オフショア開発を活用することで、自社の開発コストの削減やエンジニアリソース不足の解消などのメリットが得られます。オフショア開発を成功させるためには、自社のニーズに合った開発会社を選ぶことが不可欠です。本記事では、オフショア開発の委託先選定について、人気のある国や選定の流れ、企業選びのポイントなどを軸に詳しく解説します。オフショア開発を検討している企業の皆様はぜひ参考にしてください。
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オフショア開発における委託先の選定が重要な理由とは?
オフショア開発の委託先には、開発途上国や新興国を中心に多様な国々があり、さらに国内のそれぞれの開発会社によって、対応可能な市場や得意分野などが異なります。
開発会社の選定を誤ると、プロジェクトが進むにつれて納期の遅延や品質不良などの問題が発生し、本来の要求とは異なる成果物が出来上がるなど、プロジェクトの失敗リスクが高まる可能性があります。それだけに、オフショア開発における委託先の選定は重要です。
オフショア開発の委託先として人気のある国
オフショア開発の委託先となる国はさまざまですが、そのなかでも特に人気のある3つの国をピックアップし、それぞれの特徴を解説します。
ベトナム
特に人気が高いベトナムは、国内に数千のIT企業を擁し、約40万人のエンジニアが稼動しており、毎年約5万人のITエンジニアが育成されている国です。
SamsungやGoogleなどの世界的なハイテク企業が、競争力のある価格設定と高い技術力を持つエンジニアの確保に向けて、開発業務をベトナムにアウトソーシングしています。GoogleのITスペシャリストであるニール・フレイザー氏も、ベトナムでコンピュータサイエンスを専攻する学生の成績の高さを評価しているほどです。
こうした特徴が、ベトナムのグローバルな競争力を高めています。日本語話者が多い点も、開発を委託するうえで大きなメリットです。
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フィリピン
フィリピンは、日本からのオフショア開発委託先としてベトナムに次いで注目されている国です。その人気ぶりは、日本で開発を委託する企業の約12%がフィリピンを委託先に選んでいる事実からもうかがえます。
フィリピンは国を挙げてIT産業の強化に力を入れているため、エンジニアのスキルが高く、かつ平均年齢が23~24歳と若いうえに、モチベーションの高い人材が豊富です。
フィリピンは英語でのやり取りが可能で、人件費が安いのが魅力です。特に物価が低いセブ島地域はコストメリットが大きい点で、オフショア開発で人気があります。
※参照:株式会社Resorz「オフショア開発白書 2021年版」
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インド
インドは、ITアウトソーシング・オフショア開発業界のベテランです。毎年約12万人のIT人材が輩出されており、300万人以上のエンジニアが住んでいます。英語でのやり取りが可能な点も魅力です。
膨大な数のITエンジニアを擁するインドは、何千人もの人員を必要とする巨大なITプロジェクトの開発委託先としてよく利用されています。ただし、以前と比べて人件費などの面でコストは上がっています。
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オフショア開発会社を選定する流れ
オフショア開発会社を選定はどのような手順で進めるのかを知るために、一連の流れを見ていきましょう。
1.予算や要件を明確にする
オフショア開発を成功させるためには、まず、開発に必要となる予算や要件を明確にすることが重要です。何のための、どのような機能と性能を備えた製品なのか、いつまでに完了させる必要があるかなど、ビジネスとしてのゴールや課題も含めて洗い出します。そして、プロジェクトのスコープや目標、予算範囲、必要な技術、納期などを具体的かつ明確に定義します。この段階で、詳細な要件定義書を作成し、プロジェクトの成功基準を明確にしておくと、後のステップで行う開発会社の選定作業がスムーズに運ぶでしょう。
2.オフショア開発国を選ぶ
次のステップは、オフショア開発を行う国の選定です。選定基準としては、言語の問題や時差、文化的な相性、技術力、人件費を含めたコスト、セキュリティ意識、政治的安定性などが挙げられます。
たとえば、英語でのコミュニケーションが主であるフィリピンやインド、あるいは日本語学習者が多いベトナムなど、やり取り上必要となる言語は重要なポイントです。各国の特徴を詳しくリサーチし、そのなかから自社の要件に最も適した条件がそろった国を選ぶのがおすすめです。
3.オフショア開発会社を選ぶ
オフショア開発委託先の国を選んだら、今度はその国内から複数のオフショア開発会社をリストアップし、それぞれの会社の実績や技術力、得意分野、品質管理、評価などのポイントで比較します。
過去のプロジェクトの成功例や顧客のフィードバックを確認したうえで、実際に候補となる開発会社の絞り込みができたら、実際にコンタクトを取り、詳細な提案を依頼しましょう。この際、セキュリティの確保に大きく影響する再委託の有無やエンジニアの離職率、セキュリティ対策の徹底度などのポイントも、詳しく確認するのがおすすめです。
4.契約を締結する
以上のステップを踏んで開発会社の選定ができたら、最後に待っているのが契約の締結です。
契約書には、納期や報酬、作業範囲、成果物の詳細、支払い条件、セキュリティ条項など、重要な項目をすべて明記します。また、機密保持契約(NDA)もあわせて締結し、プロジェクトに関わるすべての情報が適切に保護されるよう認識をすり合わせることが大切です。契約内容を詳細に定めることで、後々起こる可能性があるトラブルを未然に防ぐことができます。
オフショア開発会社選びでよくある失敗例
オフショア開発の委託先を選定する際によくある失敗の1つは、予想よりも工数がかかる点です。これは、委託元と委託先の間で、労働時間や技術者のレベルに対する意識や意見のズレが残ったまま、十分なすり合わせをせずに開発を進めたのが原因です。
この問題を防ぐためには、契約締結時に、労働時間やエンジニアの保有スキルの種類、レベルなど重要な項目の内容を細かく確認したうえで、プロジェクトを理解するためのコミュニケーションを徹底させる必要があります。プロジェクトがスタートしたら、こまめな進捗管理を通じて状況をチェックし、課題があれば迅速に対応するなどの対応が必要です。
オフショア開発を依頼する企業選びのポイント
オフショア開発を依頼する際は、いくつかのポイントを押さえて開発会社を選ぶことで、プロジェクトの成功を高めることができます。主な5つのポイントを解説します。
日本企業との取引実績を確認する
何といっても、日本企業との取引経験が豊富な企業を選ぶことが重要です。経験したプロジェクトの件数とともに、どの程度の規模のプロジェクトを請け負ってきたかの確認も重要です。特に、大規模なプロジェクトの経験があり、幅広いニーズに対応できるかどうかを確認しましょう。
日本企業が運営しているオフショア開発企業や、日本国内に現地法人などの拠点を構えている外国のオフショア開発企業、日本語の専用サービスサイトがある企業は安心できます。
日本語でのコミュニケーションができるか確認する
日本語でのコミュニケーションが可能かどうかも、オフショア開発を依頼するうえで大切なポイントです。たとえ日本語でのコミュニケーションが可能と謳っていたとしても、どの程度の日本語能力を有しているかは未知数です。
日本語能力試験の取得者の数や、日本語教育を行っているかなどを把握したうえで、実際に現場の技術者と直に日本語でコミュニケーションをとる機会を設けることが、具体的な判断ポイントとなるでしょう。
現地に日本人スタッフがいると、納期遅れやセキュリティ事故など何らかのトラブルがあった際も橋渡し役として頼れるなど、よりスムーズなコミュニケーションが期待できます。
エンジニアの在籍数と能力レベルを確認する
どの程度のエンジニアが在籍しているかの人数の確認も不可欠です。小規模な開発会社では何かあった場合に必要なリソースが不足し、開発に遅れが出る可能性があります。
また、チームに在籍するエンジニアごとの保有スキルの種類やレベル、コミュニケーションに使用する言語なども確認したほうがよいでしょう。スキルの有無やレベルにより、対応可能な業務の幅が異なります。
特定の技術スキルが求められる開発案件の場合は、そのスキルを持つエンジニアが十分に確保できるか、また個々のエンジニアの技術レベルはどうかも、事前に確認が必要です。
現在の得意分野も確認する
日本からの委託実績が多いかなど過去の実績の豊富だけでなく、現在の得意分野も確認することも重要です。
システムやソフトウェア、アプリケーションと一口で言っても、その種類や内容は千差万別です。その開発会社が得意とする特定の領域や規模が自社のニーズにマッチするなら、有力な候補として検討する価値はあります。自社が抱えている案件と類似する開発を請け負った経験があれば、実際の開発プロセスが円滑に進むことが期待できます。
複数あるなかからマッチング度の高い候補を絞り込むためにも、自社のニーズに合った開発分野に強い会社を選びましょう。
対応できる契約形態・開発形態も確認する
そのオフショア開発会社が対応している契約形態や開発形態も重要なチェック項目です。
契約形態であれば、請負契約やラボ型契約、SES契約、B-O-T方式など、開発手法であればウォーターフォールやアジャイル、ハイブリッドなど、事細かにチェックしましょう。対応できる契約形態や開発形態に制限があると、納期や成果物の完成度などにも影響を与える恐れがあります。自社の案件に最適な契約形態と開発形態に対応している開発会社を選びましょう。
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まとめ
オフショア開発の委託先として近年人気なのはベトナムやフィリピン、インドです。文化的な相性や使用言語、技術力など、自社の案件に適した国を選んだうえで、技術力、日本語コミュニケーション能力、エンジニアの在籍人数などを考慮してオフショア開発会社の候補を絞り込み、自社の予算や要件を含めたニーズに最適な企業を選びましょう。
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