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システム開発

ノーコード・ローコードの開発事例から学ぶ導入メリットと注意点を解説

更新日: 2025年12月24日


ノーコード・ローコード開発は、専門エンジニアがいなくても進められる手軽さから、多くの企業で導入が加速しています。しかし、導入を検討する際には「自社の課題に適しているか」「どのようなリスクがあるか」といった疑問が生じます。本記事では、導入することで得られるメリットや注意すべきポイントを解説します。これから導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ノーコード・ローコードとは?

ノーコード・ローコードとは、複雑なプログラミングを行わなくてもシステムやアプリを開発できる手法です。まずは、その特徴と仕組みを把握しておきましょう。

ローコードの特徴

ローコード開発は、基本的な機能やテンプレートがあらかじめ用意されており、必要に応じて一部コードを記述してカスタマイズできる開発手法です。プログラミングの基礎知識がある担当者であれば、効率的にシステム構築が実現できます。開発の自由度と効率性のバランスが取れているため、アプリケーション開発にもおすすめです。

ノーコードの特徴

ノーコード開発は、プログラミング知識がなくても、完全に視覚的な操作のみでアプリケーションを構築できる手法です。用意されたテンプレートやモジュールを組み合わせれば、誰でも直感的にシステムを作成できます。

営業担当者や事務スタッフなど、IT部門以外の現場担当者が自らの業務ニーズに合わせてツールを開発できるため、業務改善のスピードが飛躍的に向上します。

ノーコード・ローコードが注目される背景

ノーコード・ローコードが注目される理由は、深刻なIT人材不足と急速に進む業務のデジタル化です。エンジニアに依頼すると時間もコストもかかるため、現場の担当者が自らツールを作れる手段としてニーズが高まっています。

また、ビジネス環境の変化が速く、現場レベルでの 素早い改善や試作が求められるようになったことも理由の1つです。ノーコード・ローコードなら、アイデアをそのまま短期間で形にでき、業務効率化のスピードを大きく高められます。

このような背景から、ノーコード・ローコードは企業のDXを支える注目の選択肢となっています。

ノーコード・ローコードの導入メリット

ノーコード・ローコードの導入には、従来の開発手法では得られない多くのメリットがあります。ここでは代表的な5つのメリットを紹介します。

開発スピードが向上する

ノーコード・ローコード開発の大きなメリットは、圧倒的な開発スピードです。従来の開発では要件定義、設計、実装、テストと段階的に進める必要がありましたが、これらのプラットフォームでは視覚的な操作で直接アプリケーションを構築できます。

そのため、プロトタイプの作成から本番環境への展開までが数週間で完結することも珍しくありません。

IT部門の負荷が軽減できる

ノーコード・ローコードの普及により、IT部門の負荷が大幅に軽減できます。各部門の担当者が自らシステムを構築できるようになれば、IT部門は本来注力すべき基幹システムの保守やIT投資の検討に時間を割けるためです。結果として、IT部門のリソース不足が解消され、組織全体のITガバナンス向上も期待できます。

開発コストを抑制できる

ノーコード・ローコードプラットフォームの活用により、開発コストを大幅に削減できます。従来の開発では、外部ベンダーへの委託や専門エンジニアの雇用に多額のコストがかかりました。しかし、既存の人材だけで開発が可能になるため、人件費を大幅に抑えられます。

サブスクリプション型の料金体系を採用しているプラットフォームが多く、初期投資を抑えて段階的にシステムを拡張していける点も魅力です。

開発初期から本稼働までの一気通貫で進行できる

ノーコード・ローコードでは、プロトタイピングから本番環境への移行まで、同一のプラットフォーム上でシームレスに進められます。従来の開発では、設計書やモックアップを作成して関係者の合意を得た後に実装を開始するため、実際に動くシステムを確認できるまで時間がかかりました。

しかし、初期段階から実際に動作するプロトタイプを作成し、ユーザーからのフィードバックを即座に反映できます。

内製化やDX推進の土台になる

ノーコード・ローコードは、組織全体のデジタルリテラシー向上とDX推進の基盤を構築します。現場の担当者が自らシステムを開発する経験を通じて、業務のデジタル化やプロセス改善への意識が自然と高まり、組織全体のIT活用レベルが底上げされるためです。

また、システムの内製化が進めば外部ベンダーへの依存度が低下し、自社のビジネスノウハウがシステムに蓄積されていきます。これはDX実現の土台といえるでしょう。

ノーコード・ローコードを導入する際の注意点

ノーコード・ローコードは便利ですが、導入すれば何でも解決できるわけではありません。ツールの特性を誤解したまま使うと、運用の負荷が増えたり、セキュリティリスクが生じたりする可能性があるからです。ここでは、導入前に押さえておきたいポイントを解説します。

複雑なシステムには向かない可能性がある

ノーコード・ローコードプラットフォームは、高度なカスタマイズや複雑なビジネスロジックの実装には限界があります。あらかじめ用意された機能やテンプレートを組み合わせてシステムを構築するため、大量のデータを高速処理する必要がある基幹システムや、特殊なアルゴリズムを要する分析システムなどは、従来型の開発手法の方が適している場合があります。

ガバナンスを整えないと管理が難しくなる

適切なガバナンスがないと、組織内に無秩序にアプリケーションが乱立する「シャドーIT」の問題が発生します。現場の担当者が自由にシステム開発できることは大きなメリットですが、各部門が独自に開発したシステムが統制されないまま増殖すると、データの重複や整合性の欠如、セキュリティリスクの増大といった問題を招きます。

セキュリティ・データ管理の基準を必ず確認する

ノーコード・ローコードプラットフォームを導入する際は、セキュリティやデータ管理の基準を事前に確認することが不可欠です。多くのプラットフォームはクラウドベースで提供されるため、個人情報や機密情報を扱うシステムを構築する場合、データの保存場所や暗号化の仕様、アクセス制御の方法などを詳細に検証しなければなりません。

運用・保守の担当を事前に決めておく

ノーコード・ローコードで構築したシステムも、継続的な運用・保守が必要です。しかし、開発のハードルが低いがゆえに、運用・保守の責任が曖昧になりがちです。システムのバグ修正や機能追加など、本番稼働後の責任範囲を明確にしていなければ、トラブル発生時に対応が遅れてしまいます。特に、開発者が異動や退職した場合は、引き継ぎを徹底しなければなりません。

スモールスタートする

ノーコード・ローコードの導入を成功させるためには、小規模なプロジェクトから始めましょう。まずは、部門内の限定的な業務改善ツールや簡単なワークフローシステムなど、リスクの低い領域で試験的に導入し、運用上の課題を把握します。この過程で得た知見を組織内で共有すれば、段階的に適用範囲を拡大できます。

ノーコード・ローコード開発事例から学ぶ活用シーン

実際の事例を知ることで、ノーコード・ローコードがどの業務に向いているのかがより鮮明になります。ここでは4つの事例をもとに、効果的な活用方法を紹介します。

※本記事で紹介している事例は公開情報をもとにした紹介事例です。 当社の支援実績ではありませんが、技術選定や活用の参考として掲載しています。

キットカンパニー|サスケWorksの導入で相談者情報や履歴をクラウド化

老人ホーム紹介を行うキットカンパニー株式会社では、紙管理が中心で情報検索に最大30分かかっていましたが、ノーコードアプリの導入によりデータをクラウド化しました。その結果、パソコンやスマートフォンからすぐ確認できるようになり、本社と店舗間の情報共有もスムーズになりました。

また、社会福祉法人太豊会では、住民からの問い合わせ管理をノーコードでシステム化し、紙やExcelでの管理から脱却したことで対応漏れが大幅に減少しました。

米国 Baker Concrete Construction|AppSheetの導入で部門間連携強化

米国の大手ゼネコンBHIでは、AppSheetを導入し、現場で入力されたデータから自動でレポートを生成しPDFで送信できる仕組みを構築しました。これにより処理時間は6分に短縮され、月5万ドルの人件費削減にもつながりました。

さらに、AppSheetにより現場スタッフ自身がアプリを作成・カスタマイズできるようになったことで、IT部門と現場の連携が強化され、業務効率や全社的な生産性の向上にも大きく貢献しています。

ブラリノ|ノーコードツールBubbleで業務効率化アプリを開発

日本初のノーコード売却事例として注目される「ブラリノ」は、結婚式の招待状作成やご祝儀管理、写真共有などの機能をBubbleで開発し、短期間でサービス化、さらに売却まで成功させました。従来の受託開発に比べ、開発コストや工数を大幅に削減できた事例です。

海外でも、デジタルギフト購入プラットフォーム「Support Local」がBubbleを活用し、わずか3日でサービスをローンチ、7日後には米メディア「USA Today」に取り上げられるなど話題となりました。

Vitaly|Airtableを活用して商品開発や在庫管理を一元化

カナダのジュエリーブランドVitalyでは、商品企画から販売までの情報が分散していたため、進捗確認やデータ更新に時間がかかっていました。そこでAirtableを活用して商品開発や在庫管理を一元化し、全関係部署がリアルタイムでアクセスできる環境を構築しました。

その結果、プロダクト開発期間は9か月から6か月に短縮され、年間で数百時間の業務を削減しました。間接部門の人件費の節約や、在庫回転率の向上にもつながっています。

まとめ

ノーコード・ローコード開発は、デジタル化の加速とIT人材不足という現代のビジネス課題に対する有効な解決策として、急速に普及しています。開発スピードの向上、コスト削減、IT部門の負荷軽減といった多くのメリットがある一方で、複雑なシステムへの対応やガバナンスの整備、セキュリティ管理など、導入時には慎重に検討すべき課題も存在します。

Sun Asteriskでは、特定の開発手法に限定せず、事業やプロダクトの状況に応じたシステム開発・改善を支援しています。
具体的なプロジェクトの進め方や支援事例については、システム開発・改善 事例集をご覧ください。

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