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オフショア開発

オフショア開発の契約書締結までの流れは?種類や特徴、メリットなどを解説

更新日: 2024年11月18日

オフショア開発の契約書締結までの流れは?種類や特徴、メリットなどを解説

オフショア開発とは、システム開発案件などを海外企業に委託する方法です。優秀なエンジニアを国内よりも低コストで確保しやすいというメリットがあります。しかし、契約体系や契約書などの問題について疑問を持っている企業も多いでしょう。本記事では、オフショア契約の契約体系や契約の流れなどを詳しく解説します。

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そもそもオフショア開発とは?

オフショア開発(offshore development)とは、システム・アプリ開発やシステム運用などの業務を海外の企業に委託することです。近年では、コストを抑える目的だけでなく技術力や運用体制なども考えてアウトソーシングする「グローバルソーシング」が浸透し始めています。そのため、世界各地を選定対象としてより効果的なアウトソーシングが可能です。

併せて読みたい:オフショア開発とは?注目される理由やメリット、依頼する際のポイントなど

オフショア開発の契約書締結までの流れ

オフショア開発はどのような流れで契約するのでしょうか。ここでは、契約締結までの流れを解説します。

1.希望要件のヒアリング

まずは、顧客にヒアリングを行います。顧客の要望や抱えている課題などを詳しく聞いて、どのような仕様を必要としているのかを明確にすることが大切です。この段階で、オフショア開発側は開発などに関するさまざまな疑問、深堀が必要な項目などの確認も行います。また、対応可能かどうかも判断しましょう。

2.NDAおよび基本契約の締結

ヒアリングが完了した後は、秘密保持契約(NDA)を締結しましょう。秘密保持契約を結ぶことで、案件に関する情報の漏洩を防ぐことができます。締結後は、プロジェクトの要件に沿ってウォーターフォールモデルやアジャイルモデルなどの開発方式を決定し、基本契約を締結します。基本契約には各当事者の権利や責任などの条件が記載されます。

3.見積もり・提案書の取得および契約の締結

基本契約を締結した後は、受託先が見積もりと提案書を作成して提出します。委託先が見積もりと提案書の内容や条件などを確認し、不明点や不適切な項目などがなければ承認されます。条件が承認されたら、詳細契約および発注書を締結しましょう。詳細契約とは、金額や工数、支払い条件などが記載されているものです。

準委任契約・請負契約・ラボ契約の違い

オフショア契約の契約方法は大きく分けて3つです。ここでは、準委任契約・請負契約・ラボ契約の違いについて解説します。

準委任契約

準委任契約とは、クライアントが特定の業務や作業などを受託者に依頼して、その業務遂行を目的とした契約です。オフショア開発では、システムの運用保守やサポート業務などが準委任契約に当たります。準委任契約においては業務の結果や成果物の納品が目的ではなく、業務遂行を目的としています。そのため、成果物の納品などが必須ではありません。

請負契約

請負契約とは、発注者が依頼した特定の成果物を受託者に納品してもらうことを目的とした契約です。オフショア契約においては、新システムやソフトウェアの開発、特定プロジェクトの完了などが請負契約に当たります。請負契約では、成果物の完成がと納品が求められるため、完成・納品後に報酬が支払われる形になります。

ラボ契約

ラボ契約とは、受託者が発注者のために専属の開発チームを提供して、チームが発注者の指示のもとで開発を行う契約です。オフショア契約においては、継続的な開発が必要なプロジェクトや大規模なプロジェクトに適用されるケースが多くなっています。ラボ契約では、発注者がチームを管理できるため、開発内容や方向性に合わせた柔軟な調整が可能です。

オフショア開発において準委任契約が向いているプロジェクト

準委託契約はアジャイル型の開発案件に向いています。アジャイル型とは、初めから厳密な仕様を決めずに行うものです。仕様や設計の変更があるという前提で、小さなサイクルで開発・テスト・修正を繰り返しながら進めます。アジャイル型のように開発を進めながらテストや修正を繰り返す案件では、準委任契約が適しています。

併せて読みたい:アジャイル開発の流れは?メリットや主な開発手法・失敗しやすいポイントなどを解説

オフショア開発において請負契約が向いているプロジェクト

請負契約は、ウォーターフォール型の開発案件に向いています。ウォーターフォール型とは、開発の初めに詳細な仕様や納期などを決定して、順序に従って開発を進めていく方法です。ウォーターフォール型は、仕様が初めから明確になっている案件や必要な機能のみを搭載する小規模な開発などに適しています。

併せて読みたい:アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いは?それぞれの特徴を解説

オフショア開発においてラボ契約が向いているプロジェクト

ラボ契約は、既存のWebサービスやアプリの運用などに向いている契約です。Webサービスなどの運用のように、機能改善や仕様変更、日々の運用など、多くの作業があっても効率的に進めやすいです。また、ラボ契約は変更のたびに見積りやチーム体制の変更が不要のため、アジャイル型開発との相性もよくなっています。

併せて読みたい:ラボ型のオフショア開発とは?特徴やメリット・デメリットを解説

準委任契約のメリット・デメリット

オフショア開発の契約方法を選ぶ際には、各契約方法について詳しく知っておくことが重要です。ここでは、準委任契約のメリットとデメリットを解説します。

準委任契約のメリット

日本ではIT人材は不足しておりITエンジニアの確保が難しくなっていますが、準委任契約であれば海外の人材を確保しやすいでしょう。また、契約期間内は自社の開発プロジェクトを進行でき、採用や教育の手間もかかりません。準委任契約ではプロジェクト終了後も、解散することなく次の案件に移行できるというメリットもあります。

準委任契約のデメリット

準委任契約はエンジニアの確保がしやすいというメリットがありますが、プロジェクトをスムーズに進めるにはマネジメント力が必要です。定期的にオンラインミーティングをしたりオフショア先へ駐在したりするなど、密なコミュニケーションが必要となるため手間がかかります。また、請負契約と比較すると工数がかかる点もデメリットです。

請負契約のメリット・デメリット

請負契約にもメリットとデメリットがあります。詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。

請負契約のメリット

請負契約の大きなメリットは、受注者が開発を進めるため人材育成や人材確保の労力がかからないことです。開発方法やプロセス、スケジュール管理などを把握する必要もありません。また、請負契約では品質と納期が保証されており、品質チェックやテストも受注者側で行う責任があるため、安心して任せられることもメリットです。

請負契約のデメリット

請負契約のデメリットは、仕様を容易に変更できない点です。開発途中に要件変更や追加発注が必要になっても、簡単には変更できません。そのため、契約内容の再見積もりによりスケジュールが大幅に伸びる可能性もあります。開発プロセスや人材確保などに関わる必要がなく手間はかかりませんが、開発前に要件をしっかりと固めておく必要があります。

ラボ契約のメリット・デメリット

ここでは、ラボ契約のメリット・デメリットを詳しく解説します。

ラボ契約のメリット

ラボ契約の大きなメリットは、中・長期の契約が多い点です。契約期間中は専属の優秀な人材チームを確保できるため、継続的に案件を発注できます。また、コストを抑えやすい点もメリットでしょう。特に、アジア各国のエンジニアは国内エンジニアよりも人件費が安いケースが多く、採用コストを抑えながら優秀な人材を確保できます。

ラボ契約のデメリット

ラボ契約は、一定の期間中に専属チームを確保できるというメリットがありますが、短期的な案件の場合コストが高くなります。契約期間中はチームや人材を保持することになるため、リソースを無駄にしないように一定の仕事や案件を発注しなければいけません。また、発注プランや方向性が定まっていないと、チーム運用が迷走する可能性もあります。

オフショア開発の契約時に注意すべきこと

オフショア開発では注意したいポイントが3つあります。ここでは、各注意点を詳しく解説します。

契約書は必要な項目を網羅したものを作る

契約書はトラブルが起こった際の証拠となります。そのため、必ず契約書を作成しましょう。記載すべき主要項目としては以下が挙げられます。

・納期
・報酬
・作業範囲
・成果物
・支払い通貨やレート
・エンジニアの要件と人数
・セキュリティ規定
・日報の頻度
・準拠法など

基本的な項目を網羅した契約書を作成しておくことで、トラブルが発生しても、すぐに対応できます。

日本語で対応できる範囲を確認しておく

オフショア開発においては、日本語と英語でコミュニケーションを取ることが一般的です。しかし、なかには英語のみという企業もあるため確認しておくとよいでしょう。英語での対応に不安がある、英語でのコミュニケーションが難しいという場合は、語学力のある人材をあらかじめ確保するなどの対応が必要になります。

トラブルが予測できるところを明確なルールとして決める

オフショア開発では、トラブルが発生するケースもあります。たとえば、コミュニケーション問題やコスト、品質などに関するトラブルが考えられるでしょう。このように、起こる可能性のあるトラブルについて契約段階で確認しておき、対策しておくことが重要です。自社内での検討だけでなく、開発企業と話し合って対策を講じるようにしましょう。

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まとめ

オフショア開発とは、システム開発や運用などの案件を海外企業にアウトソースすることです。オフショア開発の契約方法は、準委任契約・請負契約・ラボ契約の3種類に分けられており、それぞれ適した案件やメリット・デメリットが異なります。開発要件や自社の目的などに合った契約方法を選びましょう。

株式会社Sun Asteriskは、エンジニアやデザイナー、戦略コンサルタントなどが集結するクリエイティブ・スタジオです。DXコンサル、設計から本格的な開発まで一気通貫でサポートできるケイパビリティの広さ、圧倒的に柔軟な開発リソースが魅力です。オフショア開発をお考えなら、お気軽にご相談ください。