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MVP開発 アジャイル開発

アジャイル開発とMVP開発の違いとは?MVP開発の流れやポイントなどを詳しく解説

更新日: 2024年11月14日

アジャイル開発とMVP開発の違いとは?MVP開発の流れやポイントなどを詳しく解説

MVPとは、「最小限の実装可能な製品」を指します。これは、ユーザーに提供するために必要な最低限の機能のみを備えた製品を意味し、開発段階で製品の核となる部分に集中することを重視します。

MVPの主な目的は、素早く市場に投入してユーザーからのフィードバックを収集し、その結果をもとに改善や追加開発を行うことにあります。本記事では、このMVP開発の詳細や、それと密接に関連するアジャイル開発の手法について、具体例を交えながら詳しく解説します。

MVP開発とは

MVP開発とは、「最小限の実装可能な製品」を指し、ユーザーに提供するために必要な最低限の機能を備えた製品を意味します。従来の製品開発では、すべての機能を実装し、完全な形で製品をリリースすることが一般的です。
しかしMVP開発ではそのアプローチを変え、まずは必要最低限の機能のみを持つ製品を市場に投入します。こうすることで、開発の初期段階でユーザーからのフィードバックを迅速に受け取り、それをもとに製品の改善や機能追加を行うことが可能になります。
この方法の最大のメリットは、市場の反応を早期に確かめられる点にあります。ユーザーのニーズに基づいたフィードバックを反映することで、開発リソースを効率的に使い、無駄を省いたプロダクトの進化が期待できます。

アジャイル開発とは

アジャイル開発とは、ソフトウェア開発手法の1つであり、短期間で小さな機能を順次開発し、段階的に製品を完成させていく方法です。この手法では、開発プロセスを細かく分割し、計画、設計、実装、テストといった工程を繰り返すサイクルが特徴といえます。その結果、開発中の製品が常に改良され、段階的に完成度が高まることががメリットです。
アジャイル開発の利点は、変化に迅速に対応できる点にあります。ユーザーからのフィードバックをもとに、開発プロセス全体を見直し、短期間で製品を改善し続けることが可能です。特に、顧客のニーズが流動的で頻繁に変わるプロジェクトにおいては、その柔軟性が大きな効果を発揮します。

アジャイル開発との違い

MVP開発とアジャイル開発は、どちらも迅速な開発と市場への適応を重視する手法であるものの、そのアプローチや目的には明確な違いがあります。アジャイル開発では、短期間の開発サイクルを繰り返し、段階的に機能を追加しながら製品をリリースしていくのが特徴です。
一方、MVP開発は、製品の本質となる最低限の機能を備えたプロダクトをまず早期にリリースし、その後ユーザーのフィードバックをもとに製品を改善していくというアプローチを取ります。アジャイル開発の詳細については、以下の記事も参考にしてください。
アジャイル開発の流れは?メリットや主な開発手法・失敗しやすいポイントなどを解説

開発の流れ

アジャイル開発では、開発を1~4週間程度の短期間のサイクル、いわゆる「スプリント」に分けて進行します。各スプリントで新たな機能の開発やテストを行い、完成した機能はすぐにリリースされます。この繰り返しによって、製品は段階的に進化し、ユーザーからのフィードバックを反映しながら完成度を高めていくことができます。
これに対して、MVP開発は、まず製品の本質となる最低限の機能だけを備えたプロダクトを迅速に作り上げ、早期に市場へリリースすることに重点を置いています。リリース後、ユーザーからのフィードバックを収集し、その結果をもとに製品を改善し、必要な機能を追加します。

開発の目的

アジャイル開発の目的は、ユーザーのニーズが変化することを前提とし、その変化に柔軟に対応し続けることにあります。ユーザーからのフィードバックを開発プロセスに取り入れることで、常に市場の要求に即した価値ある製品を提供することを目指します。開発のサイクルごとに機能を追加し、改善を続けることで、ユーザーに最適な製品を開発することがアジャイル開発の狙いです。
一方、MVP開発の目的は、製品をできるだけ早く市場に投入し、実際のユーザーからの反応を確認しながら方向性を定めることです。この方法により、開発の初期段階でリスクを抑え、無駄のない効率的な製品開発が可能となります。

開発にかかる期間

アジャイル開発においては、開発は1~4週間程度の短期間のスプリントを繰り返し行いますが、プロジェクト全体の期間としては数か月に及ぶことも少なくありません。各スプリントで機能の開発・テスト・リリースを実施し、プロダクトは段階的に完成度を増していきます。そのため、ユーザーのフィードバックを生かしながら、長期にわたる開発が続けられるのが特徴です。
一方で、MVP開発にかかる期間は、非常に短く設定されることが一般的です。製品の最低限の機能に焦点を当てるため、開発期間は数週間から長くても2~3か月程度でリリースすることを目指します。

MVP開発のメリット

MVP開発は、特定のビジネスシナリオにおいて特に有効な手法です。限られたリソースで迅速に市場に参入し、ユーザーのニーズに応えるために段階的に製品を成長させたい場合、MVP開発がその目標をサポートします。以下では、MVP開発に適している3つのケースについて詳しく解説します。

1.コストとリスクの削減につながる

MVP開発は、新規事業やスタートアップに非常に適しています。スタートアップが抱える最大の課題は、市場のニーズが不確定であり、どのような製品が受け入れられるかが未知数であることです。MVP開発を採用することで、最小限の機能を持った製品を早期にリリースし、ユーザーからの反応をもとに改良を重ねていくことが可能です。
このように、新規事業の初期段階で無駄な開発コストを削減しながら、実際の市場データに基づいた製品の改善を行うため、成功の確率を高めることができます。

2.市場への早期参入と先行者利益につながる

スタートアップやリソースの限られた企業にとって、MVP開発は理想的な手法です。限られた予算や人員で開発を進めなければならない場合、まずは最小限の機能を持ったプロダクトをリリースすることで、開発コストや時間を大幅に抑えられます。
さらに、実際のユーザーからフィードバックを得ることで、必要な機能を見極め、優先度の高い改善にリソースを集中させることができます。このように、少ないリソースでプロジェクトを始められるため、資金の限られた状況でも市場に適応しながら製品を成長させることが可能です。

3.顧客のニーズに合わせた改善ができる

MVP開発は、競合が少ない新市場への迅速な参入を目指す場合に非常に有効です。短期間でプロダクトをリリースすることで、先行者利益を得られる可能性が高まり、特に新たな技術やサービスが登場する市場において大きな競争優位を築くことができます。
早期に市場に参入することで、ユーザー基盤の拡大や他社との提携の機会が増え、その後の市場シェアの確保に有利に働きます。市場での存在感をいち早く確立することで、ユーザーの声を製品に反映しながら、製品の進化を促進することができます。

MVP開発のデメリット

MVP開発には多くのメリットがある一方で、すべてのプロジェクトに適しているわけではありません。特に開発の規模やエンジニアのスキルに関わる問題がデメリットとして挙げられます。ここでは、MVP開発の2つのデメリットについて詳しく解説します。

1.長期的・複雑な開発には不向き

MVP開発は、短期間で最小限の機能をリリースし、市場の反応を検証する手法です。そのため、複雑なシステムや大規模なプロジェクトには適していません。
特に、大規模なユーザー数を扱うシステムや、長期にわたる開発が必要なプロジェクトでは、MVP開発の性質上、機能の追加や修正が頻繁に発生します。これにより、当初の見積もりよりもコストや時間が大幅に膨らんでしまうリスクがあります。結果的に、MVP開発の短期的なメリットが長期的なプロジェクトでは十分に生かされない場合があります。

2.エンジニアのスキルに依存しやすい

MVP開発は、短期間で開発と改善を繰り返すアプローチであるため、エンジニアの技術力やマネジメント能力に大きく依存します。高い技術力を持つエンジニアだけでなく、頻繁なリリースやユーザーのフィードバックを効果的に反映させるための優れたコミュニケーション能力も必要です。
これらのスキルが不足していると、プロジェクトの進行が滞り、成果物の品質にも影響を及ぼす可能性があります。特に経験の浅いエンジニアが担当した場合、プロジェクト全体の成功が左右されるリスクが高まるため、チームのスキルレベルや経験を考慮したうえでMVP開発を採用するかを判断することが重要です。

MVP開発の流れ

MVP開発は、ユーザーのニーズに応え、迅速に市場に適応するためのプロセスであり、いくつかのステップで構成されています。ここでは、MVP開発の基本的な流れについて解説します。

1.課題の設定

MVP開発の最初のステップは、解決すべき顧客の課題を明確にすることです。製品やサービスがユーザーに対してどのような価値を提供するか、その根本的なニーズや問題点を特定することがこの段階の目的です。
ここでの課題設定が曖昧だと、後のプロセスで製品の方向性がブレてしまうため、最初の段階で明確な課題を設定することが非常に重要です。ユーザーが抱える問題を具体的に洗い出すことで、製品開発の指針を固めていきます。

2.仮説の設定

次に、設定した課題に対する解決策としての仮説を構築します。この仮説は、プロダクトが顧客のニーズに応え、問題をどのように解決するかを示すものです。仮説を立てる際には、プロダクトが提供する価値や機能について具体的に考える必要があります。
さらに、後のプロセスで明確に評価できるよう、検証可能な形で仮説を定義することが求められます。たとえば、ユーザーがどのように製品を利用するか、製品のどの機能が最も重要であるかなどを具体的に想定します。

3.MVPを作成する

仮説に基づいて、実際にMVP(Minimum Viable Product)を開発します。この段階では、機能を絞り込み、最小限のコストとリソースでユーザーに価値を提供できるプロダクトを作成することが重要です。MVPはプロダクトの完成形ではなく、ユーザーからフィードバックを得るための試作品のようなものです。
そのため、余計な機能や装飾は省き、顧客にとって最も価値を提供できる部分にフォーカスします。スピーディにリリースできるシンプルな製品を目指すことが、この段階のポイントです。

4.フィードバックの収集

MVPをリリースした後、実際にユーザーに使ってもらい、フィードバックを収集します。この段階では、ユーザーからの定性的な意見だけでなく、具体的な数値などの定量的なデータも重要です。

たとえば、「この機能はどの程度役立ったか」や「ユーザーはどの機能を最も多く利用しているか」といった情報を数値で評価することが推奨されます。こうしたフィードバックを収集することで、プロダクトの現状や改善点を客観的に把握することができます。

5.評価と改善の繰り返し

収集したフィードバックをもとに、当初の仮説を検証したあと、プロダクトを改善していくフェーズです。フィードバックが想定通りであれば、さらに機能の改善や追加を行い、次のステップへ進みます。しかし、仮説が間違っていた場合や期待した結果が得られなかった場合には、方向転換(ピボット)を行う必要があります。
このサイクルを何度も繰り返すことで、プロダクトが市場やユーザーのニーズに徐々に合致していくのです。継続的な改善を通じて、最終的に顧客に最も価値を提供できる製品を完成させることがMVP開発のゴールとなります。

MVP開発を行う際のポイント

MVP開発を成功させるためには、ユーザーのニーズに即した製品を迅速に市場へ投入し、改善を繰り返すことが求められます。その際に留意すべきいくつかのポイントがあります。ここでは、MVP開発を進める際の重要なポイントを解説します。

1.ユーザーからのフィードバックの収集方法に注意

MVP開発の目的は、ユーザーからのフィードバックを元に製品を改善し、最終的に顧客のニーズに合ったプロダクトを完成させることです。しかし、フィードバックの収集方法には注意が必要です。ユーザーから得られる情報が曖昧だったり、漠然としたものであったりすると、製品の改善の方向性が定まらなくなる可能性があります。

そのため、フィードバックを収集する際には具体的な質問を行ったり、アンケートなどで定量的なデータを集めたりすることが重要です。こうした工夫により、正確かつ効果的な改善につなげることができます。

2.MVPに必要な機能の絞り込み

MVP開発では、最初に実装する機能を必要最低限に絞り込むことが重要です。すべての機能を一度に盛り込もうとすると、開発コストや時間がかかりすぎ、MVPのメリットである「迅速な市場投入」が失われてしまいます。

まずは、ユーザーに最も価値を提供できる機能を選び、シンプルに開発を開始することが成功へのカギとなります。機能の絞り込みにより、早期に市場へ製品を投入し、ユーザーの反応を見ながら改良を加えていくことで、効率的にプロダクトを進化させることができます。

3.仮説の検証を綿密に行う

MVPは、顧客のニーズに応えるための仮説を元に開発されますが、その仮説が正しいかどうかを常に検証するプロセスが必要です。仮説が誤っている場合、素早く方向性を修正(ピボット)する勇気も重要です。

この検証と修正を繰り返すことで、製品は徐々にユーザーのニーズに合ったものへと進化します。綿密に仮説を検証することで、最終的に市場での競争力を持つ製品に近づけることが可能です。

まとめ

MVP開発は、限られたリソースで製品を素早く市場に投入し、ユーザーからのフィードバックを生かして製品を改善していく効果的な手法です。特に、新規事業やスタートアップ、リソースが限られている場合に適しています。
しかし、成功するためには具体的なフィードバックの収集や、必要な機能の絞り込み、仮説の綿密な検証が不可欠です。また、長期的なプロジェクトや複雑なシステムには不向きであるため、開発の目的や規模に応じて適切に採用することが重要です。MVP開発のメリット・デメリットを理解し、適切なプロセスで進めることで、プロダクトを効率的に成長させることができるでしょう。
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