開発支援事例:株式会社TRUSTDOCK
eKYC技術で「新しい信頼性」を担保する
日本初の本人確認API「TRUSTDOCK」を提供し、公的個人認証・eKYCに対応したデジタルIDウォレットアプリや、法規制準拠のKYCインフラを展開してきた本人確認の専門企業TRUSTDOCK社。その金融・行政など信頼領域で培ったコア技術を転職市場に応用する新規事業として、「Careefy」(キャリファイ)を立ち上げました。
求職者は公的書類に基づく認証済みプロフィールを、企業は信頼できる人材情報を基に採用活動を行える、透明性の高いマッチングサービスです。Sun*は、この「信頼」を社会インフラにするという先進的な取り組みに、開発パートナーとして参画。事業構想段階から伴走し、要件定義、画面設計、開発支援、さらには生成AIの活用検証までを一貫してサポート。「信頼性」と「優れたユーザー体験」の両立という難題を実現し、2025年10月の正式リリースに至るまで伴走しました。
転職市場の「信頼」の課題を、eKYC技術で解決する
これまでTRUSTDOCK社は、金融・行政・シェアリングエコノミーなど、厳格な“信頼”が求められる領域で、eKYC(オンライン本人確認)やデジタルIDソリューションを提供してきました。そうした信頼基盤を社会に実装してきた同社が次に着目したのが、転職市場です。
新規事業として立ち上げられたCareefyは、この「本人確認の確実性」という強みを土台に、転職に関わる情報の透明性を高めることを目指したサービスです。TRUSTDOCKが掲げる「デジタル社会のインフラをつくる」というパーパスを、これまでとは異なる領域へと拡張するプロジェクトでもあります。


※AIによる求人生成の機能は今後対応予定
「お互いのことが“よく解る”転職マッチングサービス」というコンセプトをもつCareefy。求職者はTRUSTDOCKアプリを通じて本人確認を完了させ、公的身分証に基づく信頼性の高いプロフィールを作成します。企業・ヘッドハンターは、その認証済みの人材情報にアクセスできるため、スカウトやマッチングをより透明な形で実現できる仕組みを実現しています。2025年6月には求職者向け機能が先行リリースされ、同年10月には企業・ヘッドハンター向け機能が正式公開されました。
プロジェクト成功に向けた3つの挑戦
プロジェクトの成功に向けて、Sun*は顧客と共に以下の3つの挑戦に取り組みました。
1. 開発速度と設計品質の両立
プロジェクトは迅速な立ち上げを目指して進んでいましたが、Sun*が参画した当初、デザイン作成支援ツールによる画面設計書の粒度や構成ルールがまだ明確に定義されていませんでした。この状況ではレビューや修正の効率化が難しく、開発工程での手戻りを防ぐための「設計プロセスの標準化」と品質担保の仕組みを新たに構築することが急務でした。
2. 生成AI活用の高度化に向けた挑戦
生産性向上のため、LLM(大規模言語モデル)を活用した成果物の自動生成という先進的な試みに挑戦しました。この新たな取り組みを実用レベルの精度へと高めていくためには、顧客の期待値を満たすための「成果物評価基準」や「品質チェック体制」を、プロジェクト全体で協力して定義・構築する必要がありました。
3. 限られたリソース内での優先順位付け
新規事業の初期フェーズとして、限られた予算とスケジュールの中で最大限の成果を出す必要がありました。そのため、どの機能を優先し、どの仕様を調整するべきか、日々のミーティングを通じて顧客と迅速に合意形成を図り、開発進捗を可視化しながら進める柔軟な進行管理が求められました。
設計の標準化と「提案型」の伴走
これらの課題に対し、Sun*は単なる開発リソースとしてではなく、事業の成功に向けたパートナーとして以下の支援を行いました。
要件定義と情報整理のリード
事業構想段階から参画し、機能要件やUX要件を整理。「ユーザー体験」と「本人確認プロセスの整合性」という、相反しかねない要素を両立する設計をサポートしました。
画面設計・レビュー体制の構築
課題であったFigmaベースでの設計レビュー体制を確立し、設計粒度や記載ルールを統一化。これにより、開発工程との連携をスムーズにする仕組みを整備しました。
生成AIの検証と運用支援
LLMを活用した設計支援の実験的導入を支援。AI生成の成果物評価基準づくりや、品質チェック体制の検討を行い、次フェーズでのAI活用高度化に向けた基盤を整えました。
コミュニケーションと進行管理
顧客とのデイリーミーティングを実施し、課題を即日共有・対応。バーンダウンチャートを用いてスケジュール・リソースのバランスを可視化することで、仕様削減や優先順位調整をスムーズに進めました。
信頼を基盤にしたパートナーシップの継続
顧客との密なコミュニケーションを通じ、Sun*は迅速かつ丁寧な開発プロセスの実現を目指しました。単に「できる/できない」を回答するのではなく、事業の目的や制約条件を踏まえた提案型の開発支援を意識して取り組んでいます。
また、eKYCのように高い信頼性が求められる領域のUI/UX要件に即した設計・実装を進める過程で、再現性のある設計手順やチェック観点を整理し、社内のナレッジとして整備しています。
Careefyは現時点でWeb版が正式リリース済みで、今後も機能の追加開発が予定されています。Sun*は引き続き開発パートナーとして、プロダクトの目標と優先順位に沿った改善提案と実装支援を継続します。
Careefyは、TRUSTDOCKのコアである「信頼のインフラ」を転職市場の文脈に接続する試みです。Sun*は、要件定義/設計/開発/生成AIの活用検討まで一連のプロセスに伴走し、「信頼 × テクノロジー」の視点から、継続的な改善と価値提供に取り組んでいきます。
