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システム開発

システム開発におけるアジャイルとは?種類やメリット、デメリットを解説

更新日: 2025年7月9日

03-33_システム開発におけるアジャイルとは?

システム開発にはさまざまな手法があり、その内の1つに「アジャイル開発」があります。依頼者の要望や仕様が途中で変わる場面にも対応しやすい手法であり、採用される機会が増えてきています。この手法を正しく活用するには、その特徴や注意点について正しく理解することが大切です。

この記事では、アジャイル開発の概要や特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。

アジャイル開発とは変化に強い柔軟なシステム開発手法のこと

アジャイル開発とは、システム開発の手法の1つで、機能ごとに分けて作りながら動作を確かめます。最初に全てを設計するのではなく、必要な部分から順に開発し、状況に応じて見直しながら進めていくのが特徴です。途中で要件や優先順位が変わっても対応しやすく、柔軟な開発が可能です。

アジャイルという言葉には「機敏な・素早い」といった意味があり、短いサイクルで実装と確認を繰り返すことからその名が付けられました。

アジャイル開発の種類と特徴

アジャイル開発は、全て同じ方法で進められるわけではありません。プロジェクトの進め方やチーム運営の考え方によって、4つの手法に分けられます。目的や現場の状況に応じて使い分けることが大切で、それぞれに特徴や強みがあります。ここでは、代表的なアジャイル開発の種類と特徴について解説します。

スクラム|スプリント単位の反復開発と役割分担

スクラムは、アジャイル開発のなかでもよく使われる手法で、1~4週間ごとの短いサイクルで開発を進めます。期間のことを「スプリント」と呼び、そのたびに目標を決めて取り組み、終わった後に振り返って改善します。進め方だけでなく、担当者の役割が明確なのも特徴です。

方針を決める人、進行をサポートする人、実際に開発を行う人が協力しながら動きます。少人数のチームや作るものの内容が変わりやすいプロジェクトに向いています。

カンバン|タスクの見える化で柔軟に進める方法

カンバンは、今どの作業が進んでいて、どこがストップしているのかを可視化して管理する方法です。「やること」「作業中」「完了」といった枠にタスクを分け、ホワイトボードや専用ツールに貼って整理します。

全体の流れがひと目で分かるため、作業の重なりや抜けが防ぎやすくなります。あれこれ一度にやるのではなく、終わったら次に進むというシンプルなルールです。アジャイルをはじめて取り入れる場合や、できるだけ開発の負担を減らしたいようなケースに最適です。

エクストリームプログラミング|品質重視のコーディング技術

エクストリームプログラミング(XP)は、機能ごとに小さく開発しては動作を確認し、少しずつ完成度を高めていくのが特徴です。計画よりも現場の変化を重視し、要望に応じて仕様を柔軟に変えながら進めていきます。

代表的なやり方に「ペアプログラミング」があり、2人1組で実装と確認を同時に行うことで、ミスを防ぎながら品質を保てます。シンプルな設計や頻繁なテストとフィードバックも特徴です。技術力が問われる場面や、特に仕様変更が多いプロジェクトに最適です。

リーンソフトウェア開発|ムダを省いて効率化を追求する考え方

リーンソフトウェア開発は、アジャイル開発の考え方に基づいた手法の1つで、製造業の「ムダをなくす」という思想を取り入れています。工程全体を見直しながら、必要な作業や機能に絞って効率よく進めていきます。

品質の確保や意思決定の慎重さ、そして全体の流れを止めないバランス感覚を重視していることが特徴です。コストや人手に限りがある現場、もしくは既存の開発体制を見直すようなプロジェクトに最適です。

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発は、変化への対応力やスピード感に優れているのが特徴です。ユーザーと協力しながら改善を進めることで、実用性の高いシステムに仕上げやすくなっています。こうした強みをしっかり生かすには、具体的なメリットを理解しておくことが重要です。ここでは、アジャイル開発の3つのメリットについて解説します。

変化に迅速に対応できる柔軟性がある

アジャイル開発は、途中で仕様や設計を見直しやすく、変化に柔軟に対応できる点が強みです。たとえば、ECサイトの開発中に「決済方法を追加したい」といった要望が出た場合でも、全体を作り直す必要がないため、最低限の工数のみで対応できます。その理由は、機能を小さな単位で開発・テストを繰り返す方式で、変更の影響範囲が少ないためです。状況が変わりやすいプロジェクトでも、スピードを保ちながら無理なく対応できるのがメリットといえます。

ユーザーと密に連携してニーズを反映しやすい

アジャイル開発では、クライアントやユーザーと対話を重ねながら進めるのが基本です。たとえば「操作がわかりにくい」「画面の流れを変えたい」といった意見にも、その都度優先順位をつけて改善が行えます。

完成後に大きな手直しをするのではなく、開発中に少しずつ軌道修正できるため、実際の利用シーンに合った仕様に近づけやすくなります。開発段階で利用者の声を多く取り入れられるため、満足度の高いシステムに仕上げられることは大きなメリットといえるでしょう。

小さな機能を段階的にリリースできる

アジャイル開発では、機能を優先順位ごとに分けて順に開発・公開することで、完成を待たずに一部機能から段階的にリリースできます。たとえば、社内用の業務システムで「申請→承認→記録」と進む流れなら、まずは申請機能だけ先に使えるようにし、運用しながら他の機能を追加していくことが可能です。これにより、実際の使用状況を見つつも、不具合が発生したときは範囲を絞って調整できます。

アジャイル開発のデメリット

システム開発では、目的や状況に合った手法を選ぶことが、プロジェクトをスムーズに進めるための基本です。そのため、アジャイル開発のメリットだけでなく、弱点や注意点もあらかじめ把握しておく必要があります。ここでは、実践時に課題となりやすいアジャイル開発の主なデメリットについて解説します。

計画変更が頻繁でスケジュール管理が難しい

アジャイル開発は、仕様変更に柔軟に対応できる反面、開発の方向性が途中で変わることも多く、計画がブレやすい傾向があります。たとえば「検索機能だけのはずだったのに、おすすめの表示も加えたい」といった要望が途中で出てきた場合、対応は可能なものの、当初予定していた納期や予算を大幅に超える可能性もあります。

そのため、納期や予算などがあらかじめ決まっており、変更の余地がないプロジェクトでは注意が必要です。

情報共有が難しく認識のズレが起きやすい

アジャイル開発は、変更が多いため頻繁な話し合いが欠かせません。情報共有などの精度が下がると、チーム内で認識のズレが起きやすくなります。特にメンバーが多く、リモート環境で作業している場合は、細かな共有が後回しになりがちです。

その結果、進め方や仕様の解釈に差が生まれ、無駄な作業や手戻りが発生することがあります。複数の部署や外部パートナーが関わる大規模な開発や、ドキュメントの正確性が求められる業務システム開発などでは、こうしたズレが致命的になる可能性もあるため、特に注意が必要です。

経験やスキルが不足すると成果が出にくい

アジャイル開発では、あらかじめ細かい仕様や手順を決めず、開発中に話し合いながら仕様を固めていく進め方をとります。そのため、その時々によって柔軟な判断や対応が必要であり、各メンバーが自律的に動ける力が欠かせません。

もし経験やスキルが不足していると、何を優先すべきか判断できなかったり、曖昧な指示のもとで動いてしまい、成果につながりにくくなったりすることがあります。特に新しい領域での開発では、進め方が不安定になりやすいため、注意が必要です。

アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い

アジャイル開発の特徴やメリット・デメリットについて解説してきましたが、その考え方とよく比較される代表的な手法に「ウォーターフォール開発」があります。双方で進め方の前提や適した場面が異なるため、それぞれの特性を理解しておくことが大切です。アジャイル開発を検討する際、よく比較されるのがウォーターフォール開発です。ここでは、適した場面や違いについて解説します。

アジャイル開発|変化に強く柔軟に進める手法

アジャイル開発の最大の特徴は「作りながら考える」というスタンスにあります。あらかじめ全体像を決めて進めるウォーターフォール開発とは異なり、アジャイル開発は最初から完成形を追わず、小さな単位で動くものを作り、都度見直して調整していきます。

この考え方は、ゴールが曖昧なプロジェクトや途中での方向転換が想定される開発と非常に相性がよいです。正確さよりも柔軟さを重視する点が、計画通りに進めるウォーターフォール開発との大きな違いです。

ウォーターフォール開発|計画重視で順序立てて進める手法

ウォーターフォール開発は、要件定義・設計・開発・テスト・運用といった工程を、上から下へと一方向へ進めていく手法です。それぞれの工程を順番に完了させてから次に進むため、全体の流れを事前に計画しやすく、大規模なプロジェクトでも進行管理や予算の見通しが立てやすいのが特徴です。

最初に機能や仕様をしっかり固めるため、開発が始まるまでに時間がかかる一方、計画に基づいて着実に進めたい場合には適しています。その反面、開発途中での仕様変更や追加対応が難しいことには注意が必要です。

「計画通りに進めることを前提としたシステム開発であるかどうか」が、ウォーターフォール開発を選ぶかどうかの判断材料になります。

まとめ

アジャイル開発とは、変化に対応しやすく、柔軟に進められるシステム開発手法です。スクラムやカンバンといった種類があり、短いサイクルで開発・改善を繰り返すのが特徴です。アジャイル開発には、仕様変更に対する柔軟な対応力や早期リリースのしやすさといったメリットがあります。

一方で、事前に計画を立てて段階的に進めるウォーターフォール開発のような手法も存在します。開発するシステムの規模や目的、変化の有無に応じて、最適な手法を見極めて選ぶことが重要です。

アジャイル開発では、柔軟な進め方ができる一方で、初期の「要件定義」は不十分だと後工程での混乱が起こりがちです。そこで役立つのが、Sun Asteriskの「アジャイル開発 要件定義のチェックリスト」。要件の棚卸しから、優先順位づけまで、実践的に整理できます。これからアジャイル開発の導入を検討している人はぜひご活用ください。

>> 【アジャイル対応】要件定義のチェックリストを見る

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