Voices

TOP

>

Voices

第4回:新規事業×生成AIの方法論 ~組織アセットの「フロー知能化」と、AI時代における新規事業の本質とは?~

更新日: 2026年9月29日

第4回:新規事業×生成AIの方法論 ~組織アセットの「フロー知能化」と、AI時代における新規事業の本質とは?~

 

記事のポイント(要約)

① 新規事業のヒントは、新しく外部から集める情報だけでなく、すでに社内に蓄積されている情報の中にもあります。 過去の企画書、顧客の声、技術資料、社員のノウハウなどを横断して活用することで、「なぜ自社がこの事業をやるのか」を考える材料になります。

② 社内に散らばる情報をAIが参照できる知識基盤としてまとめることで、個人に閉じていた知見を「組織知」として再利用しやすくなります。 本セッションでは、この仕組みを「Organization Brain」と呼び、NotebookLMを活用した構築方法が紹介されました。

③ AIが新規事業開発を高速化しても、目的を決めること、一次情報に触れること、根拠を確認すること、最終的な意思決定と責任を担うことは人間の役割です。 AI時代だからこそ、「何を成し遂げたいのか」というWillと、人間とAIの役割分担がより重要になります。

「過去の企画書や技術資料は大量にあるものの、新しい事業の検討にはほとんど活かされていない」「生成AIを使いたいが、ハルシネーションや情報セキュリティが気になり、戦略立案や意思決定には使い切れていない」。

新規事業に生成AIを取り入れようとすると、こうした課題に直面します。

AI時代の新規事業開発で重要なのは、個人がAIをうまく使うことだけではありません。社内に蓄積されてきた一次情報や知見を、AIが参照できる「組織知」へ変え、人間が目的と最終判断を担いながら再利用できる仕組みをつくることです。

Sun Asteriskが2026年5月13日に開催した「第4回:新規事業×生成AIの方法論 〜AIを活用した自社アセットの組織知化と、AI時代における新規事業の本質〜」では、全4回シリーズの総仕上げとして、個人のAI活用を組織へ広げる考え方と、AI時代にも変わらない新規事業開発の本質を整理しました。

本記事では、その内容をもとに、社内に眠る情報を新規事業へ活かす方法、「Organization Brain」の考え方、NotebookLMの活用、AIサービス導入時のセキュリティ、ハルシネーション対策、そして人間が担うべき役割について解説します。

※本記事は2026年5月13日時点の講演内容をもとに構成しています。生成AIサービスの名称、機能、料金、セキュリティ条件などは変更される可能性があります。具体的な利用条件は、利用時点の公式情報および自社の情報セキュリティ規程をご確認ください。

新規事業への生成AI活用で企業が抱えやすい4つの課題

登壇者プロフィール

株式会社Sun Asterisk
AI Strategist & Business Designer
山内 怜史(やまうち さとし)

ITコンサルティングファームのフューチャーアーキテクトに新卒入社。ITコンサルタントとして、ビジネス×IT戦略に関する約40案件をPL/PMとして推進。

その後、リクルートで10→100フェーズの事業戦略、営業戦略、商品戦略、新規事業開発を担当し、取引高200億円規模のWebサービスの事業責任者を務めた。

現在はSun AsteriskのBusiness Designerとして、様々な業種・業態の新規事業開発を支援。最新の生成AI技術と実際のクライアント支援をもとに「新規事業×生成AIの方法論」を体系化し、新規事業と生成AIの専門家として活動。

① AI時代の新規事業で、なぜ「組織知」が重要なのか

生成AIの活用を個人のスキルだけに留めると、AIの使い方だけでなく、事業検討で得た知見そのものも個人に閉じてしまいます。AI活用を組織の力へ変えるには、社内に蓄積された情報と判断の文脈を、再利用できる状態にする必要があります。

本シリーズの第1回から第3回では、AIを「思考のパートナー」として使う方法、動くプロトタイプによる検証の高速化、新規事業の検討プロセスを記録・資産化する方法などを扱ってきました。

第4回で焦点を当てたのは、その先です。

個人がAIを使えるようになったとしても、その人の頭の中やチャット履歴だけにノウハウが残っていては、組織全体の新規事業開発力にはつながりません。

一方、企業の中を見渡すと、新規事業に活用できる可能性のある情報はすでに大量に存在します。

過去の企画書、失敗した事業の検討資料、顧客との商談記録、ユーザーインタビュー、研究開発資料、社員のノウハウ、経営会議の議事録などです。

これらを単なる「保管資料」として残すのではなく、必要なときに検索し、文脈を横断し、新しい問いに対する判断材料として使える状態へ変えることが、AI時代の組織知化のポイントです。

つまり、目指すのは「AIを使える人を増やすこと」だけではありません。

企業がこれまで積み重ねてきた経験そのものを、次の新規事業へ再利用できる仕組みに変えることです。

② 「なぜ自社がやるのか?」に答えられる新規事業にするには

企業内で新規事業を進める以上、アイデアの魅力だけでなく、「なぜこの会社がやるのか」「自社だからこそ勝てる理由は何か」を説明できることが重要です。その答えをつくる材料の一つが、自社に蓄積されてきたアセットです。

新規事業の起点は、担当者自身の原体験や課題意識であっても問題ありません。

しかし、検証が進み、投資額や必要なリソースが増えていくと、社内ではいずれ「なぜこの事業をわが社がやるのか」「本当にやるべきなのか」「実行できるのか」という問いが出てきます。

ここで十分な説明ができなければ、「良いアイデアだが、自社がやる事業ではない」と判断される可能性があります。

反対に、顧客基盤、これまでの事業経験、独自技術、社内人材、過去の失敗や学びなどと新規事業を結びつけられれば、自社だからこそ実行する意味を説明しやすくなります。

経営戦略と新規事業をつなぐためにも、「自社には何があるのか」を発見し直すことが必要です。

③ 新規事業の種になる「4つの社内アセット」とは

新規事業に活用できる社内資産は、大きく「事業・企画」「顧客・市場接点」「開発・技術」「組織・人財」の4種類に整理できます。重要なのは、成功した資料だけでなく、失敗した企画や途中で止まった検討も含めて資産として捉えることです。

アセット 主な情報 新規事業での意味
事業・企画アセット 過去の企画書、新規事業の検討資料、成功・失敗事例、アライアンス検討資料 当時成立しなかった事業も、市場環境や技術が変われば再評価できる
顧客・市場接点アセット 商談議事録、カスタマーサポート履歴、ユーザーインタビューの生データ、市場・競合調査 顧客が実際に困っていることから、新規事業の「問い」を見つける材料になる
開発・技術アセット 技術資料、研究開発資料、研究論文 以前はコストや技術上の制約で実現できなかった構想が、現在なら成立する可能性がある
組織・人財アセット 社員のノウハウメモ、退職者の引き継ぎ資料、営業の日報・週報、経営会議の議事録 個人の経験に依存して消えやすい思考や判断を、組織の資産として残せる

特に重要なのが、成功した情報だけを集めないことです。

「なぜ当時その企画をやめたのか」「どの仮説が外れたのか」「どの顧客から、どのような反応があったのか」といった情報は、現在の環境で見直したときに重要なヒントになることがあります。

新規事業の資産とは、完成した成果物だけではなく、そこへ至るまでの思考や意思決定の履歴も含むのです。

新規事業の種となる事業企画・顧客市場・開発技術・組織人財の4つの社内アセット

④ Organization Brainとは?社内資産をどう組織知に変えるのか

Organization Brainとは、社内に散在する複数のアセットをAIが参照できる知識基盤としてまとめ、問いかけに応じて情報同士の文脈をつなぎ、自社固有の仮説や示唆を引き出すための考え方です。

これは、本セッション内で山内が提示した方法論です。

過去の企画書を一つ読む。顧客の声を一つ読む。研究開発資料を一つ読む。

それぞれを単体で見ても、新しい事業アイデアにつながるとは限りません。

しかし、複数の情報を横断して見ると、これまで結びついていなかった事業経験、顧客課題、技術、人材の間に接点が見つかる可能性があります。

そこで、4つのアセットをAIが参照できる状態にし、例えば次のような問いを投げます。

自社が保有しているアセットを使って、この市場課題を解決できる事業アイデアはありますか?

すると、一般的な市場情報だけではなく、自社が持つ顧客接点、過去の事業、技術、組織の知見を材料として、仮説を考えられるようになります。

ここで重要なのは、AIへ自社情報を「学習させて独自モデルを作る」という意味に限定しないことです。

必要な社内情報を、AIが必要なときに参照できる状態へ整え、「自社についての文脈を踏まえて考えられる環境」をつくることが本質です。

4つの社内アセットを集約してOrganization Brainを構築するイメージ

⑤ なぜOrganization BrainにNotebookLMを活用するのか

講演では、Organization Brainを手軽に構築する選択肢としてGoogleのNotebookLMが紹介されました。理由は、参照する情報源をコントロールしながら、複数の社内資料を横断して問いを投げられるためです。

NotebookLMでは、ユーザーが指定した資料を情報源として活用できます。

新規事業の組織知化と相性がよい理由は、大きく3つあります。

理由 新規事業でのメリット
情報源をコントロールできる 指定した社内資料を基盤に問いを立てられるため、「自社の情報を踏まえて考える」環境をつくりやすい
複数の資料を横断できる PDF、ドキュメントなど複数のソースから関連する情報を探し、質問に応じて整理できる
対話しながら深掘りできる 最初の回答だけで終わらず、「なぜそう言えるのか」「別の組み合わせはないか」と追加で問いを重ねられる

講演では、こうした仕組みを「RAG(検索拡張生成)を手軽に利用する」感覚として説明しています。

RAGとは、AIが回答を作る際に、指定された文書群などから関連する情報を検索・参照し、その情報をもとに回答を生成する仕組みです。

企業が独自のRAG環境をゼロから構築する場合はシステム設計やエンジニアリングが必要になることもあります。一方、NotebookLMのようなサービスを使えば、まずは社内資料を限定的に集めた小さな知識基盤から試すことができます。

ただし、ソースを限定したからといって、回答が必ず正しいわけではありません。

元資料の解釈を誤る可能性や、そもそも登録した資料自体が古い・誤っている可能性もあります。重要な判断では、回答だけでなく引用元の原文まで確認してください。

⑥ 生成AIを組織で使うとき、セキュリティと責任をどう考えるか

社内情報を生成AIへ渡す場合は、「便利かどうか」より先に、入力データがどのように扱われるかを確認する必要があります。そして、AIが出した結果を採用する最終責任は人間が持ちます。

講演では、新しい生成AIサービスを企業で使う際の重要事項として、オプトアウト設定の有無やエンタープライズ向けプランの利用、情報セキュリティ担当者による確認が挙げられました。

ただし、データの扱いはサービスや契約プランによって異なります。

実際に導入するときは、「エンタープライズプランなら安全」「オプトアウトがあれば問題ない」と一律に判断するのではなく、少なくとも次の項目を確認する必要があります。

確認項目 確認する内容
モデル学習への利用 入力したデータがモデル改善・学習に使用される条件は何か
データ保持 入力データや履歴が保存されるか、保存期間や削除方法はどうなっているか
アクセス権限 誰がどの情報へアクセスできるのか、管理者側で制御できるか
扱ってよい情報 機密情報・個人情報などについて、自社規程上どこまで入力可能か
社内承認 情報システム・情報セキュリティ・法務など必要な承認を得ているか

そして、もう一つ重要なのが「AIが出したから正しい」と判断しないことです。

AIは情報整理や選択肢の提示を支援できますが、事業としてその案を採用するか、投資をするか、顧客へ提供するかを決めるのは人間です。

AIへ任せる範囲が増えるほど、人間には「何を任せ、何を確認し、最終的に何を採用するか」を決める責任が残ります。

⑦ AIツールは一つに統一するべき?「ツール・オーケストレーション」とは

すべての仕事を一つのAIサービスで完結させる必要はありません。目的に応じて、思考、探索、可視化、実装など、それぞれ得意なAIを組み合わせる考え方が「ツール・オーケストレーション」です。

生成AIサービスは、それぞれ得意領域が異なります。

アイデアを壁打ちしたいとき、Web上の情報を調査したいとき、図やデザインとして可視化したいとき、動くプロトタイプを作りたいときでは、最適なツールが同じとは限りません。

講演では、AI活用を大きく次の4領域に分けています。

領域 主な用途
思考 壁打ち、論点整理、仮説構築、批判的検討
探索 市場調査、競合調査、情報収集、ファクトチェック
可視化 図解、デザイン、資料化、イメージの具体化
実装 コーディング、プロトタイプ制作、検証用アプリの作成

重要なのは、「最強のAIはどれか」を決めることではありません。

今やろうとしている仕事は何かを明確にし、その目的に合うAIを選ぶことです。

新しいAIサービスの価値を判断する方法として、登壇者は「気になるサービスは期間を区切って実際に有料で使ってみる」という自身の実践方法も紹介しています。

これはすべてのサービスへ無条件に課金するという意味ではありません。企業利用であれば購買ルールやセキュリティ条件を確認したうえで、一定期間試し、削減できた時間や成果物の品質などから継続利用を判断する方法です。

⑧ AIのハルシネーションにはどう対処するのか

ハルシネーション対策で重要なのは、AIに「間違えないように」と指示することではなく、根拠へたどれる仕組みと、複数の情報を比較する検証プロセスを用意することです。

講演では、大きく2つの方法が紹介されました。

引用元をたどって一次情報を確認する

一つ目は、回答に情報源が表示されるAI検索サービスを使い、根拠を追う方法です。

例として紹介されたPerplexityは、回答とあわせて引用元を表示するため、どのWebページを根拠にしたのかを確認できます。

ただし、引用が付いていることと、回答内容が正しいことは同じではありません。

引用先のページを開き、「本当にその内容が書かれているか」「発信者は信頼できるか」「いつの情報か」「AIの解釈が元情報からずれていないか」を人間が確認します。

複数のリサーチ結果を比較する

二つ目は、同じ調査テーマを複数のAI・Deep Researchへ依頼し、結果を比較する方法です。

同じ問いに対して結果が一致していれば確認材料になります。一方、数字や結論が異なっていれば、そこが重点的に検証すべきポイントです。

ただし、複数のAIが同じ誤情報や二次情報を参照する可能性もあります。

複数のAIで一致したから正しい、と判断するのではなく、「差分を見つけるためにAIを使い、最後は一次情報で確かめる」ことが重要です。

⑨ AI時代でも変わらない新規事業開発の本質とは

AI時代になっても、新規事業開発の本質は「人の営み」です。AIはスピードとアウトプットの質を高められますが、「何を成し遂げたいか」を持ち、現場で一次情報に触れ、最後に判断する役割は人間に残ります。

生成AIによって、調査、分析、資料作成、プロトタイプ制作などに必要な時間は大きく短縮できるようになっています。

その結果、これまでトレードオフになりやすかった「速く進めること」と「多くの仮説を検証すること」を両立しやすくなりました。

一方で、AIが存在するだけで新しい事業が生まれるわけではありません。

「この課題を解決したい」「この顧客に価値を届けたい」「自分たちの会社でこれを実現したい」というWillは、人間が持つものです。

また、新規事業のインサイトは、整理された要約だけから生まれるとも限りません。

顧客が言い淀んだ瞬間、想定外の使い方、現場で感じた違和感、失敗した検証など、一次情報に直接触れたからこそ分かることがあります。

だからこそ、AIへ作業を任せられる範囲が広がったとしても、人間が一次情報から離れてよいわけではありません。

シリーズ第1回で紹介された「10:80:10の法則」も、この役割分担を表しています。

比率 主体 役割
前半10% 人間 Will、目的、問い、方向性を決める
80% AI 調査、整理、展開、制作などを高速化する
後半10% 人間 検証し、判断し、責任を持って意思決定する

AIによって「作業」は大きく変わっても、「何のために行うのか」と「その結果をどう判断するのか」は、人間の仕事として残ります。

AI時代でも新規事業開発のWillと最終判断は人間が担うという考え方

⑩ 全4回で見えてきた「AI時代の新規事業開発」とは

全4回を通して見えてくるのは、AIを単発の効率化ツールとして使うのではなく、「思考」「検証」「記録」「組織知化」をつなげ、新規事業の仮説検証サイクル全体を強化するという考え方です。

4回の内容を整理すると、次のようにつながります。

テーマ AIの役割 ポイント
思考 思考のパートナー 人間が問いを立て、AIを疑い・導きながら仮説を磨く
検証 実装・制作の加速 動くプロトタイプを早く作り、ユーザーや経営層との議論を具体化する
記録 思考プロセスの資産化 一次情報や意思決定の履歴を残し、Project Brainとして再利用する
組織知 社内アセットの横断活用 複数のプロジェクト・顧客・技術・人材の知見をOrganization Brainとして次の事業へつなぐ

このサイクルが回ると、新しいプロジェクトを始めるたびに「ゼロから考える」のではなくなります。

過去の思考や一次情報が次の検討へ引き継がれ、そこで得られた新しい学びが再び組織のアセットとして蓄積されていきます。

個人のAI活用を組織の能力へ変え、組織の経験を次の事業へ循環させる。これが、第4回までを通じて示されたAI時代の新規事業開発の一つの姿です。

思考・実装検証・プロセス記録・組織知化からなる新規事業×生成AIの方法論

よくある質問

Organization Brainとは何ですか?

社内に散在する企画書、顧客情報、技術資料、人材の知見などをAIが参照できる状態にし、自社固有の文脈を踏まえて新規事業の仮説や示唆を考えるための知識基盤という考え方です。

本セッション内で山内が提示した名称であり、特定のAI製品そのものを指す言葉ではありません。

Organization BrainとRAGは同じものですか?

同じものではありません。Organization Brainは新規事業のために組織知を活用する考え方で、RAGは指定した情報を検索・参照してAIの回答に活かす技術的な仕組みの一つです。

Organization Brainを実現する方法として、RAGを使った独自システムや、ソースを指定して利用できるAIサービスなどが考えられます。

NotebookLMに社内の機密情報を入れても問題ありませんか?

サービス名だけで判断せず、自社の契約プラン、データ利用条件、アクセス権限、社内規程を確認したうえで利用してください。

企業利用では、情報セキュリティや法務など必要な担当者の確認を受け、入力可能な情報の範囲を決めておくことが重要です。

AIの回答に引用元が付いていれば、ファクトチェックは不要ですか?

いいえ。引用元は検証をしやすくするための手掛かりであり、回答そのものの正しさを保証するものではありません。

重要な情報は元ページを開き、発信者、公開時点、原文の内容、AIの解釈との整合性まで確認してください。

新規事業開発では、AIにどこまで任せればよいですか?

調査、整理、比較、資料化、実装などはAIへ任せられる範囲が広がっています。一方、目的設定、一次情報からの洞察、採用する仮説の判断、最終的な意思決定と責任は人間が担います。

最初から固定的な分担を決めるのではなく、AIの能力や業務リスクに応じて任せる範囲を更新していくことが重要です。

まとめ:個人のAI活用を「組織の知」に変える

AI時代の新規事業開発で大切なのは、AIを使って作業を速くすることだけではありません。これまで社内に蓄積されてきた情報と経験を再利用できる状態にし、新しい事業の問いへつなげることです。

本記事のポイントを整理します。

  • 過去の企画、顧客の声、技術、人材の知見は、新規事業の重要なアセットになる
  • 「なぜ自社がやるのか」を考えるには、自社固有の経験や強みとの接続が必要
  • Organization Brainは、社内アセットをAIが横断して参照できる組織知に変える考え方
  • NotebookLMのようなソースベースのAIは、小さく組織知化を試す選択肢になる
  • 企業でAIを使う場合は、学習利用、データ保持、アクセス権限、社内承認を確認する
  • 引用元の確認や複数リサーチの比較によって、ハルシネーションを検証する
  • AIが担えるのはスピードと品質向上。Will、一次情報、最終判断と責任は人間が担う

AIによって、新規事業を考える・調べる・作るスピードは今後も変化していくでしょう。

一方で、「自分たちは何を実現したいのか」「なぜ自社が取り組むのか」「顧客は本当に何に困っているのか」という問いそのものが不要になるわけではありません。

AIを使って人間の思考を置き換えるのではなく、AIによって生まれた時間と能力を、より深く問い、一次情報に触れ、意思決定することへ振り向ける。

個人の武器として始まったAI活用を、プロジェクトの知へ、そして組織の知へ広げていくことが、AI時代の新規事業開発を前進させる一つの方法になるでしょう。

Sun AsteriskのAI・新規事業開発支援について

Sun Asteriskは、Business、Creative、Technologyの3つの視点から、事業構想、サービスデザイン、プロトタイプ・MVP開発、システム開発、事業グロースまで一気通貫で支援しています。

AIを前提とした新規事業の進め方を設計したい、アイデアを短期間でプロトタイプにしたい、個人のAI活用をチームや組織へ広げたいといった課題についても、事業とプロダクトの両面から伴走します。

【新規事業相談はこちら】

  • 新規事業・プロダクト開発支援の詳細を見る
  • AI活用・新規事業開発について相談する

参照情報

イベント詳細 / Event Details

イベント名 第4回:新規事業×生成AIの方法論
「AIを活用した自社アセットの組織知化と、AI時代における新規事業の本質」
開催日時 2026年5月13日
登壇者 株式会社 Sun Asterisk
山内 怜史 AI Strategist & Business Designer
参考・出典
  • 方法論 人とAIの共創黄金比「10:80:10の法則」
  • 概念 RAG(検索拡張生成)
  • 概念 ハルシネーション
  • Web Google NotebookLM
  • Web Perplexity
編集・監修 Sun Asterisk 編集部

※本記事内で紹介するAI製品・機能・UI・利用条件等は変更される可能性があります。公開時点の最新情報については、各社の公式情報をご確認ください。