸経費
アプリ開発では人件費以外にも、サーバーやストレージ、API連携などのインフラ費用が発生します。たとえばユーザー情報や画像データを扱う場合、サーバー容量や転送量に応じてコストが変わります。
さらに、セキュリティ対策やバックアップ体制を整備する際にも追加費用が必要です。運用フェーズまでを見越して予算を立てることが重要といえます。
スマホアプリ開発コストを概算で把握する方法
スマホアプリ開発では、正式な見積もりを取る前に大まかな費用感を知っておくと予算計画が立てやすくなります。その際に便利なのが、開発費用を自動で試算できるシミュレーションサービスです。
OSの種類、管理画面の有無、決済機能、ログイン方法などの質問に答えるだけで、おおよその開発コストを把握できます。
さらに、複数のサービスを比較すればより現実的な目安を知ることも可能です。ただし、シミュレーションで算出される金額はあくまでも参考値です。正確な費用を知るには、要件を明確にした上で、複数の開発会社へ見積もりを依頼し、相場を比較することが重要です。
また、簡単な目安であれば、以下のような概算式で計算できます。
算式/例 |
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【算式】 合計費用 = (月額人件費 × 人数 × 月数)+(外部サービス連携費)+(テスト端末・ストア料金)+(初期インフラ費) |
【例】 PM120万円、アプリSE100万円、PG80万円×2名、デザイナー80万円で3か月開発する場合 (120+100+80×2+80)×3 = 1,380万円 + 外部連携費・インフラ費 |
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スマホアプリの開発相場(用途別)
スマホアプリ開発の費用は、アプリの種類や機能の複雑さによって大きく変わります。おおよその相場は以下の通りです。
アプリの内容 | 費用相場 |
---|---|
シンプルな業務アプリや既存Webサイトのアプリ化 | 50~150万円 |
マッチングアプリ・簡易的なゲームアプリなどで複数の機能を搭載 | 200~800万円 |
ECサイト連携や会員登録機能を持つアプリ | 500万円以上 |
VR機能や医療・ヘルスケアといった専門性の高いアプリ | 1,000万円以上 |
利用規模や目的によっても費用は変動するため、要件を明確にして開発規模に合った費用感を把握することが大切です。
開発方式別の費用相場(スクラッチ/パッケージ/クロスプラットフォーム)
スマホアプリ開発には、スクラッチ開発とパッケージ開発があり、それぞれで開発費用が異なります。ここでは、各手法の概要と費用相場について解説します。
スクラッチ開発
スクラッチ開発は、アプリを最初から設計・構築する方法で、自由度が高く複雑な機能や独自仕様にも対応可能です。
メディア系アプリは約250万円、店舗向けは600万円、金融系や大規模EC連携アプリでは1,000~1,500万円以上かかる場合もあります。開発期間が長引けば人件費も増え、2,000万円を超えるケースも。
パッケージ開発
パッケージ開発は、完成済みの機能やテンプレートを活用してアプリを構築する方法です。プログラミング工数を抑えられるため、スクラッチと比べて費用を半分程度に抑えられます。
データベース連携なしなら200万円前後から、連携機能を追加すると400万円以上になる場合もあります。初期費用に加え、月額利用料が発生することも忘れないようにしましょう。
アプリに搭載する機能別の費用目安
スマホアプリの開発費用は、搭載する機能や連携するシステムによって大きく変わります。ここでは、代表的な機能ごとの費用目安とコストに影響するポイントについて解説します。
使用するOS
スマホアプリ開発では、対応するOSの選択が費用に直結します。iOSかAndroidのどちらか一方に対応させる場合の費用相場は100〜200万円程度です。
iOSまたはAndroidの片方のみ対応なら100〜200万円程度。両OSのネイティブ開発は工数がほぼ倍になりやすく、概算は単純合算が目安。一方、クロスプラットフォーム(Flutter/React Native)なら共通化により片OSの1.6〜1.8倍程度で2OS対応できるケースがあります。
デザイン作成
アプリのデザインは、レイアウトや操作性を決める設計段階と、実際の見た目を作り込むビジュアルデザイン段階に分けて考えることができます。
- ワイヤー・IA(情報設計)を自社で作成する場合:10〜30万円程度
- UIビジュアルやアイコン制作を外部に委託する場合:60〜120万円程度
さらに、端末ごとの画面サイズ最適化やダークモード対応といった追加要件が入ると、追加費用が発生するケースもあります。
会員データベース・顧客管理システム連携
会員情報や購買履歴などを管理するためのデータベースや、顧客管理システムとの連携には追加費用がかかります。
既存データと連携する場合は10〜20万円程度、新たにデータベースを構築する場合は50〜70万円が目安です。取り扱う情報量やシステムの複雑さによって費用は変動します。
ログイン連携
SNSやメールアドレスを利用したログイン機能を実装する場合、それぞれ費用が異なります。SNSアカウントを使ったログインは10〜20万円程度で導入可能です。
メールアドレスを利用する場合は、自社のデータ管理システムが必要になるため、20〜40万円ほどかかるのが一般的です。
決済システム
アプリ内で商品購入や課金機能を提供する場合には、決済システムの導入が欠かせません。導入方法によって必要な工数や費用は大きく変わります。
- Stripeなどの外部決済サービス連携:20〜50万円(利用手数料は別途発生)
- App Store/Google Playでのストア課金:審査対応やレシート検証を含め30〜80万円程度
- 独自の決済基盤を新規に構築:50〜150万円程度
他社ツールの実装
GoogleマップやSNS、カメラ、動画など他社ツールとの連携を行う場合は、機能ごとに費用が発生します。Googleマップは10〜20万円程度、SNS連携は約5万円、カメラや通知機能は10〜20万円程度が目安です。動画機能の実装はさらに高額になりやすく、仕様によっては倍以上かかることもあります。
アプリ開発には維持費と運用コストもかかる
スマホアプリは、初期開発費とは別に維持費や運用コストが発生します。たとえば、リリース後のバグ修正や新機能の追加、OSアップデート対応といった保守・運用コストです。さらに、アプリを稼働させるためのサーバー費用やメンテナンス費用も発生します。
OSは定期的に更新されるため、仕様変更への対応が求められる点にも注意が必要です。また、リリース後に見つかる不具合への修正対応も珍しくありません。開発会社に依頼する場合、保守費用が見積もりに含まれることもありますが、大規模な修正が発生すると追加費用が発生する可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。
維持費・運用コストの目安は以下の通りです。
- サーバー/CDN:月3〜15万円(負荷・配信量によって増減)
- 監視/障害対応:月5〜20万円
- OSアップデート追随:年2〜4回、1回あたり10〜50万円
- 保守(軽微改修含む):月額契約で開発費の10〜20%が目安
スマホアプリの開発コストを抑えるポイント
スマホアプリ開発では、事前の準備や発注方法を工夫することでコストを大きく抑えられます。ここでは、費用削減につながる具体的なポイントを解説します。
アプリ開発向け補助金を活用する
アプリ開発費を抑える方法の1つが補助金の利用です。IT導入補助金や事業再構築補助金などがあり、条件を満たせば数十万〜数百万円が支援対象となります。採択率は高くないものの、申請準備を整え採択されれば大幅なコスト削減を期待できます。
開発要件を具体的に定義する
要件定義が曖昧だと追加修正が発生し、結果的に費用が膨らみます。必要な機能や不要な機能、ユーザー数やセキュリティ要件などを明確にすることで、無駄な開発を防ぎコストを削減できます。参考となるアプリを提示するのも有効です。
工程ごとに契約形態を分けて発注する
一括で外注するのではなく、要件定義や設計、実装など工程ごとに契約を分ける方法もあります。分割することで見積もりが詳細化し、不要な工数を減らせます。透明性が高まるため、全体費用を抑える効果が期待できます。
レベニューシェアモデルを検討する
開発会社と売上を分け合うレベニューシェア契約を採用すれば、初期費用を大幅に削減できます。売上が出なければ支払いも少なく済み、リスクを抑えられるのが利点です。内訳や含まれる範囲を比較し、自社に合った開発会社を選ぶことが大切です。
複数社から見積もりを取得する
アプリ開発費用は会社によって差が大きいため、複数社からの見積もり取得が重要です。同じ内容でも数百万円の差が出ることもあります。費用の安さだけでなく、内訳や含まれる範囲を比較しながら依頼先を検討してみましょう。
個人(フリーランス)に依頼する
フリーランスに依頼すれば、月30万〜60万円程度と、企業に比べて低コストで開発できます。柔軟な対応やスケジュール調整も期待できますが、大規模案件や急ぎの案件である場合は、対応力の高い企業に依頼する方が安心です。
あわせて、フリーランス活用には属人化や不在リスクが伴う点にも注意が必要です。こうしたリスクを軽減するには、コード管理(Git)やレビュー体制、ドキュメント整備を発注条件に盛り込むと安心です。
クラウド型のアプリ開発を検討する
クラウド型のアプリ開発は既存機能を活用できるため、初期費用や運用コストを抑えられるのが利点です。更新作業も効率化できますが、サービス提供企業への依存度が高くなる点や、情報漏えいリスクに注意が必要です。
まとめ
スマホアプリ開発の費用は、開発手法や搭載する機能、対応OSによって大きく変動します。必要な機能を明確にし、最適な開発方法や依頼先を選定することが、予算内で高品質なアプリを実現するための重要なポイントです。また、初期費用だけでなくリリース後の保守や運用コストも含めた長期的な視点で計画を立てることが成功の鍵になります。
さらに、他社の開発事例を参考にすることで、機能設計や開発体制、コスト削減の具体策が見えてきます。効率的で失敗しないアプリ開発を進めるために、ぜひ事例集をご活用ください。
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