この記事を読むと、中小企業に新規事業が必要な理由や成功する企業の共通点、失敗する企業の共通点などを理解できます。新規事業を検討する中小企業は多いものの、成功できるか不安に感じ、実行に移すまでに至らないケースは少なくありません。
中小企業新事業進出補助金の基本情報についてもまとめているため、自社で新規事業をスタートする際の参考にしてください。
目次
中小企業に新規事業創出が必要な状況と理由
中小企業には、新規事業の創出が求められます。おもに「人材育成の促進」と「市場ニーズの変化への対応」が必要とされる理由です。それぞれの状況や理由について解説します。
人材育成の促進
新規事業では、既存事業にはできない経験ができます。幹部候補の人材を育成するには、新規事業を立ち上げる過程で、ビジネスについて基本から学ぶ機会は重要です。実践の場に携わることで、重要な人材に成長する可能性が高まります。知識やスキルを身に付けられることに加え、経営者視点を持つ人材への育成につながるでしょう。
市場ニーズの変化への対応
市場ニーズの変化に対応することも重要です。近年はスマートフォンやインターネットが普及し、場所を問わず情報を発信できるため、顧客の購買行動に変化が生まれています。既存事業の経験やノウハウだけではニーズへの対応が難しく、新規事業でスピーディに対応する必要があります。
新規事業に成功する中小企業の共通点
新規事業を始めるからには成功したいと考えるのは自然なことです。成功する中小企業の共通点を知り、新規事業の参考にしてください。
人材の育成と採用に積極的である
新規事業を成功させるには、人材の育成と採用が重要です。特に、新しい人材を採用する際はチーム内で自身の役割を理解し、重要性を自覚できるような教育や訓練が必要です。高いスキルを有する人材の育成、採用が可能になると強力なチームが結成でき、事業の成功につながります。
優れた人材の育成と採用がよい事業につながり、よい事業には優れた人材が集まるというサイクルが新規事業成功のカギといえます。
新規事業の立ち上げまでスピード感がある
新規事業にはスピード感が大切です。完璧なものを求めてじっくりと時間をかけて準備していると、他社に先を越されてしまいがちです。完璧を求めず、最低限の要素を定めてスタートすることで、スピード感を保てます。
細かな部分は顧客や市場の反応を確認して改善を繰り返して、その都度修正していくとよいでしょう。改善の際も時間をかけるのではなく、スピード感を意識します。
ターゲットが明確である
どのような事業でも、ターゲットが明確であることは重要です。新規事業の場合は、強力なライバルがいない市場を見つけられるかが成功のカギとなります。
また、ペルソナを設定することも重要です。ペルソナは、ターゲットを年齢や性別などで分けるのではなく、趣味や家族設定などを定め、よりリアルな人物像を作り上げるものです。ペルソナは1度設定して終わりではなく、定期的に検証・改善・更新しましょう。
顧客のニーズを掴もうとしている
新規事業を成功させるには、顧客のニーズを掴もうとすることも重要です。顧客のニーズを掴むには、顧客と向き合う時間を増やしましょう。そのため、重要性の低い業務を減らす必要があります。
たとえば、定例の報告業務は現場の時間とリソースを必要とする業務です。経営者や上司自らが新規事業に携わっている場合、報告業務は不要です。重要な業務とそうでない業務を振り分け、重要な業務にリソースを使うよう意識しましょう。
新規事業で失敗する中小企業の共通点
新規事業で失敗する中小企業にも、多くの共通点があります。4つの共通点を解説します。
市場やニーズの調査が不十分
新規事業が失敗してしまう原因として、市場選びや顧客ニーズの間違いが挙げられます。顧客ニーズの調査が十分にできていなかったり、そもそも調査していなかったりすると、新規事業は多くの場合失敗に終わります。事業を始める前に市場とニーズの調査を実施する際は、顕在的ニーズだけでなく潜在的ニーズまで探ると、新規事業の成功率が向上するでしょう。
従業員の人材不足
中小企業やベンチャー企業は、人材に限りがあります。既存業務との兼ね合いもあるため、新規事業は必要最低限の人数で立ち上げることになります。加えて、既存業務と並行して新規事業を進める場合、新規事業に十分な時間をかけられません。その結果、アイデアが生まれづらく、順調に進みにくくなります。
また、新規事業は難易度が高く成功する保証もないため、評価につながる既存業務を希望するメンバーも出てくるかもしれません。そうなると従業員のモチベーションは下がり、新規事業の成功も遠ざかってしまいます。
立ち上げまでのスピード不足
新規事業は顧客のニーズを把握するスピードや、サービスを提供するまでのスピードがもっとも重要です。スピード感がないと、競合企業に先を越されてしまいます。そのため、アイデアの提案、二ーズや市場の調査、事業モデル作成など、多くの工程へ迅速に対応しなければいけません。新規事業は、スモールスタートとスピーディな提供を心がけましょう。
撤退基準が不明瞭
新規事業は始めるタイミングだけでなく、あらかじめ撤退の明確な基準を設けることも重要です。利益が出ているうちに事業領域の最適化を図るための撤退以上に、赤字や不況による消極的な撤退は判断が難しいとされます。投資した資源が無駄になるためです。
ただし、撤退の基準を設けていないとやめる判断ができず、ずるずる続けてしまい赤字が大きくなる可能性もあります。撤退のタイミングがわからない場合は、貢献利益を基準にしましょう。貢献利益とは、売上高から変動費や直接固定費を差し引いたものです。貢献利益が赤字の場合は、撤退を検討しましょう。
新規事業を検討する中小企業は中小企業新事業進出補助金を活用しよう
2025年から「中小企業新事業進出補助金」という補助金が新設されます。これは、中小企業が新しい領域の事業へ進出する際の投資を後押しする補助金制度です。事業再構築補助金の後継制度となるもので、予算は1,500億円です。事業拡大を検討している事業主は、この補助金の活用を検討しましょう。
中小企業新事業進出補助金の基本情報解説
中小企業新事業進出補助金とは、具体的にどのようなものでしょうか。基本的な内容を解説します。より詳細を知りたい人は公式サイトを確認してみましょう。
補助対象者
中小企業新事業進出補助金の補助対象者は「企業の成長や拡大に向けた新規事業に挑戦する中小企業等」です。個人事業主も対象範囲に含まれます。しかし、従業員がいない場合は「賃上げ要件」で対象外となるため、企業・個人事業主ともに従業員がゼロの場合は申請できないことに注意しましょう。
また、補助金を受け取るには、日本国内に本社または補助事業実施場所を有する者でなければなりません。
補助を受ける方法と基本要件
中小企業新事業進出補助金の目的は、新規事業の拡大を後押しすることです。採用されるには企業の成長や拡大に向けた新規事業に挑戦し、基本条件を全て満たす内容の3~5年間の事業計画に取り組む必要があります。
基本条件とは、新規事業進出要件・付加価値額要件・賃上げ要件・事業場内最賃水準要件・ワークライフバランス要件・金融機関要件の6つです。これに加えて、連携体申請要件と組合特例要件もあります。
中小企業新事業進出補助金の上限金額と補助率
中小企業新事業進出補助金には上限があり、補助上限額は従業員数に応じて決まります。従業員数が20人以下の場合は2,500万円、21~50人の場合は4,000万円、51~100人の場合は5,500万円、101人以上の場合で7,000万円となります。補助率は1/2で、設備投資に要した金額の半分が補助対象です。
まとめ
人材の育成や市場ニーズへの対応などのために、中小企業の新規事業創出は必要です。新規事業の成功には、人材の育成・採用、スピード感やターゲットの明確化などを重視しましょう。その場合、「中小企業新事業進出補助金」を活用できると自社の負担を減らせます。
株式会社Sun AsteriskはDXコンサルで、設計から開発まで一貫してサポートできる幅広い能力と、柔軟な開発リソースを備えています。新規事業の成功確率を高めるために必要な情報をまとめた資料を公開しているため、ぜひご覧ください。
【作成ガイド】「どのように市場ニーズを見極め、アイデアを形にし、事業として成立させるのか?」というプロセスを具体的にご紹介します。
筋の良いアイデア、AIで加速。
新規事業アイデアの創出を“共創型AI”でサポート。