TOPICS

TOP

>

TOPICS

>

システム開発

システム開発の外注 vs 内製を徹底比較|メリット・デメリット、費用感と契約(請負/準委任)、成功手順まで解説

更新日: 2025年10月24日

システム開発を進める上で、自社で行う「内製」と外部企業に依頼する「外注」のどちらを選択するかは、プロジェクトの成功を左右する重要な要素といえます。特に近年では、コスト・人材リソース・納期などの観点から外注を選ぶ企業も増えています。

今回は、自社のシステム開発プロジェクトを外注すべきか内製すべきか迷っている企業担当者向けに、両者の違いやメリット・デメリットを解説します。開発の外注を成功させるためのポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

システム開発の外注・内製の違い

システム開発では、外部の開発会社に開発を依頼する「外注」と、自社のリソースで開発を進める「内製」の2つの開発方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、開発の目的や自社の開発体制によって適切な選択が異なります。
5247_システム開発の外注・内製の違い

外注とは

外注とは、システム開発業務を外部の専門会社に委託する方法です。システム開発のプロフェッショナルに任せることで、自社の開発要員に専門的なスキルや知見がなくても、高い開発品質が期待できます。

要件定義・システム設計・実装・テストなどの工程を一括または部分的に依頼でき、短期間での開発やリソース不足の補填にも役立ちます。

内製とは

内製とは、自社の開発要員や開発チームのみでシステム開発を行う方法です。開発を通じて社内にノウハウや技術が蓄積されやすく、長期的なコスト削減や柔軟な運用につながります。また、細かな仕様変更にも迅速に対応でき、コミュニケーションが取りやすいという利点もあります。

一方で、専門知識や専門スキルのある人材が不足している場合は、開発スケジュールや品質に影響が出る可能性があります。

システム開発を外注するメリット

システム開発を外部に委託することで、自社に専門的な人材がいない場合でも高品質な開発を行えます。

実績のある開発者を登用できる

システム開発の外注を請け負う企業には、多くの開発プロジェクトに参画してきた経験豊富なエンジニアが在籍しています。数多くの開発ノウハウを持ったエンジニアを登用でき、高品質かつ安定した稼働が期待できます。

特に自社での開発実績が少ない場合は、高いスキルのある外部の専門会社に依頼することで開発品質を担保できるでしょう。

スケジュール通りにプロジェクトを遂行しやすい

外注先の開発会社は豊富な開発実績やノウハウを持っており、スムーズな開発によってスケジュール通りにプロジェクトを遂行しやすいというメリットもあります。過去の実績を元に適切な進捗管理を行いやすく、トラブルが発生しても素早く対処してもらえるでしょう。また、経験豊富なリーダーや責任者による効率的なチーム運営も期待できます。

開発責任者を自社で雇用する必要がない

開発の外注では、開発プロジェクトの責任者やリーダーも外部の開発者に依頼できます。そのため、自社に責任者を担える人材がいなくても新たに採用する必要がなく、採用コストや教育コストを削減できます。自社のノウハウや開発者のレベルに不安がある場合でも、経験豊富な外注先のリーダーにサポートしてもらえるでしょう。

リソースを柔軟に調整できる

開発の外注では、プロジェクトの進行状況や規模に応じて、必要なリソースを柔軟に増減できます。急な仕様変更や開発の加速にも増員によって対応しやすいほか、短期間だけ人手が必要な場合も、外部で補えます。開発の外注を活用することで、無駄な人件費を抑えながら、効率的に人員を運用できます。

設備投資費を抑えられる

外注先の開発企業には開発に必要な環境がすでに整備されているため、自社で新たに用意する設備を最小限にとどめられます。これにより、初期投資やメンテナンスコストを抑え、限られた予算でもコストを最適化できます。

システム開発を外注するデメリット

開発の外注には多くの利点がありますが、注意すべきポイントやリスクも存在します。

内製よりもコストがかかる可能性がある

開発を外注すると、開発者の人件費や成果物に対する対価だけでなく、さまざまなコストも上乗せされます。また、契約形態によっては、スケジュールの変更やリソースの追加によって追加費用が発生することもあります。そのため、案件の内容によっては、社内リソースを活用した方が安価になるケースも考えられます。

対策:スコープ分解で上級/中級の当て方を最適化、CI/CD・Lint導入で工数圧縮、共通機能はSaaS/テンプレ活用。見積は「稼働率・役割・受入基準」を揃えて比較。

意思疎通やコミュニケーションが取りにくい

開発の外注は自社で内製するよりもコミュニケーションが取りにくく、細かな認識のズレや意思決定の遅延が発生しやすいといえます。また、要件定義が不十分だと、外注先に意図が十分に伝わらず、開発物の満足度が低くなることも考えられます。開発を外注する際は、このようなコミュニケーショントラブルを防止するための対策が必要不可欠です。

対策:週次定例+中間納品(ワイヤー/デザイン初稿/実装初稿)を3段で設定。課題/決定事項はIssueとADR(意思決定記録)に残す。

ノウハウを社内に蓄えられない

開発を外注に頼ると、開発に関する技術や知見が社内に蓄積されにくくなります。また、開発の大部分を外注先に任せた場合、「なぜこう設計されたか」などの背景や情報が共有されず、プロジェクト終了後のトラブルに発展するおそれもあります。将来的な内製化や運用保守の効率化も見据えた上で、社内にもノウハウが残るように工夫することが大切です。

対策:ドキュメントの必須化(要件/設計/テスト/運用)、コードレビューに社内参加、最終月に引継ぎ会+運用手順の演習を実施。

セキュリティリスクが高まる

外注先にシステム開発を委託する場合、設計書・ソースコード・顧客データなどの機密情報を共有する必要があり、情報漏洩や不正利用のリスクがともないます。このようなリスクを低減させるためには、秘密保持契約の締結や委託先のセキュリティポリシーのチェックなどを徹底することが重要です。

対策:NDA、最小権限、VPN/SSO、監査ログ、個人情報のマスキング。第三者素材(フォント/画像)のライセンス条項も契約で明記。

システム開発の外注が適しているケース

短期間で完結させる必要があるプロジェクトや、大規模で専門的な技術を要する開発には、開発の外注が向いています。また、自社に開発チームがない場合や自社の開発エンジニアが不足している場合も、外注によってリソースを確保できます。

開発を外注するか内製するか迷ったら、自社の開発体制や開発要員のスキルなどを見直した上で慎重に判断しましょう。

  • 6か月以内にMVP/初期リリースが必要
  • クラウド/セキュリティ/AIなど専門性が高い
  • 既存システムの大規模リプレースで短期に増員が必要
  • 顧客向けの品質保証や監査対応が必須(ISO/ISMS等)
  • 社内PMはいるが実装体制が不足している

要件が流動的なら準委任、成果物が明確なら請負をベースに検討します。

システム開発の外注先の選び方

開発の外注を成功させるためには、開発目的や開発内容に合った優良な開発会社を選定することが重要です。

委託したい開発内容や範囲から選ぶ

システム開発を外注する際は、開発会社が対応できる業務範囲や得意とする開発内容に合わせて委託先を決めることが大切です。要件定義から携わってもらうのか、あるいは設計以降を任せるのかといった委託の範囲も、選定前に明確にする必要があります。

システム開発だけでなく、その後の運用保守や追加開発の委託も視野に入れる場合は、総合的なサポートを行ってくれる企業を選びましょう。

過去の開発実績から選ぶ

外注先を選ぶ際は、その開発会社が過去にどのようなプロジェクトに携わってきたかも加味した上で判断しましょう。自社の業界や今回委託したい内容に類似した過去の開発実績があれば、認識の統一を図りやすく、プロジェクトの理解度や対応力に期待が持てます。

また、実績豊富な企業はノウハウやチーム体制が整っている可能性が高いため、信頼性の指標となるでしょう。

コミュニケーションの取りやすさから選ぶ

開発プロジェクトを円滑に進めるためには、スムーズかつ適切なコミュニケーションが欠かせません。連絡のレスポンスが速い・担当者が日本語でやり取りできる・定期的に打ち合わせができるなど、コミュニケーション体制が整っているかどうかも判断軸の1つとしましょう。

特に長期間にわたる開発や細かい仕様の変更が想定されるプロジェクトでは、外注先との密な連携が必要不可欠です。

セキュリティ対策の充実度から選ぶ

外注先に業務を委託する場合、自社の機密情報や顧客データを扱うことがあるため、セキュリティ対策を徹底する必要があります。情報漏洩リスクを防ぐために、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマークなどの認証取得状況や、秘密保持に関する契約条項について慎重に見極めましょう。

自社に最適な進め方を整理したい方は、まずはお気軽にご相談ください。
 >> Sun*へのお問い合わせはこちら

システム開発の外注を成功させるためのポイント

外注によるシステム開発を円滑に進めるために、いくつかの重要なポイントを押さえておきましょう。

開発要件を明確にする

開発進行中の外注先との認識のズレを防ぐために、開発の目的・機能要件・成果物などを事前に明確にしておくことが大切です。これらの定義が不十分なまま進行すると、開発中の手戻りが発生しやすく、工数やコストがかさんでしまうおそれがあります。

開発が始まる前にこれらの条件を具体的に整理し、文書などにまとめて共有することで、開発中の連携がスムーズになるでしょう。

適切な契約を締結する

納期や金銭面でのトラブルを未然に防ぐためには、契約時に契約書の内容をしっかりと確認することが重要です。納期・成果物・支払い条件・知的財産権の帰属・機密保持などの条件を具体的に明記し、トラブル発生時の対応方法や責任の範囲なども事前に取り決めておくことで、双方が安心してプロジェクトに参画できるでしょう。契約締結時は、弁護士などのリーガルチェックを受けることもおすすめです。

発注側も開発業務に携わる

外注だからといって、発注企業側が外注先に開発プロジェクトを完全に任せきりにするのではなく、定期的な進捗管理や品質確認に積極的に参加することが求められます。特に定期的なミーティングを設けて現場の進捗状況を確認し、問題点があれば早期に解決できる体制を整えることが大切です。担当者や責任の範囲を明確にし、コミュニケーションが滞らないようにすることで、プロジェクト全体が円滑に進行します。

RFP簡易雛形(目安:ドキュメント1~2枚)

  1. 背景と目的/達成KPI
  2. スコープ(含む/含まない)/非機能要件
  3. 成果物と受入基準(請負) or KPI/評価方法(準委任)
  4. 体制と期待ロール(PM/Tech Lead/Dev/QA)/稼働率
  5. スケジュール(マイルストーン・中間納品)
  6. セキュリティ/守秘/再委託ポリシー
  7. 開発/コミュニケーションツール
  8. 契約形態/支払条件/想定予算レンジ

まとめ

システム開発の外注は、専門性の高い技術者の活用やリソースの効率化などの多くの利点をもたらします。一方で、開発コスト・コミュニケーション・セキュリティ面などの課題にも注意が必要です。外注を活用した開発プロジェクトを成功に導くためには、明確な要件定義や信頼できる外注先の選定が欠かせません。開発外注のメリットを最大限いかすために、計画的かつ慎重な対応を心がけましょう。

株式会社Sun Asteriskでは、さまざまな分野でのシステム開発やペーパーレス化を支援しています。これから開発プロジェクトを立ち上げる企業担当者は、ぜひ以下のガイドを活用して開発コストや見積書の読み方をチェックしてください。

>> 複雑な見積もりを読み解く|システム開発 見積もりガイド(PDF・無料)

よくある質問

Q 請負と準委任はどう使い分ける?
A 納品物と受入基準が明確=請負、不確実性が高く仮説検証が必要=準委任。混在時は「範囲」と「変更管理」を契約に明記します。
Q 見積比較で必ず揃える条件は?
A スコープ、受入基準/KPI、役割と稼働率、レビュー回数、セキュリティ要件、知財/再委託、レポート形式。揃わない比較は誤差が大きいです。
Q 外注でも社内にノウハウを残す方法は?
A ドキュメント必須化、社内レビュー参加、ADRで意思決定を記録、引継ぎ会と運用手順の演習をセットで実施します。

本ガイドでは、複雑になりがちなシステム開発の見積もりの基本構造や比較のポイントをわかりやすく解説いたしました。

業務システムの課題を見える化し、改善につなげるためのヒントをまとめた資料です。業務システム刷新検討中の方におすすめ。