「アプリを作りたいけどプログラミングは難しそう」と考える人は多いでしょう。そこで役立つGlideはノーコードで誰でも簡単にアプリを作成できるツールです。表計算ソフトと連携してデータ管理が可能で、初心者でも短期間で直感的に開発を進められます。本記事では国内外の活用事例から注意点まで、網羅的に紹介します。
目次
Glideとは？
Glideは、プログラミングの知識がない担当者でも業務用アプリを構築できるノーコード開発ツールです。企業利用では一部を内製しつつ、複雑な要件は外部と協力して進めるケースも多く、スピードと柔軟性を両立できる点が評価されています。スプレッドシートのデータを基盤にアプリを作成できる点が大きな特徴で、画面の構成を視覚的に調整しながら開発できます。Googleスプレッドシートとの連携が標準で備わっているため、入力内容を即時にアプリへ反映でき、更新作業の手間を抑えられます。
操作画面（UI）は英語ですが、操作は直感的なため大きな障壁にはなりません。飲食店の情報共有やイベント管理など、用途別のテンプレートも多く、短期間でプロトタイプを用意できます。フリープランがあるため、小規模な検証から段階的に導入しやすい点も魅力です。企業の業務改善や新規サービスの検証に活用しやすいツールとして注目されています。
Glide活用のメリット
Glideの利点は、コードを書かずに業務アプリを構築できる点です。画面操作だけで主要な機能がそろうため、開発時間を短縮できます。ExcelやGoogleスプレッドシートをそのままデータベースとして扱える点も特徴です。入力内容がリアルタイムで反映されるため、既存の運用を大きく変えずにアプリ化できます。
Glideは用途別テンプレートも充実しており、プロトタイプを短期間で作成できるのも魅力です。また、必要に応じて外部サービス連携や拡張機能を追加でき、業務の変化に合わせた改善も可能です。
※現在はGlide独自のデータベース（Glide Tables）を使うケースが主流です。
Glideで作れるアプリ
GlideはWebアプリでありながら、ホーム画面追加やプッシュ通知などネイティブに近い操作感を持つPWAを作れます。個人向けから社内業務や公開アプリまで対応し、ZapierやStripeなど外部サービスとも連携可能です。
在庫管理や日報、経理処理、ワークフロー、顧客管理などの業務アプリをノーコードで作成でき、業務効率化や情報共有に役立ちます。
Glideで作れないアプリ
GlideはWebアプリ開発ツールのため、App StoreやGoogle Play向けのネイティブアプリは作れません。高度な端末制御や常時バックグラウンド処理、高負荷のリアルタイム処理が必要なアプリも非対応です。たとえば、物流のリアルタイム位置情報管理、大量データを扱う基幹システム、複雑なワークフローが絡む承認アプリなどはGlide単体では困難です。ただし、PWAとしてネイティブに近い使い勝手のアプリは作成可能です。
国内のGlide開発事例8選
ここでは、自治体や大学などで実際に使われている8つの事例を取り上げ、それぞれの特徴や活用時のポイントをわかりやすく紹介します。
※本記事で紹介している事例は公開情報をもとにした紹介事例です。 当社の支援実績ではありませんが、技術選定や活用の参考として掲載しています。
1. 弥彦村の観光情報提供アプリ
Glideを活用して開発された「弥彦まちあるき」は、新潟県弥彦村の地域活性化を目的に観光客向け情報をまとめたアプリです。人口約8,000人の小規模自治体でも、観光スポットや飲食店など幅広い情報を提供でき、段階的な機能拡張が可能で使いやすさと柔軟性が高く評価されています。全国共通テイクアウトマップのフォーマットにも採用された成功事例です。
2. 明治大学情報共有アプリ「Mei-Mei」
「Mei-Mei」は明治大学生向けにサークル情報やゼミ日程、学事情報、周辺飲食店などを幅広く発信する情報共有アプリです。新型コロナ禍で学生間の交流が減る中、Glideを使って企画から約2週間で開発され、月16万PVを達成しました。
コア機能の設定や不要機能の削減、マーケティング戦略を重視したことで、非エンジニアでも短期間で成果を出せる成功事例となっています。
3. 仙台市避難所情報MAP
「仙台市の避難所情報MAP」は、災害発生時に市民が必要な情報を迅速に確認できるアプリです。避難所の位置、トイレや炊き出しの情報、必要物資のリクエスト、リアルタイムの災害ニュースを提供しています。Glideを用いることで、わずか1日で開発され、低コストかつ短期間で緊急対応アプリを実現した成功事例です。
4. 中央大学サークル情報比較アプリ
「中央大学サークルくらべ〜る」は、サークルやイベント情報を一覧で確認できるアプリです。非エンジニアの大学生がGlideを使い、わずか1日で開発しました。各サークルの名前や人数、男女比、活動場所、活動頻度などを提供し、学生が自分に合ったサークルを見つけやすくなっています。
さらにイベント情報や最新ニュースもアクセス可能で、短期間でも実用的な情報共有アプリを実現した事例です。
5. 東京都稲城市のテイクアウトMAP
「いなぎお弁当マップ」は、東京都稲城市周辺のテイクアウト対応飲食店をまとめたアプリです。Glideを使い、わずか1日で開発され、1か月で約4,600人のユーザーを集めました。店の検索や登録、新着情報の確認に加え、ケーキ店情報も掲載されており、地域限定サービスとして高い利便性を提供しています。
6. 瀬谷区公園情報アプリ
「瀬谷区公園マップ」は、神奈川県横浜市瀬谷区の公園情報をまとめたアプリです。横浜市のオープンデータを活用して作られており、Glideのスプレッドシート連携機能を利用することで、短時間で開発が可能です。公園の位置を確認できるほか、検索機能も備えており、利用者が気になる公園を簡単に探せる点が評価されています。
7. 図書管理アプリ
「図書管理アプリ」は、Googleスプレッドシートに登録された書籍情報を読み込み、画面に表示するアプリです。ISBN番号を入力すると自動で書籍情報が反映され、検索機能も備えています。
さらに、Google Apps Script（GAS）と組み合わせることで情報の読み込みを自動化できるため、効率的に図書管理を行える点が評価されています。
8. 生駒市の地域記録アプリ「ミライのキオク」
「ミライのキオク」は、位置情報を活用して過去と現在の生駒市の風景を比較できるアプリです。ユーザーは特定地点の古い写真と現在の写真を重ねて表示でき、地域の変遷を視覚的に体験できます。また、運営者へのメッセージ送信や寄付機能も備えており、観光や教育目的での活用にも適した事例です。
海外のGlide開発事例4選
Glideは国内だけでなく海外でも幅広く活用されており、趣味や専門分野に特化したアプリ開発において短期間でのリリースを可能にしています。次に代表的な4つの事例を紹介します。
※本記事で紹介している事例は公開情報をもとにした紹介事例です。 当社の支援実績ではありませんが、技術選定や活用の参考として掲載しています。
1. 趣味向けSNSアプリ「Podz」
「Podz」は、ビューティやフィットネス、グルメなど多岐にわたる趣味を持つユーザー向けにコンテンツを配信するSNSアプリです。Glideを使うことで迅速にアイデアを形にでき、ネイティブアプリ開発の必要がなくなりました。ユーザーはお気に入りのインフルエンサーの投稿をリアルタイムでチェックし、コメントやシェアで直接交流できます。
2. ワイン体験バーチャルアプリ「Telesomm」
「Telesomm」は、ソムリエによるワイン体験をオンラインで提供し、ユーザーが予約や購入を行えるアプリです。Glideで2週間という短期間で開発され、実装が難しい機能はCalendlyやMakeなど外部サービスと連携して補っています。シンプルながらも利便性の高いサービスを迅速に提供できる事例です。
3. ペット向け治療情報ガイド「Surgery Sam」
「Surgery Sam」は、ペットの手術後ケアに特化した情報アプリです。手術後の注意事項や必要なケア手順、動画ガイドなどを通じて飼い主に役立つ情報を提供します。短期間で専門性の高いアプリを構築できることを示す成功事例で、ノーコードでも実用性の高いサービスが作れることがわかります。
4. 美容院予約アプリ「Napps」
「Napps」は、イギリスのアフリカ系アメリカ人向け美容院予約アプリです。ユーザーはオンラインで簡単に予約でき、美容院側はサービスの掲載やスケジュール管理が可能です。約3週間で開発され、直感的な操作性とビジュアルのわかりやすさを兼ね備え、ノーコードでも実務に耐えるアプリを作れることを示す事例です。
Glide活用の注意点
Glideは手軽にアプリを作れる一方で、日本語対応が不十分で慣れるまでに時間がかかる点や、デザイン・機能の自由度が限られる点に注意が必要です。また、ユーザー数やプライベートアプリ利用では料金が上がりやすい点や、データ更新の運用ルールを整備しないと破綻しやすい点も注意が必要です。複雑なUIや高度な機能、独自のアルゴリズムの実装には向かず、高品質な画面作りにも制約があります。活用前に、プロジェクトで必要な範囲を確認しておくようにしましょう。
Glideでアプリを作る手順
最後に、Glideでアプリを作る手順を確認しておきましょう。
アカウントを作ってダッシュボードにログイン
Glide公式サイトで会員登録を行い、Googleアカウントを連携するとスプレッドシートとの同期がスムーズになります。登録後はダッシュボードで複数のアプリを管理可能です。
テンプレートを選んで開発をスタート
用途別テンプレートを選ぶと、最小限の設定でアプリが立ち上がります。自由度を重視する場合は、空のアプリを作成してゼロから設計も可能です。
データベースと連携
GoogleスプレッドシートやExcelと連携することで、データを自動で読み取り画面に反映できます。将来的な拡張を考えて項目を設計しておくと、後の運用がスムーズになります。
画面や操作をカスタマイズ
デフォルトで生成された画面を見ながら、アイコンや配色、レイアウト、コンポーネントを自由に調整できます。リスト表示やカード表示など複数のビューも簡単に切り替えられ、外部サービスとの連携やユーザー管理機能も追加可能です。
公開と共有
完成したアプリはURLで共有でき、ブラウザでそのまま利用可能です。アクセス制限を設定すれば、社内向けアプリとしても安全に運用できます。
まとめ
本記事では、Glideの特徴や活用メリット、国内外の活用事例に加えて、アカウント登録から公開までの手順を解説しました。
ノーコードで業務アプリを短期間に構築できる一方で、実運用を見据えると、業務整理や運用設計、既存システムとの連携といった観点も重要になります。
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