はじめに
2026年9月11日(金)、SOLA第2回のイベント「AIで作ったデザイン、磨かNight!」を Sun* 大手町スタジオにて開催しました。
本記事では、参加者が生成AIを活用してデザインを制作し、チームでの分析や講義をもとに制作したデザインをブラッシュアップした、約2時間半におよぶイベント当日の様子をお伝えします。
イベントページ:https://sun.connpass.com/event/401538/
SOLAとは?
「SOLA(Sun Open Learning Arena)」は、デザイン・エンジニアリング・プロダクトづくりに関わる人たちが、職種や会社を越えて学び合うためのオープンな学習コミュニティです。
SOLAが大切にしているのは、職種を超えた人とのつながりと、知識のつながりをつくること。会社の枠を超えた学びの場だからこそ、普段の業務では出会えない視点や気付きが生まれることを目指しています。
SOLA主催イベントの第2回目となる今回のテーマは、生成AIを用いたデザイン生成。
「クリエイティブ領域での生成AIの活用に興味はあるけど、実践する場がない」「AIで生成したデザインに何か違和感がある」などの悩みを解決するワークショップを企画しました。
今回は、AIのみを用いて「バナー」や「ポスター」の作成に挑戦しました。
参加者が3人1組でチームを組み、まずは一人ひとりが生成AIを使ってデザインを作成し、その後はチームでデザインを分析。Sun*メンバーが用意した講義も踏まえ、最後は自分たちのデザインをブラッシュアップしました。
今回利用する生成AIについて、運営メンバーで検討し、利用しやすさや画像生成のクオリティを踏まえてChatGPTを推奨しました。
講義や発表タイム・アドバイザーによるフィードバックなどを盛り込んだ約2時間半にわたるイベントには、デザイナーはもちろん、エンジニアや学生など、さまざまなバックグラウンドを持つ方々にご参加いただきました。
AIで生み出したデザインを、どう磨くか
今回のワークは、AI画像生成の経験がない参加者でも迷わず楽しめるよう組み立てました。単にAIツールを使うだけでなく、チームで意見を出し合いながら「どこをどう直すべきか」という考え方と、「クオリティを高めるための言語化」を深めてもらうことを目指しました。
ワークは以下の流れで進めました。
- AIを使ってデザインを生み出す
- AIが生み出したデザインを、人の視点で見つめる
- デザインを読み解く視点を学ぶ
- 気づき・学びを活かして、デザインを磨く
- ミニ発表会
- ギャラリータイム
- 講評
「作って終わり」にせず、「なぜ良くなったのか」を自分の言葉で説明できるようになること。これが、私たちがこのワークショップで一番大切にしたポイントです。
1.AIを使ってデザインを生み出す
まずは、今回制作するポスターのお題選びから。
用意したのは「採用」「飲食店」「選挙」など、目的やターゲットの異なる複数のお題です。参加者には、そのなかから自分が作ってみたいものを1つ選んでもらいました。
それぞれのお題には、「誰に向けたデザインなのか」「何を一番伝えたいのか」「見た人にどんな行動をしてほしいのか」といった条件も設定しています。
お題が決まったら、さっそくAIを使ってポスターの初稿を生成します。
今回は参加者全員に共通のプロンプトを使ってもらい、初稿の生成は1度だけというルールを設けました。

AIで画像を生成していると、気になる部分を見つけて何度も作り直したくなるものです。しかし、今回はあえて最初に生成されたデザインをそのまま残し、次のワークで分析するための材料としました。
生成されたポスターは、構図や色使い、文字の配置、写真やイラストの雰囲気などもさまざま。まずはAIが生み出したデザインを一つの「たたき台」として捉え、完成度を追求するのではなく、その特徴を知ることから始めました。
2.AIが生み出したデザインを、人の視点で見つめる
初稿が完成したら、チーム内でお互いの作品を共有します。
ここで大切にしたのは、デザインの良し悪しを評価するのではなく、初めて見た人がどのような印象を受けるのかを知ることです。
「パッと見たときに何が一番目に入った?」「どんな人に向けたデザインに見える?」「どんな印象を受けた?」といった視点から、チームのメンバーに率直な感想を伝え合いました。
自分では一番伝えたいと思っていた部分が意外と伝わっていなかったり、反対に、意識していなかった要素が強く印象に残っていたり。他の人の視点を取り入れることで、自分だけでは気付かなかったデザインの特徴が見えてきます。
続いて、チーム内でもらった感想をもとに、自分のデザインを振り返る「初稿分析」に移ります。
ここでは、ワークシートを使って「自分が設定したキーワード」「他のメンバーからもらった印象やキーワード」「自分のイメージとの違いや、変更したいところ」を書き出していきました。

例えば、自分では「親しみやすいデザイン」を目指していたのに、他のメンバーからは「少し堅い印象」という感想があった場合。そこには、自分が意図したイメージと、実際に相手が受け取った印象とのギャップがあります。
こうした違いを整理することで、「なぜ思い通りに伝わらなかったのか」「どこを変えれば、よりイメージに近づけられるのか」を考えていきます。
この段階では、まだデザインの修正は行いません。まずは初稿を客観的に捉え、ブラッシュアップするポイントを言葉にすることを大切にしました。
自分の意図と他者の印象を照らし合わせながら、改善の方向性を整理したところで、次の講義へと進みます。
3.デザインを読み解く視点を学ぶ
ここで一度、講義の時間を設けました。
テーマは「AI画像生成で『なんか違う』を直すポイント」。

講義ではまず、デザインを作る前に決めておきたい基本の3つを紹介しました。「どんな人に伝えたい?(ターゲット)」「何を伝えたい?(一番のメッセージ)」「なぜ伝えたい?(目的・ゴール)」の3つです。「バナーもポスターも、誰かに何かを伝えるためのもの。この3つを決めるのは、AIではなく自分自身」という言葉とともに、それぞれのポイントをBefore/Afterの実例を交えて解説しました。
例えば「どんな人に伝えたい?」では、最初はストイックな上級者向けの印象だったジムのポスターが、「これから運動を始めたい男女」というターゲットを加えることで、明るく親しみやすい雰囲気に変化する様子を紹介。
同様に、「何を伝えたいか」を1つに絞ることで情報過多が解消される例や、「なぜ伝えたいか」を明確にすることで商品が主役になる例も解説しました。
講義の最後には、「なんか違う」を言語化するための3ステップである「どこが違うか」「どの問い(誰に・何を・なぜ)とズレているか」「どのように磨くか」を共有し、次のブラッシュアップへとつなげました。
4.気付き・学びを活かして、デザインを磨く
講義の内容を踏まえて、いよいよ画像のブラッシュアップに入ります。運営で用意したブラッシュアップ用のプロンプトを使い、条件を選びながらコンセプトを具体化しました。
さらに、他者から受けた印象やイメージとのギャップを踏まえて修正を重ね、納得がいくまでブラッシュアップを進めました。

初稿は1回きりの生成でしたが、ブラッシュアップは複数回の修正が可能です。もらった感想や講義で紹介した「誰に・何を・なぜ」の視点を意識しながら、参加者はそれぞれ納得のいく仕上がりを目指して試行錯誤していました。完成した画像と使用したプロンプトは、共有スライドに貼り付けてもらいました。

5.ミニ発表会
ブラッシュアップの時間を終え、いよいよチーム内で成果を共有する10分間の「ミニ発表会」がスタートしました。
この時間では、1人ずつ順番に「Before(初稿)」と「After(ブラッシュアップ後)」の画像をチームメンバーに見せ合いながら発表を行います。

単に完成した画像を見せるだけでなく、スライドの共有例を参考に、「他者からもらった感想と自分の意図の間にどんなギャップがあったのか」「そのギャップを埋めるために、AIにどう相談(プロンプトを入力)したのか」という試行錯誤の過程もあわせて共有してもらいました。
各チームのテーブルからは、「そのプロンプトの工夫、面白い!」「初稿からの変化が劇的でわかりやすい!」といった声が上がり、感嘆や笑い声が起こる活気にあふれた雰囲気に包まれました。他の参加者がAIとどのように対話し、デザインの「なんか違う」を言葉にして磨き上げていったのか。その具体的なプロセスを知ることは、自分1人で作業しているだけでは得られない、大きな学びや気付きの機会となったようです。
6.ギャラリータイム
ミニ発表会の後は、全チームの作品を見て回るギャラリータイムです。各チームの共有用スライドをスクリーンに映し、司会からテンポよく紹介していきました。
完成度の高い作品や面白い作品には自然と注目が集まり、「懇親会でどうやって作ったのか聞いてみよう」という声も聞こえてきました。

7.講評

ワークの最後には、特に印象的だった2つの作品を取り上げ、Sun*のデザイナーであるアドバイザーからフィードバックを行いました。

お題:チョコレートの新商品告知
「Beforeでは装飾が多く、目線がばらつきやすいデザインになっていました。しかし、Afterでは装飾を減らして情報量を整理したことで、キャッチコピーに目線が向きやすくなり、伝えたいメッセージがより際立つデザインになっています!ここからさらに『とろみ』という言葉に質感を加えたり、説明文や既存要素の配置を調整したりすると、デザイン全体のバランスが整い、より魅力的な表現につながっていきますね!」

お題:ピックルボール
「Beforeでは、全身が写っていた分、見せたいポイントが少し分かりづらい印象を受けました。しかし、Afterでは情報の優先順位が明確になり、画像だけでも伝えたいポイントがわかりやすくなっています!特に、右側はダイナミックな構図によって視線が分散せず、Webバナーとして情報量も適切に整理されています。背景の人物の動きやラケットの振り方、コートやボールの表現にはやや不自然さが残るので、このあたりを自然に整えると、さらに完成度が上がりそうですね!」
AIでつくって終わりではない。参加者の声から見えた学び
本イベントでは「AIを使ってデザインをつくるのが面白かった」「デザインの違和感を言葉にするのは難しい」「チームで意見を交わすことで、新しい気づきがあった」など、さまざまな感想をいただきました。
生成AIを使うことで、デザインの経験がなくてもアイデアをすぐに形にできたり、自分では思いつかなかった表現を試せたり、参加者にとって新鮮な体験となったようです。
一方で、AIによって生成されたデザインを見て「なんとなく違和感はあるものの、いざ言葉にしようとすると難しい」と感じ、デザインを評価し、改善点を言語化することの難しさに気付いた参加者もいました。チームでデザインを共有することで、自分では気付かなかった違和感や改善点を別の視点から発見し、それぞれの意見を取り入れながらブラッシュアップしていくことで、新たな気づきにつながったようです。
生成AIによってデザインをつくるハードルが下がる一方で、どのような体験をつくりたいのか、何を伝えたいのかを考え、生成されたデザインをどう評価し改善していくかは、人が担う重要な役割です。AIが生み出す多様な表現と、参加者それぞれの視点やアイデアを掛け合わせることで、デザインの可能性を広げられることを実感する機会をつくることができたのではないでしょうか。
終わりに
今回の「AIで作ったデザイン、磨かNight!」では、生成AIの便利さや面白さを体感すると同時に、目的を定めてデザインを評価し言葉にして磨き上げていく「人の視点」の重要性を改めて実感する機会となりました。
ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました!!
SOLAはこれからも、職種や会社の枠を越えて学び合える場を定期的につくっていきます。次回のイベントは、2026年12月18日(金) 開催予定です!テーマは「サンタも知らない、仕事の裏話。 〜デザイナーの今年の変化を語る クリスマスLT〜」。デザインツールの活用法(Figma・AIなど)から日々の仕事の進め方まで、デザイナーが今年現場で経験した「変化と試行錯誤」をざっくばらんに語り合う内容を予定しています。
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