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システム開発

システム開発マネジメントの基本|PMの役割・進め方・手法比較(PMBOK/CCPM/WBS/PERT)

更新日: 2025年9月11日

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システム開発では、計画や進捗を適切にマネジメントしなければ、品質の低下や納期遅延といったリスクが高まります。複雑化するプロジェクトを成功へ導くには、責任を担うプロジェクトマネージャー(PM)の存在が欠かせません。

この記事では、システム開発における主要業務の流れや代表的な管理手法に加え、効率化に役立つマネジメントツールまで詳しく解説していきます。

システム開発におけるマネジメントとは

システム開発におけるマネジメントとは、プロジェクトを計画的かつ効率的に進める管理業務のことです。多くの工程を円滑に進めるため、進行状況や課題を把握し、全体を適切にコントロールする必要があります。ここではマネジメントの重要性や役割について解説します。

プロジェクトマネジメントの重要性

システム開発では、限られたリソースをどう活用するかが成果を左右します。関係者や工程が増えるほど、情報の分断や作業の停滞が発生しやすくなります。

そこで必要になるのがプロジェクトマネジメントです。適切な管理体制を整えることで、工程ごとの役割や優先度を明確にでき、無駄な作業やトラブルを未然に防げます。

また、品質を保ちながら納期やコストを最適化できるため、開発成功の鍵を握る重要な存在といえます。

プロジェクトマネージャー(PM)の役割

PMは開発プロジェクト全体を統括し、計画策定から完了まで責任を持つ立場です。具体的には要件の整理やスケジュール設計、チーム体制の構築、進捗状況の把握など幅広い管理業務を担います。また、関係者間の調整役として情報を共有し、問題解決の中心となる存在です。

システム開発マネジメントで求められる主要業務

システム開発マネジメントでは、計画的に進めるための多様な業務が存在します。ここでは実際の開発で行う主要業務について解説します。

要件定義

要件定義においてPMはシステムに必要な機能や性能を明確にするため、利用者や関係部門とのヒアリングを主導します。業務フローや課題を洗い出し、要件を漏れなく整理することが重要です。さらに、要件の優先度を決定し、コストや納期とのバランスを見極めます。

定義した内容は必ずドキュメントにまとめ、関係者全員の合意を得ることがPMの責任です。ここでの調整不足は、後工程の大きな手戻りの要因となるため、丁寧な対応が求められます。

計画立案・ドキュメント作成

PMは要件定義の内容をもとに、プロジェクト全体の計画を立案します。開発スケジュールや予算、担当者を明確にし、必要な工数を正確に見積もることも重要です。また、リスクや課題を事前に洗い出し、対応策を計画に盛り込みます。

策定した計画はWBSやガントチャートなどの形式でドキュメント化し、関係者間で共有することがPMの責任です。初期段階の精度が後工程の安定性を大きく左右します。

開発体制・環境の準備

PMは計画に基づき、必要なスキルを持つ人材を選定し、役割と責任を明確に設定します。チーム編成では、設計者や開発者、テスト担当者など各メンバーのタスクを具体的に割り振ります。同時に、サーバーやツール、ネットワーク環境など開発に必要なインフラを整備することもPMの業務です。

外部ベンダーを活用する場合は、契約範囲や進捗報告のルールを明確にしておくことが重要です。

進捗の確認と管理

開発が始まると、PMは進捗状況を定期的に把握し、計画との差異を分析します。遅延や課題が見つかれば、原因を特定し迅速に対応します。

その上で、WBSやガントチャートを活用して進捗を可視化し、関係者全員で状況を共有できるようにすることが大切です。さらに、開発チームや取引先との連携を強化すれば、リスクを早期に察知し適切に対応できます。

成果レビューと改善

PMはプロジェクト完了後、成果物やプロセス全体をレビューし、計画との乖離を評価します。工数やコスト、品質を詳細に分析し、問題点や改善点を抽出することが目的です。レビュー結果は必ず文書化し、次回以降のプロジェクトで再利用できる形にします。

加えて、開発チームや関係者との共有会を設けることで、組織全体の知見を高め、継続的な品質向上につなげます。

システム開発マネジメントの代表的な手法

システム開発を円滑に進めるには、状況に応じた適切なマネジメント手法を選ぶ必要があります。ここでは代表的な手法について解説します。

PMBOK|国際標準の知識体系

PMBOKは、世界的に標準とされるプロジェクト管理の知識体系です。品質・コスト・納期を最適化するための原則や手法を体系的にまとめています。工程ごとに必要な管理項目を整理し、計画から実行、監視まで一貫した指針を提供します。大規模なシステム開発や関係者が多いプロジェクトに最適です。

CCPM|制約理論による進行管理

CCPMは、スケジュールの遅れを防ぐための進行管理方法です。各作業の期限を少し短めに設定し、余裕時間をまとめて「バッファ」として確保します。問題が起きたときは、このバッファを使って調整できるため、全体の納期を守りやすくなります。作業工程が多く、遅れが連鎖しやすい開発で有効です。

WBS|作業分解による可視化

WBSは、大きなプロジェクトを小さな作業に分けて管理する方法です。作業を細かく区切ることで、誰がいつまでに何をするのかが明確になります。進捗を把握しやすくなるため、遅れや作業漏れを防ぐ効果もあります。複数チームで進めるシステム開発や工程が複雑な案件で役立ちます。

PERT|確率計算で工程分析

PERTは、作業ごとの最短・最長・標準の時間を見積もり、完成までの期間を予測する手法です。作業順序を図で表すため、どの作業が遅れると全体に影響するかを一目で把握できます。新しい技術を使うプロジェクトや、作業時間が読みにくい開発で効果的です。

P2M|日本発の大規模管理手法

P2Mは、複数の関連プロジェクトをまとめて管理するための方法です。たとえば、同じシステムでも複数の開発チームが関わるケースでは、それぞれの進捗を調整しながら全体の完成を目指します。大規模なシステム刷新や、複数部門をまたぐプロジェクトで活用されます。

PPM|複数プロジェクトを最適化

PPMは、同時に進行する複数のプロジェクトを一括で管理する方法です。リソースや予算をどの案件に優先的に割り当てるかを判断し、効率よく進めるのが目的です。各プロジェクトの進捗やリスクをまとめて把握できるため、状況に応じた素早い判断と柔軟な対応がしやすくなります。

システム開発のマネジメントを効果的に進めるポイント

システム開発のマネジメントを成功させるには、プロジェクト全体を見渡した戦略的な進め方が求められます。ここでは、効果的に管理を行うための重要なポイントを解説します。

目標設定の明確化

システム開発では、最初にプロジェクトの目的や成果物を明確にすることが重要です。目的が曖昧では、工程ごとの優先順位が不明確になり、無駄な作業や手戻りの原因になります。PMは関係者と議論を重ね、達成基準やスケジュールを具体化します。

全員が共通認識を持つようになれば、効率的に作業を進められ、開発品質を安定させることも可能です。

情報共有とコミュニケーション強化

開発現場では、情報が分断されると問題の早期発見が難しくなります。PMはチャットや管理ツールを活用し、進捗や課題をリアルタイムで共有できる仕組みを整えることが大切です。疑問点やトラブルをすぐに相談できる環境をつくれば、対応スピードが向上します。コミュニケーションの密度を適切に保つことが、プロジェクトの安定運営につながります。

関係者・取引先との協力体制づくり

プロジェクトを成功させるには、社内メンバーだけでなく、取引先や外部パートナーとの連携も不可欠です。PMは開発目的や要件を正確に共有し、相互理解を深めることが求められます。要望や懸念点を早期に把握し調整することで、トラブルを未然に防げます。スケジュール通りに進めるためにも、信頼関係を築くことが重要です。

管理ツールの活用

プロジェクト管理ツールは、進捗や課題を一元的に把握するための有効な手段です。WBSやガントチャートなどを活用することで、作業の可視化が容易になります。さらに、クラウド上でタスクやドキュメントを共有すれば、リモート環境でも効率的に連携可能です。PMはツールを適切に選定・導入し、チーム全体の業務効率を最大限に高める役割を担います。

システム開発に役立つマネジメントツール

システム開発を効率的に進めるには、進捗管理や情報共有をサポートするツールの活用が効果的です。ここでは、代表的なマネジメントツールの特徴について解説します。

Lychee Redmine

Lychee Redmineは、Redmineをベースに機能を拡張したプロジェクト管理ツールです。ガントチャートやカンバンで進捗を見える化でき、複数案件を同時に管理する際に便利です。直感的に操作できるシンプルなUIも魅力です。

タイムデザイナー

タイムデザイナーは、タスクや工数の管理に特化したプロジェクト管理ツールです。ガントチャートやカレンダー機能を使って進捗を一目で確認でき、作業時間の記録や分析も可能です。パソコンやスマートフォンからの操作も可能で、外出先でも状況を把握できます。

Bitrix24

Bitrix24はタスク管理からチャット、オンライン会議、CRMまで備えたオールインワンツールです。無料プランでも多くの機能を活用でき、社内外の連携やリモートワーク環境にも適しています。さらに、クラウドとオンプレミスの両方に対応している点も強みです。

まとめ

システム開発のマネジメントを成功させるには、要件定義から進捗管理、関係者との連携までを計画的に進めることが重要です。適切な手法やツールを活用すれば、リスクを抑えつつ品質と納期を両立しやすくなります。

特に、複雑なプロジェクトほどタスクを正しく分解し、全体像を把握することが欠かせません。計画の精度を高めるにはWBSを使った体系的な管理が有効です。「作業漏れゼロ!プロジェクトを完全管理!WBS 基本と実践」では、WBSの基礎から実践的な作成方法まで詳しく解説しています。ぜひご活用ください。

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