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システム開発

クラウド開発とは?システム開発の活用メリットやサービスの選び方を解説

更新日: 2025年7月11日

03-36_クラウド開発とは?

クラウドサービスは、ソフトウェア・サーバー・ネットワークなどをクラウド経由で提供するサービスです。近年は、クラウド環境を利用したシステム開発方法が人気を集めています。

今回は、クラウドを活用したシステム開発の特徴やメリット・デメリット、オンプレミスとの違いについて詳しく解説します。クラウド開発に便利なおすすめのクラウドサービスも紹介するため、ぜひ最後までチェックしてください。

クラウド開発とは?

クラウド開発とは、クラウド上に構築された環境を活用して行うシステム開発の手法です。従来の開発方法のように社内にサーバーを設置せず、インターネット経由でサービスを利用するため、初期費用や設備投資を抑えることができます。その使い勝手のよさから、近年はさまざまな企業でクラウド開発の導入が進んでいます。初期投資を抑えたい、短期間でサービスを立ち上げたいといったニーズがある場合に特に有効です。スタートアップや新規事業など、スピードと柔軟性が求められるプロジェクトで活用されるケースが増えています。

従来の開発方法(オンプレミス)との違い

クラウド開発とオンプレミス型開発の最大の違いは、システムの運用基盤にあります。オンプレミスは自社でサーバーを構築・管理する必要があり、初期費用や運用負担が大きくなります。一方、クラウド開発はインターネット経由で提供されるサービスを利用するため、導入ハードルが低くコスト削減も可能です。クラウド開発の場合、システムの保守や管理の負担がかからないのもメリットの1つといえます。

比較項目 クラウド開発 オンプレミス開発
開発コスト 比較的低い 比較的高い
保守・管理の方法 ベンダーに一任できる 社内で対応が必要
開発スピード 比較的スピーディ 比較的時間がかかる
拡張・カスタマイズ性 範囲内であれば簡単にスケールアップできる 機材や環境を再構築する手間がかかる

クラウド開発のメリット

クラウド開発には、オンプレミスにはなかったメリットが数多くあります。なかでも、低コストで効率よく開発を行えるのが利点です。

短期間で開発できる

クラウド開発では、あらかじめ用意されたインフラを活用するため、開発環境の構築に時間がかかりません。これによって、企画からリリースまでの期間を大幅に短縮することができます。クラウドベンダーの開発支援ツールやテンプレートを活用すれば、より迅速かつ効率的な開発が可能です。プロジェクトの立案から立ち上げまでが早く、ビジネスチャンスを獲得しやすいといえるでしょう。

サーバーの保守・管理が不要

クラウド開発では、物理サーバーの設置や運用を自社で行う必要がなく、保守作業の負担を大幅に軽減できます。OSやミドルウェアのアップデート、障害時の対応などもクラウドベンダーが行うため、システム担当者のリソースを割く必要がありません。また、インフラの監視体制も整っており、インフラの専門知識がなくても安心して開発できます。

初期費用が安く運用コストを抑えられる

クラウド開発は、必要なリソース分のみ支払う従量課金制が一般的で、オンプレミス型のようなサーバー購入や設置費用が発生しません。そのため、初期投資費用の負担が少なく、運用コストも安く抑えられます。また、開発中やテスト期間中にリソースを柔軟に調整できるため、予算管理がしやすいというメリットもあります。

簡単に拡張・スケールアップができる

クラウドサービスは、必要に応じてコンピューティングリソースやストレージ容量を柔軟に拡張できます。アクセスが集中するタイミングや業務拡大による処理量の増加にも、設定を変更するだけですぐに対応可能です。物理機器の追加や移設が発生しないため、拡張にかかる時間や手間を最小限に抑えられます。

クラウド開発のデメリット

さまざまなメリットがあるクラウド開発ですが、なかにはいくつかのデメリットも考えられます。

カスタマイズできる範囲に制限がある

クラウド開発は、あらかじめ提供されたサービスや機能をベースに構築するため、オンプレミスのように細部まで自由にカスタマイズできない場合があります。たとえば、業界特有の業務要件やレガシーシステムとの連携が求められるケースでは、既存のクラウドサービスだけでは対応できないかもしれません。トラブルを避けるために、自社の業務要件と事前に照らし合わせておくことが重要です。

セキュリティ面で不安が残る

クラウド環境では開発データを外部に預ける形になるため、常に情報漏えいや不正アクセスへの懸念がつきまといます。特に個人情報や機密情報を扱うプロジェクトでは、データの保管場所・暗号化の有無・アクセス制御などの仕組みを確認する必要があります。また、セキュリティインシデント発生時の対応体制や責任範囲も把握しておきましょう。多くのクラウドベンダーでは、通信の暗号化・WAF・多要素認証といった対策が標準機能として備わっており、一定のセキュリティ基準を満たしています。自社で対策と講じるのが難しい場合でも、ベンダーのセキュリティポリシーを確認することで、安心して利用することができるでしょう。

定期的な契約内容の見直しが必要

クラウドサービスはサブスクリプション型で提供されることが多く、利用料金や契約条件が定期的に変更される可能性があります。開発途中で価格改定が行われた場合、当初のコスト計画と実際の支出にギャップが生じるかもしれません。また、サービス内容の変更やプラン改定によって、必要な機能が使えなくなったり追加料金が発生したりするケースも考えられます。

クラウド開発の流れ

クラウド開発は、従来の開発と同様に要件定義・環境構築・開発・実装・テストの手順で進めていきます。

1.要件定義

はじめにどのようなシステムを構築するのか、目的・機能・ターゲット・予算・開発スケジュールなどを明確に定義します。クラウド環境の特性を生かすためには、スケーラビリティやセキュリティ要件もこの段階で洗い出しておくことが重要です。開発側とも協力して、実現可能な仕様に落とし込みましょう。

2.クラウド上での環境構築

続いて、クラウド上での開発環境を構築します。AWS・Azure・GCPなどのクラウドサービスを契約し、必要なサーバー・ストレージ・ネットワーク構成などを整備しましょう。リソースの選定やアクセス権限の設定も、この段階で行います。

3,アプリケーション開発・実装

開発環境が整ったら、実際のアプリケーション開発に入ります。設計図に基づき、フロントエンドやバックエンドの機能を開発・実装します。

4.テスト

開発・実装が完了したら、さまざまなテストを通じて品質を評価します。単体テスト・結合テスト・システムテストなどを段階的に実施し、バグや機能上の問題を洗い出しましょう。クラウド環境では自動テストを導入しやすく、テスト効率を向上しやすいのもメリットの1つです。

cloud dev cycle

クラウドサービスの種類

クラウドサービスには、SaaS・PaaS・IaaSの3種類のサービス形態が存在します。それぞれ利用者の権限が異なるので、自社にあったサービス形態を選択しましょう。

項目 SaaS PaaS IaaS オンプレミス
ソフトウェアの提供 × × ×
ミドルウェアの提供 × ×
OSの提供 × ×
サーバーの提供 ×
ストレージの提供 ×
ネットワークの提供 ×

表中の「〇」は、該当する機能が提供されていることを示しています。
「〇」が多いほど、自社での運用負担が少なく、すぐ導入しやすい傾向があります。

SaaS

SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをクラウド経由で提供する形態です。開発ソフトのインストールが不要で、ブラウザを通じてすぐにサービスを利用できます。自社で保守やアップデートを行う必要がなく、常に提供された最新バージョンを利用できる点もメリットの1つです。

<代表的なSaaS>
Google Workspace・Office365・kintone

PaaS

PaaS(Platform as a Service)は、ソフトウェアの開発や実行に必要なサーバーとミドルウェアを提供するサービスです。インフラ部分の管理をクラウド側に任せられるため、開発・実装業務に専念できます。

<代表的なPaaS>
Amazon Web Services(AWS)・Microsoft Azure(Azure)・Google Cloud Platform(GCP)

なお、AWSやGCPなどは、IaasとPaasの両方の機能を兼ね備えた統合型のクラウドプラットフォームです。必要に応じて開発スタイルに合わせた使い分けが可能です。

IaaS

IaaS(Infrastructure as a Service)は、仮想サーバーやストレージなどのインフラのみを提供するサービスです。クラウドサービスのなかでも利用者の自由度やカスタマイズ性が高く、自社のニーズに合わせて開発環境を構築できます。

<代表的なPaaS>
Amazon EC2・IBM Cloud

代表的なクラウドサービス3選

ここからは、世界中で広く利用されている代表的なクラウドサービスを3つ紹介します。

Amazon Web Services(AWS)

AWSはAmazonが提供するクラウドサービスで、業界トップクラスのシェアを集めています。100以上のサービスを提供しており、幅広い開発要件に対応可能です。世界中に利用ユーザーがいるため、類似の開発事例やトラブルの解決方法を見つけやすいという利点もあります。

Microsoft Azure(Azure)

Microsoft Azureは、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォームです。Windowsとの親和性が高く、Microsoft 365やTeamsなどの社内システムとスムーズに連携できます。日本国内向けのデータセンターが存在するため、通信速度が安定している点もメリットです。

Google Cloud Platform(GCP)

Google Cloud PlatformはGoogleが提供するクラウドサービスで、特にビッグデータの解析やAI領域に強みを持っています。Google高度なインフラ技術を活用でき、高速で安定した開発環境を享受できます。また、料金体系が明瞭でコスト管理がしやすく、一部のサービスは無料で使用可能です。

Cloud Service

まとめ

クラウド開発のメリットを最大限に活かすには、初期段階での明確な要件定義が重要です。特にセキュリティやスケーラビリティ、運用負荷など、クラウド特有の条件を整理しておくことが、開発成功の鍵となります。クラウドサービスを利用したシステム開発は、低コストかつサーバーの保守管理が不要なため、リソースの少ない新規事業やスタートアップ企業でも導入しやすいのが魅力です。

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