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システム開発

【初心者にもわかる】システム開発における品質管理とは?工程や手法・役立つ資格を徹底解説

更新日: 2025年5月28日

システム開発では、品質管理が重要な側面を持ちます。開発から実施まで各工程で適切な品質管理をすることで、顧客満足度が向上し、顧客との良好な関係が期待できるでしょう。この記事では、システム開発における品質管理の目的や手順、役立つ資格について、システム開発の経験を積みたいと考える開発担当者に向けて解説します。

システム開発における品質管理とは?

システム開発における品質管理とはどのようなものか、品質管理に含まれる要素や目的について解説します。

品質管理とは

システム開発における品質管理は、開発工程のすべてで品質を確保する取り組みです。ソフトウェアやシステムの品質を維持し、顧客の要求を満たします。品質管理には、以下の4点が含まれます。

  • 計画作成
  • 保証活動
  • 評価
  • 改善措置

これらの活動は、いずれも開発工程だけでなく、リリース後も継続します。

品質管理の目的

納期制限や開発費用とのバランスを取りつつ、システム要件を最大限保証することが、品質管理において重要です。要件を満たすことで、顧客の期待に応えられます。これらの目的を達成するためには、以下が求められます。

  • 品質を確保し、基準値を達成する
  • 強固なセキュリティ体制を構築する
  • 信頼性を確保する
  • 最適なパフォーマンスを提供する
  • 修正や変更などの作業過程を確立させる
  • 長期的なメンテナンスを容易にする

品質保証との違い

品質保証とは、製品そのものの品質を検証し、不具合や欠陥を特定し、修正することです。製品指向である品質管理とは異なり、品質保証はプロセス指向です。品質保証は顧客向け、品質管理はシステム開発をする自社向けと分けられますが、どちらも顧客が求める品質を満たすことを目的としています。

システム開発の品質管理の工程

システム開発の品質保証は、5つの手順に沿って進めましょう。それぞれの工程について、詳しく解説します。

品質管理の計画を立てる

要件定義において、顧客が要求する品質やニーズを定義します。ニーズにあわせたシステムを開発することで、顧客満足度の向上につながります。初期段階で品質目標を立て、目標達成のための具体的な計画が重要です。修正や検証、不具合や動作不良の確認、改善など、品質要件とリスク管理の計画も策定に含めます。

システム設計を行う

システム設計とは、必要な機能や仕様を決めて開発工程に入る前にまとめる工程です。システム設計を行い、品質計画で定めた内容や測定基準の内容を確認しましょう。システム設計は、基本設計、詳細設計の順に進めます。基本設計では、要件定義で定めた機能や性能を形にします。詳細設計は、基本設計に基づき、システムの内部構造や処理方法を決める工程です。

単体テスト、結合テスト、総合テストを行う

システムが完成したら、要件定義を満たしているかを確認します。その際、単体テスト、結合テスト、総合テストの順に進めましょう。単体テストでは、システムの機能に問題がないかを、単体で検証します。結合テストは、システム内で適切に連携できているかを検証するテストです。総合テストは、全体を検証します。それぞれ規模感が異なり、単体テスト、結合テスト、総合テストの順に規模が大きくなります。

セキュリティテストを実施する

システムが想定した通りに動作することを確認したら、セキュリティテストを実施しましょう。セキュリティ上の問題がないかといった、顧客への被害を想定したテストを行います。例として、以下が挙げられます。

  • アプリケーション診断
  • プラットフォーム診断

品質改善に努める

システムを運用するなかで課題や問題が発生した場合は、要因を分析し、修正、検証を重ねます。不具合の根本原因を分析することで、再発防止につながるでしょう。QC7つ道具を使い、分析することも品質改善に有効です。QC7つ道具は以下の通りです。

  • パレート図
  • 特性要因図
  • グラフ
  • ヒストグラム
  • 散布図
  • 管理図
  • チェックシート

システム開発の品質管理を行う際のポイント

システム開発の品質管理を実施する際に重要なポイントを4つ解説します。

基準値や指標値を明確にする

品質基準値や指標値を明確にすることで、プロジェクトの方向が統一化され、目標達成までの過程がスムーズに進みます。基準値や指標値を定めることで、品質評価も容易になり、チーム間や関係者間での齟齬を防げるでしょう。また、円滑なコミュニケーションの構築にも有効です。要件定義の相違を回避するためにも、プロジェクトに関わる全員が同じ完成イメージを持つことが重要です。

要求を網羅できているか確認する

プロジェクトの成否は、要求内容の完全な理解と網羅的なカバーに左右されます。要求を文書化し、必要な機能、求められている性能を具体的に示しましょう。優先順位の決定、要求の追跡管理も合わせて重要です。要求が適切に実装されているかが確認できるためです。

部署間の連携をとる

要求を担当者のみが理解していても、顧客が満足するシステムは開発できません。品質管理の効果を最大限発揮するためには、関係するすべての部署間での連携が重要です。システム設計の担当者やプログラマーなど関係者全員で、必要な機能や性能などの要件定義を共有しましょう。これにより、システム開発の方向性を調整できるため、要件の矛盾や衝突に早急に気がつけます。

各工程ごとに品質をチェックする

品質チェックは、各工程ごとに実施しなければなりません。これは、早期に問題を解決し、修正するために重要です。また、工程ごとの徹底した品質確認は、製品の最終的な品質向上につながります。各段階でのフィードバックにより、品質改善の機会が得られるためです。確認不足のまま次の工程に進むと、軌道修正が困難になりかねません。あらかじめ、工程ごとにチェックシートを作成しておくと、抜け漏れが防げます。

システム開発の品質管理の手法

システム開発の品質管理は、ウォーターフォール開発とアジャイル開発に分けられます。それぞれの特徴について、解説します。

ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発は、工程を要件定義、設計、開発、テスト、展開の順で進める手法です。各工程が完了してから、次の工程に移ります。完了した工程に戻すことがないため、計画が立てやすく、正確に品質管理ができるメリットがあります。一方、柔軟性に劣り、臨機応変な対応には不向きです。仕様変更する可能性が低く、顧客が求める品質が明確な場合に適しています。

アジャイル開発

アジャイル開発は、設計、開発、テスト、改善などの一連の工程を短期間で繰り返す手法です。要件定義の際に、目標やリソースと合わせ、品質基準も設定します。ミスや漏れなどの問題点を早期に発見できるメリットがあります。仕様変更が予想される場合に適しています。

システム開発の品質管理に役立つ資格

システム開発の品質管理に役立つ資格を5つ紹介します。

品質管理検定(QC検定)

製品やサービスなどの品質向上に関する知識を証明できる資格です。1級から4級まであり、品質管理の知識や技術を問われます。品質管理の専門スキルを持つ人材を育成する際に有効です。

R-Map実践技術者認定制度

製品の安全性に関する、リスク管理の専門知識とスキルを認定します。製品やシステムのリスクに正しく対応できる人材の育成を目指すものです。リスクマネジメントに関する10の教育プログラムにより、リスク管理の過程全体を網羅しながら、リスク評価や対策計画の設定や実施なども学べます。

JSTQB認定テスト技術者資格

ソフトウェアテストの専門性を認定する国際資格です。テストエンジニアや品質管理エンジニアとしてのスキル向上はもとより、テストに関する基本的な知識を学べます。「Foundation Level」と「Advanced Level」の2種類があり、後者の方がより高度な知識と経験が求められます。

ソフトウェア品質技術者資格認定制度(JCSQE)

ソフトウェアの品質向上を目的とした資格です。品質の概念や定義、品質管理に必要な知識などを網羅的に学べます。基本から上級まで複数のレベルに分かれており、習得することでソフトウェア品質に関する専門性が向上します。開発現場において、より高度な業務を担当できるでしょう。

IT検証技術者認定試験(IVEC)

テストエンジニアの能力を証明できる資格です。実際のテスト現場での作業能力を評価する方式をとっており、試験は記述式です。資格を取得することで、テストエンジニアとしての実務経験とスキルが証明できます。初心者から専門家まで、幅広いニーズに対応しています。

まとめ

システム開発において品質管理をすることは、顧客の要件を満たしつつ、開発の効率化とコスト削減の目的達成のために重要です。要件定義を行い、単体テスト、結合テスト、総合テスト、セキュリティテストと進めていきましょう。

システム開発には、株式会社Sun Asteriskのサービスをご利用ください。DXコンサル、設計から本格的な開発まで一気通貫でサポートできるケイパビリティの広さ、圧倒的に柔軟な開発リソースが特徴です。

品質トラブルの多くは、そもそも要件定義の段階での「ズレ」や「曖昧さ」から始まります。
そのため、品質管理の第一歩として、要件定義の精度を高めることが重要です。品質を確保するには、まず要件定義でズレを防ぐことからはじめましょう。

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