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システム開発

ウォーターフォールの開発事例!6つの工程とメリット・活用シーンを解説

更新日: 2025年12月26日


ソフトウェア開発にはさまざまな手法がありますが、特にウォーターフォール開発とアジャイル開発はよく知られています。本記事では両者の違いや特徴、ウォーターフォール開発の6つの工程や具体的事例を解説します。自社プロジェクトへの適用判断に役立つ内容です。

ウォーターフォール開発とは

ウォーターフォール開発は、工程を順番に1つずつ進めるシステム開発の手法です。まず要件を決め、設計を行い、その後に実装やテスト、運用へと進みます。各工程を完了してから次に移るため、計画通りに作業を進めやすいのが特徴です。

大規模なシステムやERP導入など、要件が明確で変更が少ないプロジェクトに向いています。また、工程ごとに確認や管理を行えるため、全体の進捗も把握しやすくなります。

ウォーターフォール開発とアジャイル開発の違い

ウォーターフォール開発は、設計や実装の途中で大きな変更を加えることは難しく、計画通りに進めたいプロジェクトに向いています。一方、アジャイル開発は短いサイクルで開発を繰り返し、途中での変更や改善に柔軟に対応できます。プロジェクトの規模や目的によって、どちらの手法を採用すべきか判断しましょう。

ウォーターフォール開発の成功事例

ここでは実際の事例を通じて、その特徴と成功要因を紹介します。

※本記事で紹介している事例は公開情報をもとにした紹介事例です。 当社の支援実績ではありませんが、技術選定や活用の参考として掲載しています。

金融業界での成功事例

銀行のコアバンキングシステム開発では、ウォーターフォール開発が効果を発揮しています。金融システムは事前に明確な要件と厳格な規制遵守が必要であり、要件が変更されにくい特性を持ちます。詳細な文書化が求められる安全性や法規制の面でも、ウォーターフォールモデルはこのプロセスをサポートしました。

段階的にリスクを管理し、各フェーズでの完全なレビューと承認を実施することで、リスクを最小限に抑えた開発を実現しています。大規模な金融システムでは、一度のリリースで全機能を安定稼働させる必要があるため、各工程での品質担保が極めて重要です。

大手企業の基幹システム開発成功事例

ある大手企業の基幹システム開発では、要件定義フェーズで徹底したユーザー調査を実施しました。ユーザーのニーズを的確に反映させた仕様が早期に固まったことで、後の設計や実装段階での変更が最小限に抑えられています。プロジェクト全体のスケジュールと予算を明確に設定し、各工程での進捗管理を徹底したことも成功要因の1つです。

事前に計画されたシナリオに沿ってテストが行われ、リリース後のトラブルも少なく安定稼働を実現しました。ウォーターフォール開発の強みである計画的な進行が、プロジェクトの成功を後押ししています。

航空宇宙産業での成功事例

航空宇宙産業のプロジェクトでは、厳格な工程管理を前提としたウォーターフォール型の開発プロセスが採用されるケースがあり、その特性を活かして成果につながった事例が見られます。全体の計画が明確に定められ、設計段階でプロジェクト全体のフローを固めたうえで開発が進められます。

コーディング段階では、事前に定義された仕様に基づいて各機能が着実に実装され、リリース時には安定した状態を実現するケースが多いのが特徴です。全体像が明確で変更が少ないプロジェクトでは、ウォーターフォール開発を活用することで大きな成果につながることがあります。

ウォーターフォール開発のメリット

ウォーターフォール開発には、計画的に進められる特徴を生かした複数のメリットがあります。ここでは代表的な5つのメリットを解説します。

フェーズが明確で計画性が高い

各工程が明確に定義されているため、全体の計画を立てやすいのが大きな特徴です。要件定義から運用まで最初の段階でスケジュールを定めるため、運用から逆算して各工程の予定を組むことができます。立場やチームを超えて誰でも理解しやすく、スケジュール管理がしやすい手法です。

品質管理に配慮している

各工程でレビューやテストを実施することで、品質の向上を図っています。各工程を着実に完了してから次へ進むため、抜け漏れが少なく、一定の品質を担保できます。大規模プロジェクトや品質を優先する開発では、この特性が大変有効です。

進捗状況が可視化される

工程が終了するたびに進捗や結果を整理するため、工程ごとの管理がしやすくなっています。各段階が完了したら結果を文書化することが多く、プロジェクト全体の進捗状況を把握することが容易です。進捗が遅延している場合でも、全体スケジュールへの影響を把握しやすく、調整も容易になります。

スケジュール管理がしやすい

完成イメージをチーム全体へ共有して進むため、進み方に迷いが生じにくくなります。たびたび完成イメージを確認する必要性が減り、無駄な時間を避けられます。これはシステムのバグを防ぎ、品質にも関わる大きなメリットです。

大規模開発やERP導入に適している

最も伝統的で基本的なシステム開発手法として、さまざまな種類の開発に応用できます。基本的にどのような開発にも対応できる仕組みになっているため、特に大規模プロジェクトでその強みを発揮します。

ウォーターフォール開発のデメリット

一方で、ウォーターフォール開発には注意すべき点もあります。ここではおもなデメリットを3つ解説します。

途中変更への対応が難しい

開発の各フェーズが直列に実行されるため、変更が必要になった場合は前のフェーズに戻り、再度作業を行う必要があります。開発工程を進める中で追加の要件が発生すると、要件定義から設計までやり直す手戻りが発生し、スケジュールの大幅な見直しもあり得るでしょう。

このように、顧客ニーズの変化に対応することが難しく、プロジェクトの遅延やコスト増加につながる可能性があります。

設計段階の不備が後の作業に影響する

設計フェーズでの不備や誤りが後工程に影響を与える可能性があります。開発の後半で設計段階の不備が発見された場合、それを修正するためには再び設計フェーズに戻る必要があり、プロジェクトの遅延やコスト増加につながります。また、基本的に前工程が完了していないと次の工程に進められないため、成果物の完成まで時間がかかる傾向があります。

ドキュメント依存が強い

各フェーズで成果物となるドキュメントが求められることが多く、大量のドキュメント作成が必要になります。プロジェクトの進捗や成果物の品質をドキュメントに依存しすぎることで、コミュニケーションの欠如や、実際の開発作業とドキュメントの不一致が発生することがあります。特に遅延を避けるための修正漏れなどが発生しやすく、プロジェクトの遅延につながる可能性があります。

ウォーターフォール開発が適しているプロジェクト例

ここでは、ウォーターフォール開発に適した具体的なプロジェクト例を紹介します。

要求・要件が明確で変更が少ない開発

要求や要件があらかじめ整理されており、開発途中で大きな方向転換が起きにくい案件では、ウォーターフォール開発が有効です。代表的な例として、銀行の勘定系システムやATMシステム、自治体の住民情報管理システムなど、法令や業務プロセスが明文化されている領域が挙げられます。​

組み込み機器の制御ソフトやハードウェアと一体で動作するシステムも適した領域です。これらのシステムはリリース後に頻繁なバージョンアップを行いにくいため、初期段階で仕様を詳細まで詰める必要があり、フェーズごとに検証を重ねるウォーターフォールの特性が活用しやすいといえます。

安定的な技術やプラットフォームを使用する開発

扱う技術が成熟していて、大きな変更が起きにくいプロジェクトでは、ウォーターフォール開発が向いています。たとえば、オンプレミス環境の基幹システムを作り替えるケースや、長年使ってきた業務パッケージを最新版に更新するケースがその典型です。

技術的な不確実性が少ないと、初期の段階でアーキテクチャや非機能要件を固めやすくなります。その分、後続の作業量やスケジュールを見積もりやすく、全体の計画が安定します。また、予算とリリース時期の見通しを関係部門に説明しやすいため、ガバナンスを重視する企業でも採用しやすい手法です。

大規模システム・ERP導入

企業全体を対象とする大規模システムやERP導入では、複数部門の業務フローやデータの扱いを事前に丁寧に整理する必要があります。工程を順に進めるウォーターフォール開発は、こうした調整を進めやすい点が大きな特徴です。

さらに、期間が長く関係者が多いプロジェクトでも、フェーズごとに進捗と品質を確認できるため全体を統制しやすくなります。特に初期の要件定義や設計をしっかり固められることで、導入後のトラブルを抑えやすい手法です。

ウォーターフォール開発で失敗しないための4つのポイント

ここでは、ウォーターフォール開発での失敗を防ぐために意識すべき4つのポイントを紹介します。

1.要件を正確に固めるための事前準備を徹底する

最初の要件定義がプロジェクトの成否を決めます。顧客とのヒアリングを通して業務フローや必要な機能を整理し、要件定義書に明確にまとめることが大切です。場合によっては、プロトタイプを作って確認するのも有効です。完成形のイメージを共有すれば、開発チーム全員が同じ方向で作業を進められます。

2.現実的なスケジュールを設計する

ウォーターフォール型では、工程の遅れが後続に影響します。全体のスケジュールを把握したうえで、各工程の期間を現実的に設定することが不可欠です。スケジュールの余裕(バッファ)を設けることで、想定外の問題が発生した際も柔軟に対応できます。

3.段階的なテストで問題を早期に発見する

各工程でのテストは重要です。単体テストや結合テスト、運用テストを段階的に行うことで、機能や品質の問題を早い段階で発見できます。問題を早めに修正すれば、リリース遅延や追加コストを最小限に抑えられます。

4.関係者間のコミュニケーションを密に行う

開発者と顧客のコミュニケーションは、進捗や品質管理に直結します。定期的に報告や意見交換を行い、問題が起きた場合に素早く対応できる体制を整えることが大切です。さらに作業者同士でも情報を共有しておけば、工程間の齟齬を防ぎ、開発をスムーズに進められます。

まとめ

ウォーターフォール開発は、要件が明確なプロジェクトや大規模システムに適した手法です。工程ごとに品質を確認しながら進められるため、計画性と安定性を重視する企業に向いています。

自社に最適な進め方を判断する際は、開発パートナーの選定も重要です。株式会社Sun Asteriskなら、DXコンサルから設計・開発まで一気通貫で支援でき、豊富な開発リソースを生かした柔軟な体制でプロジェクトを成功へ導きます。詳しくは、以下のリンクからご確認ください。

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