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DESIGN TREND Picks #6

更新日: 2026年2月5日

DESIGN TREND Picks #6

こんにちは!
Sun*デザインチームです。

こちらの記事では、公式Xでご紹介したトレンドをいつでも振り返ることができるよう、いくつかの内容をまとめてお届けします。

本記事が、時代の潮流を捉え、日々の業務に活かすためのヒントとなれば幸いです。

コンテキストに“ストーリー”が求められる時代

Liquid Glassの登場、どのニーズへの応え?

出典元:
Apple公式サイト

 

AppleのLiquid Glassは、UXや視認性に懸念があった中で2025年6月に実装され、世界を驚かせました。
一部では、派手なデザインで注目を集めることが目的という意見や、過去のトレンドの再来と見る声もあります。また、ユーザビリティが良くない、目まぐるしいといったさらに批判的な視点からの意見もありました。それにもかかわらず、Appleがこのデザインを導入した理由は、「コンテキスト」という視点から捉えることで理解できるのではないでしょうか。

 

「ラグジュアリー雑貨
」ーコンテキスト消費の時代

出典元:
RADII

出典元:eBay

ラグジュアリー業界では、透明テープ、スタッフ用Tシャツ、工具箱など、日常的なアイテムが商品として販売され、注目を集めています。単にユーモラスな試みではなく、日常的なコンテキストを、ラグジュアリーなファッションアイテムへと再解釈していると言えます。

 

UIにおけるコンテキストとは?


出典元:Resilire採用サイト

Appleの今回のデザインの意図は、UIにガラスを触ってるようなコンテキストを取り入れようとした試みなのではないでしょうか。これまではハードウェア性能やユーザビリティの問題で、「ただガラスのデザインがあるだけ」という表現になってしまっていたのが、「世界観」が感じられるほどのインタラクションを実現するに至ったように感じています。同様に、3Dオブジェクトのウェブでの実装も、重要になってくると思います。

 

デザイナーからひとこと
世界観を感じたいというニーズは決して新しいものではありません。

しかし、最近のデザイントレンドを見ると、間接的な体験からより連続的な環境としての世界観へニーズが移りつつあると感じます。ユーザーに反応するだけではなく、要素同士が相互に関係し合うことで成立する世界への変化が求められてきているのではないでしょうか。

「イラストシステム」がブランドの一貫性をつくる

「イラストシステム」とは、ブランドやサービスが使用するイラストにおいて、タッチや構造、パーツ、カラー、線・影・効果などをルール・モジュール化し、一貫したトーン&マナーで効率よく様々なメディア・タッチポイントで使えるようにした仕組みのことです。

企業やサービスのブランドアイデンティティを保つために、ガイドラインとして公開する事例も増えています。

IBM Design Language

Mailchimp Illustration System

Duolingo

 

ゲームのアバターとイラストシステムの共通点と相違点

ゲームにおいて自身のオリジナルアバターを作成することと、イラストシステムには、共通した根本の設計思想があります。違う部分は「何のために制作するのか」という目的です。

 

スマートバンクの事例
株式会社スマートバンクが提供するAI家計簿アプリ「ワンバンク」では、サービスサイトやアプリ内でイラスト表現を多用することで、体験・ブランド価値の向上に取り組んでいます。

制作物が増える中で、イラスト制作の属人化を防ぐために取り組んだのがイラストシステムの構築でした。人物イラストも全てFigmaで描けるような仕組みを作り、運用しているそうです。


出典元:
スタートアップがイラストシステム設計に取り組んだ話

 

デザイナーからひとこと
サービスの中で“情緒的な価値”をどのように届けるかは、デザインにとって大きなテーマです。中でもイラストは、ブランドらしさを直感的に伝えるための重要な要素の一つ。だからこそ、イラストを仕組みとして運用できる状態にすることで、ブランドの一貫性が保ちやすくなり、組織としてブランドアイデンティティを育てる土台にもなります。

Sun*でもチャレンジしていきたい取り組みの一つだと思います。

クレジットカードに見るステータスのデザイン

ステータスをデザインする
クレジットカードは「決済ツール」としての機能的価値だけではなく、ステータスを感じさせる情緒的な価値も持っています。ランクごとのデザインや特典は「所有する喜び」を演出し、使いたくなる心理を生み出しています。

出典元:LUXURY CARD (2025年10月時点)

 

ステータスのデザインが愛着と利用頻度を高める
ステータスを感じさせるデザインは、顧客の愛着や利用頻度を高める仕組みとしても機能しています。

NASDAQ: CMPOの調査によると、金属など希少性のあるカードは、ブランドロイヤリティの向上や新規顧客の獲得、ブランドとの良好な関係構築に効果があることが示されています。

また、Queue-itが行った調査では、ランクが上がるごとに特典が増える仕組みによって、会員は非会員より12〜18%多く購入し、84〜85%が「ブランドを使い続けたい」と回答したという結果が出ています。。

つまり、ステータスは単なる特典の有無にとどまらず、「続けたくなる動機」を生み出すデザインなのです。

 

UI/UXデザインへの応用
この考え方は、デジタル体験の設計にも活かすことができます。楽天の会員ランクやスターバックスのリワードシステムは、利用動機を高めるステータスデザインの好例です。体験を重ねるほどにステータスが上がっていき、特典が拡張されることで、「自分は特別だ」と感じられる体験が生まれ、アプリへの愛着や利用頻度を自然と高めているのです。


出典元:
STARBUCKS® REWARDS

 

デザイナーからひとこと
アプリ開発に携わる中で、アプリを継続して使ってもらうための仕組みを考える機会は少なくありません。そのような時にデジタル以外の分野に目を向け、どのような仕組みが採用されているのか知ることは、自分が体験を設計する際のヒントにつながる大きな発見でした。

クレジットカードは、実際に手で触れることで所有する喜びや愛着を感じやすいプロダクトです。一方で、「デジタル体験でどのように喜びや愛着を感じてもらうか」という問いからデザインを始めてみるのも、面白そうだと感じました。

グッドデザイン賞から見るデザインの潮流

小さな一歩が社会を動かす
日本で唯一、総合的なデザイン評価・推奨の仕組みとして、毎年行われているグッドデザイン賞。2025年は、「はじめの一歩から ひろがるデザイン」がテーマとして掲げられました。このテーマをデザインに落とし込むと、小さく始めやすく、誰もが参加でき、個人の行動が社会へ波及するような設計となり、それが評価のポイントとして浮かび上がります。今年の受賞作品は、こうした視点を体現したものが多く、テクノロジーを感じさせず、共感や誇りといった感情価値を生むデザインが主流となっています。

このような潮流は、生活者向けのアプリから現場支援ツール、公共サービスに至るまで、領域を問わず広がりを見せています。特徴をより具体的に捉えるために、2025年に評価された3つの事例を通じて、デザインの方向性を見ていきましょう。
出典元:GOOD DESIGN AWARD

 

事例1:Reposaku

「Reposaku」は、高精度測位とWeb技術を用いて、農業現場の熟練技を可視化するサービスです。USBを挿すだけで使えるシンプルな操作性により、高齢者を含むチーム全員が負担なく参加できる点が特徴です。作業効率の向上だけでなく、現場で働く「誇り」を感じられる体験を生み出しており、テクノロジーを「使ってみたい」と思える形に変換した、人に寄り添うデザインが評価されています。


出典元:
エゾウィン株式会社 | 製品一覧

 

事例2:JA共済アプリ

「JA共済アプリ」は、共済の契約確認や手続きを、誰でも迷わず行えるように設計されたサービスです。金融・共済領域特有の複雑さを感じさせない明快なUIと、デジタルに不慣れな高齢層にも配慮した導線設計が特徴です。共助という社会的価値を支える仕組みを、やさしいデジタル体験として提供することで、幅広い利用者が安心して使える包摂的なサービスに仕上がっています。


出典元:
共済契約管理アプリ

 

事例3:beSelf
「beSelf」は、1日3分から始められるセルフケアを日常に取り入れられるアプリです。穏やかな色調や丁寧な言葉選びなど、感情に寄り添う設計が特徴で、心理的負担をかけずに心の状態と向き合える環境を整えます。小さく続けられるステップ設計により、セルフケアが自然と習慣化し、ウェルビーイングが生活に浸透していく体験を実現しています。

このアプリはSun*が開発支援に携わり、継続しやすく心地よい体験を実現するUI/UX設計に貢献しました。


出典元:
beSelf(ビーセルフ)

 

デザイナーからひとこと
今年の受賞作品を見ていると、デザインが人の背中をそっと押すような存在になっていると感じました。気負わずに始められる工夫が随所にあり、「これならできそう」と自然に思える、最初の一歩が丁寧に作られています。小さな体験が人を動かし、周囲へ広がっていく流れがとても印象的でした。デザインが人と人のつながりや心の動きにまで寄り添う段階に来ていることを改めて実感しました。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。
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