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オフショア開発

中国のオフショア開発の特徴と現状は?単価やメリット、今後の動向などを解説

投稿日: 2024年5月27日

更新日: 2024年5月27日

中国は、オフショア開発において世界で重要な拠点の1つに挙がる国です。近年はオフショア開発の主流がベトナムに移りつつあるものの、現在でも中国は開発先の選択肢として有力です。本記事では、中国におけるオフショア開発の基本情報や現状、中国を選ぶメリットやリスクについて解説します。

オフショア開発とは

オフショア開発(Offshore Development)とは、システムやアプリケーションの開発や関連業務を自社ではなく、海外の企業に委託する方法です。従来はコスト削減が主な目的でしたが、現在はリソースの確保が主流になりつつあります。オフショア開発の目的がリソースの確保である背景には、国内でのIT人材不足や、円安によるコスト削減の効果の薄さが挙げられます。

オフショア開発における中国の基礎知識

中国は、オフショア開発において重要な拠点の1つです。中国がどのような国であるのかを知るために基礎知識を解説します。

国民性

中国の国民性にはさまざまな特徴があります。主な国民性として次の特徴が挙げられます。

・はっきり自己主張する
・効率化を求める
・自分の家族を大切にする

中国企業にオフショア開発を委託する場合は、中国の国民性を理解したうえで柔軟に対応することが大切です。

公用語

日本にも方言があるように、中国語も地域によってイントネーションが異なります。七大方言ともいわれ、上海語や広東語などがあります。

経済状況

中国国家統計局の発表によると、2022年の実質GDP成長率は3.0%で、2023年は2.2ポイント上昇の5.2%でした。

※参考:2023年の実質GDP成長率は5.2%、全人代で設定した目標を達成(中国)|独立行政法人日本貿易振興機構

政治状況

中国のオフショア開発市場に与える影響として、地政学的な緊張と、経済安全保障の推進法が成立したことの2つが挙げられます。近年は、米中貿易摩擦による影響が日本企業にも及んでおり、緊迫状態が続いています。

時差

中国と日本の時差は1時間です。中国は世界有数の国土面積を保有しており、東西の経度差は約60度あるものの、国内で時差はありません。

エンジニアの技術力

中国のエンジニアの技術力は世界で高く評価されています。エンジニアの技術力が高い理由は、優秀なIT人材を育成する教育環境を国が整備しているためです。たとえば、国内大学の環境整備をはじめ、国外でも技術を習得するための環境が整えられています。

エンジニアのひと月あたりの人件費

エンジニア1人にかかるひと月あたりの人件費は、人月単価で表されます。人月単価は業務によって異なるものの、35万円~90万円が目安です。他のアジア諸国よりも報酬が高額でも開発先に選ばれていることは、中国の技術力の高さを裏付けています。

エンジニアの平均年収

中国のエンジニアの平均年収は200万円~300万円です。大学や大学院などでコンピューターに関する専門知識を学んだ人、または大手IT企業に就職した人は、年収が1,000万円を超えるケースも少なくありません。

中国・他国のオフショア開発における単価

人月単価(※) プログラマー SE
システムエンジニア
ブリッジSE
ブリッジエンジニア
PM
プロジェクトマネージャー
中国 42万円 52万円 85万円 86万円
ベトナム 32万円 40万円 51万円 58万円
インド 35万円 52万円 68万円 84万円
フィリピン 36万円 50万円 71万円 66万円
バングラデシュ 30万円 40万円 70万円 46万円

※小数1位以下は四捨五入
各国のオフショア開発における単価の特徴を解説します。
※出典:オフショア開発白書(2022年版)|オフショア開発. com

 

中国の特徴

中国は急速な技術力の向上によって、5か国のなかで開発コストが高い傾向にあります。そのため、他のアジア諸国に拠点を移す企業も少なくありません。新規発注は年々減少しているものの、中国の技術力の高さを買って、オフショア開発会社を活用する企業は多く存在します。

ベトナムの特徴

ベトナムは、オフショア開発にかかるコストが中国よりも安価に設定しており、日本企業の新規のオフショア開発を担う国の1つです。国策では、IT教育に力を入れており、豊富な人材が安定的に供給されています。

インドの特徴

インドのオフショア開発にかかるコストは、後述するフィリピンと同程度の水準です。コミュニケーション言語が英語であることと、エンジニアの技術力の高さが評価され、欧米のオフショア開発において重要な拠点になっています。

フィリピンの特徴

フィリピンは、オフショア開発にかかるコストが中国に次いで高い水準の国です。公用語は英語のため、英語圏の国とのコミュニケーションが取りやすく、欧米のオフショア開発を中心に携わっています。

バングラデシュの特徴

バングラデシュは、オフショア開発にかかるコストが5か国のなかで最も低い水準の国です。英語によるコミュニケーションも得意なため、近年は欧米の新規のオフショア開発拠点として注目を集めています。国策として、技術力の高いエンジニアの育成にも力を入れています。

中国でオフショア開発をするうえでのメリット

本章では、中国でオフショア開発をした場合のメリットについて詳しく解説します。

IT先進国としての技術力がある

中国は、国を挙げてデジタル改革を推進する世界有数のIT先進国です。中国を代表する大手IT企業には、バイドゥやアリババ、テンセント、ファーウェイがあり、4社の頭文字を取ってBATH(バス)と呼ばれています。BATHをはじめ中国企業は著しい成長を遂げており、中国の技術力でなければ開発できない案件も多いといわれています。

時差が少なくコミュニケーションが取りやすい

中国との時差は1時間と短く、日本企業の業務時間内に連絡が取りやすいことも、中国でオフショア開発をするメリットです。トラブルが発生してもメールや電話をする際に、時差を気にすることなくリアルタイムで対応できます。

地理的に近いため、日本から出張しやすいことも魅力です。また、中国では漢字を使用しており、日本語を学ぶ人も多いことから、コミュニケーションが取りやすいといわれています。

エンジニアの数が多く優秀な人材を確保しやすい

中国はIT産業の急成長と国策によるデジタル改革に成功し、優秀なエンジニアが多いこともメリットの1つです。転職市場も活発で、中国でのオフショア開発を検討する企業にとって、優秀な人材を獲得しやすくなります。中国企業でしか扱えない開発案件が多く、最新の技術やノウハウが蓄積されているため、開発先に中国を選ぶことで自社の発展につながります。

中国でオフショア開発をするうえでのリスク

中国でオフショア開発をするメリットがある反面、少なからずリスクも伴います。どのようなリスクがあるのかを解説します。

国民性の違いによるリスク

中国は、国民性や文化、仕事に対する姿勢は日本と異なる点も多く、仕事をする前に理解を深めておく必要があります。中国人のなかには反日感情を持つ人も存在するため、相手を刺激しないように丁寧なコミュニケーションを取ることが重要です。

中国でのトラブルを防ぐには、作業内容や責任の範囲を契約書に明記する、不具合があった際の報告を徹底させる、などのルールを明確に伝えておきましょう。

近年のカントリーリスク

2022年に中国におけるカントリーリスクが増大し、新規案件はベトナムや他のアジア諸国へシフトする流れができています。また、中国政府による厳しい検閲により、インターネット上で社内の情報漏洩が発生したり、開発が滞ったりする恐れがあります。

さらに、米中貿易摩擦をはじめ、尖閣諸島問題などの国際問題が深刻化すれば、中国を拠点にオフショア開発するのは難しくなるでしょう。

人件費の高騰によるリスク

中国の人件費は日本よりも安いとされてきましたが、経済成長を遂げたことで、以前より人件費や開発コストが上昇傾向にあります。オフショア開発にかかるコストはアジア最大といわれており、人件費が高騰するリスクが懸念されています。

特に、内陸部と沿岸部では、人月単価に大きな差があることを理解しておくことが重要です。沿岸部のエンジニアの人月単価は日本より高いケースも少なくありません。

おすすめの中国オフショア開発会社

オフショア開発の拠点を中国に置く場合に、おすすめの中国オフショア開発会社を紹介します。

株式会社Sun Asterisk

グローバル展開をする開発会社で、日本とベトナムを含む4か国・6都市に自社の拠点を置いています。グループ全体で1,500人以上の人材が在籍しており、優秀なエンジニアをはじめ、戦略設計が得意なスタッフやUXデザイナーなどの人材もそろっています。

富士ソフト株式会社

1970年に創業した老舗のIT企業です。2010年11月には、中国法人ヴィンキュラムチャイナ(VCC)をグループ内に設立しました。日本と同等の開発環境とセキュリティはもちろん、日本基準のマネジメントで品質の確保に努めています。

株式会社ケネス

2004年に設立したIT企業で、中国の大連市に支社を置いています。日本語を学んだ現地スタッフも多く存在します。日本語でのやり取りで、スムーズなコミュニケーションを取れることが特徴です。

株式会社J&Cカンパニー

2015年に設立され、岡山県に本社を置くソフトウェア開発会社です。中国の浙江省杭州市や安徽省宣城市に拠点を置き、テレワークにも対応しています。現地の開発メンバーは通訳を通さずにやり取りができ、日本人の管理者が常駐するため安心して委託できます。

株式会社共達

グローバル展開するIT企業で、日本法人をはじめ、中国の瀋陽・大連・上海・深圳に開発拠点を置き、現地には600名以上の開発者がいます。5つの拠点のリソースを活用し、中国への進出を目指す企業を支援しています。

オフショア開発で中国からベトナムにシフトしている理由

オフショア開発先として、中国からベトナムにシフトする企業も少なくありません。主な理由を解説します。

IT人材を育成して技術力を上げている

ベトナムでは、国家戦略の一環として初等教育から高等教育まで、一貫してIT教育を行っています。その結果、毎年多くのIT人材が輩出され、エンジニアの技術力が向上していることも開発拠点に挙がる理由の1つです。

日本とのビジネス関係を重視して、第二外国語として日本語を扱う学校も増えています。日本語でやり取りできる人材の多さが、日本企業のニーズを満たすことにつながっています。

エンジニアの単価が日本の約1/3

ベトナムのエンジニアの人月単価は、日本のエンジニアと比べて約1/3です。低価格かつ高水準の技術力による開発が期待され、委託に至るケースが増えています。経済成長によって国内の人件費が上昇したため、コスト削減のメリットはなくなりつつあります。

しかし、コスト面に加えて得意分野や特長などの差別化を図る開発会社も多く、選択肢が多いこともベトナムが選ばれる理由でしょう。

親日で勤勉な国民性

ベトナムは親日国の1つで、国民性も勤勉な特徴があります。先述のとおり、ベトナムの学校のなかには日本語を第二外国語として学ばせるところもあり、日本語を話せる人材が増えています。勤勉な性格は高度な技術を要する業務の委託に向いており、ベトナムはオフショア開発の拠点におすすめです。また、日本との時差は2時間で短く、リアルタイムでの連絡も取りやすいことも魅力です。

まとめ

中国は世界有数のIT先進国で、高い技術力が評価されています。中国企業でしか扱えない開発案件が存在し、委託によって最新のノウハウを得られる可能性がありますが、近年は人件費の高騰やカントリーリスクが高まっています。リスク回避のためにベトナムへのシフトを検討するのも1つの方法です。

株式会社Sun Asteriskは、日本とベトナムを中心に、グループ全体で1,500人以上の開発体制をそろえている、クリエイティブスタジオです。オフショア開発における設計から本格的な開発まで、一気通貫でサポートします。オフショア開発の拠点を中国からベトナムへ移転を検討している人は、ぜひお問い合わせください。

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