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システム開発

WBSとは?システム開発におけるWBS|導入する際のポイントや作成方法・重要点を解説

更新日: 2025年5月16日

システム開発において、プロジェクトを円滑に進行させるためには、WBS(Work Breakdown Structure)の活用が必要です。この記事では、WBSの概要、重要性、作成方法、システム開発プロジェクトを成功に導くためのポイントを解説します。ぜひ役立ててください。

WBS(Work Breakdown Structure)とは

WBS(Work Breakdown Structure)とは、システム開発における作業を細かく分解し、構造化する方法です。プロジェクト全体をいくつかのタスクに分け、担当者や工数、スケジュールと結びつけて整理します。たとえば、スマートフォン向け勤怠アプリの開発では、要件定義や設計、プログラミングなど大まかな工程を細分化し、進捗管理の円滑化を目指します。

これにより、タスクの抜け漏れや重複を避け、効率的な進行につながるでしょう。WBSの導入によりプロジェクトの全体像を把握することで、成功率の向上が期待できます。

WBS導入の目的と重要性

WBSの導入は、作業内容の明確化とタスクの抜け漏れ防止がおもな目的です。WBSを活用することで、タスクを階層的に整理し効率的な管理が可能です。タスク漏れや重複を防ぎ、進捗管理が容易になります。また、各担当者の割り振りを行い、プロジェクト全体の進捗状況を共有できるため、共通の認識をもってスムーズに進められます。

WBSとガントチャートの違い

WBSは、プロジェクトの作業を階層的に分解し、全体像を把握するための構成図です。一方、ガントチャートは、タスクの開始日や進捗状況を時間軸に沿って視覚化した、スケジュール表です。両者は目的が異なりますが、進捗管理や認識共有を円滑に行うために併用するとよいでしょう。

WBS導入のメリット

WBSの導入により、プロジェクトの進行管理が効率化され、作業漏れのリスクを抑えます。おもなメリットを解説します。

プロジェクトの全体構成を把握できる

プロジェクトに必要なタスクを洗い出し、全体構成の明確な把握が可能です。作業範囲や進捗状況が視覚的に整理され、無駄な作業を省いて進行できます。また、遅れが生じた際にも早期に対策が取れるため、プロジェクト運営がスムーズになります。

タスクの分担がスムーズになる

作業内容が明確になることで、タスクごとに適切な担当者を割り当てやすくなります。各タスクの責任者が明確になり、進行管理もスムーズに行えます。また、担当者が一目でわかるため、責任者の所在が明瞭になるだけでなく、トラブル時の迅速な対応も可能です。

工数の見積もりが容易になる

作業内容や範囲が明確化され、必要な工数の見積もりが容易になるでしょう。工数が把握できると、開発にかかるコスト算出もスムーズに進みます。不明確なタスクを減らすことで、プロジェクトの見積もり精度が向上し、予算やスケジュールの計画が立てやすくなります。

作業範囲や進捗状況が共有できる

プロジェクトに必要な作業内容や進捗状況が一目で把握でき、作業範囲の共通意識が生まれます。タスク間の関係性や優先順位も明確になり、無駄な作業や齟齬の減少につながります。また、各担当者が自分の役割を理解し、チームワークの強化やタスク間の連帯意識が上がるでしょう。そのため、プロジェクトが円滑に進みます。

プロジェクトの進行がスムーズに管理できる

各タスクの進捗状況が可視化され、遅れが発生した際には迅速な対応が可能です。プロジェクト全体の進行管理がスムーズになり、潜在的な問題を早期に発見することで、対策の立て直しにつながります。

システム開発でのWBSの作り方

システム開発でのWBSは、作業の細分化を図りタスクの関係や順序を明確にするプロセスです。WBSの作り方を解説します。

1.作業内容の洗い出し

プロジェクトのゴールを決め大まかな作業を洗い出します。たとえば、要件定義や設計など大きなタスクを特定します。タスクは適切な工数で分割し、進行管理がスムーズに行えるように考慮しましょう。

2.作業内容の細分化

タスクを洗い出した完了後は、その作業を細分化します。画面設計や機能の明確化など、各タスクを完了させるために必要な詳細作業を考えます。作業を時系列で整理し、前後関係を考慮しながら構造化することが重要です。

3.抽出・分解したタスクの整理

プロジェクト全体を大タスクから小タスクの順番に階層化し、因果関係や優先順位を明確にします。タスク同士の依存関係を確認することで、効率的な進行が可能です。

4.作業時間の設定

WBSにもとづき、各タスクの必要工数を見積もります。タスクの因果関係や優先順位がはっきりし、適切な工数を設定しやすくなります。過去の経験やリソースを考慮して、余裕をもった期日の設定が必要です。

5.担当者の決定

WBSが完成したら、タスクごとに担当者を割り当てます。責任の所在を明確にするために、1つのタスクにつき1人の担当者を設定しましょう。複数人を割り当てる場合は、進捗管理や対応をスムーズに進められる工夫が必要です。

システム開発を成功させるためのWBSの重要ポイント

システム開発でWBSを効果的に活用するためには、タスクの明確化と進捗管理が重要です。WBSのカギとなるポイントを解説します。

サンプルやテンプレートの活用

サンプルやテンプレートを活用することで効率化が図れます。Excelといった、提供されているテンプレートを使用すると、重要な情報の漏れを防ぎつつ作業時間の短縮が可能です。プロジェクトに合った内容にカスタマイズして、効果的なWBSを作成しましょう。

各作業に専任の担当者を配置

WBSで明確化した各作業には、専任の担当者の配置が不可欠です。複数名を割り当てると、進行遅れや全体スケジュールに影響を及ぼす可能性があります。この場合、責任が曖昧になるため注意が必要です。担当者が1人であれば進捗確認がしやすく、スムーズな管理につながります。

プロジェクトに関連するすべての作業を明確にする

システム開発では、データ移行や旧データの削除など見落としがちな作業が発生するため、プロジェクトに関わる作業を明確にすることが重要です。過去のプロジェクトやチームでタスクを洗い出し、漏れを防ぎましょう。タスクは明確に記載し、不明確な部分は進行中に解決できるように考慮します。

階層の数を必要最小限に抑える

WBSでは、タスクの詳細な掘り下げが重要ですが、階層が深くなりすぎると管理が複雑化します。過剰な細分化はスケジュール調整が難しくなるため、3~4層ほどがよいでしょう。シンプルで直感的に理解できる構造を目指します。

WBS作成を効率化するツール

WBSは作業を細分化し、全体像を明確にすることで、計画精度の向上と効率的なリソース管理を実現します。WBS作成を効率化するためには、専用ツールの活用がおすすめです。WBS作成に適しているツールを紹介します。

Microsoft Excel

Microsoft Excelは、WBS作成に便利なテンプレートが提供されており、作業内容やタスク数に合わせてカスタマイズが可能です。ガントチャートを組み込むことで、視覚的な進捗管理ができるでしょう。しかし、Excelはリアルタイムでの進捗確認や、複数人での共有には適していません。

普段Excelを使用している人は、既存のスキルを生かしてWBS作成ができますが、大規模なプロジェクトには不便なケースもあります。

マインドマップ

マインドマップは、アイデアや作業内容を中心に置き、関連する事項を周囲に書く図です。作業間の因果関係や関連性を視覚的に把握でき、思いついた順番に作業の整理が可能です。とくに、作業漏れの発見や、会議をしながらアイデアを出す際に役立ちます。さまざまな種類のなかから自社に合ったツールを選ぶことで、さらに効率的なWBS作成につながります。

ガントチャート

ガントチャートは、タスクの進捗や作業の割り当てを、視覚的に把握するためのツールです。縦軸に作業内容を、横軸に日程を配置し棒グラフで進捗状況を示します。WBSで抽出や分解した作業を、ガントチャートでスケジュール化することで、タスク間の依存関係や進行状況を一目で確認できます。

まとめ

WBSは、システム開発においてプロジェクトを効率的に進めるために、必要不可欠なツールです。作業内容の洗い出し、細分化、進捗管理を視覚的に整理し、タスク漏れや重複を防ぎます。ガントチャートやマインドマップと併用することで、プロジェクトの成功につながるでしょう。

WBSは「作る」ことがゴールではなく、「実行に移せる設計図」として活用できることが重要です。株式会社Sun Asteriskでは、WBSの基本構造から、システム開発向けのサンプルテンプレート付資料をご用意しています。ぜひご活用ください。

WBS(Work Breakdown Structure)について、基本の解説と、作成方法を具体的にご紹介いたしました。

本ガイドでは、複雑になりがちなシステム開発の見積もりの基本構造や比較のポイントをわかりやすく解説いたしました。