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【イベントレポート】「UXってなに?」 -インタビューから学ぶユーザー体験設計のプロセス|SOLA vol.1

更新日: 2026年7月24日

【イベントレポート】「UXってなに?」 -インタビューから学ぶユーザー体験設計のプロセス|SOLA vol.1

はじめに

「SOLA(Sun Open Learning Arena)」は、デザイン・エンジニアリング・プロダクトづくりに関わる人たちが、職種や会社を越えて学び合うためのオープンな学習コミュニティです。

2026年6月15日(月)、SOLA第1回のイベントとして「UXってなに?〜インタビューから学ぶユーザー体験設計のプロセス〜」を Sun* 大手町スタジオにて開催しました。

本記事では、参加者同士がチームを組み、インタビューからインサイト抽出まで、UXデザインのプロセスを実際に手を動かしながら体験した、約2時間半におよぶイベント当日の様子をお伝えします。

イベントページ:https://sun.connpass.com/event/393675/

SOLAとは?

SOLAが大切にしているのは、職種を超えた人とのつながりと、知識のつながりをつくること。会社の枠を超えた学びの場だからこそ、普段の業務では出会えない視点や気づきが生まれることを目指しています。

そんなSOLAが主催するイベントとして、第1回のテーマに選んだのは、UXデザイン

「UXに興味はあるけど、実践する場がない」「普段デザイナーと関わる機会が少ない」——そんな参加者が実際に手を動かしながらUXのプロセスを体験できるワークショップを企画しました。

参加者が4人1組でチームを組み、お互いにインタビューを行いながら身近な体験を深掘り。行動と思考を時系列で整理しながら、インサイトの抽出まで挑戦する、盛りだくさんの内容です。

特別講義や発表タイム・アドバイザーによるフィードバックも含め、約2時間半にわたるイベントには、デザイナーはもちろん、エンジニア・人事・学生など、さまざまなバックグラウンドを持つ方々にご参加いただきました。

 

UXってなに?

ワークショップに入る前にまず、テーマである「UXとは何か」について簡単に説明する、10分ほどのミニ講義を行いました。

登壇したのは、Sun*でDesign Strategistとして活躍する 宇佐美 詠子グラフィックなどデザイン領域全般とデザイナー組織のマネジメントの経験を経て、現在はDesign Strategistとして、人事とクリエイティブの視点を掛け合わせながら、働き方や組織のあり方をデザインしています。

講義者

UX(User Experience)とは、人が何かを体験すること全般。アプリやWebサービスを使う人だけでなく、社内システムを操作する人もユーザーです。利用前・利用中・利用後まで、一連の体験の全体がUXデザインの対象になります。

 

インサイトとは、表面的な事実の奥にある「人を動かす本当の理由」のこと。例えば「服を買う」という行動ひとつにしても、「好きだから」「似合うから」ではなく、「身につけていて嬉しくなるから」という感情が実は動機になっていることがあります。本人すら気づいていない深いところに、人が動く理由は眠っているのです。だからこそ、インサイト抽出は一筋縄ではいきません。

インサイトを抽出するカギとなるのが、質の高いインタビューです。「上手にやろうとしなくていい。目の前の人のことを知りたい!と思い込んでみてください」という言葉とともに、空気づくり(面接ではなく会話として臨む)、誘導しない(フラットな問いかけを心がける)、しっかり深掘りする(過去・現在・未来を丁寧にたどる)という3つのコツが紹介されました。講義終了後、いよいよチームに分かれてのワークが始まります。

講義資料

UXワークについて

今回のワークは、UXデザインの経験がない方でも迷わず楽しめるよう設計しました。インタビュー・課題抽出・インサイト抽出という一連のプロセスを、チームで会話しながら自然と体験できるようを意識しています。

「正解のインサイトを見つけること」をゴールに据えるのではなく、手を動かしながら対話を重ねるなかで、「UXって面白い、奥深い」と感じてもらうことを大切にしました。

 

身近な体験をUXの入り口に

まずは、インタビューの対象となるテーマ選定から。チームで1つのテーマを決定し、それを元にユーザー体験設計のプロセスを進めます。

テーマ選びのヒントとして活用されたのが、各自のスマホのフォトアルバムや、事前に配布した「印象に残った体験例リスト」です。

それらを参考にしながら「最近の休日に何をしたか」「直近で印象に残っている出来事は何か」など、各自が付箋に体験を書き出していきます。

ワーク資料


そのなかから自分自身で最も印象深いと感じたものを1つピックアップして、選んだ体験をチームのメンバーに向けて順番にシェア。全員の発表が終わった後、最も具体的かつ深い議論ができそうな体験を1つ選んで、チームのテーマを決定します。

各自がスマホの画面を見せ合いながら体験をシェアすることで、初対面のメンバー間でもスムーズに会話が生まれ、次のステップへと進むためのテーマを決定できたようです。

ワーク中

 

行動と感情を、時系列で紐解く

テーマ決定後は、体験を時系列で可視化し、行動と感情の動きを捉えることを目的として、「課題抽出インタビュー」と「CJM(カスタマージャーニーマップ)」の作成に移ります。ワークを円滑に進めるため、テーマの提供者が「話し手」を固定で担当し、他のメンバーが残り2つの役割をローテーションします。参加者全員が複数の視点を体験できる設計です。

役割

①話し手(インタビュイー): 選ばれたテーマの体験を話す。

②聞き手(インタビュアー): 講義のコツを意識し、相手の体験を深掘りする。

③書記(観察記録係): 話し手の言葉やニュアンスを付箋にメモする。

ワーク中


CJMの時間軸は、「お店に入ってから出るまで」という広い視点から「レジ前の数分間の心の揺れ」まで、チームによってさまざま。この粒度の違いもUXワークの面白さのひとつです。聞き手と書記も一緒に「その瞬間、どんな気持ちだった?」と寄り添いながらマップを紡ぐ様子は、チームで記憶のパズルを完成させているようでした。

 

感情の裏側にある、本当の理由を探る

今度は、前のワークで可視化した行動・感情の流れをもとに、感情が下がった場面を「なぜ」で繰り返し深掘りをする、インサイト抽出の挑戦です。まず、聞き手・書記が予想でグラフを埋め、その後に話し手が修正する形で進行。話し手が実際とのギャップを感じながら、正確なグラフを作成できるようにします。

感情グラフを作成した後は、課題・インサイトを書き起こします。感情が下がっている部分を中心に、「なぜ」を5回繰り返して深掘りをしていきます。表面的な原因ではなく根本原因(真因)を特定する「なぜなぜ分析」と呼ばれる手法です。


ここで、参加者同士が自然に対話を深められるよう、「事実」「解釈」「感情」「本音」「理性」の5種類の質問カードも用意していました。「具体的には?」「どうして〇〇したの?」「理想は何?」などの問いかけが会話のきっかけとなり、会場では「それって本当に理由かな?」「そもそもなぜそう感じたんだろう?」といった声が飛び交い、新たな気づきが生まれる場面が多く見られました。

ワーク中

 

発表とフィードバックで深まった、インサイトへの理解

アドバイザー

 

ワークの最後には、各チームが作成したカスタマージャーニーマップと、そこから見えてきたインサイトを発表しました。発表は1チーム5分。発表後には、UXの実務経験を持つ宇佐美(冒頭でミニ講義も行いました)とマサトの2人からフィードバックが行われました。

当日は食事を囲みながらの発表だったこともあり、会場は終始リラックスした雰囲気に。各チームの発表が進むにつれて、共感の声や笑いも生まれ、初対面同士のチームとは思えないほど自然なやり取りが広がります。

限られた時間のなかでも、どのチームも行動や感情の流れを丁寧に整理し、UX初心者とは思えないほど具体的にカスタマージャーニーマップをまとめ上げていました。

ここでは、特に印象的だった2つのチームの発表と、アドバイザーからのフィードバックをご紹介します。

テーマ: 朝活(QOL向上への道)

  • 発表内容・インサイト
    • 平日は深夜帰宅が続くほどハードに働き、土日は疲れを癒すためにYouTubeなどを観て「ダラダラ」と過ごしていたユーザーを分析したチーム。本人は休日に身体を休めているつもりでしたが、実はそれでは平日のストレスがリフレッシュできていないという事実に気づきます。
    • 「ダラダラ過ごすこと=心の余裕」だと思い込んでいたけれど、実はあえて朝活やかき氷、ビアフェスなどアクティブに動いて時間を充実させた方が、結果的に平日に向かうための「本当の心の余裕(QOL)」が生まれるという、人間の矛盾した心理と真のニーズ(インサイト)を鮮やかに導き出しました。
  • アドバイザーからのフィードバック
    「平日の背景にまで目を向け、ロングスパンで行動を分析できているのが素晴らしいですね。ここからさらに『ダラダラしている時に実は感じていた焦り』などを紐解いていくと、より深い提案やサービスデザインに繋がっていきます!」

テーマ:週3で通うサウナ好きの体験

  • 発表内容・インサイト
    • 今ブームの「サウナ」という身近なテーマを分析したチーム。サウナの価値の本質は、スマホを持たず誰とも話さない環境による「強制的なデジタルデトックス」にあると定義しました。
    • インタビュイーが求めているのは、サウナそのもの以上に「何も考えなくていい時間(没入感)」であるというインサイトを導き出し、「だからこそ、外気浴の椅子が空いていないことが最大のストレスになる」という課題に着地させました。
  • アドバイザーからのフィードバック
    • 「身近なテーマを『没入感』というキーワードで綺麗に切り取りましたね!『椅子が空いていないストレス』が、一人になりたい期待の裏返しであるという導き出し方は、非常に説得力があります!」

UXはデザイナーだけのものではない。参加者の声から見えた学び 

本イベントで参加者から、さまざまな感想をいただきました。

まず、さまざまな職種のメンバーと話すなかで、自分にはない視点や考え方に触れられたことが大きな学びだったという声が多く寄せられました。

他者からの問いかけによって、体験の背景や気づきが少しずつ引き出されていく面白さを感じた一方で、「深掘りするための視点を持つこと」の難しさや、インタビューならではの奥深さを実感する場面もあったようです。

また、インタビューやインサイト抽出の前提知識がなくても、ワークの流れに沿って手を動かすことで、UXデザインのプロセスを自然と理解できたという声もありました。多様な職種のメンバーと一緒にUXを体験したことで、「UXはデザイナーだけのものではなく、あらゆる職種の実務に活かせる考え方である」と感じられたことも、今回の大きな収穫の一つ。

ワーク後には、ケータリングとドリンクを囲んだ懇親会も実施しました。リラックスした雰囲気で、年齢や職種、会社の垣根を越えた会話が生まれ、学びの時間はそのまま交流の場へと広がっていきました。

終わりに

SOLAはこれからも、職種や会社の枠を越えて学び合える場を定期的につくっていきます。

次回のイベントは、2026年9月11日(金)開催予定です!

テーマは「AIで作ったデザイン、磨かNight!- SOLA vol.2」。生成AIをデザインの現場でどう活かすか、実践的な視点から体験できる内容を予定しています。

Connpassページにてイベント情報を更新するので、ぜひグループをフォローして次回告知をお待ちください!

https://sun.connpass.com/