Sun*では、プロダクト開発や新規事業開発を支援することに加え、人材採用・体制構築の面からクライアント企業の成功に伴走しています。中でもxseeds Hub(エクシーズ ハブ)は海外の優秀なIT人材プラットフォームから企業の採用を支援する独自のサービス。今回は、セールスの野添さんに、仕事への想いと、日本企業の課題と可能性を掘り下げます。
目次
海外への関心から、外国人の就労支援・キャリア支援へ
高校生の頃には海外に興味があり、最初のキャリアは日本国内の専門学校で日本語教師としてスタートしました。大学入学やJLPT試験合格が主なゴールでしたが、当時は外国人が日本企業に就職するのが難しい時代でした。それを知りながらも日本に来てくれる、でも就職の面では何もしてあげられない、と漠然としたモヤモヤを抱えていました。
そんな時、就職支援を目指した日本語学校を新規設立する教育系ベンチャー企業に出会い、社員数5名の小さい会社ながら経産省の4カ年プロジェクトを受託し、「高度人材を日本企業に就職させるモデルを作る」ことに取り組む企業に転職しました。ここでは、国公立大学を中心に講師として就職支援を行ったり、留学生のための就職本を制作したりしていました。外国人の就職が非常に厳しい時代に担当していた大学の学生は就職率100%を達成するなど、非常にやりがいを感じていたのですが、残念ながら政権交代による事業仕分けでプロジェクトが終了し、会社は外資系の人材会社に買収されました。
人材会社ではグローバル人材推進チームに所属して、外国人の人材派遣や人材紹介のセールスや研修講師など、できることは広く何でもやりました。その後、社内異動で転職支援のキャリアコンサルタントを経験しています。
そこから家庭事情で2年弱、フリーランスとなり、ITの上場企業でエンジニア組織の採用支援を行ったり、VCで投資先の採用支援に携わったりしました。それまでIT領域に関わる機会がなかったのですが、エンジニアやプロダクトマネージャー、デザイナーといったIT/クリエイティブ系職種の支援に関わる機会を得ることができ、とても感謝しています。
外国人就労支援の現場を知るからこそ感じた、xseeds Hubの価値
フリーランス時代は貴重な経験を得られた一方で、組織で一体感を持って仕事をすることや、お客様へ提案できることに限界を感じていました。介在価値の発揮や、手触り感のある環境を求めて、もう一度、正社員としての就業を考えて転職活動を行いました。最終的にSun*を選んだのは、xseeds Hubの事業に感銘を受けたことが一番の理由です。元々、日本語教師や外国人就労支援に関わっていたので、教育への投資が先行する分、ビジネスとして利益を出すのが難しい事業だと理解できました。にも関わらず、Sun*では複数の海外大学で、多数の学生に、しかも4年間教えている。これを実現する寛容さ、社会貢献への意思に感動しました。
ただ、当時のxseeds Hubセールスは立ち上げ期で、私の持つスキル・経験値にマッチするポジションがなく、中途採用支援(人材紹介)サービスのコンサルタントとして入社しました。人材紹介も好きでしたし、当時からSun*はスタートアップを多く支援していて、私自身、ずっとスタートアップ支援が好きだったので、そこに親和性を感じました。
ただ、いつかはxseeds Hubに関わりたい気持ちがありました。自分が関わることで、経験を活かして解決できること、改善できることがあると感じていて。一区切りとして2人目の育休明けに希望を伝えようとしていたところ、ちょうど上司から打診をもらい、とてもありがたい機会をいただきました。
国内に閉じない人材採用と向き合うことで、可能性を広げられる
xseeds Hubのセールス業務は多岐にわたります。現在は、セールス全員が顧客開拓から受注、一部はデリバリーとして選考会の運営までを担当しています。カスタマーサポートもいるのですが、完全に手を放すことはなく、入社までのフォローも含めて、全方位型で関わる営業スタイルです。
営業活動では、私が好きなこともあり、スタートアップやベンチャー企業との接点を多く持たせていただいています。ベンチャー企業や中小企業のお客様は、新卒でも中途でも、一人の採用が会社に与えるインパクトがとても大きいです。その中で、海外籍の人材、かつ新卒を採用するというのは、例えるなら隕石が落ちるくらいの大きなインパクトだと思っています。一方で、採用が良い転換期として、機動力になる可能性が高い、とも考えています。実際に、採用を一大イベントとして丁寧に受け入れてくださるお客様が多くいます。かたやxseeds Hubでご紹介する学生さんも、ITはもちろん日本語も勉強して、日本での就業を決意してくれる。双方、すごい決断だと思います。学生さんは優秀とは言え、まだ20代前半の新卒、ひとりの人間として繊細な部分もあるので、企業の期待値とバランスをちゃんと取りながら、うまく組織に溶け込めるように、という点は気を付けています。
受け入れの際には、海外の大学事情と日本企業のギャップも認識する必要があります。例えば、日本では卒業式に卒業するのが当たり前ですが、海外では国や大学によって50%近い卒業遅延が発生していて、卒業が遅れることが一般的です。日本がグローバルスタンダードに近づきたいのであれば、日本と海外の違いを理解して、許容した研修スケジュールを組まなければいけません。そもそも、季節性のある新卒採用の仕組みではなく、通年採用をしていくこともそうです。外国人採用は、そうした従来のやり方をを変えていくきっかけにもなるので、本当に日々勉強しながらですが、私も知見を蓄積して、視野を広げていただく提案に繋げたいと思っています。
なお、xseeds Hubでは、入社までの手続きに対して、必要に応じて行政書士の方を紹介したり、生活サポートの面で提携会社をご案内する等、初めての受け入れでも手続きが進められるようなサポート体制を作っています。さらに、今年からはオンボーディングサービスも始めており、入社後の日本語教育や、受け入れ社員の母国語での1on1サポート等を提供しています。そこから企業にレポーティングして課題解消するようなフォローや、採用する人材の文化理解講座、社内外の広報に使っていただく記事の提供など、受け入れ側の理解を深める支援も行っています。
xseeds Hubへの評価 ―学生が優秀だと言われる理由は?
私が仕事で一番楽しいと思うのは、新規開拓です。数字で結果が見える点も好きなのですが、xseeds Hubサービスの価値に気付いていただくことが、何よりもやりがいになっています。
お客様に響く最大のポイントは、やはり「優秀な人を採用できる」という点です。同じ採用数を日本国内で実現しようと思った時に、表現が難しいですが、採用の質が下がるか、コストが大きくなっているケースが多いと感じます。
「優秀だ」「技術力が高い」と言われる理由を紐解いた時に、多くの企業様から言われるのが、課題発掘力や思考力の高さです。日本人は課題解決力、つまり課題が明確な時に改善することに長けていると言われますが、xseeds Hubの学生は、自ら課題を発掘する能力があり、さらに解決もできる。「大学のレベルでここまで出来るのか」と驚かれるケースが多いです。
背景には、提携する海外大学での実践的なアプローチがあります。まず、卒業要件として3ヶ月以上のインターン経験、つまりプロジェクトでの開発経験がないとダメです。さらに、何でも良いので自分で考えてプロダクト開発を行います。開発内容も様々で、オリジナルのECや、音楽のダウンロードサービス、飲食店での事前注文&決済サービスの開発などを行う学生もいます。「なぜその開発に至ったのか?」まで深堀すると、現地での課題感なども見え非常に面白いです。企業からは、現在あるサービスと何を差別化したのか、必ず問われます。本人なりに差別化を考えてアレンジしたり、API連携を20以上接続チェックしたケースもあり、サービスとしての提供価値まで考えて作ります。日本の大学ではインプット型が多いですが、アウトプットを経験するからこそ自分で課題が把握できて、選考会の面接でも「ここは失敗しました」「でも、問題はここにあって、あとはこうすれば解決できると考えています」という解決案まで言えるのだと思います。
日本人の新卒採用も行っている企業様では、xseeds Hubから入った新卒メンバーは、すでに開発スキルとしては4,5年目のレベル感だと仰るところもあります。その企業様は選考会の前に事前課題を出しているのですが、内容は中途採用で課しているものを出題しているそうです。それでも、自社の社員よりも遥かに高い成績を残す学生も多いそうです。
学生の優秀さから、将来的には、xseeds Hubをボストンキャリアフォーラム(世界最大級の日英バイリンガル就活イベント)のようなサービスに育てていけると感じています。参加企業は日本からアメリカまで渡航して、3日間で数百万円をかけてグローバル人材との出会いを創出します。それだけ、グローバルの優秀人材に出会える場として価値を感じているということだと思いますし、xseeds Hubであれば、それだけの価値を感じていただけるサービスになる可能性があると考えています。
日本企業への危機感と、グローバルに歩み寄っていくことの必要性
日本の企業がもっと、グローバル人材の前提に歩み寄らないとダメだ、という危機感が強くあります。今、海外の人材が日本に興味を持ってくれているのは、当たり前ではありません。例えば外国籍の方が、世界で最も難しい言語の1つと言われる日本語を学んで、文章理解できるだけでもすごいと思うんです。一方、企業から「さらに英会話もできてほしい」と要望いただくことがあります。お話を聞くと社内に英語を話せる方がさほどいるわけでもないケースもあり、そんな時は、相手への要望が優先されているように見えます。かつてソニーやパナソニックのような日本メーカーが世界を席巻した感覚を引きずっていてはダメで、やはり、日本から世界に歩み寄っていかなければいけない、と思います。
今から10年ほど前ですが、政府の外国人材就労支援事業に関わっていた時、省庁の方々と話す機会がありました。当時から経産省は日本の労働力不足と経済破綻を見据えて、海外人材の雇用や移民政策を推進しようとしていました。けれども、様々なリスクから前に進みませんでした。当時すでに見えていた課題は、今もなお解消できていないと感じています。ベトナムも親日の傾向がありますが、最近では韓国文化が入ってきて、コンビニの店員さんが韓国語を話していることもあります。現地に行くと、彼らがいつまで日本を就業先として選んでくれるのか、危機感を覚えます。
一方で、企業が国内人材だけに目を向けてきたのであれば仕方ない部分もあると思うので、私の大事なミッションとして、日本企業に気づいていただくための啓蒙も担っていると思っています。
海外採用は、スタートアップにとってもチャンスです。スタートアップの方とお話すると「小さい会社だから」「無名な会社だから」と採用に自信を持てていない会社も多いと感じます。そうした場合、私からは「めちゃくちゃ魅力がありますよ」とお伝えしています。実際に、国内では知名度が低い、アーリーのスタートアップであっても、事業内容に魅力を感じた優秀な人材とのご縁が生まれています。実は学生側も同じで、それぞれの価値がちゃんとある、お互いに気づいてもらえるように、という想いで関わっています。
野添春菜 / xseeds Catalyst
日本語教師としてキャリアをスタート。ベンチャー企業で経産省からの受託による海外人材就労支援事業に携わり、教師だけでなく留学生就職サポートや就活ノウハウ本の執筆等も行う。外資系人材会社でのキャリアコンサルタント、フリーランスでの採用支援を経験し、2020年からSun*へ。
xseeds Hubにご興味をお持ちの際は、ぜひWebサイトもご覧ください