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オフショア開発

ベトナムのオフショア開発とは?なぜ、ベトナムでオフショア開発なのか

更新日: 2025年9月2日

ベトナムのオフショア開発「オフショア開発」から「グローバル開発」へ

ベトナムは今、日本企業が最も多くオフショア開発先として選ぶ国となっています。その背景には、日本国内の深刻なIT人材不足と開発コストの高騰があります。
一方ベトナムでは、若く優秀なITエンジニアが豊富に育成され、国を挙げてIT産業に投資している状況に加え、日本との時差がわずか2時間であることや、親日的な文化や日本語教育も進んでいる背景から、プロジェクトを進めやすい環境が整っているといえるでしょう。

本記事では、ベトナムでのオフショア開発のメリット・デメリット、費用相場、成功させるためのポイントを具体的に解説します。オフショア開発やグローバル開発を導入しようとご検討の方は、ぜひ本記事をご参考ください。

ベトナムが選ばれる背景

日本におけるIT人材不足とコスト課題

日本ではIT人材が供給不足に陥っています。経済産業省の調査によると、2024年には、日本のIT人材が約40万人不足していて、2030年には最大約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。

この不足は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や情報セキュリティの需要増加によってさらに深刻化している状況です。特に、AIやIoTなどの先端技術を扱える高度なスキルを持つ人材の不足が顕著です​。さらに、日本の労働人口は少子高齢化の影響で減少しており、2030年には労働者全体が10%減少すると予測されています。この不足は特に高度なスキルを持つIT人材の需要が増加する一方で、供給が追いつかないことが主要な原因です​

※参照:経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課「IT人材育成の状況等について」

併せて読みたい:オフショア開発白書から見る日本の動向や人気の委託先を解説

ベトナムはオフショア開発人気No.1

オフショア開発白書(2024年版)の調査によると、発注先として最も選ばれているのはベトナムで、全体の約42%を占めています。
ベトナムが高く評価される理由には以下があります。

  • 優秀なIT人材の豊富さ:国策としてIT教育を推進、ホーチミン工科大学などから多数のエンジニアが輩出

  • コスト競争力:人月単価は日本の約半分〜3分の1(職種にもよる)

  • 日本語対応力:一部の教育機関で日本語を必修化、日本語人材も増加

  • 地理的・文化的な親和性:時差が少なく親日的な国民性

こうした条件により、日本企業にとってベトナムは「コスト削減とリソース確保を同時に実現できる国」として支持を集めています。

そもそも”オフショア開発”とは?

オフショア開発とは、海外拠点・パートナーを活用してソフトウェアを開発する手法です。日本では時差が少ないアジア圏が中心となっています。

>>詳しくはこちら:オフショア開発とは?注目される理由やメリット、依頼する際のポイントなど

オフショア開発が行われる背景と傾向

Sun*では、2012年の創業以来、2025年09月末時点で1,000を越えるプロダクトの開発を伴走し、550社以上の事業成長のサポートをして来ました。各社がオフショア開発を実施する理由としては、主に以下のような理由が挙げられます。

オフショア開発を実施する理由

  • 国内で優秀なエンジニアを採用することが困難
  • システム開発のコスト削減/コストの変動費化
  • 事業の海外進出
  • 組織の多様化(ダイバーシティ)

最初は規模の小さいスモールスタートではじめて、慣れてきたところで、10人、数十人規模のプロジェクトに拡大していく例が成功事例として増え、コストの削減よりも事業の開発スピードや品質を重視するクライアントが増えている傾向があります。
ガートナージャパンが2016年に発表した「2020年までに起こるIT人材の展望」には、「オフショアを実施する日本のIT部門の50%が、コスト削減ではなく人材確保を目的とする」と書かれていました。そして2024年の現在、どのようになったでしょうか。「オフショア開発白書2023年版」の調査結果をみると、オフショアを活用する一番の理由は、「リソースの確保」と予測通りの結果になっています。

オフショア開発を検討した目的

参照:「オフショア開発白書」(2023年版)

ベトナムオフショア開発のメリット

1.開発コストの削減

ベトナムの人月単価は、日本国内に比べて大幅に低い水準です。例えば「プログラマー」の場合、平均約39万円/月で、日本国内の相場(80〜120万円程度)に比べると約半分以下です。
シニアエンジニアやPMも日本の水準より安価で、一定のコスト削減効果が期待できます。

参照:「オフショア開発白書」(2024年版)

2.優秀で若いIT人材の豊富さ

ベトナムは人口の約7割が30歳以下と非常に若い国で、国策としてIT教育を推進しています。
ホーチミン工科大学やハノイ工科大学をはじめとした教育機関がIT人材を大量に輩出しており、AIやブロックチェーンといった先端領域にも対応できるエンジニアが増加中です。

株式会社Sun Asteriskではハノイ工科大学で学生の教育も行っており、日系企業向けに新卒エンジニア採用のサポートも行っています。

>>Sun*のIT人材教育サービスを見る:海外トップ大学の優秀層が集まる、エンジニア採用プラットフォーム「xseeds」

3.日本語対応と親日文化

ベトナムでは、日本語教育が進んでおり、日本語でコミュニケーションできるエンジニアやブリッジSEを確保しやすい環境です。
親日的な文化や勤勉な国民性も、日本企業が業務を進めやすい理由となっています。

4.地理的・時差の近さ

日本との時差はわずか2時間。フライトも5〜6時間と近いため、現地出張やハイブリッドでの開発体制が取りやすく、コミュニケーションコストを抑えられます。

ベトナムオフショア開発のデメリット・課題

1. コミュニケーション・品質管理の難しさ

発注企業のアンケートでは、課題として最も多いのが「コミュニケーション力」と「品質管理」です。
仕様書の曖昧さや意思疎通不足が品質問題につながるケースもあり、ブリッジSEの有無が成功を分ける要因になります。

2. 人件費の上昇と円安リスク

近年はベトナム国内の人件費も上昇傾向にあり、円安の影響も加わって「思ったほど安くない」と感じる企業も増えています。
短期的なコスト削減だけを目的にすると、期待通りの成果が得られない可能性があります。

3. ベンダー数が多く選定が難しい

ベトナムではオフショア企業が急増しており、ハノイ・ホーチミンに加え、ダナンなど地方都市にも広がっています。
選択肢が多いこと自体はメリットですが、「どの企業が自社に合うのか」を見極めるのは難しく、選定基準を持たずに契約すると失敗リスクが高まります。

オフショア開発のおすすめ企業17選|成功のための選び方を解説

費用相場・コスト削減効果

ベトナムオフショア開発の人月単価

ベトナムにおけるエンジニアの人月単価は、日本国内と比べて大幅に低い水準です。『オフショア開発白書(2024年版)』によると、職種別の平均人月単価は以下の通りです。

職種 平均人月単価 国内相場目安 削減率目安
プログラマー 約39.4万円 80〜120万円 ▲50〜60%
シニアエンジニア 約48.3万円 90〜130万円 ▲40〜50%
ブリッジSE 約59.0万円 100〜140万円 ▲30〜40%
PM 約70.0万円 120〜160万円 ▲30〜40%

日本国内ではプログラマーでも80〜120万円/月が相場とされるため、ベトナムを活用することで30〜50%程度のコスト削減が可能になります。

コストダウン率の実績

実際に発注企業へのアンケート調査では、国内と比較した場合の平均コスト削減率は 約19.2% という結果が出ています。
以前は25〜30%程度の削減が一般的でしたが、近年は人件費や円安の影響で削減率はやや下がってきています。

小規模〜大規模まで幅広い予算感

オフショア開発の予算規模は、数百万円規模のスモールスタートから、年間1億円以上の大規模プロジェクトまで幅広く存在します。
近年は「コスト削減」だけでなく「リソース確保」が目的になることが多く、継続的なラボ型契約を活用する企業も増えています。

参照:「オフショア開発白書」(2024年版)

オフショア開発白書から見る日本の動向や人気の委託先を解説

ベトナムオフショア開発を成功させるポイント・失敗回避

オフショア開発が失敗する主な原因

オフショア開発は「距離や文化の違いが原因で失敗する」というイメージを持たれがちです。しかし実際の原因は、要件定義の曖昧さや品質管理・コミュニケーション不足といった“運用上の課題”にあることが多いです。オフショア開発はコストやリソース確保の面で大きなメリットがありますが、一方で失敗事例も少なくありません。よくある失敗の原因は次のようなものです。

オフショア開発は失敗する?具体例や有効な対策を解説

1. 品質管理の不十分さ

  • テスト工程が甘く、納品物の品質が期待値に届かなかった

  • 「できているはず」と思っていたが、仕様通りに実装されていなかった

2. コミュニケーション不足

  • 言葉の壁から仕様を正確に伝えられなかった

  • 打ち合わせや進捗共有の頻度が少なく、認識のズレが解消されないまま進んでしまった

  • 適切なツール・方法を使わず、情報共有が不十分だった

3. 文化・価値観の違い

  • 日本の進め方を一方的に押し付け、相手のやり方を尊重できなかった

  • 文化や価値観の差を理解せずに進めた結果、ミスコミュニケーションが発生した

  • チームとしての信頼関係を築けず、距離感が生まれてしまった

4. 依存体制の偏り

  • ブリッジSE任せにしてしまい、発注側が状況を十分に把握していなかった

  • 気づいた時には進捗や成果が想定と大きくずれていた

>>おすすめ記事:オフショア開発の進め方とは?具体的な手順や押さえておきたいポイント

ベトナムオフショア開発を成功させるポイント

1. 契約形態を適切に選ぶ

オフショア開発には大きく分けて「請負契約」と「ラボ契約」があります。

  • 請負契約:成果物に対して契約する形式。要件が固まっている案件に向いている。

  • ラボ契約:専属チームを確保する形式。長期的な開発や運用保守を伴うプロジェクトに適している。

ベトナムではラボ型開発を活用する企業が増えており、継続的なリソース確保やスピード重視の開発に効果的です。ただしマネジメント負荷が高くなるため、導入初期は請負型から始め、慣れてからラボ型に移行するのがおすすめです。

2. コミュニケーション体制を整える

発注企業へのアンケート調査でも「成功のカギはコミュニケーション」との回答が最も多く挙がっています。
具体的には以下の工夫が有効です。

  • ブリッジSEを配置して言語・文化の差を吸収する

  • 要件定義や仕様書をドキュメントで明確に残す

  • 定例ミーティングやチャットツールで進捗共有を徹底する

3. 信頼できるベンダーを選定する

ベトナムではオフショア企業が急増しているため、「どの会社を選ぶか」が成功の分かれ道になります。
選定時のチェックポイントは以下です。

  • 日本企業との取引実績があるか

  • 過去の開発実績(業務系・サービス系など)

  • プロジェクトマネージャーや担当者の対応力

  • 日本語対応可能な人材の比率

複数社から見積もりを取り、4〜5社を比較検討するのが一般的です。

4. スモールスタートで検証する

いきなり大規模プロジェクトを委託するのではなく、まずは小規模案件で「品質・対応力・スピード」を見極めることが大切です。
スモールスタートで成功体験を積んでから、本格的なラボ契約や長期案件に移行するのが失敗を避ける王道パターンです。

Sun Asteriskのオフショア開発品質を支える仕組み・取り組み

オフショア開発の課題に対する取り組み

Sun*では、オフショアだから特別に課題があると捉えるのではなく、「なぜ問題が起きるのか」「どう解決すべきか」をフラットな視点で追求し続けてきました。エンジニア自身が主体となって課題解決に挑む文化が根付いており、品質やスピード向上のために自ら仕組みを作り出しています。

▼具体的な取り組み例

  • CI環境の自動構築
  • ソースコードをコミットした段階での自動レビュー
  • Github上でのレビューコメント自動化
  • バージョン更新ごとのテストコード実行によるリポジトリの安定化
  • デプロイなど定期作業の自動化によるヒューマンエラー防止

このような取り組みにより、クライアントやパートナーからも「先進国と同等、あるいはそれ以上」と評価をいただいています。

>>併せて読みたい:オフショア開発の品質は低い?日本国内の開発との違いや対処方法を解説

ベトナムのインフラとオフィス環境

ベトナムは急速に経済が発展しており、高層オフィスビルやコワーキングスペースなど先進的な環境が整っています。Sun*のオフィスが入居する72階建てのビルをはじめ、クリエイティブなオフィス環境が次々に整備されており、インフラ面でも日本や他の先進国と変わらない環境が形成されています。

Sun Asteriskベトナム

エンジニアコミュニティへの貢献

Sun*はベトナムのエンジニアコミュニティの発展にも積極的に貢献しています。

  • 技術情報を共有するプラットフォーム『Viblo』を運営(現在ユーザー数70万人以上、月間PV300万超)
  • プログラミングコンテストやAIアルゴリズムを競わせるイベント『Codewar』を開催(1回で2000人以上が参加)

勉強会やセミナーも頻繁に行われ、現地エンジニア同士が刺激し合う文化が醸成されています。

「オフショア開発」から「グローバル開発」へ

我々は、ベトナムというのはあまり意識していません。IT開発において海外か国内かというのは、単に拠点が分かれていて、色んな人種のメンバーがチームにいるだけです。実際に我々のベトナム拠点には、ベトナム人はもちろん、バングラデシュ、カザフスタン、ロシア、カンボジア、ナイジェリア、そして日本など、様々な国籍・人種のメンバーがごっちゃになって働いています。
我々の観点からすると「オフショア開発」ではなく単に「グローバルなチームでの開発」です。

日本国内だけに目を向けると、少子化、人材不足とネガティブな情報に目が行きがちですが、少し外に目を向けて、国という概念を超えて周りと手を取り合えれば、新しい形でのグローバル先進国家というものを目指していけるはずだと思います。

Sun*では、グローバルチームでの開発を通じて、このようなことを実現していきたいと考えています。

こちらもおすすめ:【資料】オフショア開発 成功の手引き

よくある質問

Q ラボ型開発と請負の一番の違いは?
A ラボ型は期間中に人員・スキルを確保する契約、請負は成果物の完成に責任を負う契約です。仕様変更が想定されるならラボ型が適します。
Q Sun Asteriskと他社の違いは何ですか?
A スタートアップ領域に強い開発文化、アジャイル前提の運用、ベトナムにおける強いブランディングと採用力、QAを上流から組み込む体制が特長です。
Q 運用保守(24/365)に対応できますか?
A 原則として自社単独では実施していませんが、パートナー連携やSRE設計によりニーズに即した体制・代替案をご提案します。
Q 最小体制はどの程度から始められますか?
A 小規模なら2名程度から開始可能です。当社はエンジニア3名に対し1名のQAを推奨し、上流から品質を作り込みます。
Q コミュニケーションが不安です。うまく進められますか?
A BrSEの橋渡しに加え、画面仕様書や設計書、チケット運用で非言語の齟齬を低減します。会話だけに依存しない運用を標準としています。

Sun Asteriskがこれまで手がけてきたプロジェクトを多数ご紹介しております。

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