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システム開発

システム開発におけるドキュメント一覧|役割や作成のポイントを解説

更新日: 2025年9月11日

03-66_システム開発におけるドキュメント一覧|役割や作成のポイントを解説

システム開発では、ドキュメントの整備が不十分だと要件の誤解や仕様の食い違いが起こりやすく、プロジェクト全体に影響を及ぼす恐れがあります。スムーズに開発を進めるには、目的に応じた文書を正しく作成し、関係者間で共有することが重要です。

この記事では、要件定義書や設計書、マニュアルといった主要なドキュメントの種類と役割、作成のポイントまで詳しく解説します。

システム開発でドキュメントを作成する目的

システム開発におけるドキュメントは、要件や仕様、作業内容を正確に共有するためのものです。ここでは、システム開発でドキュメントを作成する目的について解説します。

プロジェクトメンバー間の情報共有

システム開発では、多くの場合で複数のメンバーや会社が工程ごとに関わります。そのため、要件や仕様を正確に共有するドキュメントが欠かせません。打ち合わせ内容や決定事項を記録すれば「言った言わない」のトラブルを防ぎ、仕様変更にも柔軟に対応できます。

結果として認識のずれを最小限に抑え、開発効率も向上します。

開発チームとクライアントの認識統一

開発側とクライアントではITに関する知識レベルが異なり、口頭だけでは誤解が生じるリスクがあります。要件・機能・納期・予算をドキュメントで明確に残すことで、双方が同じ完成イメージを共有できます。

認識の齟齬を防ぎ、品質向上や納期遅延リスクの軽減も可能です。結果的にプロジェクトを円滑に進めやすくなります。

保守・運用へのスムーズな引き継ぎ

システムは完成後も保守や運用が続くため、担当者変更に備えたドキュメントが重要です。仕様書やテスト結果を残せば、障害やバグ発生時も迅速に対応できます。

さらに開発経緯や修正内容を記録しておけば、新担当者や外部委託先でも業務をスムーズに引き継げます。運用フェーズを安定させる上で欠かせない存在です。

システム開発で利用されるおもなドキュメント

システム開発では、目的や工程に応じて多様なドキュメントを作成します。ここでは、おもなドキュメントの役割や特徴について解説します。

RFP(提案依頼書)

RFPは「Request for Proposal」の略で、システム開発を外部に委託する際に発注側が作成するドキュメントです。プロジェクトの目的や予算、必要な機能、納期などを明確に記載し、開発会社への具体的な提案を依頼します。

開発の方向性を決定する起点となるため、記載内容の正確さと抜け漏れのない構成が求められる重要な書類です。

要件定義書

要件定義書はRFPで示された要望をもとに、開発するシステムが満たすべき機能や性能を明確にする文書です。業務要件、機能要件、非機能要件などを整理し、基本設計や詳細設計のベースとなります。プロジェクト全体の品質や納期に直結するため、慎重な作成が求められます。

基本設計書

基本設計書は、要件定義を基にユーザー視点でシステムの外部仕様をまとめた文書です。画面レイアウト、帳票設計、データ入出力、連携方法などを可視化し、クライアントと開発側の認識を一致させます。具体的なシステム像を共有するための重要な設計資料です。

詳細設計書

詳細設計書は、基本設計で決めた仕様をさらに分解し、開発者向けに内部構成や処理内容を示す文書です。クラス図やシーケンス図、データベース設計などを含み、実装手順を明確にします。エンジニアが正確に開発を進めるための指針となる重要なドキュメントです。

テスト仕様書・テスト報告書

テスト仕様書は、システムが正しく動作するか検証するための手順や条件をまとめた文書です。単体テスト・結合テスト・総合テストを設計段階で計画し、結果をテスト報告書に記載します。品質を担保するための重要な役割を持ち、バグの早期発見にもつながります。

運用マニュアル

運用マニュアルは、システム稼働後に利用者が業務を円滑に進めるための手順をまとめた文書です。操作方法、業務フロー、障害発生時の対応方法などを記載します。初心者でも理解しやすい内容にすることで、業務効率を高め、トラブル時の迅速な対応を可能にします。

スケジュールや開発工程で利用されるおもなドキュメント

RFPや要件定義書などはシステムの仕様や成果物をまとめるための資料ですが、それとは別に、開発工程やスケジュールを管理するためのドキュメントもあります。ここでは、その代表例であるWBSと開発工程表について解説します。

WBS

WBS(Work Breakdown Structure)は、システム開発に必要なタスクを細かく分解し、優先度や順序、担当者、工数などを一覧化した資料です。進捗を正確に把握できるため、開発会社だけでなくクライアントとも共有するのが一般的です。

遅延や抜け漏れを防ぐために、プロジェクト管理で欠かせないドキュメントです。

開発工程表

開発工程表は、設計・実装・テストなど開発全体の流れを時系列で示すスケジュール管理用の資料です。WBSよりも大まかな粒度で工程を把握しやすく、定例会議などで進捗を共有する際にも役立ちます。作業時間の短縮や遅延防止に効果があり、クライアントへの説明資料としても活用されます。

納品・運用フェーズで活用されるドキュメント

WBSや開発工程表は開発スケジュールを管理するための資料ですが、それとは別に納品後の利用や運用をサポートするドキュメントもあります。ここでは、操作説明書と運用マニュアルについて解説します。

操作説明書

操作説明書は、開発したシステムの具体的な操作手順をまとめたドキュメントです。画面ごとに入力項目やボタン操作、帳票出力の方法などを詳しく記載します。紙のマニュアルとして配布する場合もありますが、システム画面上のヘルプ機能として実装されるケースが一般的です。

運用マニュアル

運用マニュアルは、システム稼働後に日常業務を円滑に行うための手順をまとめた資料です。業務フロー全体を示す業務マニュアル、操作手順を詳しく解説する操作マニュアル、障害時の対応を示す障害対応マニュアルなどで構成されます。初心者でも理解しやすい内容にすることで、トラブル防止や効率向上に役立ちます。

システム開発におけるドキュメント作成のポイント

システム開発におけるドキュメントは、情報共有や認識統一のために欠かせない文書です。項目ごとに記載すればよいというものではありません。ここでは、質の高いドキュメントを作るためのポイントを解説します。

目的を明確にした上で作成する

各ドキュメントの目的を明確にしておくことで、必要な情報を効率的に整理できます。たとえば外部設計書では、画面遷移や処理フローを理解しやすく示すことが重要です。目的を意識すれば、不要な情報を省き、誰が読んでも必要な内容をすぐに把握できるドキュメントになります。

想定する読者を意識して書く

ドキュメントは読み手によって記載内容の粒度を変えることが大切です。発注者向けには専門用語を避け、図や例を交えてわかりやすく記述します。一方、開発者向けには専門的な用語を活用する方が効率的です。読者を意識して書けば、誤解を防ぎ理解度を高められます。

簡潔で理解しやすい表現を使う

ドキュメントは長文よりも、シンプルで伝わりやすい文章が求められます。意味を重複させる表現は避け、1文につき1つの情報に絞ると効果的です。必要に応じて箇条書きや短い文を活用することで、可読性が向上します。誰が読んでも直感的に理解できる構成を意識しましょう。

テキストだけでなく図や表を活用する

文章だけで複雑な処理や分岐を説明しようとすると、かえって理解しづらくなる場合があります。画面遷移図やフローチャート、表などを活用すれば、全体像を直感的に把握できます。特に条件分岐や入力データの整理には図表が有効で、ドキュメントの視認性を大きく高められます。

開発者の暗黙知も明文化する

現場で当然とされている知識や暗黙のルールも、ドキュメントに記載しておくことが重要です。新しい担当者や別チームが参画した際、前提条件が共有されていなければトラブルの原因になりやすいからです。開発者の経験を言語化することで、スムーズな引き継ぎや作業効率の向上につながります。

ボツ案や失敗事例も残しておく

検討の結果、採用されなかった案や、試行して失敗した内容もドキュメントに残すことで、再発防止や意思決定の背景がわかりやすくなります。削除せずに残す際には、取り消し線や注釈で区別しておくと混乱を避けられます。情報を記録しておけば、将来の改善や検討時にも役立ちます。

まとめ

システム開発の成功には、要件定義書や設計書といった仕様関連のものだけでなく、進行管理用の工程表や運用マニュアルなど多様なドキュメントを整備することが不可欠です。これらを適切に作成することで、認識のずれを防ぎ、引き継ぎや保守も円滑に行えるでしょう。

特にアジャイル開発では、短いサイクルで設計から実装・テストを繰り返すため、要件定義が曖昧では後工程で修正コストが増大しがちです。初期段階で「何を優先し、どう合意形成するか」を明確にすることが成果を左右します。

弊社の「アジャイル開発 要件定義チェックリスト」では、要件定義の重要ポイントや合意形成の進め方について解説しています。開発の参考資料として、ぜひご活用ください。

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