企業の規模を拡大するためには、新規事業の立ち上げが重要であるものの、ノウハウ不足により不安を抱くケースが少なくありません。この記事では、新規事業の立ち上げに必要なメンバーやスキル、必要な人材の選び方、適さない人材などについて解説します。自社で新規事業の立ち上げを検討する際の参考にしてください。
目次
新規事業の立ち上げにチームが必要な理由
新規事業を立ち上げる際は、チーム作りが欠かせません。新規事業では想定外の問題が起こりがちです。そのため、解決には意思疎通が十分に図れて協力し合えるメンバーで対応しなければなりません。また、意思決定が属人的になると失敗の可能性が高く、結果的に工数が膨らむ恐れがあります。既存の事業とは異なる人材も確保して、組織を編成することが重要です。
新規事業立ち上げに必要なメンバー・役割
新規事業にはさまざまなメンバーと役割が必要です。主な4つの役割について解説します。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーとは、新規事業全体をまとめる総責任者を指します。事業の立ち上げから完了まで、すべての責任を担う重要な役割です。プロジェクトマネージャーの業務としては、事業全体の進捗管理、人員・予算・納期・品質・リスクなどの管理が挙げられます。
これらの管理能力に加え、事業全体を俯瞰できる、広い視野や経験、決断力、経営能力などが求められます。また、交渉力や提案力、コミュニケーション能力も必要となるでしょう。
プロジェクトリーダー
プロジェクトリーダーとは、新規事業における各担当部門の最高責任者です。プロジェクトリーダーの業務は担当領域のタスク・スケジュール管理、問題解決、チームへの指示、他領域との調整や連携などです。
これらの業務を実施しながら、自分自身もプロジェクトの業務に参加するため、実務能力も求められます。また、メンバーの管理や牽引をしなければならないため、強いリーダーシップを発揮できる人が適しています。
プロジェクトメンバー
プロジェクトメンバーとは、新規事業における、さまざまなタスクを実行するメンバーです。実務を担当するため、最も人数が多くなるのが一般的です。タスクの実行スキルを持った人材や、協調を重視して連携のとれる人材が望ましいでしょう。また、プロジェクトメンバーの人数は、1つのチームにつき6人以内が理想です。6人を超える場合は、チームを分けましょう。
ファシリテーター
ファシリテーターは、プロジェクトマネージャーを支える、補佐的な存在です。プロジェクトマネージャーと同様に、高いコミュニケーション能力と交渉力が求められます。ファシリテーターは、組織を横断してチームを編成する規模の新規事業において必要とされます。
各組織との調整をする際や、問題が発生した時に、プロジェクトマネージャーだけでは対応できません。ファシリテーターを置くことで、負担を軽くできるでしょう。
新規事業の立ち上げメンバーに必要なスキル
新規事業における立ち上げメンバーには、独自に求められるスキルがあります。必要とされる、主な3つのスキルについて解説します。
1.リーダーシップの有無
チーム内には、リーダーシップを持つ人材が不可欠です。決断を迫られる場面も多いため、責任を負えるだけではなく、リーダーとして決断ができる人材が求められます。
リーダーの立場ではなくても、他部門やチーム外の人とも積極的に意見を交換できて、判断力を備えた人材が適しています。
2.新規事業におけるビジョンの共有
新規事業をスムーズに進めるには、チームメンバーが共通のビジョンを持っている必要があります。チーム全体が目指す場所を理解し、そのためのアクションを起こせる人材が理想です。自身のキャリアで高い目標がある、業務を工夫して進められる、実際に実行できる、これら3つのポイントに当てはまる人材がよいでしょう。
3.論理的思考力の有無
新規事業のチームメンバーは、物事を冷静に捉えられて、論理的思考力を持つ人材が適しています。他者との意思疎通や、他の組織との意見交換の際に、あいまいな主観や感情論は避ける必要があるためです。新規事業には熱意も必要ですが、周囲の人を巻き込める論理的な思考力があると共感を得られます。
新規事業のチームに適した人材の選び方
新規事業では、多様性を意識しながら、チームに適したメンバーを集めることが重要です。ここでは新規事業のチームに適した人材について解説します。
新規事業の立ち上げ経験者である
チームメンバーとして、新規事業の立ち上げに関わった経験のある人材を、1人以上選びましょう。経験者がいると、目標へのアプローチ方法や問題発生時の対処法など、事業を進めるうえで役立ちます。経験者の話には説得力があるため、他のメンバーも耳を傾けやすく、チームがまとまりやすくなります。
積極的にチャレンジできる
積極的にチャレンジできる人が、新規事業に適しています。新規事業では、変化と失敗を繰り返しながら進めます。失敗を恐れずに向き合い、チャレンジできる人材を選びましょう。
コスト意識が高い
新規事業は初期費用がかさみがちであるため、コスト意識の高いメンバーがいるとよいでしょう。コスト意識が高い人は、経営者目線、当事者目線で利益や費用を考えられます。たとえば、既存のSaaSを活用して開発費を抑える、広告予算を少額からテストして効果の高いチャネルに集中投下する、などの判断ができる人材です。
また、業務委託ではなく自社リソースで内製できる部分を見極める、取捨選択のスキルも重要です。こうした人材がチームにいると資源の無駄遣いを防げ、事業の継続性が高まります。
将来の幹部候補である
新規事業の立ち上げは、従業員が経験を積む貴重な機会です。優秀な従業員を育てるには、事業の立ち上げから参加させて、さまざまな状況で場数を踏ませることが重要です。講習やテキストでは学べない貴重な経験ができるため、将来の幹部候補とされているような人材を、メンバーに選ぶとよいでしょう。
新規事業のチームに適さない人材
新規事業に適した人材がいる一方で、適さない人材も存在します。適さない人材の3つの特徴について解説します。
完璧主義
新規事業が成功する過程では失敗も必要です。完璧主義の人は100点を目指すあまりに意思決定が遅れがちだったり、完了基準が高すぎてアウトプットが出てこなかったりという傾向があります。
そのため、たとえばプロトタイプの段階で「仕様が曖昧だから出せない」とリリースを先延ばしにする、社内プレゼン資料に過剰な時間をかけてしまう、などの行動が起きやすくなります。新規事業では「まず出して検証する」ことが求められますが、これらの姿勢はスピードを阻害するため、新規事業のチームには向きません。
保守的な思考
保守的な思考の持ち主は、新しいことや変化を望みません。たとえば、前例がないからやめたほうがよいと考えたり、失敗するとリスクが大きいという理由で新しい挑戦にブレーキをかけたりします。
そのため、新技術を使った仮説検証を提案しても「社内で前例がない」「品質保証ができない」といった理由で却下する可能性があるでしょう。新規事業開発ではスピードが求められますが、変化に柔軟でない姿勢は初速を大きく妨げる要因となり、チームの人材には適していません。
他責思考
他責思考を持つ人も、新規事業には適しません。他責思考の人は課題やミスが起きた際に、上司の指示通りに動いたのにと考えたり、あの部署が協力しないせいだと考えたりして、責任を自己ではなく外に向ける傾向があります。
そのため、自ら意思決定し周囲を巻き込みながら進めることが求められる新規事業開発では、これらの姿勢はチームの士気を下げ、問題解決を遅らせる要因となるでしょう。
新規事業に必要な人材の確保方法
新規事業に適した人材や適さない人材の特徴を踏まえ、必要な人材を集める方法について解説します。
1.経験者の採用
新規事業立ち上げの経験者を採用する方法です。経験者が1人でもいると、チームはまとまりやすくなります。また、チーム目標の考え方や目標までのアプローチ方法などを、経験から判断ができるでしょう。未経験者のみのチームでは、自信を持ってアプローチができないおそれがあるため、経験者がいることは、チームにとって有益です。
2.自社内での育成
時間はかかるものの、社内で人材を育成する方法もあります。新規事業の立ち上げは、継続して取り組む必要があります。新規事業を任せられる人材を社内で育成できれば、他の新規事業でも活躍が期待できて、企業にとって大きなメリットとなり得ます。
3.外部リソースの活用
スピード感を重視する場合は、即戦力の外部リソースを活用しましょう。新規事業を得意としていたり、専門としていたりする外部リソースもあります。コストはかかるものの、短時間で必要なスキルやノウハウ・経験を得られます。また、新規事業全体をコンサルティングしてもらえる点も、大きなメリットです。
まとめ
企業の成長において、新規事業の立ち上げは欠かせません。ただし、リスクも大きく、どのような人材を集めてチームを組むのかが、成功のカギを握ります。必要な役割を担える人材や、スキルを持つ人材を選び出し、成功の確率を上げましょう。
株式会社Sun Asteriskは、設計から本格的な開発まで、一気通貫でサポートできるケイパビリティの広さと、圧倒的に柔軟な開発リソースを持つDXコンサルです。新規事業の立ち上げを検討する企業のご担当者は、新規事業の成功率を高めるための情報をまとめた資料をぜひご覧ください。

【作成ガイド】「どのように市場ニーズを見極め、アイデアを形にし、事業として成立させるのか?」というプロセスを具体的にご紹介します。

Sun Asteriskがこれまで手がけてきたプロジェクトを多数ご紹介しております。