
Rubyは国内発祥のプログラミング言語であり、さまざまな開発現場で使用されています。本記事では、クックパッドやGitHub、Shopifyなど、国内外の大規模サービス10社の開発事例を紹介します。各社がRubyを選んだ理由や導入後の効果を知ることで、技術選定の根拠を明確にできるため、ぜひ参考にしてください。
目次
Ruby言語とは
Rubyは、日本人エンジニアのまつもとゆきひろ氏が1995年に開発したオブジェクト指向のプログラミング言語です。シンプルで読みやすい文法が特徴であり、開発者がストレスなくプログラミングを楽しめるよう設計されています。

オブジェクト指向言語として、データとそれを操作する処理を一体化することで、コードの再利用性を高め、保守しやすい構造を実現します。整数や文字列といったすべてのデータがオブジェクトとして扱われる点も大きな特徴です。動的型付け言語であるため、変数の型を宣言する必要がなく、柔軟なコーディングが可能になります。
正規表現や文字列操作に優れており、Webアプリケーション開発で広く採用されています。2012年には国際規格ISO/IEC 30170として認証され、世界中で信頼される言語となりました。
RubyとRuby on Railsの役割の違い
両者は名前が似ているため混同されがちですが、役割は明確に異なります。Rubyは汎用プログラミング言語であるのに対し、Ruby on RailsはRubyで記述されたWebアプリケーション開発専用のフレームワークです。

Railsは2004年にデビッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏によって開発され、MVCアーキテクチャを採用しています。Model、View、Controllerの3つに機能を分割することで、開発の分業化と保守性の向上を実現しています。「設定より規約」という設計思想により、ルールに従えばコードの記述量を大幅に削減可能です。
企業がRubyを採用する5つのメリット
Rubyは開発効率と柔軟性の高さから、多くの企業に導入されています。ここでは、企業がRubyを選ぶ主な理由を5つ解説します。

1.開発期間を大幅に短縮できる
Rubyは少ないコード量で機能を実装でき、フレームワークのRuby on Railsと組み合わせることで開発速度がさらに向上します。MVCアーキテクチャにより役割分担が明確になり、複数人での並行開発もスムーズに進められます。スタートアップ企業が新規サービスを素早く市場投入するような際に適した言語です。
2.初期コストを抑えられる
Rubyとフレームワークは無料で利用できるオープンソースソフトウェアです。ライセンス料が不要なため、初期投資を最小限に抑えて開発を開始できます。豊富なライブラリ(Gem)を活用すれば、ゼロから開発する必要がなく、コスト削減と品質向上の両立が可能になります。
3.保守・運用の負担を軽減できる
シンプルで読みやすいコードは、開発メンバーが変わった場合でも内容を理解しやすく、引き継ぎの手間を減らせます。
MVCモデルにより機能ごとに独立した構造となっているため、修正箇所が明確で、一部の変更が全体に影響を及ぼすリスクも低くなります。そのため、長期的な運用コストの削減につながるのがメリットです。
4.段階的な成長に柔軟に対応できる
小規模から始めて徐々に機能を追加していくアジャイル開発に適しています。ビジネスの変化に応じてシステムを柔軟に拡張でき、スケールアップにも対応可能です。スタートアップ企業が事業の成長とともにサービスを進化させる場合、Rubyの拡張性が大きなメリットとなります。
5.日本語ドキュメントの充実で学習しやすい
日本発祥の言語であるため、公式ドキュメントや技術書、オンラインコミュニティなど日本語の学習リソースが豊富にそろっています。
エンジニアの採用や育成がしやすく、社内での技術共有もスムーズに進行可能です。また、初心者でも習得しやすい言語設計により、開発チームの立ち上げが容易になります。
Rubyで開発された国内プラットフォーム7社
国内でRubyを採用している企業は、開発効率と拡張性を重視しています。ここではRubyで開発された7社のプラットフォームを紹介します。

※本記事で紹介している事例は公開情報をもとにした紹介事例です。 当社の支援実績ではありませんが、技術選定や活用の参考として掲載しています。
クックパッド
クックパッドはサービス開発のスピードを重視し、比較的早い段階からRuby on Railsを取り入れました。ユーザー向け機能を短いサイクルで改善していく必要があるため、Railsが持つ生産性や更新のしやすさが大きなメリットとなりました。また、社内でRubyコミュニティへの貢献活動が根づくなど、技術文化の形成にもつながっています。
食べログ
食べログではサイト構造を刷新する際にRailsを導入しました。大規模なプラットフォームでありながら継続的に改修が進められており、長期的な運用の中でRailsアプリケーションに関する改善ノウハウが蓄積されています。その結果、柔軟な機能追加や仕様変更にもスムーズに対応できる体制が整っています。
Gunosy
Gunosyはニュースアプリとして短い開発サイクルが求められ、機能更新を迅速に進められる点からRubyを採用しました。利用データをもとにしたアルゴリズムの改善や、新しい機能の実験的な実装を素早く行えることが、選定理由の1つとなっています。
クラウドワークス
クラウドワークスはクラウドソーシングプラットフォームとして、Ruby on Railsで開発されています。案件の発注から納品まで複雑なワークフローを管理する必要があり、機能拡張のしやすさが重視されました。ユーザー登録、案件管理、決済処理といった多様な機能を統合的に開発でき、ビジネスモデルの変更に応じた柔軟な改修を実現しています。
freee
freeeは、個人事業主や中小企業向けのクラウド会計サービスです。会計業務の自動化で手間やミスを減らし、効率化を実現しています。開発初期には、元Googleの佐々木氏がRuby on Railsでプロトタイプを短期間で構築し、素早く市場投入しました。Railsの豊富なライブラリと拡張性により、少人数でも効率的に開発できる点が評価されています。
Wantedly
WantedlyはビジネスSNSとして、Ruby on Railsで構築されています。企業と求職者をつなぐプラットフォームとして、マッチング機能やメッセージ機能など多様な要素を組み合わせる必要がありました。ユーザー体験を重視した機能開発を素早く進められ、新しいマッチング手法を試験的に導入しながら改善するアジャイルな開発スタイルを実践しています。
メタップス
メタップスは決済プラットフォームやデータ解析サービスを提供する企業として、Rubyを採用しています。背景として、金融系のシステムでは高い信頼性が求められる一方で、市場の変化に素早く対応する必要がありました。
その点、Rubyなら、決済処理の複雑なロジックを整理して実装でき、新しい決済手段への対応も迅速に行えます。メタップスでは、グローバル展開を見据えた多言語対応も効率的に実装しました。
Rubyで開発されたグローバル展開のプラットフォーム3社
グローバル規模のサービスでもRubyは活用されています。ここでは海外3社の事例から、大規模運用におけるRubyの実力を確認します。

※本記事で紹介している事例は公開情報をもとにした紹介事例です。 当社の支援実績ではありませんが、技術選定や活用の参考として掲載しています。
GitHub
GitHubはソフトウェア開発者向けのプラットフォームとして、Ruby on Railsで構築されています。200万行を超える規模のRailsアプリケーションを運用しながら、毎週RailsとRubyを最新版へアップデートする体制を確立しました。月曜日に自動的にアップデート作業が開始され、すべてのテストが完了すれば翌日にはリリースされます。
Airbnb
Airbnbは宿泊施設のマッチングプラットフォームとして、Ruby on Railsをバックエンドに採用してきました。世界191か国以上で展開し、大規模なトラフィックに対応しています。また、Railsの拡張性により、ビジネスの急成長に合わせてシステムを段階的に進化させてきました。さらに、柔軟なAPI連携機能により、多様なサービスとの統合も容易に進められています。
Shopify
ShopifyはECプラットフォームとして、Ruby on Railsで開発されています。世界中の事業者が利用するシステムであり、店舗管理から決済処理まで包括的な機能を提供しています。Shopify自身がRubyとRailsの発展に積極的に貢献しており、大規模なRailsアプリケーションの運用ノウハウを蓄積しています。
Rubyでできること
RubyはWebアプリ、SNS、ブログ、ショッピングサイト、ポータルサイトなど、幅広いWebサービス開発に適しています。Ruby on Railsや豊富なライブラリを活用すれば、API開発、スクレイピング、チャットボット、ゲーム制作なども効率的に実装可能で、少人数でも短期間で高品質な開発を行えます。柔軟性と拡張性の高さが大きな特徴です。

Rubyにできないこと
Rubyは多用途な言語ですが、実行速度が重要な処理、高頻度・大量データのリアルタイム処理には向いていません。また、スマートフォンのネイティブアプリ開発では、iOSはSwift、AndroidはKotlinやJavaが標準で、性能やOS最適化の点で優位です。

さらに機械学習やAI開発では、Pythonの豊富なライブラリとエコシステムに比べ、効率的な開発が難しいため、適材適所で他言語の使用が推奨されます。
まとめ
この記事では、Rubyの特徴とRuby on Railsとの違い、企業が採用する5つのメリットを解説しました。さらに、クックパッドやGitHub、Shopifyなど国内外10社の開発事例を紹介し、各社がRubyを選んだ理由と導入後の成果を確認しました。
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