アジャイル開発において、ドキュメント管理は重要な役割を果たします。頻繁なコミュニケーションが求められるアジャイルでは、ドキュメントを通じて要件や進捗状況を共有することで、チームやステークホルダー全員が同じ認識を持ち、プロジェクトをスムーズに進めることができます。本記事では、アジャイル開発においてドキュメント管理は必要なのか、また、そのテンプレートなどについて解説します。
目次
アジャイル開発におけるドキュメントのテンプレート
アジャイル開発におけるドキュメントのテンプレートは以下の3つです。それぞれについて詳しく解説します。
3>Atlassian
Atlassianは、ConfluenceやJiraなどのアジャイル開発向けツールを提供しており、これらのツールで使用できる多くのドキュメントテンプレートが公開されています。
特に、スプリント計画やレトロスペクティブ、ユーザーストーリーなど、アジャイル開発に必要なテンプレートが充実しており、チームの効率的な作業をサポートします。
Template.net
Template.netでは、プロジェクトマネジメントやアジャイル開発に関連するさまざまなテンプレートをダウンロードできます。無料テンプレートも提供されていますが、より詳細なテンプレートは有料の場合もあります。
豊富なテンプレートを活用することで、アジャイル開発プロセスの管理を簡単に行うことが可能です。
Google Drive テンプレートギャラリー
Google Driveのテンプレートギャラリーでは、Googleドキュメントやスプレッドシートを利用した無料のテンプレートが多数公開されています。アジャイル開発に関連するテンプレートも含まれており、Googleアカウントさえあれば、誰でも簡単に利用できます。
<手順>
1.Google Driveにログインする
2.左側のメニューから「新規」をクリックし、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートを選択する
3.新しいドキュメントまたはスプレッドシートが開いたら、上部の「テンプレートギャラリー」をクリックする
アジャイル開発においてドキュメント管理は必要?
アジャイル開発では、ドキュメント管理が不要と考えられることがありますが、実際には非常に重要な役割を果たします。
なぜなら、アジャイルの特徴である頻繁なコミュニケーションを効率よく行うためには、正確なドキュメントが必要だからです。開発チームとステークホルダー間でのコミュニケーションが頻繁に行われるなかで、ドキュメントは要件や進捗状況を明確に共有し、誤解や認識のズレを防ぐ役割を担います。
また、ドキュメントによってチーム全員が同じ情報を持つことができ、プロジェクトの一貫性が保たれます。適切なドキュメント管理を行うことで、開発プロセスがよりスムーズに進行し、リスクの軽減にもつながります。
アジャイル開発において必要なドキュメントの種類
アジャイル開発において必要なドキュメントの種類は以下の通りです。
RFP
RFP(提案依頼書)は、プロジェクトの要求や期待される成果を明確にし、外部ベンダーに提案を依頼するための文書です。プロジェクトの概要や目的、スコープ、予算、スケジュールなどが記載されており、プロジェクトの基本的な方向性を示します。
アジャイル開発では、要求や要件が柔軟に変化する可能性が高いため、RFPは全体の方向性を示しつつ、具体的な要件を厳密に固定しないような工夫が必要です。
プロダクトバックログ
プロダクトバックログは、プロダクトオーナーが管理するタスクリストであり、開発チームが取り組むべき機能や修正項目が優先順位順に整理されています。このリストは常に更新され、開発の進捗や新たな要求に応じて調整されます。
プロダクトバックログには、ユーザーストーリー、バグ修正、技術的負債、エピックなどが含まれます。プロダクトバックログが正確かつ詳細であることは、アジャイル開発の成功に直結し、チームが効率的に作業を進めるための指針となります。
ユーザーストーリー
ユーザーストーリーは、ユーザーの視点から見た具体的な要求を簡潔に表現したものです。「どのようなユーザーが、何を達成したいか」を明示し、開発チームがユーザーのニーズに合わせたプロダクトを効率的に開発できるようにします。ユーザーストーリーは、開発の方向性を定めるうえで重要な役割を果たし、チーム全員が同じ目標を共有できるようにします。
要件定義書
要件定義書は、ユーザーストーリーを具体的なシステム要件に落とし込む文書です。アジャイル開発では、要件がプロジェクトの進行に応じて変化するため、要件定義書も動的に管理される必要があります。
これにより、クライアントやステークホルダーと継続的なコミュニケーションを図りながら、プロダクトの具体的な仕様を確定していきます。アジャイルの柔軟な特性に合わせて、要件定義書も定期的に見直され、プロジェクトの進行に応じた最適な形で管理されます。
設計書・仕様書
設計書や仕様書は、プロジェクトの技術的な側面を詳細に記述した文書です。たとえば、ER図、API仕様書、システム構成図などが含まれます。
アジャイル開発では、最小限の設計書に留めつつ、必要に応じて詳細な仕様書を作成することで、開発のスピードとメンテナンス性を両立させます。これにより、開発者間での技術的な理解を深めるだけでなく、プロジェクトの将来的な変更やアップデートにも柔軟に対応できるようになります。
運用マニュアル
運用マニュアルは、システムやソフトウェアの運用方法や管理手順をまとめた文書であり、特にシステムが導入された後に活用されます。アジャイル開発では、システムの運用環境が変わる可能性があるため、運用マニュアルも定期的に見直しや更新が必要です。
これにより、システムの安定運用が保証され、ユーザーや運用担当者がスムーズにシステムを使用できるようになります。適切な運用マニュアルを整備することは、システムの長期的な成功を支える重要な要素となります。
プロダクトバックログの書き方
プロダクトバックログの書き方を3つの手順で解説します。
1.プロダクトゴールを設定する
最初に、プロダクトが達成すべき目標やビジョンを明確に設定することが重要です。プロダクトゴールを設定することで、チーム全体が共通の方向性を持ち、バックログアイテムの優先順位を決める際の基準にもなります。
ゴールを明確にすることで、ユーザーにどのような価値を提供したいのかが見えやすくなり、開発チームはそのゴールに向かって効率的に作業を進めることができます。
2.バックログアイテムの作成と追加
プロダクトゴールを設定した後は、具体的なタスクや機能をリストアップし、プロダクトバックログに追加します。バックログアイテムには、ユーザーストーリー、バグ修正、技術的負債などが含まれます。
アイテムは具体的な要件や期待される成果を明確に記述することで、チームが作業に取り組みやすくなります。
3.優先順位をつけて詳細化する
最後に、作成したバックログアイテムに優先順位をつけ、詳細化します。優先順位は、プロダクトに対する価値や開発の緊急性に基づいて決定されます。
高優先度のアイテムから順に詳細化し、開発チームが取り組みやすい状態にすることが重要です。これにより、チームは効率的にタスクを消化し、プロジェクトの進行をスムーズに行えるようになります。
アジャイル開発に活用できる管理ツールの種類
アジャイル開発に活用できる管理ツールの種類をご紹介します。
プロジェクト管理ツール
アジャイル開発におけるプロジェクト管理ツールは、タスクやスケジュール、進捗状況を効果的に管理するために使用されます。
代表的なツールには「Jira」や「Redmine」があり、タスクをチケット形式で管理し、ガントチャートやカンバン方式で進捗を視覚的に追跡する機能を持ちます。これにより、チーム全体でタスクの進行状況を簡単に把握でき、優先順位を設定してスムーズにプロジェクトを進めることができます。
ドキュメント管理ツール
ドキュメント管理ツールは、アジャイル開発において生成されるさまざまなドキュメントを一元管理し、チーム内で効率的に共有するために使用されます。
代表的なツールには「Confluence」や「QiitaTeam」があり、これらのツールを使うことで、チームメンバーはいつでも最新のドキュメントにアクセスし、リアルタイムで共同編集を行うことができます。また、「Kibela」や「DocBase」のようなツールも、簡単に使えるエディタと便利な検索機能を提供し、プロジェクトの知識や情報を整理して共有するのに役立ちます。
まとめ
アジャイル開発では、迅速な対応や柔軟なプロジェクト進行が求められますが、同時にドキュメント管理も重要です。ドキュメントを効果的に管理することで、開発チームやステークホルダーとの間で明確なコミュニケーションが図られ、誤解を防ぎつつプロジェクトを進行させることが可能になります。
Sun Asteriskは、圧倒的に柔軟な開発リソースを背景に、さまざまなアプリやシステムを開発しています。設計から本格的な開発まで、一気通貫でサポートできる広範なケイパビリティを備えていることも強みです。
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