新規事業を成功させるには、4つのフェーズに分けましょう。この記事では、新規事業の各工程やフェーズ分けのメリット、立ち上げの9ステップを解説します。後半では、新規事業を成功させるポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
新規事業の必要性とは
中小企業が目まぐるしく変化するビジネス市場で生き残るには、常に新事業へ挑戦する姿勢が求められます。自社の強みを生かし新サービスや商品を開発することで、他社との差別化を図り、市場を開拓する必要があります。新規事業を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- 課題解決スキルが備わっている
- ターゲットを明確にする
- 自社のビジョンにマッチしている
上記のポイントを踏まえ、継続的に成長していきましょう。
新規事業をフェーズ分けするメリット
新規事業をフェーズ分けすることには、3つのメリットがあります。それぞれについて、詳しく解説します。
タスクの優先順位が明確になる
進捗に応じて、タスクの優先順位を明確化できます。新規事業の立ち上げ時には、多くの課題が生じるでしょう。いずれのタスクから進めるか、どの課題を優先的に解決すべきか判断しなければなりません。各タスクが他のタスクへ与える影響も、ひと目でわかります。フェーズごとにタスクが整理されていると、優先順位がつけやすくなります。
各工程の注意点がわかる
新規事業をフェーズに分けて進めることで、各段階の注意点も見えてきます。例を挙げると、初期のアイデア創出フェーズにおいては何よりも調査が重要になり、それに沿った注意点が生じます。実際の事業立ち上げフェーズになると、マーケティング戦略や資金調達が優先されるため、ここでも前フェーズとは異なる注意点に考慮しましょう。
再現性のある手順が確立される
業務プロセスをフェーズごとに整理することで、事業の進め方が確立されます。再現性のある手順が確立され、属人的な判断に頼らずに業務が遂行できます。一定の品質で誰でも業務が行えるようになるでしょう。
業務フローが明確になることで、新規メンバーのオンボーディングがスムーズになります。事業の進捗を客観的に評価しやすくなり、計画の見直しや戦略の修正が迅速に行えます。フェーズごとの進行管理によって、組織全体の生産性が向上するでしょう。
新規事業が軌道にのるまでの4つのフェーズ
新規事業が軌道にのるまでの工程は、4つのフェーズに分けましょう。ここでは各工程で重要なことや注意点などを解説します。
フェーズ1.アイデア出しと市場調査
新規事業計画の最初のフェーズでは「魅力的なアイデアの創出」が重要です。単にアイデアを多数出すのではなく、ビジネスとして成立するかどうかを検証する必要があります。顧客ニーズを満たせるかという視点で、アイデアを評価することが大切です。そして、検証にはフレームワークの活用が効果的でしょう。
質の高いアイデアを生み出すためには、フレームワークを活用すべきです。優れたアイデアが出たら、新規事業としての実現可能性を見極める必要があります。市場調査では競合の動向やターゲット顧客の声を収集し分析します。市場規模・ニーズ・参入障壁などを多角的に検討することが重要です。
フェーズ2.事業計画を策定する
この段階では、新規事業に関する具体的な計画を立てていきます。アイデアが実現可能であると判断されたら、達成すべき数値的な目標を明確に設定していきましょう。特に、事業の土台となるビジネスモデルの設計が重要なポイントです。
フレームワークを活用することで、提供する価値、ターゲットとなる顧客層、収益の構造などを整理し、事業の全体像を明確にできます。これにより、潜在的な課題や改善の余地が浮かび上がってくるでしょう。
フェーズ3.事業の立ち上げ
立てた事業計画をもとに、試作段階としてプロトタイプを制作します。これは、実際のユーザーやモニターから市場の反応を確認することを目的としています。プロトタイプは必要最低限の機能に絞り、短期間で開発することで、コストを抑えながら効率的に検証を進めることが求められます。
新たな事業を軌道に乗せるには、市場のリアクションや顧客のインサイトを深く把握することがカギです。ユーザーとの継続的なコミュニケーションを通じて、事業の方向性を確認し、柔軟に方針を調整していくことが成功のポイントとなります。
フェーズ4.事業拡大
プロトタイプの開発とその検証が完了した後は、実際の製品やサービスを市場に本格導入する段階に入ります。このフェーズの主な目的は、事業の拡大と成長を推進することです。事業を順調に成長させるためには、マーケティングの手法、販売ルートの選定、顧客の獲得戦略など、多方面からアプローチして事業基盤を整えることが求められます。
新規事業の立ち上げは9ステップで進める
新規事業の立ち上げは、9つのステップで完了します。ここで解説する順に進めることで、スムーズに新規事業の立ち上げができるでしょう。
1.3C分析を用いたインプット
3C分析を用いたインプットも必要です。3Cとは「市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の頭文字をとって名付けられた分析方法です。3C分析を進める際は 「市場→競合→自社」 という順で進みます。ただし、中小企業の場合は、自社のリソースを優先的に活用するため、「自社→競合→市場」 の順で進められます。
2.アイデア出し
3C分析によって、新規事業に必要なインプットが完了したら、次にアイデア出しを行います。具体的には、以下5つの手法を用います。
- 5W1H
- 社内外へのヒアリング
- SCAMPER(スキャンパー)
- マンダラート
1人きりで考え、アイデアを出そうとするのではなく、フレームワークを使って、複数人からアイデアを募ることが効果的です。
3.消費者のニーズ調査
消費者のニーズを調査するためには、アイデアに対し、それを必要とする顧客が存在するのかを調査しなければなりません。消費者のニーズ調査を進める際は、以下のポイントに沿って調査しましょう。
- サービス・商品を利用してくれるのか
- 顧客が抱える課題は、実在するのか
- サービス・商品は、本当に顧客の課題を解決できるのか
上記のポイントを踏まえて、インタビューやアンケートを実施するとよいでしょう。
4.新規事業企画の策定
新規事業企画の立案段階では、顧客の問題点とアイデアを対比し、顧客の課題に対処できる新たなビジネスアイデアを考案します。先行するニーズ調査を通じて、新規事業アイデアに対する顧客のニーズの欠如や課題の不一致が明らかになった場合は、アイデアを再度、検討しましょう。
5.テストマーケティングを行う
新規事業企画の最初の段階が完了すると、商品やサービスを実際の顧客に試験的に販売するテストマーケティングの段階に入ります。顧客と直接やり取りすることで、ニーズを再確認するだけでなく、商品やサービスを改善するための情報を得ることがこの段階の目的です。
6.事業計画書の策定・準備
新しいビジネスアイデアが、実現可能な段階まで具体化できたら、次は事業計画書を作成し準備する段階に入ります。事業計画書は、社内で予算を確保したり補助金を獲得したり、スムーズに融資を受けるために極めて重要です。テストマーケティングのデータを活用して、説得力のある計画書を作成し、社内の承認を得られるよう準備しましょう。
7.予算を確保する
予算確保の段階では、事業計画書を社内で共有し、承認を得て資金を確保します。ベンチャー企業の場合、銀行やエンジェル投資家からの融資やクラウドファンディングを活用する方法があります。また、事業の性質によっては、国や自治体から補助金を受けることも可能ですので、中小企業診断士などの専門家に相談し、補助金獲得の準備もおこないましょう。
8.再度テストマーケティングを実施
必要に応じて、再度テストマーケティングを実施する必要があります。以下のようなケースに該当する場合は、再度テストマーケティングを検討すべきでしょう。
- 初回のテストマーケティングで大きく失敗した
- 初回のテストから事業計画が大幅に変更された
9.組織体制を構築する
最終段階では、完成した商品やサービスを実際の市場に導入します。しかし、このローンチは単なる終着点ではなく、その後の市場や顧客ニーズの変化に適応するために、柔軟な戦略と組織体制の調整が重要です。
新規事業を成功させるポイント
新規事業を成功させるためには、消費者ニーズの理解や専門家の力を借りることがポイントです。
消費者のニーズをしっかりと調査する
顧客ニーズを正確に把握するためには、「ニーズ調査」と「テストマーケティング」の段階で徹底的に分析することが肝要です。顧客のニーズと事業アイデアの一致がない場合、商品やサービスの市場浸透が思うように進まず、新規事業が失敗に終わることがあります。
専門家の力を借りる
自社が新規事業を立ち上げる際、経験や知識、ノウハウが不足している場合は、外部の専門家に積極的に頼ることが重要です。経験がある場合でも、特定のフェーズでの知識が不足していることがあるため、部分的に専門家の力を活用することも考慮しましょう。
スモールスタートで実施する
新規事業を立ち上げる際によく見られる失敗パターンの1つは、最初の段階で大量の人材育成費や広告費を使いすぎることです。事業を成功させるためには、最初から完璧を目指すのではなく、最低限必要な要件を満たしたスモールスタートを切ることが重要です。
まとめ
新規事業を成功させるためのフェーズや具体的な9つのステップについて解説しました。新規事業を成功させるポイントは、消費者ニーズの調査や専門家の活用、そしてスモールスタートなどです。
株式会社Sun Asteriskは、DXコンサルや設計から、本格的な開発まで一気通貫でサポートできるケイパビリティの広さが強みです。なかでも「バリューデザインシンタックス®」のフレームワークは500社を超える実績から生み出されているため、新規事業の成功率を高められます。気になる人は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

【作成ガイド】「どのように市場ニーズを見極め、アイデアを形にし、事業として成立させるのか?」というプロセスを具体的にご紹介します。

【無料公開中】MVPを成功させるための具体的なポイントを分かりやすく資料と動画で解説いたしました。