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新規事業開発

なぜ大企業では新規事業が失敗しやすいのか?成功に導く4つのポイントと実例で解説

更新日: 2025年5月28日

新規事業を始める場合、一般的に中小企業より大企業の方が成功しにくいといわれています。この記事では、大企業で新規事業が成功しにくい理由、そして結果を出すための重要なポイントなどについて解説します。また、参考情報として新規事業に成功した大企業の事例も取り上げるため、ご興味を持った担当者はぜひ最後までご覧ください。

大企業に新規事業が必要な理由

そもそも安定した経営地盤を有している大企業が、なぜ新規事業に取り組む必要があるのか、以下で解説します。

製品のライフサイクルの短縮化

重要な理由の1つとして、製品のライフサイクルの短縮化が挙げられます。昨今は国内市場が成熟している影響もあり、製品のライフサイクルが早まっています。どのような人気製品の開発に成功しても、生活において必須でなければ衰退期からは逃れられません。そのため、収益が下がり、身動きが取れなくなる前に新規事業に挑戦し、異なる収益の柱を用意する必要があるためです。

リスクの分散

大企業にとっても新規事業が必要な理由として、リスクの分散も挙げられます。1つの分野に特化している企業は、決して珍しくありません。しかし、その分野が衰退する、ライバル企業が市場に参入するなどして、売上が落ちてしまうと、企業そのものが存続できなくなります。市場環境が急速に変化する近年において、事業拡大はリスク回避の観点からも重要な戦略といえるでしょう。

大企業が新規事業で成功しにくい理由

以下では、なぜ大企業が新規事業に積極的に取り組まないのかを解説します。

ブランド価値とプライド

大企業が新規事業に参加しない理由の1つが、ブランド価値とプライドの高さです。大企業は、ブランド価値が売上に影響を与えます。万が一事業に失敗してしまうと、ブランド名に傷がついてしまい、価値が暴落する可能性があります。そして、大企業ゆえにプライドが高く、失敗しやすい新規事業に積極的に取り組もうとしません。

新規事業の立ち上げに適した人材の不足

新規事業の立ち上げに適した人材が不足している点も、大企業が新規事業に参加しない理由です。新規事業を成功させるにあたって、優秀な人材は必要不可欠です。もちろん、大企業には優秀な人材がいますが、その多くはすでに完成しているビジネスモデルを、正確に実行することに特化しています。

新規事業を進める際に大切なのは、新しい仕組みやアイデアを生み出す発想力です。このように、必要な人材のミスマッチが発生しているため、大企業は新規事業への参入に積極的ではありません。

意思決定スピードと柔軟性の欠如

大企業が新規事業に参加しない理由として、意思決定スピードと柔軟性の欠如も挙げられます。大企業は通常の企業よりも規模が大きいことがほとんどです。それはつまり、スタートアップ企業と比べると、意思の統一が困難であることを意味します。

また、新規事業の話が出ても、実施するには多くの部署から許可を得なければなりません。どこかの部署でストップが出てしまうと、そのまま新規事業が凍結されてしまうことも珍しくありません。

既存事業をベースにした計画

既存事業をベースにした計画を立てている点も、大企業が新規事業に積極的に参加しない理由の1つです。ある程度モデルが確立されている既存事業と、ゼロベースから始める新規事業は、まったく異なります。大企業が新規事業を始める際、既存事業の枠組みをベースに考えてしまい、失敗するケースは少なくありません。

もちろん既存事業のノウハウが生かせる場面もありますが、新規事業に有用なノウハウと、そうでないものを見極める必要があります。

安定志向

大企業が新規事業に取り組まない理由として、安定志向も挙げられます。大企業で働いている従業員のなかには、安定を求めている人も少なくありません。新規事業を始める場合、新しい業務を覚え直したり、忙しさが増したりします。そのため、常にリスクが付きまとう新規事業に対して、マイナスイメージを持たれてしまい、始まる前に終わってしまうケースもあります。

大企業が新規事業を成功させるためのポイント

大企業が新規事業を成功させるにあたって、どのようなポイントを押さえる必要があるか、以下で解説します。

目的の明確化

新規事業を成功させるにあたって、目的の明確化は欠かせません。具体的な目的の明確化の一例は、以下のとおりです。

  • なぜ取り組むのか
  • どのような結果を求めているのか

目的が明確になれば、新規事業に対するモチベーションを持てるだけでなく、そもそも新規事業が必要なのかまではっきりさせられます。

グループ内の別会社や外部の人材の活用

グループ内の別会社や、外部の人材を上手く活用するのも、大企業が新規事業を成功させるポイントの1つです。新規事業を始めても、社内だけで必要な人材が集まるとは限りません。外部のパートナーを獲得すれば、客観的な視点を持ちながらプロジェクトに取り組めます。また、外部の専門家に任せることで、業務の効率化も期待できるでしょう。

成果主義からの脱却

大企業が新規事業を成功させるポイントとして、成果主義からの脱却も挙げられます。成果主義とは、その名のとおり成果や成績のみで評価を下すシステムです。新規事業は、残念ながら成功が確約されたものではありません。そのため、新規事業に取り組む従業員のモチベーションを落とさないように、プロセスを評価するような仕組みも考えた方がよいです。

失敗を生かす体制の構築

失敗を生かす体制の構築も、新規事業の成功に欠かせないポイントです。新規事業は、一度のチャレンジで成功するとは限りません。しかし、失敗した経験はノウハウとして蓄積できます。失敗の要因を洗い出し、適切にフィードバックできる体制を整えれば、次回以降の新規事業を成功させる確率を高められるでしょう。

新規事業に成功した大企業の事例

最後に、新規事業に成功した大企業の事例を解説します。

三菱商事株式会社

三菱商事株式会社は、日本を代表する大手総合商社の1つです。三菱商事株式会社では、株式会社スマイルズを2000年に立ち上げ、スープストックトーキョーをオープンさせました。「無添加、食べるスープ」をコンセプトに、うま味調味料を使わない健康に優しい料理を開発し、大きな成功を収めることに成功しています。

創設者は「成功の鍵はコンセプトと愛情であり、自分が真にやりたいことを追求し続けることが大切」と成功の要因を語りました。

株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エーは、ゲームをはじめスポーツやスマートシティなど、さまざまな事業を展開している企業です。チャレンジ精神豊富な社風により、起業精神あふれる人材が集まっています。すでに撤退した事業もいくつか存在するものの、大企業ながら新しい事業に挑戦しやすい環境が整っているといえるでしょう。

この「挑戦しやすい環境」が、新規事業にも積極的に取り組める要因になっています。

本田技研工業株式会社

本田技研工業株式会社は自動車をはじめ、幅広いモビリティ製品を開発、製造、そして販売する企業です。本田技研工業株式会社では、2015年に小型ビジネスジェット機「HondaJet」の供給を開始しました。コロナ禍における、ソーシャルディスタンスを確保した移動手段として注目された背景もあり、同クラス最高の供給数を記録することに成功しました。

三井物産株式会社

三井物産株式会社は、日本の大手総合商社です。社内ベンチャー「ボイスタート」を設立し、音声AIスピーカーを活用したシニア向けサービス・アプリを開発しています。ボイスタートの事業は、現在では株式会社NTTデータに引き継がれ、多くのメディアで紹介されています。

若者向けのサービスに利用していた音声AIを、シニア向けに利用した発想の転換が成功の要因でしょう。

ヤマト運輸株式会社

ヤマト運輸株式会社は、宅急便を中心に国内輸配送サービスを提供している、大手貨物運送会社です。大手ながら社内ベンチャーの組織風土があり、独居高齢者を見守るサービスや、家電修理サービスなどを提供していました。見守りサービス自体は現在終了していますが、全国の自治体、関係機関と見守りについての協定を締結しています。

ユーザーの需要を把握し、必要なサービスを提供する分析力が成功の要因と考えられます。

まとめ

大企業は意思決定スピードや安定志向などが原因で、新規事業に参加しても、成功しにくいといわれています。しかし、昨今は市場サイクルのスピードも向上しており、新規事業に参加するのは、企業競争力の向上やリスクの分散のためにも必要です。

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