こんにちは。Sun Asterisk AI開発チームです。
生成AIを導入しても、個人作業の効率化にとどまり、開発プロセス全体の生産性向上につながらないケースがあります。本記事では、AIを前提に開発プロセスを再設計する「AIネイティブ開発」について、AI駆動開発との違いやメリット、企業事例、導入するための5ステップを解説します。
- AIネイティブ開発とAI駆動開発の違い
- AIツール導入だけでは組織全体の生産性が上がらない理由
- AIネイティブ開発がもたらす3つの主なメリット
- 国内企業におけるAIネイティブ開発の実践事例
- 企業がAIネイティブ開発を段階的に導入する5つのステップ
AIネイティブ開発とは?
AIネイティブ開発は、単に生成AIを使ってコードを書く手法ではありません。まずは、基本的な定義とAI駆動開発との違いから整理しましょう。
AIネイティブ開発とは「AI前提で開発プロセス全体を設計する」考え方
AIネイティブ開発とは、生成AIやAIエージェントの活用を前提に、システム開発のプロセスや環境を設計する考え方です。設計や実装、テストなどをAIに任せ、人はAIに要件や判断基準を指示し、成果物を評価する役割を担います。
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AI駆動開発とAIネイティブ開発の違い

AI駆動開発とAIネイティブ開発では、AIの役割が異なります。AI駆動開発は人が主体となり、AIがコード生成やテスト、ドキュメント作成などを支援する手法です。一方、AIネイティブ開発では、AIエージェントが設計・実装・テストなど複数の工程を担います。つまり、既存の開発をAIで効率化するのではなく、AIの活用を前提に開発プロセス全体を設計する点で異なります。
なお、本記事では、IPAの「2025年度ソフトウェアモダナイゼーション委員会報告書」の整理をもとに、AI駆動開発を「人主導+AI支援」、AIネイティブ開発を「AIエージェント主体」の開発として区別します。
※参考:2025年度ソフトウェアモダナイゼーション委員会報告書|独立行政法人 情報処理推進機構
AIツールを導入しただけではAIネイティブ開発とはいえない
ChatGPTやGitHub Copilotを導入すれば、すぐにAIネイティブ開発になるわけではありません。たとえば、エンジニアが従来どおりコードを書きながら、わからない部分だけAIへ質問する使い方では、既存の開発プロセスそのものは変わっていません。重要なのは「どれだけAIを使ったか」ではなく、「AIを前提に開発プロセスを再設計したか」です。
なぜAIツールを導入しても企業全体の生産性が上がらないのか
ChatGPTやGitHub Copilotを導入して、個人の作業時間が短縮されても、他の工程にボトルネックが残れば、プロジェクト全体の改善にはつながりません。
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コーディングだけを高速化しても開発プロセス全体は速くならない
システム開発はコーディングだけで完結するものではありません。要件定義、設計、実装、テスト、レビュー、ドキュメント作成、承認、リリースなど、複数の工程が存在します。仮にAIによってコーディング時間を半分にできても、仕様確認やレビュー、テストに従来と同じ時間が必要なら、プロジェクト全体の期間は半分にはなりません。
そのため、AIによる生産性向上を考える際は「コードをどれだけ速く書けたか」ではなく、開発プロセス全体のどの工程がボトルネックになっているかを確認する必要があります。
個人のAI活用と組織全体のAIネイティブ化には大きな違いがある
もうひとつの問題は、AIの使い方が個人に依存することです。あるエンジニアはAIを使いこなし、別のエンジニアはほとんど使わない状態では、組織として安定した生産性向上にはつながりません。企業には、AIへ渡すドキュメントの形式、利用できるデータ、セキュリティ、レビュー方法などの共通ルールが必要です。
個人にAIツールを配る段階から、組織でAIを組み込んだ開発プロセスを定着させることを目指しましょう。
AIネイティブ開発を導入する3つのメリット
AIネイティブ開発へ移行すると、設計やテスト、ドキュメント作成まで幅広い工程を改善できます。
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設計・実装・テスト・ドキュメント作成まで開発全体を高速化できる
AIネイティブ開発では、仕様整理、設計、コード生成、テストケース作成、ドキュメント更新など複数のタスクをAIへ任せることで、開発プロセス全体の高速化を目指せます。仕様変更が発生した際も、関連するコードやテスト、ドキュメントをAIが確認できる仕組みを構築すれば、人が1つずつ影響範囲を探す作業も減らせます。
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IT人材不足のなかでも少人数で開発を進めやすくなる
AIエージェントが定型的な作業を担うようになれば、限られた人材をより重要な業務へ配置できます。特にIT人材の確保が難しい企業にとって、開発者を増やすのではなく、1人のエンジニアがAIを活用して対応できる範囲を広げることには大きな意味があります。新規サービスを素早く検証したい場合にも、少人数のチームで開発を進められる可能性が高まります。
エンジニアの役割を「コードを書く人」から「AIを判断・管理する人」へ変えられる
AIネイティブ開発が進んでも、人のエンジニアが不要になるわけではありません。むしろ重要になるのが「判断」です。どのようなシステムを作るのか、AIへどの情報を与えるのか、生成された設計やコードに問題はないかなどを判断する必要があります。
エンジニアの役割は、コードを書く作業から、AIエージェントへ適切な指示を与え、成果物の品質を評価する役割へ変化していくと考えられます。
AIネイティブ開発を進める企業の事例
AIネイティブ開発は、将来の構想にとどまらず、実際のシステム開発やモダナイゼーションで活用され始めています。ここでは国内企業の事例を紹介します。
NTTデータ|生成AIをシステム開発全体へ活用
NTTデータは、公共分野のWebアプリケーション構築案件でAIネイティブ開発を進めています。特徴は、GitHub Copilotをコーディングだけに使うのではなく、要件定義からリリースまで全工程でAIエージェントを活用した点です。さらに、ドキュメントを開発の核として整合性を確認し、AIエージェントの作業ログも記録し、品質を後から検証できる仕組みを構築しています。
実際のプロジェクトでは、半年間で部分的な再実施を含め、ウォーターフォール型を維持したまま10回以上の開発サイクルを回しました。一方、品質評価や設計判断などは人が担当しており、AIと人の役割を分けています。
SHIFT|AIでレガシーコード解析とテスト作成を自動化
SHIFTもAIを前提とした事業・開発プロセスへの移行を進めています。特に、ブラックボックス化したレガシーシステムのソースコードをAIで解析し、設計書を生成する「AIモダナイゼーション」が代表例です。2026年4月時点で、サービス開始から約2か月で1億ステップのソースコードを解析し、25.5億円を受注しています。
企業がAIネイティブ開発を導入する5ステップ

AIネイティブ開発は、AIツールを一括導入するだけでは実現できません。現在の開発プロセスを整理し、小規模な検証から始めながら、基盤やルール、人材まで段階的に整えることが重要です。ここでは導入の流れを5段階で解説します。
ステップ1|現在の開発プロセスと課題を整理する
最初に、AIツールを選ぶのではなく、現在の開発プロセスを可視化します。要件定義、設計、実装、テスト、レビューなど、それぞれに必要な時間や人材を整理し、手戻りや属人化が発生している工程を特定します。「AIを導入すること」ではなく、「どの問題をAIで改善するのか」を目標にすることが重要です。
ステップ2|AIの効果が出やすいタスクからPoCを実行する
最初から全ての開発をAIネイティブ化するのではなく、小規模なPoCから始めます。コード生成、テストケース作成、ドキュメント作成、既存コードの解析など、成果を測定しやすいタスクが候補です。PoCでは作業時間だけでなく、品質や修正回数まで確認し、AI導入前後の効果を比較します。
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ステップ3|AIが利用できるデータ・ドキュメント・基盤を整える
AIエージェントが適切に作業するには、判断材料となる十分なコンテキスト(背景情報)が必要です。要件定義書や設計書、ソースコード、テスト仕様、開発ルールなどを整理し、AIが必要な情報を参照できる基盤を構築します。特に企業独自の設計思想や判断基準をドキュメントとして残すことが重要です。
ステップ4|セキュリティと品質管理のルールを構築する
企業がAIへ開発を任せる場合、セキュリティと品質管理への対応は避けられません。「AIへ入力してよい情報」「AIが操作できる範囲」「人のレビューが必要な工程」などを決めます。AIの作業ログを保存して後から確認できるようにすることも有効です。NTTデータの事例でも、AIエージェントのログを残し、品質検証へ利用しています。
ステップ5|AIを使う人材のスキルと役割を変える
最後に必要なのが、人材と組織の変革です。AIネイティブ開発で求められるのは、単に生成AIを操作するスキルではありません。要件を明確にする力、AIへ適切な情報を与える力、生成された成果物をレビューする力、最終的な意思決定を行う力が重要になります。
AIに作業を任せる範囲が広がるほど、人には高度な判断力が求められます。
AIネイティブ開発を成功させるために必要な考え方
AIネイティブ開発では、AIに任せる範囲を広げることだけが目的ではありません。品質や安全性を維持しながら生産性を高めるには、人とAIの役割を整理し、組織全体の開発プロセスを見直すことが重要です。
AIに任せる作業と人が判断する領域を明確にする
AIネイティブ開発は、全てをAIへ丸投げする開発方法ではありません。実装やテスト、ドキュメント作成などAIが得意な作業は任せつつ、要件の決定、設計判断、品質評価など、企業として責任を持つべき部分は人が担います。AIと人の役割分担を設計することが、品質と生産性を両立するポイントです。
ツールではなく開発プロセスと組織全体を改善する
AIネイティブ開発で最も重要なのは、最新のAIツールを導入することではありません。ChatGPTやGitHub Copilotを配布しても、従来と同じプロセスで開発していれば、改善できる範囲には限界があります。AIを前提に、開発プロセス、ドキュメント、データ、セキュリティ、エンジニアの役割まで見直す必要があります。
すでに生成AIを導入しているものの期待した成果を得られていない企業にとって、次に検討すべきなのは「新しいAIツールを追加すること」ではなく、「AIが働けるように開発の仕組みそのものを変えること」だといえるでしょう。
まとめ
AIネイティブ開発とは、AIの活用を前提に開発プロセス全体を再設計する考え方です。最初から開発全体をAIへ置き換えるのではなく、PoCで効果を確認しながら、AIと人の役割、開発基盤、セキュリティ、人材を整えることが重要です。
株式会社Sun Asteriskでは、DXコンサルティングや企画・設計から開発・運用まで一気通貫で支援しています。AIネイティブ開発の進め方にお悩みの方は、ぜひご相談ください。
よくある質問
Q AIネイティブ開発とはどのようなものですか?AI駆動開発との違いも教えてください。
Q AIネイティブ開発を導入する際、まず何から着手すべきですか?
Q 企業がAIネイティブ開発を導入するための手順やステップを教えてください。
Q AIツールを導入しても組織全体の生産性が上がらない原因や注意点は何ですか?
Q AIネイティブ開発の導入にかかる具体的な費用や開発期間の目安はどのくらいですか?
Q AIネイティブ開発を進めるための社内体制や外部パートナーから受けられる支援は何ですか?

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