オフショア開発とはシステム開発などを海外に委託する手法です。オフショア開発の委託先として、フィリピンが人気を集めていますがどのような特徴があるのでしょうか。本記事では、オフショア開発におけるフィリピンの特徴を解説します。あわせて、フィリピンを選ぶメリット・デメリット、オフショア開発の手順なども解説するため参考にしてください。
目次
オフショア開発におけるフィリピンの現状
ここでは、オフショア開発におけるフィリピンの現状を、人口や国民性、公用語などの観点から解説します。
フィリピンの人口
2020年フィリピン国勢調査によると、フィリピンの人口は1億903万5,343人となっています。国民の平均年齢は約24歳と若く、国民の平均年齢が約48歳の日本と比較しても若者世代が多いことがわかります。
※参考:フィリピン基礎データ|外務省
フィリピンの国民性
フィリピンの国民性は、温厚でオープンな人が多いといわれています。家族を第一に考える文化があり人と人とのつながりを大切にする国民性で、コミュニティ意識が高いです。また、正確は友好的で親日家が多い国としても知られています。
フィリピンの宗教
フィリピンは、国民の8割以上がカトリック教徒です。その他の10%がキリスト教、5%がイスラム教徒なっており、カトリック教が主な宗教だといえるでしょう。日常生活においてもカトリック教が根付いており、公的な休日は宗教的な休日が多くあります。
※参考:フィリピン基礎データ|外務省
フィリピンの公用語
フィリピンの国語はフィリピノ語(タガログ語)です。公用語としては、フィリピノ語と英語が使われています。フィリピンは英語の普及率が高く、アジアのなかでも英語が通じやすい国として知られています。
※参考:フィリピン基礎データ|外務省
フィリピンの経済状況
フィリピンの経済は急成長中で、目覚ましい成長を遂げています。特に、BPO産業の拡大が注目されており、フィリピン経済を支える柱の1つだといえるでしょう。また、海外直接投資の流入も増えています。
※参考:フィリピン基礎データ|外務省
オフショア開発でフィリピンを選ぶメリット
オフショア開発でフィリピンと選ぶメリットは大きく分けて5つです。ここでは、各メリットを解説します。
英語力がある
フィリピンを選ぶメリットとしてまず挙げられるのが、英語力の高さです。前述したようにフィリピンの公用語はフィリピノ語と英語です。英語が公用語の1つであり、英語力の高い人が多くいます。国際的なプロジェクトでは言語の壁が立ちはだかるケースも多くありますが、英語が通じるためコミュニケーションの問題を解消しやすいでしょう。
地理的な距離が短い
日本との距離の近さもメリットです。日本からフィリピンまでは、航空機で約4時間程度と比較的時間がかかりません。時差も1~2時間ほどとなっており、大きな時差を感じることなくコミュニケーションが取れます。コミュニケーションにおける時間的なロスを抑えられるため、スムーズに作業を進めやすいでしょう。
技術力が高い
フィリピンでは、高等教育機関でIT教育に力を入れています。たとえば、Web開発やアプリ開発など、さまざまな分野で優れた人材を輩出しており、世界的に見ても技術力が高く、グローバルなレベルで活躍できる技術を身につけています。また、AIやブロックチェーンなどの最先端技術でも成果を上げているようです。
IT人材が豊富
前述したように、フィリピンではIT教育に力を入れています。国を挙げてIT教育に注力しているため、優秀なIT人材が育ちやすい環境です。新しい技術トレンドにおける適応能力も高く、さまざまな開発に対応できます。また、若者世代が多いため労働人口も多く、優秀なIT人材を探しやすいというメリットもあります。
人月単価が安い
フィリピンは日本と比較すると、人月単価が安いです。そのため、日本で開発するよりも開発コストを抑えやすいというメリットがあります。東南アジアのなかでも人月単価は低い水準にありますが、安いだけではなくサービスの質の高さも魅力です。コストパフォーマンスに優れている点は、大きなメリットでしょう。
オフショア開発でフィリピンを選ぶデメリット
オフショア開発でフィリピンを選ぶメリットは多くありますが、デメリットもあります。ここでは、4つのデメリットを解説します。
文化の違いがある
まずは文化的な違いです。フィリピンは日本と比較すると、時間感覚が緩やかです。そのため、納期通りに納品されないなど納期厳守が課題となりやすいでしょう。コミュニケーション方法や意思決定の工程なども異なります。
品質基準が異なる
日本とフィリピンでは、合格ラインに差が生じるケースもあります。日本は世界的に見ても品質水準が高い国です。合格ラインには差が出る可能性が高いため、合格ラインの基準を共有するなど足並みをそろえて開発する必要があります。
コミュニケーションコストが発生する
フィリピンでは英語が通じる人は多くいますが、日本語を話せる人はあまり多くありません。そのため、言語の壁を感じるケースもあるでしょう。また、距離もあるため日本での開発と比較すると、コミュニケーションコストがかかります。
場所によってはネットワーク環境が不安定
フィリピンは日本と比較すると、ネットワーク環境が不安定です。エリアにもよりますが、ネットワーク環境が安定しておらず、効率的にプロジェクトを進められない可能性があるため注意が必要です。
フィリピンでオフショア開発する際に役立つデメリットの解決策
フィリピンでオフショア開発をする際にはデメリットもありますが、解決策もあります。
文化の違いを受け入れる
まずは、文化の違いを受け入れましょう。国が違えば文化も異なることを認めて、相互理解と尊重を意識することが大切です。たとえば、ビジネス習慣に関するセミナーを開く、定期的にコミュニケーションを取り相互理解を進めるなどしましょう。
品質基準をすり合わせる
品質基準を明確にしたり、事前に基準を共有したりすることも大切です。日本と海外では品質基準が異なるケースが多いため、すり合わせは欠かせません。ルールをマニュアル化する、研修を実施する、フィードバックを頻繁に行うなども効果的です。
日本語ができる委託先を選ぶ
英語でのコミュニケーションが難しい場合には、日本語対応が可能な委託先を探すこともよい方法です。また、現地エンジニアとの橋渡し役として、ブリッジエンジニアを配置するという方法もあります。
ネットワーク環境を整える
ネットワーク環境の構築も欠かせません。信頼性が担保された通信インフラを確保することで、プロジェクトがスムーズに進みやすくなります。また、万が一に備えて、バックアップシステムを用意しておくとよいでしょう。
オフショア開発の一般的な手順
ここでは、オフショア開発を行う際の一般的な流れを解説します。オフショア開発を取り入れる前に、基本的な手順を理解しておきましょう。
1.委託先を選ぶ
まずは、委託先を選定しましょう。この際、プロジェクトの要件や必要な技術力などを洗い出して委託先をリサーチし、自社に合う委託先を選ぶことがポイントです。実績のチェックも忘れずに行い、信頼できる委託先を選定しましょう。
2.相談する
選定した委託先に、起業する要件や仕様を伝えて相談します。この際、納期やコスト、成果物の質などを明確に伝えるとよいでしょう。効果的なコミュニケーションを取るためにも、できるだけ多くの情報を提供することがポイントです。
3.契約方式などを決定する
プロジェクトの管理体制やリスクなどに合わせて、契約方法などを決定します。契約方法と開発方式は、プロジェクトの要件によって適したものが異なるため、最適な方法を選ぶようにしましょう。互いに納得できるように、契約内容を明確にすることも大切です。
4.見積もりをとる
契約方法などを決定したら、詳細な見積もりを出してもらいましょう。見積もりをもとにして、予算や納期などを評価します。また、必要に応じて複数社から見積もりを出してもらい、比較・検討してください。
5.契約・開発開始する
希望に合う委託先が見つかったら見積もりを承認し、正式に契約を締結して開発を開始します。契約締結後は、定期的に進捗報告やミーティングなどを実施して、プロジェクトの進行状況を把握しておくことが大切です。
フィリピンでおすすめのオフショア開発会社5選
フィリピンでオフショア開発を行いたい場合には、フィリピンに拠点のある開発会社がおすすめです。ここでは、おすすめの開発会社を5社紹介します。
1.株式会社Sun Asterisk
日本、フィリピン、ベトナム、カンボジアに拠点を構えており、システム開発やアプリ開発の実績が豊富です。DXコンサル、設計から本格的な開発までトータルサポートできる対応力があり、柔軟な開発リソースがあります。
2.BPOC
2018年に設立された会社で、セブ島、マニラに店舗があります。Webシステム開発やシステム開発、モバイルアプリ開発など幅広く依頼できます。また、ファシリティの準備が不要で撤退リスクゼロでの開発が可能です。
3.株式会社モンスターラボホールディングス
世界各国に拠点を構えており、フィリピンにも拠点があります。ネイティブアプリ、ハイブリッドアプリなどさまざまなアプリ開発が可能です。開発実績も2,200件以上と豊富な実績と経験があることも魅力でしょう。
4.株式会社LIG
フィリピンやベトナムに拠点を構える会社です。システム開発からアプリ開発、保守運用などに対応できます。日本語でのコミュニケーションが可能なため、英語力に不安がある場合でも安心です。
5.BizWind
フィリピン・マニラに拠点を構える会社です。アジャイル開発を得意としていますが、ラボ型開発、受託開発にも対応しています。Webシステム開発やモバイル開発、企画~保守運用まで対応でき、多言語対応も可能です。
フィリピンでオフショア開発する際の注意点
フィリピンでオフショア開発をする際には、注意したいポイントがあります。ここでは、2つの注意点を解説します。
スケジュール管理の徹底
フィリピンでのオフショア開発では、時差やコミュニケーションによる遅延などが考えられます。そのため、スケジュール管理は徹底しましょう。各工程で必要な作業を細分化し、タイムラインを設定することで管理しやすくなります。
急な離職に注意が必要
フィリピンのオフショア開発業界は、人材に流動性が高いという特徴があります。重要な役割を果たす人材が離職すると、作業に大きな影響を及ぼす可能性があるため、あらかじめリスク管理計画を策定しておきましょう。
まとめ
オフショア開発の委託先としてフィリピンが人気です。フィリピンは英語力や技術力が高く、IT人材が豊富にいるため優秀な人材を確保しやすいでしょう。また、人月単価も安いためコストを抑えやすいです。ただし、文化の違いや品質基準の違いなどがあるため、事前のすり合わせや相互理解などは欠かせません。
株式会社Sun Asteriskは、日本とフィリピンに拠点を構える開発会社です。DXコンサル、設計から本格的な開発まで一気通貫で支援できるケイパビリティの広さ、柔軟な開発リソースが魅力です。フィリピンでオフショア開発をお考えなら、ぜひご相談ください。