社内の新規事業の立ち上げは、変化の激しいビジネス環境の対応に必要です。新たな収益の柱の確保による利益の拡大や、将来的な市場の変化に対するリスク分散などにもつながります。この記事では、新規事業の概要や立ち上げるプロセス、成功のポイントなどを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
新規事業とは
新規事業とは、新たに始めるビジネスのことです。事業の内容は業種や業界などによって異なりますが、収益を生み出す仕組みの構築を目的とします。収益の柱を構築・拡大するには、新商品・サービスの開発や新市場の発掘が必要です。新規事業は、最初に収益化するビジネスだけでなく、事業を拡大するために始めるビジネスも含まれます。
新規事業と新商品開発の違い
新規事業と新商品開発は、事業の規模に違いがあります。新規事業は、既存のビジネスとは別の事業を立ち上げることです。新商品開発は、既存の事業の仕組みを用いて、新たな商品やサービスをつくります。飲食店で例えると、店舗開発が新規事業です。新メニューの作成は、新商品開発を指します。
社内の新規事業と起業家の違い
社内の新規事業と起業家は、事業の立ち上げ方や援助などに違いがあります。社内の新規事業は「社内起業」とも呼ばれており、企業内で新たなビジネスを立ち上げます。社内の資金や人材、既存の顧客基盤などの活用が可能です。起業家は事業の責任をすべて負い、新たなビジネスを開始します。リスクも大きいですが、スピーディーな意思決定ができる点がメリットです。
新規事業が必要とされる理由
新規事業は、企業が持続的に成長する上で重要です。新たなニーズや市場を開拓し、収益を拡大することが求められます。企業の競争力を維持し、変化の激しい環境に適応するためにも新たなビジネスの構築が必要です。
昨今、消費者のニーズの多様化や、テクノロジーの発展などが進んでいます。商品やサービスのライフサイクルも早まり、需要の減少のリスクが高まっています。新規事業を立ち上げる際は、収益の柱を増やすために、中長期的な視点をもって取り組むことが大事です。
社内で新規事業を立ち上げるメリット
社内の新規事業の立ち上げは、収益の確保やリスク分散などが可能です。ここでは、新規事業を立ち上げるメリットを解説します。
利益の拡大を狙える
新たにビジネスを構築して収益化すると、利益の拡大につながります。既存の事業と連携をすることで、相乗効果による発展も期待できます。企業の新たな収益源を構築することで、業績の向上が期待できるでしょう。新たな領域への参入で、顧客ニーズの変化に対応し、ビジネスチャンスをつかむことも可能です。
リスク分散ができる
複数の収益の柱を構築することで、常に変化する市場に対応できます。市場の変化の予測は困難なため、社内の複数の事業を展開することが大事です。事業が安定的に続く保障はないため、将来的な市場の変化に備える必要があります。顧客離れが起きる可能性も考慮して、事業を多角化させて収益源を確保するとよいでしょう。
人材育成につながる
新たなビジネスの立ち上げは、人材育成にも有効です。たとえば、経営や資金調達を実践することで、既存事業では得られない経験を積めます。他部門と協力するマネジメント経験も積めるため、次世代の人材の育成につなげられます。経営者視点をもつ人材を育成する際は、新規事業の立ち上げを活用するとよいでしょう。
社内で新規事業を立ち上げるデメリット
社内の新規事業運営は、損失や行動の制限などが懸念されます。ここでは、社内で新規事業を立ち上げるデメリットを解説します。
失敗による損失のリスクがある
社内の新規事業は、失敗による損失のリスクがあります。事業に投資する費用やランニングコストなどがかかるため、事前に損失額を考慮しなければなりません。また、失敗によって人材の雇用を継続できないリスクもあります。状況によってはリストラが選択肢に入るため、企業のイメージを損なう点にも注意が必要です。
親会社の影響によって自由が制限される
親会社の影響によって、意思決定をはじめとした自由が制限される可能性があります。社内の投資を受けている以上、経営上の意思決定の協議をしなければなりません。保守的な方針がある場合、意思決定や柔軟な対応などを妨げるでしょう。資金の使い方や調達方法なども、制限を受ける可能性があります。
社内で新規事業を立ち上げるプロセス
社内の新規事業は、順番に分けて構想することが大事です。ここでは、社内で新規事業を立ち上げるプロセスを解説します。
自社のビジョンの明確化
ビジョンとは、事業の最終目的です。自社のビジネスを通して、社会に貢献するために何を達成するかを決める必要があります。ビジョンが明確になると、プロジェクトの方向性が決まり、従業員の行動指針が生まれます。会社で一丸となってプロジェクトに取り組むために、すべての従業員が理解できるビジョンを言語化しましょう。
事業領域の策定
事業領域は、ビジネスを展開する分野を指します。新規事業であれば、既存事業とは異なる領域でビジネスを始めます。事業領域の策定は、顧客や参入する市場などをもとに検討しましょう。自社のビジネスを活用できるかどうかを、事前に判断することが必要です。自社が事業を立ち上げる目的を明確にし、領域を決めるとよいでしょう。
事業アイデアの創出・分析
事業領域が決まった後は、事業アイデアの創出です。課題の解決や価値の提供などにつながるように、多くのアイデアを出し合いましょう。アイデアの絞り込みは時間がかかるため、迷ったときは自社のビジョンに立ち返ることが大事です。市場の状況や需要などを分析した上で、継続的に収益が得られる事業につなげましょう。
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体制構築・リソースの確保
新規事業を推進するために、体制を構築する必要があります。既存事業とは別に、新規事業の目標達成ができる組織をつくりましょう。人員やリソースなどを確保し、プロジェクトチームを発足させます。裁量や人材を検討した上で、最適な組織を構築するための体制を整備し、リソースも確保することが大事です。
新規事業の実施・効果分析
実際に新規事業を開始し、効果の実証や分析、改善などを続ける必要があります。目標を達成するために、計画した施策の効果を振り返ることが大事です。事業を継続すると想定外の事態が多く起きるため、原因の特定と対策を繰り返さなければなりません。商品やサービスなどの改善を続けて、事業としての精度を高めましょう。
社内の新規事業立ち上げを成功させるポイント
社内の新規事業を立ち上げる際は、事前の準備が欠かせません。ここでは、成功させるポイントを解説します。
経営陣・マネジメント層と現場の従業員が協力する
新規事業には、全社の協力が求められます。経営陣・マネジメント層が一方的に指示するのではなく、現場の従業員が事業の重要性を理解する必要があります。中長期的な目線でビジョンを共有させ、組織のリソースを最大限に活用して事業の成功につなげましょう。全社でビジョンを共有し、主体的に取り組むことが大事です。
撤退ラインを決めておく
撤退ラインを決めることは、事業のリスク管理に必要です。新規事業の成功は保障できないため、被害を抑える対策が求められます。あらかじめ目標や期待の収益を決めて、撤退するラインの基準を設けます。撤退が遅れると、新規事業の失敗が企業経営を圧迫する恐れがあるため、注意が必要です。
資金調達の計画を立てる
新規事業は、資金調達の計画を立てることも大事です。事業を黒字化させるまでに、余裕のある資金が求められます。新規事業を立ち上げる際は、人材の確保や情報、設備などに費用がかかります。必要最低限のリソースのみで経営を続けると、事業の成長の妨げになるでしょう。事前に事業に必要なものを洗い出し、資金調達の計画を立てることが大事です。
外部の専門家の協力を得る
新規事業の立ち上げは、専門的なノウハウや経験豊富な人材の協力が必要です。たとえば、KPIの策定やビジネスモデルの検証などを実行する際に、専門的なアドバイスを受けるとよいでしょう。社内に知見がない場合でも、事業の構想段階から依頼ができるため、外部の専門家の知見を活用することをおすすめします。
まとめ
社内で新規事業を立ち上げると、収益の柱の確保や事業リスクの軽減などにつながります。全社の協力のもと、経営陣と現場の従業員が一丸となって取り組むことが必要です。事業を開始した後は、効果の実証や分析、改善なども必要です。外部の専門家の知見を活用し、事業の成功につなげましょう。
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