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システム開発はなぜ失敗する?事例付きで原因や対策をわかりやすく解説

更新日: 2025年6月17日

システム開発では、最初に立てた計画どおりに作業が進まなかったり、判断が曖昧でトラブルが発生したりすることがあります。要件定義の不足や技術選定のミスが重なると、システムの品質が保てず、納期や予算の破綻につながります。

プロジェクトが失敗に終われば、完成しないシステムに多額のコストを投じるだけでなく、業務全体にも影響が及びます。こうした失敗を防ぐには、システム開発における失敗事例とその原因を正しく理解しておくことが大切です。この記事では、システム開発の失敗を回避するためのポイントをわかりやすく解説します。

システム開発における失敗事例まとめ

システム開発中の失敗といっても内容はさまざまです。たとえば、最初の要件定義が甘いために途中で仕様がズレてしまったり、開発に必要な技術が不足していたことで期待した品質を満たせなかったりすることもあります。

また、システム自体は完成しても、予算や納期を大幅に超えてしまえば、それも失敗といえるでしょう。ここでは、代表的な失敗事例をもとに、どのような内容でつまづきやすいのかを解説します。

要件定義の甘さが引き起こした仕様ズレ

要件定義が不十分なまま進んでしまうと、システムの仕様が実際の業務とズレてしまい、完成したあとに「こんなはずじゃなかった」という事態が起こります。

たとえば、現場の担当者が「あれがほしい」「これもあれば便利」と思いつくままに要望を出した結果、機能の方向性がぶれたり、重要な業務フローが抜け落ちたりするような失敗です。

関係者の間で意見が食い違うまま整理されずに要件定義書が作成されてしまうと、後になって「本当にほしいのは別の機能だった」といった手戻りが発生します。こうしたズレが積み重なると、開発が進むほど現場との認識ギャップが広がり、システム全体が使い物にならなくなるリスクがあります。

こうしたミスを防ぐには、要件定義時点でのチェックリストが有効です。詳しくは以下の資料をご覧ください。

技術的判断ミスによる品質トラブル

プロジェクトに適していない技術を選んでしまった場合、完成したシステムが期待した品質に達しないという深刻なトラブルへと発展します。たとえば、新しい技術を無理に導入した結果、開発メンバーが使いこなせず、不具合や動作不良が相次ぐようなケースです。

また複雑な処理を要する機能に対して、十分な検証をしないままに進めたため、実装段階で手が止まり、想定外の修正対応に追われることもあります。リリース直前になってセキュリティー上の問題やパフォーマンスの劣化が見つかるケースも多く、品質を確保できずに納期も予算も破綻するリスクがあります。

こうした技術判断のミスは、後工程での大幅なやり直しにつながり、被害が拡大するため、注意が必要です。

進捗管理がうまくいかずに予算と納期が破綻

進捗管理が甘いと、システム開発はあっという間にスケジュールから遅れ、予算も膨らんでしまいます。たとえば、開発初期の遅れに気づかないまま進めた結果、後半になって帳尻を合わせようと無理な作業を詰め込んでしまい、開発メンバーの負担が限界に達するケースがあります。

また、要件の追加や仕様変更が続くと、それに伴う作業の見積りが甘くなり、時間も人手も足りなくなるケースも珍しくありません。その結果、納期に合わせるためにテストを省略したり、品質を犠牲にしたりといった判断が行われ、完成後に深刻な不具合が発覚することもあります。

こうなるとプロジェクト全体の信頼を失う原因にもなり、最悪の場合は、初めから考え直すケースもあるため注意が必要です。

なぜシステム開発は失敗するのか?事例別に原因を解説

システム開発で失敗しないためには、過去の失敗事例を知っておくだけでは不十分です。なぜそのような失敗が起きたのか、どこに落とし穴があったのかまで正しく理解しておく必要があります。

問題の本質を見誤ると、同じことを繰り返してしまう可能性があるからです。ここでは、前項で紹介した失敗の背景にある具体的な原因について、それぞれのケースごとにわかりやすく解説します。

要件が曖昧なまま進行|認識ズレが原因

要件が曖昧なままシステム開発を進めてしまうと、関係者ごとに認識が食い違い、完成後に「思っていたものと違う」というトラブルへと発展します。たとえば、営業は「日報を簡単に入力したい」と要望し、管理部は「自動集計機能がほしい」と伝えたとします。

しかし、業務の具体的な流れや画面設計が整理されないまま、それぞれの希望を個別に反映してしまうと、入力項目が多すぎて営業は使いにくくなり、管理部も必要なデータを出力できないなど、かえって不便なシステムになりかねません。

発注者が「とにかく業務を効率化したい」とだけ伝えても、目的や使い方が明確でなければ、開発側はバラバラな要望をそのまま実装してしまいます。結果として整合性のないシステムが完成し、現場にもシステムが浸透しないまま終わるようなケースは珍しくありません。

技術選定ミスによる品質トラブル|設計判断の甘さが原因

システム開発では、どのような技術や構成を選ぶかが品質に直結します。判断を誤ると、動作が不安定になったり思うような機能が実現できなかったりするリスクがあります。

たとえば、社内に詳しい人がいないのに新しいフレームワークを採用し、チームが扱いきれず不具合だらけになったケースがあります。

また、コストを抑えるため古い技術を使った結果、他のシステムと連携ができず、業務に支障が出るようなケースもあるでしょう。設計時点でパフォーマンスや将来の拡張性まで見通せていなければ「一応動くが、実用に耐えない」という仕上がりになります。こうした技術選定のミスは、後からの修正が難しく、納期遅れや追加コストを招く可能性があります。

進捗と予算が破綻した開発|管理体制の不備が原因

スケジュールや予算が崩れる原因は、プロジェクト管理の甘さにあることが少なくありません。たとえば、開発の序盤で想定外の手戻りが発生したのに、担当者が「後で挽回できる」と判断して放置し、気づけば納期直前に大混乱になるようなケースです。

このような事態で急いで人員を追加したとしても、仕様が共有されておらず、かえって工数が増えるだけです。また、当初の見積りに含まれていなかった要望が次々と出てきて、さらに予算が膨らむ例もよく見られます。

発注者側が進捗を詳しく把握せず「報告は月に1回で大丈夫」と任せきりにした結果、トラブルが表面化するのが遅れ、対応が間に合わなくなるのです。日々の変化を拾い上げられない体制は、プロジェクト全体が傾く要因になります。

システム開発の失敗を防ぐには?対策と再発防止のポイント

システム開発におけるおもな失敗事例と、その原因について解説してきましたが、大切なのはできるだけ失敗につながりそうな兆候を早めに見つけ、速やかに対策を講じることです。ここでは、要件定義、技術選定、プロジェクト管理という3つの視点から、失敗を防ぐうえで具体的に意識すべきポイントを紹介します。

要件定義・設計段階で意識すべきポイント

要件定義では「誰がどの画面でどんな操作をするのか」を紙に書きだし、関係者に具体的な利用シーンを説明してもらうのが効果的です。「便利なもの」という要望だけでは不十分で、実際の業務手順や例外対応まで洗い出さなければ、後から漏れや矛盾が発生します。

たとえば、入力項目を1つ変えるだけで別部署の集計処理に影響が出るようなケースは珍しくありません。実務に即した設計ができていれば、後になって大きなズレが生じるリスクを抑えられます。

技術選定・外部ベンダーとの連携での注意点

システム開発で活用する技術やツールを選ぶ際は「誰が保守・運用するか」まで見越して判断する必要があります。たとえば、導入時は高機能でも、属人化してしまえば後任者が対応できず、トラブル時に復旧が遅れます。

また、外部ベンダーに依頼する場合も「仕様書通りならOK」とせずに、目的や業務の流れまで共有し、期待通りの動きになるような配慮が必要です。「とりあえず実装」ではなく、運用まで一貫して考えることで、品質劣化や意思疎通のズレを防げます。

プロジェクト管理と品質担保の改善策

進捗管理では「今どこまで進んでいるか」だけでなく「何が終わっていないか」「次にどのような作業が控えているか」まで明確に把握しておくことが重要です。

たとえば、実装が終わった画面でも仕様変更の影響でやり直しになることがあります。日々の確認でこうした手戻りリスクを早めに把握できれば、予算や納期のズレを最小限に抑えられます。
また、テストは担当者任せにするのではなく、業務を知る現場メンバーと一緒にシナリオを作ることで、漏れのない品質チェックが可能です。

まとめ

システム開発における失敗には、要件の曖昧さによる仕様ズレや、技術的判断ミス、進捗管理の甘さといった内容が多く見られます。これらの失敗の背景には、関係者間の認識のズレや準備不足、管理体制の不備といった根本的な問題が潜んでいます。

失敗を防ぐには、初期段階から実務に即した要件整理と、現場を巻き込んだ設計と進捗管理が欠かせません。Sun Asteriskでは、アジャイル開発要件定義のチェックリストを用意しており「何をどこまで決めておくべきか」を具体的に紹介しています。要件の漏れや認識のズレを防ぐヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

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