近年、システム開発の現場ではアジャイル開発が広く採用されるようになりました。市場や顧客のニーズが目まぐるしく変化する中、柔軟に対応できる開発手法として注目されています。
一方で、従来のプロジェクトマネジメント手法では対応が難しい場面も増えてきました。本記事では、アジャイル開発におけるプロジェクトマネジメントの特徴や手法、役割、成功のポイントについてわかりやすく解説します。
目次

アジャイル開発とは?ウォーターフォールとの違い
アジャイル開発とは、短いサイクルで計画・開発・テスト・リリースを繰り返す「反復型・適応型」の開発手法です。顧客やユーザーのフィードバックを迅速に取り入れることができるため、変化に強いという特徴があります。
一方、ウォーターフォール型開発は、要件定義から設計・開発・テストまでを順序立てて進める「段階的」な手法です。要件が固まっているプロジェクトには適していますが、仕様変更への対応が難しいという課題があります。
あわせて読みたい:アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いは?それぞれの特徴を解説
アジャイル型プロジェクトマネジメントの12の原則
アジャイル型プロジェクトマネジメントは、従来のウォーターフォール開発とは異なる特徴を持っています。どのような特徴かは、アジャイルマニフェストによって「アジャイルプロジェクトマネジメントの12の原則」として示されています。
- 価値あるソフトウェアを早期かつ継続的に提供し、顧客を満足させることを最優先とする。
- 開発の終盤であってもすすんで仕様変更を受け入れる。顧客の競争優位性のため変化を活用するのがアジャイル開発である。
- 2週間から2ヶ月を目安に、より短い期間を優先しながら高頻度で”機能するソフトウェア”を納品する。
- 全てのプロジェクト期間を通して、ビジネスサイドと開発サイドが日々一緒に取り組む。
- 意欲的なメンバーをアサインし、必要とする環境を与えたら、後は彼らが業務を遂行することを信じる。
- 情報伝達の最も効果的で効率的なやり方は対面でのコミュニケーションである。
- “機能するソフトウェア”こそが進捗の主要な基準である。
- アジャイル開発は持続可能な開発を推進する。スポンサー・開発者・ユーザーは常に一定のペースを維持すべきである。
- 卓越した技術と優れたデザインに常に注意を払うことで俊敏さが加速する。
- 無駄な作業を極限まで減らし、物事を単純化することが不可欠である。
- 最適なアーキテクチャ、要件、デザインは自律的に編成されたチームによって生み出される。
- 定期的により効率的な動き方を見直し、チームを適応させる。
あわせて読みたい:アジャイル開発を本で学ぶ!マインドセットやスクラムが学べるおすすめ書籍13選
アジャイルプロジェクトマネジメントの主な手法
アジャイルには複数のフレームワークが存在し、プロジェクトの性質によって適切な手法を選択する必要があります。
- スクラム:スプリントと呼ばれる短期間の反復開発を基本としたフレームワーク。最も一般的なアジャイル開発におけるフレームワーク。
- カンバン:タスクの「見える化」と「制限」により、フローの最適化を目指すフレームワーク。
- XP(エクストリーム・プログラミング):ソフトウェア開発に特化したフレームワークで、特に柔軟性に重きを置いている。
あわせて読みたい:アジャイル開発におけるスクラムとは?導入するメリットや手順を解説
アジャイル開発におけるPM(プロジェクトマネージャー)の役割
アジャイル開発では「PM=指揮官」ではなく、チームを支援する「ファシリテーター」としての役割が求められます。具体的には以下のような役割を担います。
- チーム間の調整と円滑なコミュニケーションの促進
- プロダクトオーナーやステークホルダーとの連携
- スプリント計画や進捗の可視化(バーンダウンチャートなど)
- チームの障害やリスクの早期発見と解消
なお、アジャイル型プロジェクトマネジメントではスクラムマスターやプロダクトオーナーなどの役割も登場し、PMは状況に応じた柔軟な対応が求められます。
アジャイル型プロジェクトマネジメント成功のポイント
アジャイル開発を成功に導くためには以下のようないくつかのポイントがあります。
ステークホルダーとの連携
スプリントと呼ばれる数週間の短い開発サイクルを繰り返すアジャイル開発では、細かい仕様変更やフィードバックを柔軟に取り入れやすいのが魅力です。定期的なレビューやデモを通じて、顧客や関係者との認識を合わせ、早い段階でのフィードバックを得ることが成功の鍵です。
チームビルディング
アジャイルチームのパフォーマンスを最大化するためには、信頼に基づく関係性と、それぞれの役割への尊重が欠かせません。過度なマイクロマネジメントは避け、チームメンバーの裁量に判断を委ねましょう。
「完成」の定義の明確化
何をもって「完成」とするかを事前にチームで合意しておくことで、期待値のずれや再作業を防ぎます。仕様変更が起きやすいアジャイル開発だからこそ、スコープをずらさず品質を保持するために、ブレない判断軸をステークホルダー間で合意することが成功のポイントです。
進捗管理ツールの活用
バーンダウンチャートやベロシティの活用することで、進捗を可視化し問題の早期発見できる仕組みを作ることで、マイクロマネジメントを回避しながら大きなトラブルを防ぐことが可能になります。
アジャイル開発のプロジェクトマネジメントで直面しやすい課題とその対策
アジャイル型のプロジェクトマネジメントには特有の課題もあります。
要件の頻繁な変更
顧客のニーズや市場の変化に合わせて仕様変更がしやすいことはアジャイル開発の最大の魅力ではありますが、それによって要件が肥大化するリスクもあります。プロダクトバックログをしっかり管理し、優先順位を常に見直すことが肝要です。
メンバーの経験不足
アジャイル開発はチームメンバーの裁量が大きいため、不慣れなメンバーが多いとスケジュールの遅延などのリスクになり得ます。基礎的な知識や実践を通じたトレーニングが重要です。社内勉強会や外部セミナーの活用などを行い、メンバーのスキルアップを行いましょう。
経営層との認識ギャップ
経営層が従来の開発手法に慣れている場合、明確な納品物が無いことも多いアジャイル開発では成果が見えづらく、経営層と現場との間で認識のギャップが出てしまう場合もあります。KPIを設定し、定量的な指標で進捗や効果を示すことでプロジェクトへの信頼を得ましょう。
まとめ
アジャイル型プロジェクトマネジメントの特徴や、成功のポイント、課題と対策などを解説しました。市場の変化やユーザーニーズに柔軟に変化できるアジャイル開発は、今後ますます採用するプロジェクトも多くなるでしょう。アジャイル型プロジェクトマネジメントはある程度の経験値が必要になるため、ベンダー企業へ依頼する際には経験豊富なベンダー企業を選ぶことがおすすめです。
株式会社Sun Asteriskは、DXコンサル、設計から本格的な開発まで一気通貫でサポートできるケイパビリティの広さを強みとしています。日本やベトナムを中心に多くのエンジニアが在籍しており、圧倒的に柔軟性のある開発リソースがあることも特徴です。アジャイル開発における実績も豊富なため、気軽にご相談ください。

アジャイル開発で最低限抑えておきたいポイントをチェックリスト化いたしました。

Sun Asteriskがこれまで手がけてきたプロジェクトを多数ご紹介しております。