※この記事は2024/8の内容です。
こんにちは!
Sun*デザインチームです。
前回の記事では、サービスのリブランディング事例をご紹介しました。
今回は企業のリブランディング事例をお届けします!
目次
1. Facebookのリブランディング
会社概要
企業名:Facebook
事業内容(企業):ソーシャルメディア、メタバース、広告、AI技術、通信インフラを提供
URL:https://about.meta.com/ja/
プロジェクト概要
リブランディング担当会社: インハウスのクリエイティブ組織
期間: 2019〜2021
アウトプット: 社名、ブランドアイデンティティ
背景
Facebook社はこれまで、FacebookやInstagram、 messenger、 WhatsAppなどソーシャルネットワークサービスをメインに展開してきました。しかし次の2つの理由により、社名を変更するという大きなリブランディングを実施しました。
一つは、Facebook社の創業から17年間の期間に、InstagaramやWhatsAppなどいくつかのアプリを買収していて、親会社がそれらのアプリと同じ名前を持つのは不自然だと考えたからです。
もう一つは、Facebook社として展開しているビジネスの領域を、ソーシャルネットワークサービスだけでなく、メタバースやweb3など、デジタル領域の新しいポジションを作っていくことを社として示していくために、固有のサービス名から連想されるビジネスを変えていくためです。
プロセス
1.FacebookからMetaへ、社名変更
Facebookは展開してきたソーシャルネットワークサービスだけでなく、「メタバースやweb3など、デジタル領域の新しいポジションを作っていきたい」という想いから、その領域を想起させるワード「メタ」を選択。
「メタ」という言葉は、ギリシャ神話の「超越」を意味する言葉に由来します。「企業は常に新しく構築すべきものがあり、物語には常に次の章がある」という創設者のザッカーバーグのメッセージも込められているようです。
出典:Meta: the good, the bad and the ugly of Facebook’s name change
2.シンボル・ロゴの刷新
Facebookは、変更した社名「Meta」から連想される「メタバース」という世界観を描くロゴにリデザイン。
シンボルマークは、これまでのロゴデザインのプロセスとは異なるアプローチを取りたい、という思いから、3Dソフトを使って一つのラインを描くところから作成しています。
出典:Designing our new company brand: Meta
3Dオブジェクトを2Dのロゴとして表現するために、明度の異なるブルーを用いたグラデーションにより、ストロークの抑揚もあって奥行きを感じさせる立体的な表現に仕上げています。
出典:Meta brand resources and guidelines
さらに、メタバースの世界観を表現するために、シンボルマークもさまざまなテクスチャ、シェイプで構成されたデザインも同時に発表しています。
出典:Designing our new company brand: Meta
成果
社名変更の目的でもあった、Facebookの持つソーシャルネットワークサービスの印象が変わったことが大きな成果となりました。
出典:Designing our new company brand: Meta
2. LayerXのリブランディング
会社概要
企業名:株式会社LayerX
事業内容(企業):Fintech、SaaSを基点としたプロダクト、サービスの提供。
URL:https://layerx.co.jp/
プロジェクト概要
リブランディング担当会社: SHIFTBRAIN
期間: 不明
アウトプット: ロゴ、ロゴアニメーション、コーポレートサイト、各種ツールのデザイン
背景
LayerXは、事業の軸・企業の文化が明確になってきたことで改めて、ありたい姿のズレを無くす必要がありました。社内の組織全体で共通の価値観を持つだけでなく、社会にも浸透させていきたいという思いからリブランディングに至りました。
プロセス
SHIFTBRAINは、コンセプト策定のために、経営から現場まで幅広いメンバーへヒアリングを実施。ヒアリング実施後、内容を基にコピーライティング、デザインへ落とし込んでいきました。その際には、コピーとデザインの乖離が起こらないようにチームで共通指針を立ててまとめました。ロゴ等のビジュアル制作のフェーズではブランドDNAやデザイン原則の項目を整理しながら、LayerXの佇まいを正しく伝えるビジュアルへと展開しました。
成果
LayerXはこのリブランディングを通じ、行動指針の「ズレ」が解消されることで、社内全体で共通の価値観を意識できるようになり、ブランドDNAが明確になりました。また、LayerXにおいてデザインが担える役割とポテンシャルの大きさを改めて再確認するきっかけとなり、デザイナーチームに良い影響を与えました。( LayerX 野崎駿さん インタビュー記事 参考)
ロゴ
出典:LayerX Branding|SHIFTBRAIN inc.
コーポレートサイト
出典:LayerX Branding|SHIFTBRAIN inc.
コーポレートサイト
出典:LayerX Branding|SHIFTBRAIN inc.
行動指針のビジュアル
出典:LayerX Branding|SHIFTBRAIN inc.
3. LINEヤフーのリブランディング
出典:ブランドを正しく運用していく。LINEヤフーブランド誕生後の全社浸透について
会社概要
企業名:LINEヤフー
事業内容(企業):コミュニケーションアプリ「LINE」や総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」を始めとした、 さまざまなサービス
URL:https://www.lycorp.co.jp/ja/
プロジェクト概要
リブランディング担当会社:自社( LINE・ヤフー・LINE Plus)
期間: 2023年4月〜2023年10月(6ヶ月間)
アウトプット: ブランドロゴ、ガイドライン、ブランドイメージ、ブランドポータルサイト
背景
LINE株式会社とヤフー株式会社が統合。この統合を明確に示し、ユーザーやビジネスパートナー・社内社員に新しい企業の方向性(どのような価値を社会に提供し、貢献するか新たなビジョン)を示すためにLINEヤフーはリブランディングを行いました。また、2社の異なる企業文化を融合させ、従業員が一体感を持つためのステップとしての意味も同時に持ち合わせています。
プロセス
まず初めに、LINE・ヤフー・LINE Plus(韓国)の3社から集まった30名のデザイナーは、目指すプロジェクトゴールが一致するよう、コアバリューとなるキーワードを設定しました。その後3社に分かれてアイディエーションを行い、持ちあったデザイン案から絞り込み、コンセプトを策定。コンセプトをもとにロゴタイプとブランドカラーが作成され、2社のブランドアイデンティティーを継承するようなデザインがされました。その後は、ブランドガイドラインを作成し、ブランドポータルサイトを運用することで、全社員が共通認識を持てる分かりやすい仕組みを作りました。
成果
LINEヤフーが行ったブランド管理・浸透施策の結果として、以前のLINEやヤフーでのブランド運用がよりわかりやすく扱いやすくなったという声が社内で見られたといいます。また、異なる文化や背景を持った会社ではあったが、リブラディングのプロジェクトにより、両者の重なる点を伝えることができ、ブランドとしてより強固になりました。
出典:ブランドを正しく運用していく。LINEヤフーブランド誕生後の全社浸透について
出典:ブランドを正しく運用していく。LINEヤフーブランド誕生後の全社浸透について
出典:ビジネスツールで具現化するLINEヤフーのブランド体験
4. Sun*のリブランディング
会社概要
企業名:Sun*
事業内容(企業):企業のデジタル変革・対応を、事業・プロダクト開発組織開発・採用の2領域から支援
URL:https://sun-asterisk.com/
プロジェクト概要
リブランディング担当会社: IDEO
期間: 7週間(2018/9〜2018/11)
アウトプット: Mission / Vision / Value・コンセプトムービー・社名とロゴ・ブランドガイドライン・Webサイト初期案
背景
Sun*は創業時、Framgiaという社名でした。会社が大きくなるにつれて、目指している姿と社名やブランドイメージの違和感が大きくなっていました。また立ち上げの際は、時間も予算も限られている中でロゴなどを作成したため、これを機にコーポレートアイデンティティを刷新したいという想いがあり、リブランディングに至りました。
プロセス
1.リサーチ
IDEOは実際にFramgiaの最大のオフィスがあるハノイを訪れ、現地調査を行いました。オフィスの光景やメンバーが働く様子を観察したり、マネージャーへのデプスインタビューを行ったり、クライアントから見た会社の印象をヒアリングしたりなど、あらゆる視点から会社の強みを調査しました。
2.分析
リサーチ結果をワークショップ形式で議論しました。結果を付箋に書き出し、グルーピングし、重要なポイントを議論しながら精査しました。綿密なリサーチもあり初期段階である程度の方針が決まったため、どの要素が特に重要なのかの議論が中心でした。判断軸や優先順位を上手くつける事で、納得感を持って進めることができました。
3.デザイン
社名案は社内での投票を参考に、代表が最終決定をしました。ロゴは細部までこだわり3〜4回のブラッシュアップを経て完成しました。またデザイナーの遊び心で会社を象徴するマレーグマ(英称:サンベア)を元にしたキャラクターが生まれました。会社が目指している姿と名前が会社にぴったりだったため採用され、今では会社の顔となるようなキャラクターになっています。
こちらの記事でSun*ベアが会社のブランディングやカルチャーを醸成するストーリーを説明しておりますので、ぜひご覧ください。
成果
リブランディング前のSun*はオフショア開発をしている会社というイメージが社内、社外でも固定化されていました。そんな中、リブランディングによって「ただの開発会社ではなく、社会の太陽となり、ポジティブなアップデートを仕掛ける会社である」という将来像を描いたことで、現在のMissionやVisionを体現する社名やVIが生まれました。そのことが、社員を勇気づけ、そこに会社が向かっていく原動力になりました。今のSun*があるのはリブランディングがあってこそだと考えています。
Who We Are
Logotype
Sunbear
まとめ
前回のサービス編に続き、企業編はいかがでしたか?
企業のリブランディングを実施する際、下記のような背景がきっかけとなることが多いようです。
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会社の統合に伴い、企業文化を融合させ、新たな企業の方向性を示す必要がある
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社内の組織全体で共通の価値観を再確認し、それを社会に浸透させたい
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既存のビジネス領域を超えて事業を拡大し、新たなポジションを確立したい
経営層だけでなく、現場や取引先を含む幅広い関係者に対して綿密なヒアリングや実地調査を行い、多角的な視点から会社の強みを見出し、ロゴやコピーライティング、デザインに反映させていきます。
この過程を通じて、組織全体で共通の価値観を持つだけでなく、社会に対しても強いインパクトを与えることができます。
今回の事例では、インハウスデザイナーだけで進めるケースもあれば、外部パートナーと協力して取り組むケースもありました。
インハウスデザイナーが主導することで、企業の内部事情や文化を深く理解したデザインが実現できる一方で、外部パートナーを巻き込むことで、外部の視点や専門知識を取り入れ、より洗練されたクリエイティブな解決策を見出すことが可能になる、といったそれぞれのメリットがあるように思います。
調査を通じて、リブランディングが事例ごとに異なるプロセスを経て進行しており、プロジェクトに応じた最適なアプローチを慎重に検討することが重要であると感じました。
また、具体化する過程で、デザイナーが細部にまでこだわり、妥協しない姿勢を見ることができ、大変参考になりました。
これらの知見を活かして、私たちもリブランディングプロジェクトにおいて、より効果的かつ創造的な取り組みを行っていきます!
おわりに
Sun*では、今年の初めにグループ会社のGROOVE GEARが「Sun terras」へ社名変更し、リブランディングを行ったことを発表しました。Sun*グループとしてのシナジー強化を目的に実施した事例になるので、ぜひこちらもご覧ください。

また次回の記事でお会いしましょう!