
ソフトウェア開発の進め方や外注判断に悩む担当者は少なくありません。この記事では開発手法の特徴や成功事例を整理し、最適な進め方と信頼できるパートナーの選び方をつかめます。プロジェクトを確実に前へ進めたい方に適した内容です。
目次
そもそもソフトウェア開発とは?
ソフトウェア開発は、業務を動かす仕組みを形にする技術です。ここでは、その役割と基本的な考え方を整理します。

ソフトウェア開発の目的と役割
ソフトウェア開発の中心にあるのは、ユーザーの課題をどう解決するかという視点です。表計算やメール、スマホアプリ、企業の基幹システムまで、あらゆるサービスはソフトウェアによって動いています。

ソフトウェアは物理的な形を持ちませんが、ハードウェアを動かす指示書として機能します。設計から実装、テスト、運用までを通じて、ユーザーが求める動作や使い勝手を形にするのが役割です。近年はDXの流れもあり、データ活用や業務改善など、企業の成長戦略と直結する役割を担っています。
システム開発との違い
ソフトウェア開発とシステム開発は似ていますが、扱う範囲が異なります。システム開発は業務の流れや情報の扱い方を含めた仕組み全体を設計する取り組みです。店舗のレジシステムや在庫管理など、業務プロセスそのものの改善が焦点になります。
一方、ソフトウェア開発はその仕組みを動かすプログラムを作る工程です。メールソフト、ブラウザ、スマホアプリなどが代表例で、具体的な機能そのものを形にしていきます。
ソフトウェア開発の種類
ソフトウェア開発は、開発する対象や用途によって大きく3つに分類できます。Webアプリケーション開発は、ブラウザ上で動くサービスやECサイトを構築し、どの端末でも利用できる利便性があります。アプリケーション開発は、WordやExcelのように業務効率化を目的としたツールで、更新や運用管理も重要です。
組み込みシステム開発は家電や自動車など機器の動作を制御するソフトで、ハードウェアに精通した開発者の知見が不可欠です。各種類の特性を理解することが開発戦略を決めるうえで欠かせません。
ソフトウェア開発に関わる人材
ここでは、ソフトウェア開発に関わる各職種の役割を解説します。

プログラマー
プログラマーは設計書に基づいてコードを記述し、ソフトウェアを実装する専門職です。目的に応じたプログラミング言語を用いて開発を進め、テストを繰り返してバグを修正します。ECサイトならPHP、業務システムならJavaなど、求められる言語スキルは異なります。
デザイナー
デザイナーはソフトウェアの見た目だけでなく、ユーザー体験全体を設計します。画面デザインやロゴ制作に加え、直感的に操作できるUI設計や快適な利用体験を実現するUX設計も担当します。戦略から表層まで幅広く関わる役割です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体を統括し、成功へと導く責任者です。開発の進捗管理や課題管理を行い、チームメンバーの育成や関係者間の調整も担当します。社内外のステークホルダーへの働きかけや投資対効果の検討など、幅広い責任を負います。
システムエンジニア
システムエンジニアは要件定義から設計までの上流工程を担当し、開発全体の方向性を決定します。顧客の要望をヒアリングして要件定義書や仕様書にまとめ、プログラマーが実装できる形に落とし込みます。品質管理や進捗把握も重要な業務です。
営業
営業担当者は顧客と開発チームをつなぐ役割です。顧客からソフトウェアに求める機能や要件をヒアリングし、開発担当者へ伝達します。製品の仕様説明や新規顧客の開拓、既存顧客へのサポートも担当します。
評価・検証エンジニア
評価・検証エンジニアは開発されたソフトウェアが仕様書通りに動作するか検証する専門職です。テストの計画立案から設計、実施、結果分析まで担当します。ユーザー視点に立ってテストを実施し、バグや不具合を発見することで、リリース後の信頼性低下を未然に防ぎます。
ソフトウェア開発の代表的手法
ここでは、代表的な開発手法の特徴と適した活用場面を解説します。

ウォーターフォール型開発
ウォーターフォール型開発は要件定義、設計、実装、テスト、リリースの各工程を順番に進める手法です。前工程に戻らず直線的に進むため、スケジュールや予算を管理しやすいメリットがあります。要件や納期が明確なプロジェクトに適していますが、仕様変更には対応しにくい点に注意が必要です。
>> ウォーターフォールの開発事例!6つの工程とメリット・活用シーンを解説
アジャイル型開発
アジャイル型開発は設計、実装、テストを短いサイクルで繰り返す手法です。機能単位に区切って1~4週間で開発を進めるため、顧客の要望や仕様変更に柔軟に対応できます。技術やビジネス環境の変化が激しい状況に適しており、近年の主流となっています。
>>アジャイル開発を内製で始めるために~変化に強い組織を作るための第一歩~
プロトタイプ型開発
プロトタイプ型開発は初期段階で試作品を作成し、ユーザーのフィードバックを反映しながら完成させる手法です。早期に動作や価値を検証できるため、要件を明確にしやすく、本格開発後の大きな仕様変更を防げます。開発期間やコストを削減できますが、検証の仮説が曖昧だと効果が得られない場合もあります。
>> 【ウェビナーレポート】MVP開発で陥りがちな3つの罠|成功するMVPの法則を徹底解説
V字モデル・スパイラル型
V字モデルは各開発工程に対応するテスト工程を設定し、品質保証を重視します。スパイラル型は計画、リスク分析、プロトタイピング、評価を数か月単位で繰り返す手法です。大規模プロジェクトに向いていますが、時間やコストは高くなります。
開発プロセスをスムーズに進める方法
ここでは、ソフトウェア開発の各工程とスムーズに進めるポイントを解説します。

企画・ヒアリングで方向性を決める
顧客が抱える課題や要望を詳細に聞き出し、開発の方向性を定めます。業務フローや予算、運用開始時期を確認し、どのような機能で課題を解決できるかを検討します。
要件定義で開発の骨格を固める
ヒアリング内容をもとに実装する機能や品質基準を明確にし、要件定義書にまとめます。プロジェクトの成否を左右するため、漏れがないよう慎重に進め、完成後は関係者にレビューを依頼しましょう。
設計でシステムの方針を明確にする
要件定義書に基づき、ソフトウェアの仕様や全体像を決定します。基本設計ではユーザーから見える部分を、詳細設計では内部構造やデータベース設計を具体化します。
実装で効率的に開発を進める
設計書や仕様書に基づき、プログラミング言語を用いてコードを記述する工程です。既存のフレームワークやライブラリを活用することで効率化できます。継続的な改善を見据え、誰もが読みやすく保守性の高いコードを書くことが大切です。
テストで品質を確保する
単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストを段階的に実施します。不具合が見つかれば修正を繰り返し、全てのテストで問題がないことを確認してからリリースに進めます。
リリースでサービスを提供する準備を整える
テストをクリアしたソフトウェアを顧客へ納品します。設計書や運用マニュアルもあわせて受け渡し、顧客がスムーズに運用を開始できるよう支援します。
運用・改善で継続的に価値を高める
リリース後は運用・保守フェーズに移行し、システムの安定稼働を維持します。定期的なメンテナンスや監視を行い、トラブル発生時には迅速に対応し、継続的に改善を重ねます。
実際の開発事例から学ぶ成功要因
ここでは異なる業種での開発事例を通じて、効果的なアプローチ方法を紹介します。
大和証券『D-Port』
大和証券ではグループ各社のサービスが個別運用され、ユーザーがサービスごとにID・パスワードを管理する課題がありました。資産情報を一元的に見える化する統合プラットフォーム『D-Port』を開発し、生体認証による利便性とセキュリティの両立を実現しています。
>> 大和証券の次世代資産プラットフォーム『D-Port』開発支援
日産レンタカー公式アプリ
日産レンタカーでは利便性向上を目指し、予約からセルフチェックインまで一気通貫で完結できる公式アプリを開発しました。業界初となるアプリを活用した無人貸出サービスを搭載し、顧客の利便性向上と店舗側の管理効率化を実現しています。
sirocaオンラインストア
家電メーカーのsirocaでは顧客基盤構築を目的に、ShopifyとHubspotを活用した自社ECサイトとCRM基盤を構築しました。ポイントシステムや製品登録による延長保証機能により、他サイトとの差別化と顧客エンゲージメント向上を実現しています。
>> siroca(シロカ) 公式オンラインストアの開発支援
ソフトウェア開発の依頼先・外注選定のポイント
ここでは外注依頼先の選定時に確認すべき重要なポイントを解説します。

開発会社の実績を確認する
開発会社の過去の実績を確認し、自社が実現したい内容に近い開発経験があるかをチェックしましょう。豊富な実績がある会社は事業への理解が早く、意図を汲み取ってもらいやすいです。実績の数だけでなく、こだわった点や成功要因など具体的な内容まで確認することが大切です。
見積もり・スキル・対応力を確認する
開発チームのスキルや経験、必要な技術を保有しているかも確認が必要です。見積もりが適切か、納期に関する保証やサポート体制を具体的に把握するようにしましょう。自社開発メインかどうか、開発メンバーの人数もチェックしておくと、納期遅延のリスクを防げます。
契約形態やコミュニケーション体制を確認する
進捗報告のタイミングや手段、問題発生時の対応方法などコミュニケーション体制も確認しておきましょう。また、開発手法が自社のプロジェクトに合っているかも大切なポイントです。長期大規模プロジェクトならウォーターフォール、短期間で柔軟に進めたい場合はアジャイルが適しています。
相見積もりを取得して比較する
複数社から相見積もりを取得することで、妥当な金額や対応を効率的に比較できます。多すぎると比較に時間がかかり、価格だけで判断することになりかねません。費用や期間だけでなく、得意分野が自社のニーズと一致しているかも確認しましょう。
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まとめ
ソフトウェア開発を成功させるには、適切な開発手法の選択と信頼できるパートナーの存在が欠かせません。本記事では、ウォーターフォール型やアジャイル型といった代表的な開発手法から、企画・要件定義・設計・実装・テスト・リリース・運用といった各工程のポイント、さらに実際の成功事例まで解説しました。
外注先を選定する際は、開発会社の実績やスキル、コミュニケーション体制を確認し、相見積もりを活用して比較することが重要です。Sun Asteriskでは、DXコンサルティングから設計、本格的な開発まで一気通貫でサポートできる体制を整えています。圧倒的に柔軟な開発リソースを活用し、お客様のプロジェクトに最適な提案を行います。ソフトウェア開発でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。弊社が手がけた開発・改善事例集があるため、まずはこちらを参考にしてみてはいかがでしょうか。
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