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システム開発

スクラッチ開発とは?システム開発の流れ・特徴・パッケージとの違いを解説

更新日: 2025年6月12日

システム開発のスクラッチは、ゼロからオリジナルのシステムを構築する方法です。コストや期間はかかるものの、独自性や業務への最適化を重視する企業に有効です。この記事では、スクラッチ開発の基本やメリット、デメリット、導入時のポイントについて解説します。ぜひ参考にしてください。

システム開発におけるスクラッチとは

スクラッチ開発とは、パッケージソフトや既存のシステムを使わずに、ゼロからオリジナルのシステムを構築する開発方法です。「from scratch(最初から)」という英語表現に由来し、自社の業務や要件に合わせた柔軟な設計ができます。必要な機能を自由に組み込める反面、開発期間やコストがかかるため注意が必要です。

テンプレートを一切使わない「フルスクラッチ」や、一部流用する「セミスクラッチ」といった形態もあります。

パッケージ開発との違い

スクラッチ開発とパッケージ開発の違いは、自由度とコストのバランスにあります。スクラッチ開発は、要件に応じてシステムをゼロから設計するため、自社の業務に完全に合った柔軟なシステムの構築が可能です。

一方、パッケージ開発は、既存の汎用システムをベースに一部をカスタマイズする方法です。導入が速くコストも抑えられる反面、業務をシステムに合わせなければなりません。両者において、目的に応じた選択が重要です。

スクラッチ開発における基本の流れ

スクラッチ開発では、要件定義から設計、開発、テスト、運用までの各工程をゼロから構築します。その基本的な流れを段階ごとに解説します。

1.要件定義

要件定義は、開発プロジェクトの成否を左右する重要な工程です。システムに求める目的や機能、解決したい課題を明確にし、それに基づいた要件を洗い出して文章化します。パッケージ開発とは異なり、土台がないため、細部まで丁寧な要件の定義が必要です。開発途中のズレや手戻りを防ぎ、効率的かつ効果的な開発の進行が求められます。

2.設計

設計は、要件定義で明確にした内容をもとに、実際のシステム構造や仕様を決める工程です。ユーザーが操作する画面や操作方法を設計する「外部設計」と、内部処理やデータベース構造を決める「内部設計」にわかれます。スクラッチ開発では、設計の精度がその後の工程に大きく影響するため、要件とズレがないよう慎重な進行が重要です。

3.プログラム開発

設計が完了したら、仕様に基づいてプログラムを開発しましょう。外部設計や内部設計をもとに、プログラマーは各種言語でコーディングを行い、機能を実装します。スクラッチ開発を外部に依頼する場合も、要件定義や設計は発注者と共同で進め、実装はおもに開発企業が担当します。

4.テスト

システムが正しく動作するかを確認するため、段階的なテストを実施します。単体テスト、結合テスト、システムテスト、運用テストの順に進め、不具合があれば原因工程に戻って修正を行います。各テストでは、設計通りに機能が動作しているか、ユーザー目線での操作確認が必要です。

5.運用

テストを経て問題がなければシステムを公開し、運用を開始します。公開後は初期設定やマニュアル整備、操作説明を行い、安定した稼働を目指しましょう。リリース直後は不具合対応や問い合わせが多く、継続的な保守や改善が不可欠です。必要に応じて機能追加や改善も行い、業務に適応させていきます。

スクラッチ開発に適したアジャイル開発

アジャイル開発は、計画、設計、実装、テストといった工程を、小さな機能単位で短いサイクルごとに繰り返す開発方法です。スクラッチ開発のように、要件や仕様が流動的になりやすいプロジェクトにおいては、このような柔軟な進め方がより相性のよいアプローチといえるでしょう。優先度の高い機能から着手できるため、早期リリースが可能です。

リリース後に実際の利用状況を見ながら改良を重ねることで、柔軟な機能拡張にも対応できます。変更や修正はしやすいですが、頻繁な仕様変更によりスケジュール管理がむずかしくなるため、注意が必要です。スクラッチ開発においては、柔軟性とスピードの両立を可能にする方法といえます。

スクラッチ開発のメリット

スクラッチ開発では、業務に最適化されたシステムを構築できるため、独自の要件や仕様にも柔軟に対応できます。おもな2つのメリットを解説します。

独自性の高いシステム構築ができる

スクラッチ開発は、既存のテンプレートに縛られずゼロから開発をするため、独自性の高いシステムの構築を目指せます。他社が導入していない機能やデザインを取り入れることで、差別化も図れるでしょう。

また、自社の業務フローやビジネスモデルに完全に適応した仕様になり、長期的な運用にも適しています。拡張性にも優れており、必要に応じて柔軟な機能追加が可能です。

長期間使い続けられる

スクラッチ開発で構築されたシステムは、提供元の倒産やサポート終了などのリスクが低く、長期的な運用が可能です。自社の開発部門や信頼できる開発企業と連携を続けると、必要な改修や機能追加も迅速に対応できるでしょう。時代の変化や業務の進化に対応できるだけでなく、システムの陳腐化を防げます。

スクラッチ開発のデメリット

スクラッチ開発は自由度が高い一方で、開発期間やコストがかかりやすく、進行管理や品質維持にも注意が必要です。おもな2つのデメリットを解説します。

莫大なコスト・時間がかかる

スクラッチ開発はコストや時間がかかります。ゼロからシステムを構築するため、多くの工数があり、通常で1~2年、場合によってはそれ以上の期間が必要です。また、高度な技術を要する場合、人件費や開発費も大きくなり、初期費用が数千万円~億単位になることもあります。そのため、スピードや予算に制限があるプロジェクトでは難しい方法です。

業者選びがシステム開発を大きく左右する

システムの完成度や運用のしやすさは、開発業者の技術力や対応力に左右されます。要件を正確に理解し、最適に実装できるスキルと経験が求められるため、業者選びは重要なプロセスです。

しかし、初期段階でその実力を見抜くことは簡単ではありません。選定を誤れば納期遅延や要件未達などのリスクも生じるでしょう。豊富な実績や柔軟な対応力を備えた信頼できる業者選びが、成功のポイントです。

スクラッチ開発のポイント

スクラッチ開発を成功させるには、一貫した計画と準備が不可欠です。おもな2つのポイントを解説します。

コア業務に向いている

スクラッチ開発は、企業の競争力を左右するコア業務に適しています。パッケージシステムでは対応しきれない独自の業務フローや、将来的な機能追加、連携の柔軟性を求められる場合に有効です。

標準化されたノンコア業務とは異なり、コア業務は企業ごとに大きく異なります。最適なシステムをイチから設計、開発できるため、他社との差別化や業務効率の向上につながります。

著作権に留意する

完成したシステムの著作権が、誰に帰属するのかを明確にしておきます。原則として、著作権は開発企業にあるため、ユーザー企業が著作権を保有したい場合は、契約時に明確な取り決めが必要です。

とくに「著作権は発注者に帰属する」旨を契約書に明記すると、後のトラブルを防げます。また、翻訳権や翻案権など一部の権利は別途明記が必要なため、契約内容の精査が不可欠です。

まとめ

スクラッチ開発とは、既存のテンプレートを使わずに、ゼロからシステムを構築する方法です。コストや時間はかかりますが、業務への最適化や独自性に優れており、長期運用や柔軟な改修に適しています。導入時は開発業者の選定や、著作権の扱いも重要です。

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