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システム開発

システム開発の見積もり方法と見積書の項目・内容、チェックポイントを解説

更新日: 2025年4月25日

システム開発を外部に依頼する際、正確な見積もりを取得することが成功の鍵となります。本記事では、システム開発における見積もりの基本概念から具体的な算出方法、見積書の項目、そして発注者側が確認すべきチェックポイントまで解説します。正確な見積もりを理解することで、予算計画の最適化や開発パートナー選定の精度を高め、プロジェクト成功の確率を上げることができるでしょう。

システム開発の見積もりとは?

見積もりとは、開発に必要な工数や期間、費用などを事前に予測し、計画としてまとめるプロセスです。正確で詳細な見積もりは、プロジェクトの成功に不可欠となります。

見積方法の理解がもたらすメリット

見積方法を理解することで、提示された工数や費用の妥当性を客観的に判断でき、適正なコスト管理が可能になります。また、複数の開発会社の見積もりを客観的に比較検討することで、最適なパートナー選定につながるでしょう。

そして、要件のズレや想定外の追加費用を未然に防げるため、トラブルの発生リスクを抑制できます。

システム開発のおもな見積もり算出方法

システム開発の見積もりを行う際には、複数の算出方法があります。それぞれ方法には特徴やメリット・デメリットがあるため、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

トップダウン(類推見積)

トップダウン(類推見積)は、類似のプロジェクトをもとに大まかな見積もりを算出します。初期段階でスピーディに予算感をつかめるため、経営判断や新規事業の検討など、早急な意思決定を求められる場面で役立ちます。ただし、詳細設計が明確でないため精度には限界があり、後の段階でより精緻な見積もりを併用する必要があるでしょう。

ボトムアップ(工数積み上げ)

ボトムアップ(工数積み上げ)とは、プロジェクトを細かい作業単位に分け、それぞれの作業に必要な工数や費用を、1つひとつ積み上げて算出する方法です。工数や費用の精度が高いため、確実にコスト管理を行いたい発注者に向いています。

しかし、タスクを詳細に分解して見積もりを出す作業には多くの時間と手間がかかるため、迅速さより正確性を重視したい場合に適しています。

パラメトリック法(係数モデル)

パラメトリック法(係数モデル)は、統計データから得られる係数や数式を用いて工数や費用を算出します。客観性が高く、データが豊富にそろっている場合には高い精度が期待できるでしょう。一方で、元データの質が低ければ精度が低下するため、過去の実績データを豊富に持つ場合に効果的な見積もり方法です。

プライスツーウィン法

プライスツーウィン法は競合他社の提示価格を基準に、見積もり価格を戦略的に設定する手法です。競争力が上がり、コスト削減効果も見込めるため、新規事業や競争の激しい分野で有効な手法とされています。ただし、品質への影響もあるため、コストパフォーマンスと品質のバランスを考えた慎重な判断が必要です。

ユーザーストーリー見積もり

アジャイル開発で活用される手法で、ユーザー視点の機能要件を「ストーリー」として整理し、難易度に応じてポイントを割り当てて工数を算出します。1〜4週間程度の短期開発サイクルごとに実施するため計画が立てやすく、チーム内での認識共有にも役立つでしょう。

変化の多いプロジェクトや顧客との密な連携が必要な開発に適していますが、チームの経験値に精度が左右されます。

システム開発における見積書の項目と内容

見積書にはさまざまな費用項目が含まれています。これらの項目を正確に理解することで、開発コストの全体像を把握し、予算計画を適切に立てることができるでしょう。

要件定義費用

要件定義費用は、システム開発の初期段階で発生する費用です。この工程では「どのようなシステムが必要か」「どの課題を解決したいか」といった要望を明確化します。必要な機能や技術、スケジュール、工数などを決定し、「やること/やらないこと」を明確にすることで、後工程でのトラブルを防止します。

要件定義はプロジェクトの方向性を決める重要な工程であり、この段階での投資が全体の成功を左右するといっても過言ではありません。

進行管理費用

進行管理費用は、プロジェクト全体のスケジュール調整や管理に必要な費用です。プロジェクトマネージャやリーダーの人件費がおもな内訳となり、開発の進捗状況を監視し、問題が発生した際の対応策を講じる役割を担います。適切な進行管理により、納期遅延や予算超過などのリスクを最小限に抑えることが可能です。

設計費用

設計費用は、基本設計、詳細設計、プログラミング設計などの業務にかかる費用です。サーバーなどのインフラ整備や専門言語の検討など、システム開発の環境を整えるために必要な費用も含まれます。設計段階での綿密な計画と検討が、後の開発工程をスムーズに進めるための土台となります。

UIデザイン費用

UIデザイン費用は、システムの見た目や操作性にかかわる部分の設計・開発費用です。テンプレートを使用せず独自のUIデザインにこだわる場合は、別途見積もられることが多くなります。ユーザーの使いやすさを重視したインターフェース設計は、システムの利用率や満足度に大きく影響します。

開発費用

開発費用は、実際のプログラミング作業にかかる人件費と技術費です。システム開発の中核となる工程で、設計書に基づいてコーディングを行います。開発費用はプロジェクトの規模や技術的難易度、開発言語、必要な機能数などによって変動するでしょう。

一般的に「人月単価」で計算され、1人のエンジニアが1か月にかかる費用をもとに算出されます。

導入費用

導入費用は、開発したシステムを実際の環境に設置し、初期設定を行うための費用です。サーバーへのインストールやデータ移行、初期設定などの作業が含まれます。また、システムの操作マニュアル作成やエンドユーザー向けのトレーニング実施にかかる導入支援費用が別途計上されることもあります。

テスト費用

テスト費用は、開発したシステムが要件通りに動作するかを確認するための費用です。単体テスト、結合テスト、システムテスト、受入テストなど複数の段階でテストが行われ、それぞれに費用が発生します。

品質を担保するための重要な工程であり、十分なテストを行うことでリリース後のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

運用・保守費用

運用・保守費用は、システム稼働後に発生する不具合の修正や機能改善、セキュリティ対策などにかかる費用です。一般的に月額や年額で設定され、システムの規模や複雑さによって金額が決まります。保守範囲や対応時間によっても費用は変動します。

システムの安定稼働を維持するために必要な投資であり、長期的な視点で予算を確保することが重要です。

機器購入費用

機器購入費用は、システム開発に必要なサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアライセンスなどを購入するための費用です。ハードウェアとソフトウェアの両方が含まれ、システムの規模や要件によって必要な機器構成が決まります。クラウドサービスを利用する場合は、初期費用と月額利用料の両方を考慮する必要があります。

交通費用

交通費用は、クライアントとの打ち合わせや現地での作業に伴って発生する費用です。遠隔地での開発の場合、宿泊費なども含まれることがあります。一般的に実費精算となることが多く、後から見積もられるケースもあります。

長期プロジェクトでは、これらの費用が積み重なって大きな金額になることもあるため、事前に支払い方法や精算タイミングについて確認しておくとよいでしょう。

見積書のチェックポイント

見積書の内容を正確に理解し、発注側と受注側の認識を合わせておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。ここでは、見積書をチェックする際の主要なポイントを解説します。

作業範囲が明確で依頼通りになっているか

見積書に記載された作業範囲が打ち合わせた内容と一致しているか確認しましょう。基本設計から運用までのどの工程が含まれるのか、必要な機能が漏れていないか、不要な工程が含まれていないかをチェックします。特に機能の漏れは追加開発費用が発生する原因となります。

デザインやスマートフォン対応などの項目有無も金額に影響するため、タスクごとの金額確認が理想的です。

前提条件が明確で認識にズレがないか

見積書には対象範囲や開発言語などの前提条件が明記されているべきです。自社の要件定義書と照らし合わせて過不足がないか確認し、認識のズレを防ぎましょう。契約後のトラブル回避のため、前提条件の可視化は重要です。

特に技術的な制約条件や開発環境についても明確になっているか確認が必要です。

調査・分析の工数が含まれているか

システム開発では設計・開発工数だけでなく、要件定義作成のための事前調査や分析費用も重要です。現行システムの調査や新技術の検証など、開発前の準備作業にかかる工数が適切に計上されているか確認しましょう。これらの工数が不足していると、後工程での手戻りや追加コストが発生するリスクが高まります。

責任範囲が明確になっているか

見積書の段階で責任の所在を明確にすることがトラブル防止につながります。開発中の問題対応や納品後の不具合修正、保守・運用フェーズでの責任分担について明確な記載があるか確認しましょう。特に複数の企業がかかわるプロジェクトでは、各社の役割と責任範囲を明確にすることが重要です。

見積金額は妥当か

見積書の金額や工数に不自然な点がないか確認することは不可欠です。各項目の積算根拠を確認し、「要件定義10人日、設計5人日」といった工数配分が適切かチェックしましょう。極端に少ない工程や「一式」と曖昧に記載されている項目は詳細確認が必要です。また、他社の見積もりと比較することで、金額の妥当性を検証することも有効でしょう。

検収方法・検収条件が明確になっているか

システム開発の成果物をどう検収するか、その方法や条件が明確になっているかも重要です。テスト工程の合格基準や最終的な受け入れ条件についての記載があるか確認しましょう。また、検収後の保証期間や不具合対応についても明確な条件が示されているか確認が必要です。検収条件が曖昧だと納品後のトラブルにつながるため、事前の明確化が重要です。

まとめ

システム開発の見積もりは、プロジェクトを成功へ導くための鍵となります。適切な見積もり方法を理解し、見積書の内容を把握することで、予算計画の最適化や開発パートナー選定の精度を高められます。

Sun Asteriskは、500社以上の実績と柔軟な開発リソースを持ち、スタートアップから大企業まで幅広い規模のプロジェクトに対応可能です。特に、要件定義から保守まで自社内で一気通貫で対応することで、ベンダー間のコミュニケーションコストを削減できる点が強みです。システム開発を行う際は選択肢の1つとして、まずはお見積もりだけでもお声がけください。

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