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システム開発

システム開発の成果物とは?開発工程ごとの成果物や管理のポイントも解説

更新日: 2025年7月11日

03-34_システム開発の成果物とは?
システム開発のプロジェクトでは、各工程でさまざまな成果物やドキュメントが作成されます。成果物は開発内容を明確化でき、それぞれの工程の品質を確保するメリットがあります。

今回は、システム開発における要件定義からテスト・納品までの各工程で作成される成果物・ドキュメントの種類や役割を詳しく解説します。社内で成果物を管理・共有する際のポイントも紹介するため、ぜひ最後までチェックしてください。

システム開発における成果物とは?

システム開発における成果物とは、各工程の進捗や品質を証明する文書、コード、テスト結果などを指します。これらはプロジェクトの透明性を高め、関係者間の認識ズレを防ぎます。ドキュメント化された成果物があることで、適切なレビューや管理が可能になり、開発の信頼性が向上します。

成果物と納品物の違い

成果物は、要件定義書・設計書・テスト報告書など、プロジェクト内で生成される全ての資料や書類を指します。一方で納品物は、クライアントに正式に引き渡す最終成果物に限定されます。開発中の中間成果物をクライアントに共有するケースもありますが、納品物とは異なります。

ドキュメントとは

ドキュメントは、システムの要件定義や設計内容を詳細に記述した文書で、要件定義書・基本設計書・テスト仕様書・運用マニュアルなどがこれに該当します。これらのドキュメントは関係者間の共通認識の確認や、各工程間の引き継ぎに必要不可欠です。

systemdev document

各開発工程ごとの成果物

システム開発はいくつかの工程に分かれており、それぞれの工程で成果物が作成されます。ここからは、開発工程ごとに作成される代表的な成果物を紹介します。

開発工程 代表的な成果物
要件定義 提案依頼書(RFP)・要件定義書
基本設計 基本設計書(外部設計書)
詳細設計 詳細設計書(内部設計書)
開発 プログラム設計書
テスト テスト仕様書・テスト設計書

要件定義の成果物は「提案依頼書(RFP)」と「要件定義書」

要件定義フェーズでは、クライアントのニーズや要望を明確化し、システムに反映させるための計画書を作成します。おもな成果物は「提案依頼書(RFP)」と「要件定義書」です。

提案依頼書はクライアントが作成する文書で、プロジェクトの概要や目的・実装したい機能・要件などが明示されます。要件定義書は開発側が作成する文書で、クライアントの要望・業務フロー・機能要件などを整理します。要件定義が不明確だとその後の工程に大きな影響を及ぼすため、この段階での情報のすり合わせが非常に重要です。

基本設計の成果物は「基本設計書(外部設計書)」

基本設計フェーズでは、画面デザインやユーザー視点での操作などのインターフェースを定義した「基本設計書(外部設計書)」を作成します。要件定義で定まったシステム要件・機能要件・非機能要件などをさらに細かく噛み砕き、ユーザー視点のシステム設計図を定めます。

詳細設計の成果物は「詳細設計書(内部設計書)」

詳細設計フェーズでは、基本設計で定めた各機能の仕様をより技術的・具体的にまとめた「詳細設計書(内部設計書)」を作成します。この文書には、データベース設計・クラス設計、処理フローなど、プログラム単位での詳細な情報を記載します。詳細設計書は開発者がプログラミングを行う際の直接的な手引きとなるため、実践的な記述が必要です。詳細設計の精度は、開発工程の開発ミスやバグの数に直接影響します。

開発工程の成果物は「プログラム設計書」

開発工程では、詳細設計に基づいて実際にコーディングが行われますが、その際に作成されるのが「プログラム設計書」です。この設計書には、ソースコード一式・各モジュールの処理内容・関数の仕様などが詳細に記載されています。プログラム設計書は開発チーム内での認識をそろえる資料となるほか、後のテスト工程や保守作業においても参照資料として活用されます。携わる開発者の人数が多い大規模プロジェクトでは、この設計書の精度が非常に重要です。

テスト工程の成果物は「テスト仕様書・テスト設計書」

テスト工程では、システムが要件通りに動作するかを確認するための「テスト仕様書」や「テスト設計書」が作成されます。これらの文書にはテスト計画やテスト条件が明示され、テスト後にはテスト結果やレポートも合わせて納品されます。開発されたシステムの品質を確保するためには、抜け漏れのないテスト計画が欠かせません。

Deliverables for each process

システム開発で成果物を作成するメリット

システム開発の各工程で成果物を作成することは、品質面や作業効率においてさまざまなメリットがあります。

作業内容を明確にできる

開発の各工程で成果物を作成することで、作業内容が具体化され、抜け漏れやミスを早期に発見しやすくなります。特に要件定義や設計フェーズでのドキュメント作成は、クライアントの要望や開発範囲を整理する意味合いがあり、後の工程での手戻りを防ぎます。作業の指針となる成果物は、品質の確保やプロジェクト全体の安定進行に欠かせません。

作業内容や進捗を共有できる

成果物を作成することで、作業内容や進捗を関係者間で簡単に共有しやすくなり、進行における認識のずれを防ぐことができます。開発者・クライアント・マネージャー間で共通理解が形成でき、スムーズにコミュニケーションを取れるでしょう。また、共有された成果物は進捗確認や課題管理にも活用できるため、プロジェクトの透明性を高める役割も果たします。

各工程ごとに品質を確保できる

各工程で成果物を作成・確認することで、工程ごとの品質を確実に保つことができます。要件定義書・設計書・テスト仕様書などの成果物を用いて中間レビューを実施すれば、開発中の不備や漏れに早い段階で気付くことができるでしょう。成果物が品質管理の基準として機能すると、開発中のトラブルの予防や再発防止にもつながります。

ブラックボックス化の防止に役立つ

各工程で作成された成果物は、システム導入後の保守・運用時の貴重な資料にもなります。仕様書や設計書を参照することで、システムの構造や処理内容を迅速に把握でき、障害対応や機能追加の際にもスムーズに対応できます。また、途中で担当者が変更になった場合でも、これまでの成果物をもとに情報共有ができるため、引き継ぎの手間がかかりません。有識者が不在の場合でも、ブラックボックス化を防げます。

merit of creating docment in sysdev

>>進行管理に役立つドキュメントを作成してみる

システム開発で成果物を作成するデメリット

システム開発における成果物の作成はメリットが多い一方で、コストや工数がかさむといったデメリットもあります。

成果物を読み解く基本的な知識が必要

システム開発で作成される成果物は専門的な用語や構造で構成されているため、読む側にも基本的なIT知識やリテラシーが求められます。関係者全員が成果物の内容を正しく理解できなければ、認識のずれが発生し、開発の品質や進行に影響を及ぼす可能性があります。特に非エンジニアのクライアントにとっては内容の理解が難しい場合があり、状況に応じて補足説明が必要です。関係者全員が内容を理解できるよう、ドキュメントの読み方・用語を事前に共有しておくなどの対策を行いましょう。

変更・修正が発生したときに手間がかかる

一度作成した成果物を後から修正する場合、影響する範囲が広くなるケースがあります。成果物の納品後に要件変更が発生すると、設計書・仕様書・テスト項目など複数のドキュメントを連動して修正しなければならず、工数がかさんでしまいます。また、修正作業が遅れると各工程間での認識のずれの原因になり、品質低下やトラブル発生のリスクが高まります。

納品が遅れる可能性がある

成果物の作成に時間をかけすぎると、システム開発全体のスケジュールに影響が及び、納品物の完成が遅れるおそれがあります。特に工程ごとのドキュメントが多くなる大規模プロジェクトでは、作成・レビュー・修正の手間が積み重なり、予想以上に工数がかかることがあるでしょう。成果物を作成する際は、適切に作業分担したりツールを活用したりして、スピーディに対応することが求められます。

システム開発で成果物を管理する際のポイント

システム開発時に作成した成果物は、適切な方法で管理する必要があります。ここでは、3つのポイントについて解説します。

1.各工程における成果物を明確にする

成果物を管理するにあたっては、各工程で作成される成果物を明確にしておくことが重要です。要件定義・システム設計・開発・テストの各段階で必要な成果物やドキュメントをあらかじめリストアップし、抜け漏れなく進捗管理ができる状態にしておきましょう。各成果物の目的や提出日を関係者間で共有すれば、スムーズに管理できます。

2.管理方法やルールを設ける

成果物の品質や整合性を保つには、管理ルールの明確化が必要不可欠です。ファイルの命名規則・バージョン管理・承認フローなどを定めておくことで、更新漏れや無駄な作業の発生を防ぐことができます。

また、管理ルールは文書化し、全関係者が閲覧・確認できる状態にしておきましょう。成果物の管理方法を統一することで、大規模なプロジェクトでもスムーズな管理体制を築けます。

3.関係者全員が閲覧できる状態にする

提出された成果物は、関係者全員がアクセスできる状態で管理することが重要です。クラウドストレージやドキュメント管理ツールなどを活用し、誰もが最新バージョンの成果物を確認できる状態に整備しましょう。関係者全員にアクセス権限を付与することで、情報の行き違いや対応漏れなどを防ぐことができます。

また、アップされた成果物は不特定多数の関係者がアクセスするため、編集権限や更新履歴を適切に管理する必要があります。

 

まとめ

システム開発の各工程で作成される開発物は、プロジェクトに関わる関係者間での進捗共有や、工程ごとの品質を確保する目的があります。成果物をうまく活用しながら、効率的なシステム開発環境を整えましょう。

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