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技術を机上で終わらせない―30年の知見を武器に、ベトナムの精鋭チームと実現するAIの社会実装

更新日: 2026年3月24日

技術を机上で終わらせない―30年の知見を武器に、ベトナムの精鋭チームと実現するAIの社会実装

「スイーツ店のメニューを端から端まで食べ尽くすように、あらゆる可能性を体験したい」。そんな言葉で未来を語るのは、2025年にSun*のシニアデータサイエンティストとして入社した新田です。

新田は、グラフ構造の専門家として富士通研究所やヤフージャパン研究所などでキャリアを築いてきました。彼を突き動かしたのは、ChatGPTの登場による衝撃と、自身の専門領域であるグラフ技術とLLMを組み合わせて生まれる社会実装に、自らが関わりたいという渇望でした。ベトナムの精鋭AIチームと共に、あらゆる業界の多様な課題に取り組む。Sun*に流れるポジティブな熱量と、社会実装の最前線で味わえる充実感の正体を探っていきます。

30年追い続けた「グラフ構造」という武器を手に、知的好奇心のままに歩んだキャリア

大学を出て就職したのは、富士通研究所(当時は富士通から独立した会社)でした。大学の研究室で発想支援システム(※)の研究をしていたのですが、当時はあまり一般的な技術ではなく、研究が継続できる数少ない就職先でした。

※発想支援システム=AI技術やデジタルツールを活用して、人間のアイデア出しや情報の整理・拡張・結合をサポートし、創造的な思考や新規事業創出を促進するシステムのこと。

そこで取り組んだのが「KJ法」のような発想技法です。新しい調査をした時や新しいアイデアを出そうとする時に、共同作業でカードに断片的なアイデアをたくさん書き出して、グループ分けしたり、線で繋いだりして、関係性を図解しながら議論する。これを計算機で支援しようという技法です。ここで基本的な技術として使っていたのが「グラフ構造」で、情報を抽象化して捉えて、構造を自動的に配置したり取り扱いやすくするように開発していました。興味本位で選んだ仕事でしたが、研究に加えて検索システムや自然言語処理など、多様な業務に関わりを持っていましたね

その後、研究所のメンバーがスピンアウトしてバイオベンチャーを立ち上げると言うので、そのタイミングで仲間に加わりました。ちょうどヒトゲノムの解析が完了し始めた時期で、遺伝子間の関係や体内での活動が病気とどのように関わっているのか、グラフ上の知識で表現し、創薬の元ネタを考えるという面白い仕事でした。

その後に移ったヤフー(現LINEヤフー株式会社)では、インターネット広告に関連する自然言語処理周りの技術開発からスタートして、入社から二〜三年後にヤフージャパン研究所を立ち上げる話があり、設立と共に移りました。それまでの自然言語処理技術や、ヤフーカテゴリーを元にした文書分類の技術などを経て、後半はグラフデータベースの基盤効率化技術に注力していました。国際会議で知り合った海外の研究者と一緒に、大規模なグラフを効率よく処理する仕組みを考え、共同でオープンソースソフトウェアを開発するなどしていましたね。実は、Sun*の西田さんとは自分が研究所の時に音声チャットボットの開発を一緒にしていて、面接で再会するという驚きの展開がありました。

グラフ構造には30年以上関わり続けていますが、特許や論文を書く純粋な研究から、ビジネス寄りの開発まで広く経験してきました。グラフ構造に関しては、常に周辺技術の最新動向を知っていることが分野的な強みになっていると思います。また、バイオベンチャーやLINEヤフーでは外国人の方が周りに大勢いて、協働での論文執筆などもあったので、外国の方と仕事をするのに抵抗がなく楽しめるスタンスも持っています。

ChatGPTの衝撃と「社会実装」への渇望―Sun*を選んだ理由

前職からの転職を考えたきっかけは、LLM(大規模言語モデル)の登場でした。OpenAIからChatGPTが出た時にものすごく衝撃を受けました。仕事の環境やモチベーションがガラッと変わりましたね。

LLMは、私がこれまで関わってきた技術領域の中でもインパクトがあり、社会へ与える影響が圧倒的に大きいだろうと感じました。そういう感覚を持っている方は多いと思うのですが、特に私が長年やってきたグラフ技術とLLMを組み合わせると実現できることが増え、社会全体に対してものすごく大きい影響を与えられるだろうと感じました。

研究を通して新しい技術を考え社会に貢献する、というのはもちろん面白いのですが、振り返ると、研究寄りのアプローチで壁にぶつかった経験もありました。データへのフィットにこだわりすぎた結果、精度は高いのに汎用性がなく、実際のサービスとしては説得力に欠けるものになってしまったり、理論を先行させすぎて「それで、具体的に何に使えるの?」と現場に響かなかったり。そうした経験が積み重なって、技術を”使えるもの”として届ける社会実装の場に身を置きたいという気持ちが強くなっていきました。

LLMの登場によって「新しく思いついたアイデアが、すぐに社会実装できる」と考えると、やはり、直接関わってみたい。研究的なところもありつつ社会実装を実感できるような働き方のできる場所を求めて、少しずつ可能性を探し始めました。

前職でも技術がビジネスとして社会に提供されているのですが、基本的にはインターネットビジネスの領域で、インターネット広告や情報提供サービス、LINEというコミュニケーションツールなど、それらを起点にしたビジネス内容です。一方で、グラフ技術とLLMを組み合わせた応用は、製造業や飲食業、医療、サービス業などいろいろな領域に関わる可能性があります。

Sun*との縁は、SNSでメッセージをいただいた転職エージェントからのご紹介でしたが、最終的な決め手は大きく二つありました。一つは、以前から知り合いだった西田さんから熱心に誘っていただいたこと。もう一つは、関わるビジネス領域のバリエーションの広さです。

他社の場合、クライアントワークでも特定のビジネス領域に固定されていたり、事業会社であればなおさら、会社の事業内容に集中することになります。Sun*はスタートアップからエンタープライズまでいろいろな段階の企業に対して、多種多様な業界の課題に関わるチャンスがあるところが、非常に魅力的に映りました。

1カ月で形にするスピード感と、感じる社会実装への手ごたえ

現在は、DAP(Data and AI Pros.)という組織でシニアデータサイエンティストとして、開発しながらデータ分析をするような役割を持っています。

8月に入社して、翌月には立ち上げて間もないリアルタイムボイスチャットのプロジェクトに関わりました。西田さんがAI開発ツールを使って1日でデモを作り、私はそこから機能面やバグを解決していく役割でした。ツールを使って自分で手を動かしながら、内容を整理してクライアントに説明して…と全部一人でやる感じでしたね。「速く、ちゃんと動くものをつくる」という要件だったので、プロジェクトは1カ月という短期間で終了。時間との戦いのような仕事で、それはそれですごく刺激的で楽しかったです。お客様も喜んでくださりプロジェクトの拡大につながったのですが、AIの社会実装の段階として、速いスピードで開発ができること自体、価値を生み出すと実感しました

10月からは、本格的なRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)システムの開発チームに加わり、PdMとして活動しています。扱っているのが「GraphRAG(グラフラグ)」という技術です。RAGというのは、背後にある文章知識を検索して、その結果をもとに加工した形で回答するシステムです。一般的なRAGはベクター方式のインデックスを使いますが、GraphRAGは長年私が関わってきたグラフ形式のインデックスを使います。

Sun*ではグラフ構造とLLMを組み合わせて、お客様へサービス提供できるレベルで実装しています。今回のプロジェクトで一から作ったのではなく、ベトナム側ですでにベースとなるプロダクトが開発されていました。プロジェクト開始前から、本格的に製品レベルのものをつくり出す力を持っていたんです。

ベトナムチームはAI技術レベルが非常に高いです。その高い技術力を製品やソリューションとして提供していけることは、競争力の強さだと言えると感じます。これはSun*に入る前には知らなかったことでした。ベトナムのAIエンジニアとやり取りをしていると、回答が非常に鋭く、レベルの高さを実感する場面が多々あります。

Sun*に流れるポジティブな熱量の中で、自分のアイデアを使って社会に価値を提供していく

AI技術以外の面でいうと、Sun*は人の熱量がそのまま伝わってくる会社だと思います。面接のときから印象的だったのですが、どんな質問を投げても真剣に、笑顔で答えてくれるんです。ベトナムのエンジニアも、タイトな納期で休日対応になっても嫌な顔ひとつせず全力で進めてくれますし、現地を訪問したときにはおやつタイムやランチに気さくに誘ってくれて、距離の近さに驚きました。自分の興味と合った領域で、こういう人たちと一緒にパワフルに動ける――Sun*はその環境を本気でつくろうとしている会社だな、と感じています。

これからの目標は、LLMという技術が社会にどのようなインパクトを与え、どう変わっていくのか、その過程に深く関わり続けることです。

今のプロジェクトをしっかり最後まで完結させるのはもちろん、いろいろな提案に関わることで応用技術を知ること、その中で、LLMとグラフ技術を組み合わせた時に一体どこまで実現できるのかを突き詰めたいですね。例えるなら、スイーツのお店の端から端までいろんな種類を全部食べてみたい、という感覚でしょうか。そんな風に、あらゆる可能性を体験し尽くしたいと思っています。

Sun*では提案の段階から自分で考えるので、アイデアを盛り込みやすい環境です。これまで私が関わった提案は三件ありますが、そのうち二件は、お客様側にやりたいことはある一方で、AI技術をどのように適応できるのかイメージが無い状態でした。もちろんお客様のニーズによって「この技術を使って欲しい」というケースもあります。ただ、全体的に「具体的にどうやるかは分からないので、そこから提案してください」という性格の案件が多いので、自分で解決方法から考えて、それをもとに提案して、社会実装を実現すると思うと、そこも楽しく感じます。

社会実装の体験をしたい人にとって、Sun*は機会が非常に多い場所だと思います。さらに、自分一人では到底やりきれない大きな課題も、技術力が高く規模もあるベトナムの強力なAIエンジニア組織と一緒にスピード感をもって取り組めているのが、今の自分にとって一番面白いところですね。


新田 清 / Kiyoshi Nitta

株式会社SunAsterisk Senior Data Scientist

大学院から富士通研究所まで発想系情報学に関わり、ナレッジマネジメントの文脈でグラフデータによる知識表現手法などの研究に取り組む。その後、創薬ベンチャーを経てヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)でセマンティック・ウェブ基盤技術としてのナレッジグラフの研究開発に従事。2025年8月よりSun*のData and AI組織にジョインし、データサイエンティストとしてAIの社会実装支援に取り組んでいる。


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