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オフショア開発

オフショア開発で注意したいリスクと対策|リスクを下げるコツや企業の選び方を解説

更新日: 2024年5月27日

オフショア開発は、人材不足が深刻なIT業界での外部委託手法の1つとして注目されています。昨今では、オフショア開発を活用する企業は増えているものの、リスクが気になり手が出せないという企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、オフショア開発を検討している企業向けに、懸念されるリスクや回避方法、成功させるコツなどを解説します。

オフショア開発とリスク

オフショア開発は、企業に不足している人的リソースを、海外への外部委託によって補う取り組みです。海外を拠点とするオフショア企業に、開発業務の一部またはすべてを委託して業務を進めます。

海外拠点の優秀なIT人材を確保して開発業務を進める方法として、オフショア開発を取り入れる企業が増えています。ただし、国内での開発を進めるのとは違い、いくつかリスクが懸念される点には注意が必要です。

オフショア開発を取り入れる場合は、考えられるリスクをしっかり把握し、対策も講じておかなければなりません。

オフショア開発で懸念される具体的なリスク

海外に開発業務を委託する「オフショア開発」では、以下のようなリスクが懸念されます。

1.コミュニケーションミスが起きやすい

海外にある拠点で開発チームを作るため、コミュニケーションの取り方を工夫しないと、ミスが起きやすくなるリスクがあります。日本と海外では言語や文化が異なるため、国内と同じようなコミュニケーション方法では、うまく意思疎通が図れません。

指示や要望が正確に伝わらないと、期待通りに開発が進行しなかったり、成果物が思った通りに仕上がらなかったりする可能性があります。

2.社会情勢の影響が出やすい

オフショア開発の拠点となる国は、基本的に経済発展が進んでいる国が多いものの、社会情勢が不安定な国もあります。そのため、クーデターやデモによって経済活動が止まってしまったり、通信インフラに影響が出てしまったりする可能性があるので注意が必要です。

特に中国では、過去に反日デモが起き日本企業や日本企業に協力している企業が襲撃されるなどのカントリーリスクがあり、オフショア開発の拠点として撤退する企業が増えています。

3.品質に安定性がない

中国やインド、ベトナムでは、優秀なエンジニアの育成が進んでおり、オフショア開発の拠点としても期待されていますが、国によってはエンジニアの質に差があるケースもあります。

オフショア開発の委託先によって、エンジニアのスキルにばらつきが出てしまい、品質が安定しない可能性があるのもリスクの1つです。

4.スケジュール通りに進まない可能性がある

国内では決められた予算や納期は守って当たり前という認識ですが、海外では、ルーズなケースも多く、納期遅れのリスクがあります。納期に間に合わない可能性があったとしても残業などはせず、契約時間内で作業が終わらなければ次の日に回してしまうなど、日本とは仕事に対するスタイルが異なり、スケジュールにトラブルが発生するケースが考えられます。

しかし、無理に日本的な働き方を押し付けると、委託先との関係が悪くなってしまうかもしれません。守るべき納期がある場合は余裕をもって作業スケジュールを立て、進捗を確認しながらフォローしていく必要があります。

5.情報漏洩リスクがある

オフショア開発の委託先に多いのは、東南アジアをはじめとする途上国です。そのため、エンジニアの育成が進んでいても、コンプライアンスやセキュリティ面での意識が浸透していないケースも多く、情報漏洩リスクが懸念されます。

エンジニア本人が社外に情報を持ち出してしまったり、セキュリティが甘く外部に流出してしまったりすると、開発業務だけでなく企業に大きな打撃を与えてしまいます。さらに、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策には大きなコストかかるため、オフショア開発に消極的な企業も存在するのが現状です。

リスクはあってもオフショア開発が広がっている理由

先述したように、オフショア開発にはいくつかのリスクが考えられますが、それ以上にメリットも多く期待できます。ここからは、オフショア開発が広がる理由を見ていきましょう。

開発コストの抑制

基本的に、開発には多額のコストがかかりますが、なかでも大きな割合を占めるのが人件費です。国内の優秀なエンジニアは人件費が高いうえに、人材不足の関係で採用活動にも時間がかかるため、よりコストがかかってしまいます。

オフショア開発を活用する目的には、こうした人件費の削減が挙げられます。海外への委託では、コミュニケーションやセキュリティ面でのコストが発生するケースもありますが、人件費の削減によりトータルコストは抑えられるでしょう。

オフショア開発の拠点には、途上国や新興国などの日本よりも物価が安い国が選ばれるケースがほとんどです。これまでは中国の企業に委託するケースも多くありましたが、経済発展に伴う人件費の高騰やカントリーリスクの上昇などの影響を受け、ベトナムをはじめとする東南アジアの国に移行する動きが広がっています。

開発にかかる人的リソースの確保

昨今の急激なIT化の影響により、日本ではIT人材不足が深刻化しており、優秀なエンジニアを確保するのが困難な状況が続いています。優秀なIT人材の育成には時間やコストがかかるため、すでにその環境が整っている海外の人材を活用して開発業務を進められるオフショア開発は、日本企業にとって魅力的な手法です。

オフショア開発では、海外の優秀なエンジニアを確保して人的リソースの課題を解消できるほか、海外における開発のトレンドや情報、国内にはない視点が取り入れられるのもメリットとして期待されています。

オフショア開発でのリスク軽減方法

日本企業にとってメリットの大きいオフショア開発ですが、リスクも見逃せません。ここからは、オフショア開発を活用する場合のリスク軽減方法について解説します。

日本との相性を考えて委託する国を選ぶ

社会情勢によるリスクを回避するには、委託先の国選びが大事です。特に、反日活動が盛んな国は避け、日本と友好な関係にある国のオフショア拠点を選ぶとよいでしょう。

また、国内でのデモやクーデターが盛んな国も、リスクが高くなりがちです。比較的内政が落ち着いている国のなかから、相性のよい企業を選びましょう。

的確なブリッジエンジニアを選ぶ

コミュニケーションミスは、ブリッジエンジニアの存在によって防げます。ブリッジエンジニアとは、日本の依頼企業と海外の開発チームとの間に立って、指示の伝達や進捗管理、メンバー管理、品質管理などをする重要な役割を持った人材です。

日本語と委託先の両方の言語・文化に精通した人物を、ブリッジエンジニアとして起用するとよいでしょう。

作業内容や指示は具体的に出す

国内とは違う環境で開発を進めていくため、作業内容や指示が不明瞭だと、依頼側が期待する成果が得られない可能性があります。そのため、開発するプロダクトの仕様や作業内容の詳細は、具体的に分かりやすく伝えなければなりません。

また、クライアントからの指示や要望は、正確に伝わるように配慮が必要です。日本国内の意識では、暗黙の了解や空気を読むなどの風習がありますが、海外では通用しないので注意しましょう。

無理な見積りやスケジュールにならないよう注意する

国内よりもコミュニケーションが複雑化しやすいため、予定通りに進まない可能性にも配慮が必要です。予算やスケジュールに余裕がなければ、コストオーバーや納期遅れなどのリスクが発生するため、十分なバッファが必要です。

納期の順守には、余裕を持ったスケジューリングと徹底した進捗管理が重要です。

こまめにコミュニケーションを取る

的確なフォローのためには、現地の開発チームとこまめにコミュニケーションを取り、進捗状況の確認が必要です。万が一齟齬や誤解が生まれていたとしても、進捗管理が徹底されていれば早い段階で気づけるでしょう。

コミュニケーションの内容は記録が取れるようにしておき、いつでも見返せるようにしておくと便利です。

セキュリティ対策を徹底する

情報漏洩などのリスクを減らすには、セキュリティ対策の徹底が必要です。しかし、セキュリティツールなどの導入は多額のコストがかかるため、できる対策が限られてしまいます。

開発メンバーへのセキュリティやコンプライアンスの研修実施や、入退室の記録、チェックシートの作成など、セキュリティ管理の工夫が必要です。

オフショア開発でリスクの低い委託先の条件

オフショア開発でリスクの低い委託先を選ぶには、以下の4つのポイントに注目するとよいでしょう。

実績が充実している

実績が確認できるオフショア企業を選ぶのは大事です。過去に携わった開発内容が分かれば、その企業の得意分野や質の高さが予想できます。

委託する開発分野の知見がない企業では、よい成果は期待できません。実績を確認しながら、自社の開発分野との相性を考えて選定するようにしましょう。

セキュリティ対策が充実している

セキュリティ対策が十分なオフショア企業を選ぶのも大事です。ウイルス対策やハッキング対策はもちろん、コンプライアンスの順守やセキュリティ観念への理解が浸透している企業でないと、情報漏洩リスクが増してしまいます。

セキュリティ面では、再委託していないかもポイントです。ISO27001などの、情報セキュリティに関する国際規格の有無なども確認するとよいでしょう。

複数の契約形態に対応している

オフショア開発では、開発の進め方によって契約形態が異なるケースがあります。一般的な契約形態は、請負契約とラボ契約の2種類です。

委託する開発プロジェクトの内容によって必要な契約内容が変わるため、自社の開発プロジェクトに合った雇用形態が選べる企業かどうかも重要なポイントです。

優秀なエンジニアが在籍している

在籍するエンジニアが十分なスキルを持っているのかも、確認が必要です。育成環境は十分なのか、品質の高い成果を出せているかなどを確認しましょう。国債指標とあるISO9001やCMMIレベルなどを確認するのも手です。

また、開発メンバーの入れ替わりが激しい場合、エンジニアの質が途中で悪くなる可能性が考えられるため、定着率も見ておくとよいでしょう。

オフショア開発をスムーズに進めるコツ

ここからは、オフショア開発を成功させるための2つのコツについて解説します。

委託先の国の文化に理解を示す

言語だけでなく、相手の国の文化にも理解を示すのは大事です。海外では、仕事への姿勢や生活習慣、宗教上の決まりなど、さまざまな文化の違いがあります。

時間に対する意識も低いケースがあるので、無理に時間厳守を徹底しても、関係が悪化するだけです。オフショア開発では、文化に合わせた対応を心がけましょう。

開発チームとの信頼関係を構築する

信頼関係が悪化すると、開発チームのモチベーション低下につながり、プロダクトの品質に影響してしまいます。そのため、こまめな連絡で意思疎通を図り、指示や要望が円滑に伝わる環境をつくっておきましょう。

積極的に開発メンバーと関わり、関係性が築けていれば、互いに協力し合いよりよい成果につながります。

まとめ

オフショア開発は、言語や文化の違う海外に業務を委託する手法なため、さまざまなリスクが懸念されます。しかし、人的リソースの確保やコストカットなどのメリットも大きく、活用する企業は増えています。本記事で解説したとおり、リスク対策が可能なため、コツを押さえて効果的に活用しましょう。

また、オフショア開発の委託先には、信頼性の高い企業を選ぶのが大事です。株式会社Sun Asteriskでは、経験豊富なコンサルタントが在籍しており、設計から本格的な開発まで一気通貫でサポートを行っています。柔軟でスピーディな開発リソースも有しているので、オフショア開発の委託先としておすすめです。

オフショア開発でお悩みの担当者はぜひ、一度ご相談ください。