多くの企業が直面する「業務の属人化」。その解消のために業務システムの改善を試みるものの、期待した成果が得られないケースは少なくありません。なぜ、業務システムの刷新は一筋縄ではいかないのでしょうか。
Sun*は、システム改善を阻む本質的な課題を整理し、現場に定着し、かつ事業成長に寄与するシステムへと変えるための「3つの鉄則」を、成功事例を交えて解説するウェビナーを実施しました。
目次
登壇者プロフィール
宇都宮 俊 株式会社Sun Asterisk C&E Evangelist
新卒でベトナムに渡り、以来一貫してベトナムに深くかかわり続け、現在に至るまで豊富な経験を積む。前職では、ホーチミンに拠点を持つオフショア開発企業に約8年間勤務し、日本側の法人営業を担当。主に、オフショア開発を経営戦略の一環として活用するSIerや、内製化を進めるユーザー企業の情報システム部門との取引を手掛け、顧客との関係性構築を担った。ベトナムの市場や魅力はもちろん、エンタープライズ系SIerの抱える課題解決を得意領域としている。
長田 拓也 株式会社Sun Asterisk Principal Director / Account Manager
東北大学理学部卒業後、学習塾塾長、キャリアコンサルタントを経て、EdTechスタートアップにて日本初の電子参考書サブスク事業を立ち上げ、事業責任者としてPdM・チームマネジメントに従事。その後、GovTechスタートアップの事業開発を経て、Sun*に入社。新規サービスデザインや基幹システム開発のPM、セールス/アカウントマネジメント業務を担当している。
加藤 聖奈 株式会社Sun Asterisk C&E Designer
2019年10月にデザイナーとしてSunにジョイン。前職ではBtoBソフトウェア開発に従事し、業務アプリやSurface Hubなどの大型タッチモニターのUIデザインを担当。Sun*に入ってからはUXデザインやディレクションなど活躍の幅を広げる。UIは年配者向けや、分かりやすい画面UIのデザインが得意。リードデザイナーとして要件整理や情報設計、UIデザインを担当し、プロジェクトにおけるデザインチームの進行管理やメンバーマネジメントも行う。
業務システム改善を阻む3つの課題
業務システムの改善プロジェクトが迷走する背景には、3つの構造的な要因が存在します。
課題①現場の要求を拾いきれない
システム改善の一歩目として、現場に対し業務フローのヒアリングを行っても、真のニーズを拾いきれないことが多々あります。これには3つの理由があります。
- 現場の暗黙知: 現場には「マニュアルにはないが、こうすればミスが減る」といった独自のノウハウが常態化していることがあります。担当者が無意識に行っていることが多いため、定型的なヒアリングでは具現化しないことがあります。
- 部門間の「言語」の違い: 現場の「使いやすくしてほしい」という抽象的な要望と、IT部門の「技術的な実現可能性」という視点の間には大きな隔たりがあり、現場のニーズを正確に要件に落とし込むハードルを上げています。
- リソースの不足: IT部門の人材不足により、じっくりと現場の動きを「観察」する時間が取れず、表面的なヒアリングになってしまいます。
課題②応急処置の連続による「ハウルの城」状態
現場が独自に業務効率を追い求めた結果、全体像を描けないまま市民開発が繰り返され、負債が溜まってしまうという状況も散見されます。

課題③ステークホルダーごとに目指すゴールが異なる
経営層、IT部門、現場。それぞれの立場によって、システムに求める期待値が異なります。
- 経営層: 投資対効果(ROI)や生産性向上を重視。
- IT部門: 運用の安定性、セキュリティ、技術負債の解消を重視。
- 現場: 「今の自分の作業」がいかに楽になるかを重視。
これらのゴールが整理されないままプロジェクトが進むと、声の大きい部署の要望が優先され、全体最適から遠ざかってしまうことにつながります。
業務システムを”あるべき姿”に変えるための3つの鉄則
これらの課題を突破し、属人化から脱却するための「3つの鉄則」を紹介します。

鉄則1:業務レベルではなく「人」レベルで現場を観察すべし
業務システムの改善プロジェクトを成功させる近道は、業務フローという「仕組み」だけを見るのではなく、その上で動く「人の行動」を理解することです。
- ボトルネックの特定: 実際に操作している現場に立ち会うことで、ヒアリングでは見えなかった真のボトルネックの特定ができます。
- 小さな迷いの積み重ねが大きなロスになる: 数秒の「小さな迷い」の積み重ねが、組織単位で見ると膨大な生産性の損失を生んでいます。
- 無意識の癖に潜むヒント: 無意識にしている行動の中にも、改善すべき根本原因が隠れています。
Sun*では、現場訪問をはじめ、ステークホルダーマップの作成など、ユーザー中心のプロセスで現場の声を吸い上げ、念入りにリサーチを行ったものを設計に反映しています。

業務プロセス改善の一歩目を踏み出す上で持つべき3つの視点は誰に(優先すべきペルソナ)」、「何を(体験のゴール)」、「どのように(ゴールや方針、優先順位が整理されているか)」です。

鉄則2:全体像を描き、守る領域と攻める領域を明確に分けるべし
全ての業務を同じようにシステム化するのではなく、戦略的な「領域分け」が必要です。
- 標準化領域(守り): バックオフィスなどの汎用的な業務は、システム側の標準機能に合わせる「Fit to Standard」を徹底し、運用コストを最小化します。
- 差別化領域(攻め): 顧客接点や企業独自の強みとなる業務は、スクラッチ開発で自由度を確保し、俊敏な進化を可能にします。
どこまでを守り、どこまでを攻めとするかは、「業務の独自性/複雑度」と「業務変化の頻度・スピード」という2軸の判断基準を設けることで、納得感のある線引きが可能になります。

鉄則3:優先度を決めて「小さく試す」べし
いきなり完成形を目指すのではなく、小さく形にして早く共有することが、リスクを最小限に抑える鍵となります。
- プロトタイプによる合意形成: 抽象的な議論ではなく、実際の画面イメージ(モックアップ)を用いて議論することで、認識のズレを早期に発見できます。
- フィードバックの反映: 現場の気づきを反映しながら優先度の高い部分から改善を進めることで、後戻りを防ぎつつ、価値の高いシステムに育て上げることが可能です。
まとめ
業務システムの改善は、単なるツールの導入ではなく「業務そのものの再設計」です。
- 人:現場を深く観察し、体験を設計する。
- 全体:守りと攻めの領域を分け、戦略的に投資する。
- 対話:プロトタイプを通じてステークホルダーの認識を揃える。
この3つの鉄則を守ることで、属人化を脱却し、変化に強い組織基盤を築くことが可能になります。
Sun*は、500社1,000プロダクト以上の支援実績から、業務システム改善を上流から下流まで一気通貫でサポートします。属人化の解消やDX推進にお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。