開発支援事例:KDDI株式会社
ポイントビジネスの競争が加速する中、ビジネスのゴールや戦略、アプローチにも柔軟な変化が求められています。
こうした状況に対応し、今後の戦略の進化や事業成長を見据え、顧客のポイント体験を的確にドライブできるプロダクトへの変革が重要なテーマとなっています。
au Ponta ポータルのリニューアルにおける、体験設計・UI設計・アクセシビリティ対応の各領域のNEWhとSun*による支援内容をご紹介します。
Summery
クライアントの課題
- 共通情報の提供にとどまっており、ユーザーごとの行動変容を促す設計が不足している
- 戦略的に体験を設計し、ビジネスの拡張・変化に耐えうるプロダクト基盤が必要
Sun*の課題に対する対応
- NEWhとSun*が連携し、サービスデザインからUI・アクセシビリティまでを専門人材で一貫支援
- ユーザーの多様な条件に応じた情報設計と、行動を促すUIを再構築
支援の成果
- 体験が改善されたことで、PVや遷移率などの数値が全体的に改善し、関連サービスへの送客も増加
- 見直したプロダクトデザインとしてのあり方やカラー設計により、アクセシビリティ、ユーザビリティが向上
- このプロジェクトの成果により、KDDIの他のプロダクトの支援にも繋がった
クライアントの課題
ビジネスの戦略に対応でき 行動変容を促すことができる顧客体験の実現
au Ponta ポータルは、2022年7月12日に初期リリースされました。
Pontaポイントの確認や関連サービスへの導線など、ポータルサイトとしての基盤は整っていました。
一方で、プロダクトの設計としては、幅広いユーザーに対して共通の情報提供を行うことを中心とした設計となっており、
ユーザーごとの状況やニーズに応じた最適な体験設計やビジネスの狙いに応じて行動変容を後押しするUI/UXの観点では、さらなる発展の余地がある状態でした。
ポイントサービスを取り巻く競争環境が激化する中で、ユーザーごとに異なる背景に対して、より個別最適化された体験とビジネス戦略との接続が求められます。
こうした背景をふまえ、クライアント企業様は次のようなご要望をお持ちでした。
- ビジネス戦略と連動し、顧客の行動変容を効果的に促すユーザー体験へとリニューアルを行いたい
- ユーザビリティだけでなく、アクセシビリティにも対応し、大手通信企業として誰もが安心して利用できる顧客体験の基盤を整えたい
- 今後のサービスの変化や発展に対応できる拡張性と一貫性を担保し、プロダクトデザインとしてレベルアップしたい
Sun*の課題に対する対応
サービスデザインからUX・UIデザイン、アクセシビリティまでNEWhとSun*が融合した支援体制
au Ponta ポータルのチームは、ビジネスとエンジニアリングについては十分なリソースがありましたが、クリエイティブの領域での支援を必要としていました。au Ponta ポータルのデザインチーム、開発チームに対し、下記の体制で専門性を生かし支援を行なっています。
- NEWhからディレクター1名・サービスデザイナー1名がサービスデザイン・UXデザインを支援
- NSun*からUIUXデザイナー2名が、UIデザイン・アクセシビリティデザインを支援 ・フロントエンドエンジニアが、アクセシビリティ診断を支援
リニューアルのデザインプロセス
リニューアルデザインを行う上で、AsIsのプロダクトの課題を出発点とするケースもありますが、au Ponta ポータルのリニューアルとしては、デザインアプローチ自体の見直しの意味もあり、 「初めから作り直すつもりで検討したい」とのデザインリーダーのご意向により、 ほぼ0→1のプロダクトデザインプロセスで検討を進めました。 コアページのリリース後、下層ページ等、継続的に伴走支援しています。
プロジェクトの成果
各ページのPVが全体的に改善し、関連サービスへの送客数が14%増加
※リニューアル前後1ヶ月の数値比較
リニューアルの成果は、端的に数値に表れました。
リニューアル版リリース後の1ヶ月とそれ以前の1ヶ月を比較すると、au Ponta ポータルのビジネス目的の1つである関連サービスへの送客数が、14%増加しました。送客が増加したことで、大きくグロースしたサービスもありました。
リニューアルにより、サイト全体で各ページのPVが底上げされたことが、送客増へつながったと考えれらます。
ご支援の成果
プロフェッショナルによる確実な体験設計・プロダクト設計の支援
リニューアルの成功は、au Ponta ポータルチームの変革における明確なビジョンと、BTCの相互の尊重に基づく創造的な意思決定により、適切に推進されたことが、大きな要因と考えられます。
私たち支援パートナーとしては、以下のような観点からプロジェクトを後押ししました:
- 適切なデザインプロセスと手法の実施を通じた、構造的な課題整理と方針策定の支援
- ユーザー視点とビジネス視点を両立するための体験設計の検討支援
- 具体的なプロダクトとして体験を具現化するUIデザインの設計支援
上流工程においては、NEWhのサービスデザイン領域に強みを持つメンバーが、KDDI様のサービスデザイナーと密に連携しながら、既存プロダクトにおいて曖昧だった価値構造の可視化や、UXフライホイールによる体験サイクルの整理、複雑な顧客セグメントに対するペルソナ設計の支援を行いました。これにより、ユーザー視点とビジネス視点を両立しながら、プロダクトが目指す体験の核をKDDI様とともに明確化することができ、その後の設計プロセスを円滑に進める土台が整いました。
上流で定義された体験の方向性を踏まえ、Sun*のUIUXデザイナーは、認知の負担を下げ、ユーザーごとに必要な情報を把握でき行動につながるUI設計を通じて、プロダクトのアップデートを支援しました。これにより、プロダクト全体の体験性、ユーザビリティが向上し、数値の変化にも影響していると考えられます。
これらの取り組みを通じて、au Ponta ポータルチーム内でのUIUXデザインの価値が再認識され、以降のプロダクト拡張や仕様変更においても、KDDI、NEWh、Sun*で構成されたデザインチームが、効率的に連携しながら体験設計を進められる体制が整いました。結果として、ビジネスにつながる体験デザインの再現性と組織内での運用力の向上に貢献できていると考えています。
1ナビゲーションの変更によるユーザビリティの改善
アクセシビリティの「2.4.5:複数の手段」も考慮し、主なページへのナビゲーションを設けることで、ユーザビリティが改善しました。
2行動を直感的に後押しするUIデザイン
散らばる情報を読み取って行動を決めるという意識の負担を減らし、直感的に後押しするデザインに変更しました。
3ユーザーの状況に応じた行動の後押し
ユーザーのポイント状況やau関連サービスの契約状況、エントリー状況に応じた情報の出し分けを行い、ビジネスが目指すアクションを的確に後押しする情報設計を行なっています。
アクセシビリティ対応・アクセシビリティ診断
アクセシビリティに対応したデザイン検討とアクセシビリティ診断
大手通信事業者のサービスとして、多様で多数の顧客のアクセシビリティを改善することは、UI改善における重要な観点の一つです。
本プロジェクトでは、従来のau Ponta ポータルで使用しているオレンジがアクセシビリティで求められるカラーコントラスト比を満たしていない前提を踏まえ、プロダクトに使用するカラーの見直しを行い、情報の認知、行動のしやすさ、au Ponta ポータルらしさのバランスを考慮したカラーパレットの設計と、色彩の使い方に関する基本方針の検討を行いました。
あわせて、デザイン作成と並行して、実装されたページに対し、アクセシビリティ基準を満たしているかどうかの診断支援も継続的に実施しています。
アクセシビリティ対応は、特定の利用者層に限定されるものではなく、すべてのユーザーにとっての使いやすさや分かりやすさの向上にも寄与し、数値改善にもつながっています。
Sun* webアクセシビリティ診断