Sun*の内定式では、新卒デザイナーが中心となり、ノベルティとワークショップを制作しています。
今回は、参加者同士が交流しながら、未来のビジョンを描けるようどんな仕掛けがあったのか、実施したワークショップの制作プロセスをご紹介します。
2025年内定者向けのノベルティ制作の記事はこちらをご覧ください。
目次
ワークショップ概要
今年のワークショップは「Challenge The Growth」という内定式全体のコンセプトに沿って実施しました。内定者は、先輩社員が入社後に挑戦した体験談と自分がこれまでやる気が出た経験を踏まえて、入社時の自分へのメッセージとして、入社後に挑戦したいことを言葉とステッカーで表現しました。
自分へのメッセージは、「驚かす!」といったシンプルなものから、「怠け癖がひどいので、同志とリフレクションできる環境と外の領域を(実務もアカデミックも)知る環境を自主的につくって、組織内外の方に手厚いケアができるようになる!」と具体的で詳細なものまで、内定者37名がそれぞれ自分なりの言葉で表現しました。
結果的に、ワークショップ後の満足度に関する匿名式のアンケート(回答者数 32名/37名)では、最も高い満足度である「7」を選んだ人の割合が約60%で、「6」を選んだ人も合わせると全体の84.4%と、全体的に満足度の高いものになったと思います。
ワークショップ後の満足度アンケート結果
ワークショプの目的
人事の新卒採用チームが考えた「Challenge The Growth」という今回の内定式全体コンセプトの狙いは2つありました。1つは、「Sun*のCoreValueを訴求し、Sun*の一員となる自覚を高めていく」、もう1つは「Sun*に入社後の成長イメージを具体化させることで、入社に向けてのモチベーションを高めていく」でした。ノベルティも新卒デザイナーが制作を担当しており、内定式のコンセプトを踏まえて、「自分のワクワクを信じて一緒に飛び込もう!」を伝えたいメッセージとして設定していました。
ワークショップの目的
それらを踏まえて、今年のワークショップは、内定式をSun*の一員となる最初のイベントと捉えて、「入社後にどんなことに挑戦したいかを考える」ことを目的としました。
ワークショップの制作プロセス
昨年度のワークショップの分析
昨年のワークショップでは、主に入社までの目標に着目していましたが、今回のワークショップは入社後に着目しました。そして、入社後にワークショップを設計するための方向性として「CoreValue(企業が重要視する価値観)を自分ごと化する」と「Sun*での成長イメージを明確にする」の2つの項目を決めました。
昨年のプロセス目標との比較
ワークショップアクティビティの事例調査
人事の新卒内定チームが、事前に決めていたタイムスケジュールに沿って、以下のカテゴリに分けて、どのようなアクティビティがあるのかをデスクトップリサーチを行いました。
1. 自己紹介
2. グループワーク (聞いた話を共有)
3. 個人ワーク (入社時のありたい姿と成長させたい項目を整理)
4. 3でやった内容をグループでシェア(プレゼンとリフレクション)
5. ワークショップ後
初期のタイムスケジュール
カテゴリごとに分けたアクティビティ調査結果
ワークショップアクティビティの検討
2つの方向性である「CoreValueを自分ごと化する」と「Sun*での成長イメージを明確にする」を達成するために、調査やディスカッションの結果候補に挙がったアクティビティを何通りも組み合わせて、ワークショップの一連の流れを考えていきました。
アクティビティの初期検討
以下の3つの観点に注意して、初期のワークショップアクティビティ案を出していきました。
- 「CoreValue理解」と「自己成長の明確化」の両方の機会を入れる
- 自己成長の明確化をする上で、具体的なスキルまで考える
- 創作系のアクティビティは選択式にして個人の表現力の差を少なくする
初期のワークショップアクティビティ案
しかし、人事の新卒内定チームや他のデザイナーからは、3つの観点に関して下記のような指摘がありました。
- 「CoreValue理解」と「自己成長の明確化」の両方の機会を入れる
→ ワークが交互になって複雑になってしまっているので、シンプルにする
- 自己成長の明確化をする上で、具体的なスキルまで考える
→ 内定者は短時間で仕事で何をすることになるのか理解し切れないので、スキルより意識的なことを考えるようにする
- 創作系のアクティビティは選択式にして個人の表現力の差を少なくする
→ 1つだけ選ぶのではなくもう少し自由度を持たせる
また、そもそも内定者目線で「堅苦しいことを考えるより、同期の体験談を聞くのが楽しかった」という意見もあり、同期同士が話し合って打ち解けられることも重要だということを再認識しました。
ワークショップ計画の完成
このように、検討案に対してフィードバックをもらいながら、ワークショップの設計を進めていきました。そして、1グループ4-5人で、ワークショップアクティビティの流れは以下のようにしました。
0. 自己紹介
1. 若手社員によるパネルディスカッション
2. グループディスカッション – 成長に大事なものとは?-
3. 個人の成長イメージの具体化
4. 成長イメージのシェア
5. 自分へのメッセージ
そして、2回のリハーサルと改善を経て、最終的なワークショップ計画が完成しました。リハーサルと改善についてはこちらの記事をご覧下さい。
<記事のURL>
改善前のワークショップ計画
最終的なワークショップ計画
制作物
グループワークシート
A1の用紙に、ワーク中にも目立たない程度の薄いグレーで、ノベルティで使った滑らかにループする図形を散りばめたデザインにしました。
グループワークシート
個人ワークシート
3枚のA4サイズの用紙に、ノベルティの図形を目一杯背景にしました。
ステッカー
A4のステッカーシートに、赤・オレンジ・黄のグラデーションの10種類のノベルティの図形と*のマークをバランスよく配置しました。
カード
名刺4号サイズの表面には、キービジュアルと同様のグラデーション背景とロゴをあしらい、自分へのメッセージを書けるスペースを設けました。
当日の様子
内定式の当日は、昼過ぎから以下のようなスケジュールでワークショップを実施しました。
1. 先輩社員によるパネルディスカッション(40分)
2. 先輩社員の話についてグループディスカッション(20分)
3. 入社後のイメージ具体化のためにワークシート記入(30分)
4. ワークシート記入内容の確認(20分)
5. 入社時の自分へのメッセージカードを作成(10分)
1. 先輩社員によるパネルディスカッション(40分)
まずパネルディスカッションでは、ビジネスデザイナー、デザイナー、エンジニア、プロジェクトマネージャのそれぞれの異なる職種の4名の若手社員が、「内定時期にしていたこと」「入社してから挑戦してきたこと」「ちょっと苦しかったこと」「それを乗り越えてできるようになったこと」など、入社前から入社後のイメージが想像できるようなテーマについて、実体験を元に語りました。
パネルディスカッションでのスピーカーの様子
先輩からの話の中で、内定者が印象的だと思ったポイントを付箋にメモしました。
2. 先輩社員の話についてグループディスカッション(20分)
4-5人グループに分かれて、書いてもらったメモをもとに、なぜそれが印象的だったのかを活発に話し合いながら、それぞれのグループワークシートにメモを貼って整理しました。Creative・Business・Engineerと3つの職種にごとにグループ分けしていたのですが、グループごとにまとめ方に特徴が出ていました。みなさんは、どのシートがどの職種か分かるでしょうか?
グループワークの様子
各グループのワークシート
3. 入社後のイメージ具体化のためにワークシート記入(30分)
グループワーク後は、うってかわって、黙々と個人の成長イメージを具体化するために3枚の個人ワークシートに、グループワークシートの内容を踏まえた上で、「やる気が出たエピソード」「やる気が出る時の共通点」「入社後にやる気を持って取り組みたいこと」と順に記入してもらいました。
個人ワークシート記入の様子
4. ワークシート記入内容の共有(20分)
その後、3-4人グループに分かれ、各自に書いてもらったワークシートの内容をもとに、どんなことがやりたいのか、またどのようにその考えに至ったのかについて、座談会を行なってもらいました。
ワークシートの内容を共有している様子
5. 入社時の自分へのメッセージカードを作成
座談会後は、再び個人ワークに戻り、これまで考えて話し合った内容をもとに、自分へのメッセージをカードに書く時間にしました。また、ノベルティのステッカーを、カード裏に自由に切り貼りしてもらいました。
入社時の自分へのメッセージを記す様子
ステッカーをカードに貼る様子
最後に、自分へのメッセージカードをノベルティのパスケースに入れました。入社式に持ってきて見返した時に、この場で考えた内容を思い出してくれればいいなと考え、用意しました。
カードをパスケースに入れる様子
ワークショップのまとめ
内定者には、ワークショップ後のアンケートで、定量評価として「満足度」「理解度」「難易度」「参加者同士の交流」と4つの指標で段階評価をしてもらいました。その結果、高い満足度・理解度・意見交換の十分さ、適切な難易度で行えたワークショップであったことが分かります。
また、印象に残ったセッションやワークに関する質問では、ワークに関する様々な要素があったものの、約30%もの人がパネルディスカッションでの先輩社員の話に言及しており、実際の体験談は効果的なのだと思いました。
一方で、意見交換やワークに関する改善点として、以下のような意見がありました。
- 初めにカジュアルなゲームがあったらいい
- 他のテーブルのメンバーとも話したかった
- ワークシート2とワークシート3の関連付けが難しかった
- やる気が出る時の共通点を3つあげるのが少し難しかった
ゲームや他のメンバーとの話し合いなど、時間的な制約により難しいところもありますが、ワークに関する部分はより分かりやすさを追求する余地はまだまだあります。
これからも、新卒のデザイナーを中心に内定式のワークショップを毎年実施するにあたって、内定者の満足度をより高めていきたいと思わせられる結果となりました。