DX支援事例:西松建設株式会社
150年の歴史を未来へつなぐ、新たな挑戦
1874年の創業以来、トンネルやダム建設など、社会基盤づくりを力強く支えてきた西松建設。150年を超える歴史を持つ同社が、未来を見据え、DXの推進と新規事業開発という新しい挑戦をスタートさせました。
2022年に策定された「西松DXビジョン」には、「エコシステムで新しいサービスや空間を創り出すビジネス」という大きなテーマが掲げられました。この意欲的なビジョンをどのように計画に落とし込み、着実に前へ進めていくか、具体的な道筋を描くことが次のステップとして求められました。
その大切なプロジェクトを、Sun*とグループ会社のNEWhがパートナーとして伴走しました。
共に描く「ワクワクする未来」
「抽象的なビジョンを実行可能な戦略へと落とし込みたい」この西松建設の真摯な想いに応えるべく、私たちは対話を重ねることから始めました。確かな信頼関係を築くために、プロジェクトの初期から、西松建設のご担当者や関係者の皆さまと丁寧にコミュニケーションを重ね、ヒアリングと提案を繰り返す中で、少しずつ関係性を築いていきました。
3つのフェーズで描く未来への道筋
プロジェクトの流れ
プロジェクトは次の3つのフェーズで進められました。
Phase 1:事業機会を徹底的に探索
● 「M-F-Tフレームワーク」で現在の技術・市場・提供価値を棚卸し
● 「シナリオプランニング」で将来的な環境変化を見据えた事業機会を発掘
● 現状(As-Is)視点から50個以上、将来(To-Be)視点から20個以上の事業機会を抽出
MFTというフレームワーク
1999年のプロジェクトを契機にADLが開発し、以降、各種プロジェクトで使用し、また経産省の報告書などでも紹介されてADLフレームワークとして認識されているものです。
アイディエーションとは?
アイディエーションのイメージ
Phase 2:事業機会の整理と戦略的構造化
- 洗い出された事業アイデアを時系列でマッピング
- 「地域の賑わい創出」と「建設業界支援」という2つの方向性に再構成
- 複数の事業機会を束ねた短期・中期・長期のロードマップを策定
Phase 3:実行可能な形への具体化
- 各ロードマップに将来像、指針、具体的アクション、必要資産を盛り込み
- Sun*のデザイナーと連携し、視覚的にも理解しやすい資料を作成
- 社内外で活用可能な形に整理
抽象的なビジョンから具体的な2つのロードマップへ
『エコシステムで新しいサービスや空間を創り出すビジネス』という抽象的なビジョンは、西松建設とSun*/NEWhとの共創を通じて、次の2つの明確なロードマップへと進化しました。
地域の賑わいを創出するためのロードマップ
このロードマップでは、西松建設の持つインフラ構築力を活かしながら、地方創生に貢献する新たな価値創造の道筋を描きました。建物の建設を起点に、地域コミュニティの活性化や新たな価値創出のための「ことづくり」を段階的に積み上げていくアプローチを試みました。
建設業の品質の向上と供給力の増加を目指すロードマップ
このロードマップでは、建設業界が抱える課題解決のためのサービス提供を通じて、従来の請負型ビジネスから脱却し、継続的な収益を生み出す新たなビジネスモデルへの転換を目指しています。西松建設の持つ技術やノウハウを活かした業界全体の底上げにつながるサービス展開の道筋を具体化しました。
経営層の承認を得て、サービス開発支援フェーズへ
完成したロードマップは西松建設の経営層によって承認され、西松DXビジョンロードマップとして公開されました。
このような成果を得られたことで、Sun*へ具体的なプロジェクト検討のご依頼もいただき、ロードマップの策定だけでなく、サービス開発まで一貫してご支援させていただくことになりました。
個別のアイデアを「束ねる」からこそ生まれる価値
このプロジェクトの最大の特徴は、「個別のアイデアを束ね、全体を設計したこと」にあります。単一の新規事業を検討するのではなく、抽象的なビジョンを起点に複数の事業機会を発掘。それらを戦略的に整理・体系化することで、「未来に向けた事業群」という全体像を描き出すことを目指しました。
Sun*/NEWhがご支援したのは、完成された答えをお渡しすることではなく、ビジョンを戦略へと落とし込むための「思考のプロセス」を共有し、その実行を後押しすることでした。これから先も柔軟に変化に対応していけるよう、伴走しながら一緒に考え、実行に向けた道筋を形にしていきました。
私たちSun*/NEWhは、その価値ある共創プロセスを通じて、今後も同社の成長を力強く後押ししてまいります。