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システム開発

システム開発におけるPMOの役割とは?導入メリットと必要なスキルを解説

更新日: 2025年8月8日

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PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)は、プロジェクトの包括的な管理やプロジェクトマネージャーへの助言などを行う役職です。おもに大規模な開発案件で設置されており、豊富な経験とスキルでプロジェクトの円滑な進行を手助けします。

今回は、システム開発におけるPMOの役割や導入するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。PMOに求められる具体的なスキルやPMOに関連する資格も紹介するため、導入を検討している企業担当者はぜひ参考にしてください。

PMOとは?

現代のシステム開発では、プロジェクトの大規模化・複雑化が進み、個別のPMだけでは管理が追いつかないケースが増えています。そうした中で注目されているのが、PMOの役割です。

4270_PMOイメージ

PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)は、複数の開発プロジェクトを横断的に支援する、マネジメント業務の効率化や品質向上を目的とする組織・部署です。プロジェクト全体の進捗や課題を可視化し、PMを後方支援する立場として機能するほか、企業の経営層への説明責任を果たす役割も担います。

プロジェクトにおけるPMOの役割

PMOは、プロジェクトマネジメントを支援・監督する専門組織として、プロジェクトの品質や進捗管理の一貫性を保つ役割があります。

具体的には、プロジェクト管理の平準化・管理ツールの導入・進捗管理・リソースの調整・リスク管理の支援などを行っています。

PMOが機能することで、PMの業務過多を軽減でき、本来注力すべきプロジェクトマネジメントにリソースを集中できます。また、プロジェクト全体を第三者視点で評価できるため、客観的な立場からの助言や経営陣への報告を行うことも可能です。

PMとの違い

PM(プロジェクトマネージャー)は、個別のプロジェクトにおける計画・実行・完了までを統括するプロジェクトの責任者で、目標達成に向けたメンバーやリソースの直接的なマネジメントを行います。

一方、PMOは複数のプロジェクトを俯瞰し、PMが適切に業務を遂行できるようにサポートする役割を持ちます。どちらもプロジェクトの品質管理やマネジメントを行いますが、役割と視点に大きな違いがあります。

PMが現場の推進力となる一方で、PMOは“後方から支える統合役”として両者が役割を補完し合う関係性を築くことが重要です。

PMOの導入方法

PMOの導入方法には、社内に常設部署を設ける方法と、外部のPMO専門コンサルタントへ委託する方法の2つがあります。社内設置型は、組織全体に定着させやすく、プロジェクト文化を根付かせるのに効果的です。

一方、外部委託型は専門性の高いノウハウを迅速に導入でき、短期間での改善を目指す場合に有効です。企業の規模や目的に応じて、最適な形を選ぶことが重要です。

PMOを設置するメリット

PMOを設置することで、プロジェクトの品質や進捗管理が効率化され、多くのメリットが生まれます。特に、複数の開発チームが並走する大規模開発や、期間が長期に及ぶプロジェクトではPMOの導入が効果を発揮します。

PMの負担を軽減できる

PMOを設置することで、PMがプロジェクトマネジメントや進捗管理などの本質的な業務に集中できるようになります。資料作成や調整業務などのサポートをPMOが担うことで、PMの業務負荷が軽減され、円滑なプロジェクトの遂行につながります。

特に大規模プロジェクトでは、複数の業務の並行によってPMの業務過多が起こりやすく、PMOの支援が欠かせません。

正確な意思決定ができる

PMOはプロジェクトの進捗や課題を常に管理・把握しており、経営層やPMが適切なタイミングで正確な意思決定を行うのを助けます。

開発上のデータや状況分析の結果をもとにリスクの早期発見や解決策の検討を行えるため、プロジェクトの進行を最適化でき、プロジェクトを成功に導く一助となります。

客観的な視点でプロジェクトを評価できる

PMOは、現場視点ではなく第三者的な立場からプロジェクトの進行状況や成果を評価するポジションです。そのため、主観的な要素を排除した客観的な分析と改善提案を行うことができます。

PMや現場開発者が見落としがちな問題も検知できたり、経営層に対してプロジェクト状況を正確に報告する役割も担っていたりします。

プロジェクトの品質管理が向上する

PMOはプロジェクト全体の品質基準を策定・統一する役割も担っています。複数のプロジェクトを横断してマネジメントを行っているため、プロジェクト間での品質のばらつきを防止できるほか、平準化したレビューやチェック体制の確立も助けます。PMOのサポートによって成果物の手戻りや開発上の不具合を未然に防止でき、安定した開発品質を整備できます。

適切なリソース配分によって生産性が向上する

PMOは複数のプロジェクト間の人員・予算・設備といったリソースを横断的に把握しており、状況に応じてリソースを最適に再配分することができます。

これによって過不足のない体制構築ができるため、無駄な工数の発生や開発の遅延を防止でき、結果としてプロジェクト全体の生産性が向上します。

PMOを設置するデメリット

一方で、すべてのプロジェクトにPMOが必要とは限りません。小規模でスピード重視の案件などでは、PMOを設けず軽量な体制で進めたほうが効果的なこともあります。
PMOを設置することでさまざまなメリットが生まれますが、一方でいくつかのデメリットも考えられます。

コストやリソースが必要になる

PMOを設置するには、専任の人材や管理ツールなどのリソースが必要になります。大規模なプロジェクトや予算が潤沢なプロジェクトでは問題なく運営できますが、小規模なプロジェクトや低予算のプロジェクトでは負担になりやすく、設置におけるコスト上のデメリットの方が大きいかもしれません。

PMOに依存しすぎる可能性がある

PMや現場の開発者がPMOの指示に過度に頼ることで、現場の主体性が損なわれる可能性があります。

また、PMOの発言力が大きすぎると、PMOの指摘に対して現場が萎縮したり、PMOと開発者間でコミュニケーショントラブルが起こったりすることも考えられます。PMOを設置する場合は、発言権やパワーバランスを調整することが大切です。

こうしたリスクを防ぐには、PM・PMO・現場が自律的に役割を果たし、相互に尊重し合うチーム文化を育てることが重要です。

PMOとPMの関係性に現場が左右される可能性がある

PMOとPMのコミュニケーションが滞り、双方が対立的な関係になると、現場の混乱を招くことがあります。PMOとPMで明確な役割分担や信頼関係が築かれていない場合、プロジェクトの進行や現場の雰囲気に悪影響が出る可能性があります。

PMOの職種の種類

PMOにはいくつかの職種があり、それぞれ役割や必要なスキルが異なります。

PMOアドミニストレーター

PMOアドミニストレーターは、開発文書の管理・会議の運営進行・開発データ集計などの事務的な業務を中心に担う役職で、開発業務の効率化に欠かせない存在です。

プロジェクト管理ツールの活用や情報共有の支援を行い、PMやPMOエキスパートの業務を下支えする役割を担います。

PMOエキスパート

PMOエキスパートは、プロジェクト管理の専門知識を活かし、開発進捗の管理・リスク分析・業務改善提案などを行う中核的な存在です。

PMの相談役としても機能し、開発業務の標準化や品質管理などの幅広い業務を担います。基本的なマネジメントスキルのほか、高度な分析力やコミュニケーション能力も求められます。

PMOマネージャー

PMOマネージャーはPMO全体の統括責任者として設置されるポジションです。プロジェクトの戦略策定・PMOメンバーのマネジメント・経営層へのプロジェクト進捗の報告などを担当します。プロジェクトを推進する中心人物として、プロジェクトおよびPMOの成果を最大化することが求められます。

PMOに必要なスキル

PMOになるためには、現場を支援するために幅広いスキルと経験が求められます。

豊富な開発経験

PMOはプロジェクト全体を見渡し、技術的な課題や開発品質を把握する必要があるため、システム開発における豊富な開発経験が大前提として必要になります。経験に基づいた知識や開発スキルのほか、開発者の目線で現場への助言や支援が行えることも重要なスキルの1つです。

コミュニケーションスキル

PMOはPM・現場の開発者・経営層などさまざまなプロジェクト関係者と連携する立場にあるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。

各関係者への的確な情報伝達だけでなく、状況に応じた調整力や交渉力も必要です。それぞれの立場や役職と信頼関係を構築することが、円滑なプロジェクト遂行につながります。

PMの経験

現場でのプロジェクトマネージャーの経験は、PMOへのキャリアパスの有効な手段の1つです。過去の開発プロジェクトでPMを経験することで、PMOとしてのプロジェクト支援やPMへの助言の説得力が高まるといえるでしょう。

PMの立場や職務内容を理解していれば、プロジェクトマネジメントの課題を把握しやすく、PMとの強固な信頼関係を構築できます。

PMOに関連する資格

ここからは、PMOを目指している人におすすめの、PMO業務に役立つ資格を紹介します。

プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)

プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)は、日本PMO協会が実施しているプロジェクトマネジメントの認定資格です。

実務経験が少なくても受験でき、基本的な知識を有することを証明できるため、これからPMOやPMを目指すエンジニアの入門資格として活用されています。

PMOスペシャリスト認定資格

PMOスペシャリスト認定資格は、PMやPMOの実務経験がある人向けの認定資格です。

PMOの基礎知識を証明するPMO-S(★)からスタートし、中級のPMO-S(★★)・上級日PMO-S(★★★)へとランクアップしていく仕組みが整えられています。eラーニングとオンライン試験のみで完結するため、忙しい人でも勉強・受験しやすいのもメリットです。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する国家試験です。プロジェクトマネジメントの知識やスキルを証明する資格ですが、PMOを目指す人にとっても有益なマネジメントスキルを身につけることができます。

まとめ

複数のプロジェクトを横断しながらプロジェクトのマネジメントや品質の管理を行うPMOは、プロジェクトのスムーズな遂行の一助となります。特にPMの業務が多岐にわたる大規模なプロジェクトでは、PMOによるPMのサポートが欠かせません。

システム開発を進める上で、PMOに加えてWBSによる管理も併用してみましょう。Sun Asteriskでは、WBSを活用したスムーズなプロジェクト進行や効率的なプロジェクト管理を行う方法を熟知しています。これからプロジェクトを立ち上げる人やプロジェクトのタスク管理に悩んでいる人は、ぜひ活用してみてください。

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