Amazon ElastiCacheは、アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、レイテンシーをマイクロ秒で短くできるフルマネージド型のインメモリキャッシングサービスです。超高速な2つのエンジン(memcachedとRedis)を持ち、フルマネージドサービスで優れたパフォーマンスが得られ、スケーラブルであることが特徴です。フルマネージドのため、必要に応じてスケーリングできます。ここでは、AWSのコストを最適化するうえで、効果が見込められるElasticCacheについて、コスト削減の方法と期待できる効果についてご紹介します。
目次
パフォーマンス向上機能にも長期利用でコスト削減が可能なご提案
リザーブドインスタンスを利用をする場合
リザーブドインスタンスへの変更
RDSと同様にインスタンスを1年若しくは3年で予約契約するものです。そして、その利用費用を3種(前払いなし、一部前払い、全額前払い)いずれかの支払方法にて対応していただく事で通常の利用料金より有利な価格で利用できるサービスです。但し支払い方法を自由に選択可能なのは現行世代のノード (M5、R5 以降)に限るようです。旧世代のノードの場合は支払いオプションで「重度使用」を選択した時のみ適用されるようです。
対象となるサービス
- Memcache(シンプル)
- Redis (複雑だが多機能)
3つの支払い方法と注意点
①前払いなしの場合
前払いの必要はなく、期間が終了するまでの間、時間単価が割引となります。但し、期間が3年の場合は前払いなしは選択できないようです。
②一部前払いの場合
少額を前払い、リザーブドインスタンス期間が終了するまでの間、割引時間単価で計算したインスタンス料金を支払います。前払い金額はインスタンスサイズにより変動する為、都度見積もりシミュレータにて確認する必要があります。
③全額前払いの場合
リザーブドインスタンスの料金全額を一括で前払います。
アラートの設定
もうすぐ期限が切れるリザーブドインスタンスを忘れないようにアラートを設定します。
コスト削減の目安
リザーブドインスタンスへの変更
要求に対するElasticCacheの必要なスペックが特定できた場合に、20%〜60%コストカットできます。
①前払いなしの場合
オンデマンドインスタンスと比べて最大48% 節減できます。
②一部前払いの場合
オンデマンドインスタンスと比べて最大52% 節減できます。(3年間契約する場合)
③全額前払いの場合
オンデマンドインスタンスと比べて最大 55% 節減できます。(3年間契約する場合)
移行案件など、必要スペックが想定できているお客様へのコスト削減案
よりコストパフォーマンスの良いインスタンスタイプを選択します。
プロダクション環境に関わるサイジングによる削減
Gravitonタイプを使いコストを削減します。
アクセス頻度・呼出回数にもよりますが、本番環境では以下を留意して設計する必要があります。
- 高スペックのインスタンスを利用するか(m5以降や Gravitonタイプ)
- Memcache とするのか Redis とするのか
コスト削減の目安
r5の代わりにr6gを使う場合、4%節減できます。
検証環境に関わるサイジングによる削減
Tシリーズを選択し 節減
旧世代の場合は「重度使用」でのみリザーブドインスタンスが利用できるので見積もりシミュレータにて費用対効果を確認する必要があります。
開発・ステージング環境は本番環境と同じタイプ(Memcache,Redis)を選択する必要があります。
自動バックアップ保持期間を指定する事によるコスト削減案
バックアップ保持期間に関するサイジング
自動バックアップ機能を使う場合に設定します。バックアップ保持期間は 1~35 日までの間で設定でき、ステージング環境の場合バックアップ保持期間を7日に指定します。
参考資料
リザーブドキャッシュノード
https://aws.amazon.com/jp/elasticache/reserved-cache-nodes/?nc1=h_ls
Cost Explorer を用いて予約を確認する
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/cost-management/latest/userguide/ce-ris.html