システム開発を自社で行うとなると、多大なコストや時間がかかるものです。このため、専門的な技術や知識を持ったシステム開発会社に依頼するのが一般的です。本記事では、システム開発を依頼する際に知っておきたい基礎知識や費用相場、依頼の手順、依頼先の探し方、選び方、費用対効果を高めるポイントなどを解説します。自社に合ったシステム開発会社を見つけるために、ぜひ参考にしてください。
目次
システム開発の依頼前にやるべき準備
システム開発をスムーズに進めるためには、開発会社へ依頼する前の準備が重要です。事前にしっかりと要件を整理し、必要な情報を明確にすることで、開発の効率化やコスト削減につながります。ここでは、システム開発を依頼する前にやるべき準備を解説します。
1. システム開発の目的を明確にする
まず、なぜシステム開発が必要なのかを明確にしましょう。目的が曖昧なまま進めると、開発途中で方向性がブレたり、不要な機能が追加されてコストが膨らんだりする原因になります。以下のポイントを整理しておくと、スムーズに進められます。
- 現状の課題:何が問題で、どのように改善したいのか
- 期待する成果:システム導入後にどのような業務改善や効率化を実現したいのか
- 具体的な利用シーン:誰がどのようにシステムを使うのか
例えば、「社内の受発注業務を効率化したい」「エクセル管理をシステム化し、作業ミスを減らしたい」といった明確な目的を持つことで、開発会社も適切な提案がしやすくなります。
2. 必要な機能を洗い出す
システム開発の依頼前に、どのような機能が必要かをリストアップしておきましょう。ただし、すべての機能を最初から決める必要はなく、優先度の高いものを整理することが重要です。
- 必須機能(MVP: Minimum Viable Product)
- あれば便利な機能(Nice to Have)
たとえば、ECサイトを開発する場合、最低限必要な機能は「商品登録」「カート機能」「決済機能」などですが、「レビュー機能」や「クーポン発行機能」などは後から追加できるオプションとして考えることができます。
3. 予算と納期の目安を決める
システム開発は規模によって費用が大きく変わります。そのため、あらかじめ概算の予算と希望納期を設定しておくことが重要です。
予算感がわからない場合は、同業他社の事例や参考価格を調べるのも有効です。
併せて読みたい:システム開発の見積を算出する方法
システム開発の一般的な費用目安
- 小規模(シンプルな業務システム): 100万〜500万円
- 中規模(業務システム+API連携): 500万〜2000万円
- 大規模(フルスクラッチの業務システム): 2000万円以上
また、開発会社に相談する際には、「この予算内でどのようなシステムが実現可能か?」と聞くことで、現実的な提案を受けやすくなります。
4. 社内の関係者と合意形成をしておく
システム開発には、社内の複数部署が関わることが多くあります。そのため、事前に関係者と合意形成をしておかないと、開発途中で「この機能は不要だった」「こんな仕様では使えない」といったトラブルにつながることがあります。
- 誰がシステムの要件を決めるのか
- 利用する部署の意見を取り入れるか
- どの段階で社内承認を得る必要があるのか
例えば、営業支援システム(SFA)を導入する場合、営業部門だけでなく、経理やカスタマーサポートの意見も反映する必要があるかもしれません。
事前に関係部署と話し合っておくことで、スムーズに開発を進められます。
5. 外部システムとの連携が必要か確認する
システム開発では、既存の業務システムや外部サービスと連携するかどうかを事前に整理しておくことも重要です。例えば、以下のような連携が考えられます。
- 会計ソフトとの連携(freee、マネーフォワードなど)
- 既存の顧客管理システム(CRM)との統合
- 外部API(Googleマップ、決済サービス)との連携
これらを後から追加すると開発コストが上がるため、事前に連携の必要性を把握し、開発会社に伝えることが重要です。
システム開発を依頼する際に知っておきたい基礎知識
システム開発とは
システム開発とは、ITを用いた業務効率化やDX推進、ビジネス拡大などを目的に行われる「仕組みづくり」のことを言います。
システム開発は専門的な知識や技術が求められるため、システム開発会社に依頼(外注)するのが一般的です。ここでは、システム開発会社を選定する際に知っておきたい、システム開発の基礎知識を解説します。
システム構築の手法
システム構築の手法には、大きく分けて「パッケージ開発」「スクラッチ開発」の2つがあります。特徴や違いは以下のとおりです。
内容 | パッケージ開発 | スクラッチ開発 |
---|---|---|
概要 | 既存のシステムをカスタマイズする方法 | オリジナルのソフトウェアを開発する方法 |
コスト | 安い | 高い |
開発期間 | 短い | 長い |
カスタマイズ性 | 低い | 高い |
向いている会社 | 一般的な業務やサービス向け | 特殊な業務やサービス向け |
目的や予算に応じてどちらの手法を選ぶか方針を決めておくことで、システム開発の依頼先を絞り込みやすくなります。
システム開発の手法
システム構築には、ウォーターフォール型、アジャイル型、スパイラルモデル、プロトタイピングの4つの代表的な手法があります。以下の表は、各開発手法の概要とそのメリット・デメリットを比較したものです。
開発手法 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ウォーターフォール型 | 順序通りに工程を進める手法 | 計画が立てやすく管理が容易 | 変更に対応しにくい |
アジャイル型 | 短いサイクルで計画・設計・実装・テストを繰り返す手法 | 柔軟な仕様変更が可能で開発スピードが速い | 頻繁なコミュニケーションが必要 |
スパイラルモデル | 工程ごとに試作品をつくり、改良を重ねる手法 | リスク管理がしやすく柔軟性が高い | 開発期間が長くなることがある |
プロトタイピング | 試作品をつくりながら改良を進める手法 | ユーザーのフィードバックを反映しやすい | コストが高くなることが多い |
対応可能な手法や得意とする手法はシステム開発会社によって違うため、選定時に確認しておくとよいでしょう。
併せて読みたい:アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いは?それぞれの特徴を解説
併せて読みたい:アジャイル開発の流れは?メリットや主な開発手法・失敗しやすいポイントなどを解説
システム開発者と役割
システム開発では、各関係者の明確な役割分担が重要です。以下に、主な関係者とその役割をまとめました。
関係者 | 役割 |
---|---|
PM(プロジェクトマネージャー) | スケジュールや進捗の調整 |
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス) | プロジェクトが計画通り進むように支援 |
SE(システムエンジニア) | システムの仕様や機能を設計 |
PG(プログラマー) | 実際にプログラムを作成し動作確認 |
上記の人材すべてをシステム開発会社が提供するとは限りません。自社の社員がPMやPMOの役割を担当する場合もあります。どのような開発体制が選べるか、依頼前に確認しておくとよいでしょう。
システム開発の依頼から運用までの流れ
システム開発は、一般的に以下の7ステップで進められます。順番に詳しく解説します。
1.RFP(提案依頼書)の作成
システム開発の前に、開発目的や予算、期間を明確にしてRFP(提案依頼書)を作成します。RFPを作成することで、開発会社に要件を正確に伝えられ、プロジェクトの成功率が高まるからです。
コンサルティングサービスを提供しているシステム開発会社の場合、REP作成から支援を受けられます。
2.ヒアリング
システム開発会社に相談しながら、課題の解決方法を決めていきます。有益な提案や正確な見積もりを受けるためには、自社の課題や現状、業界の動向などをなるべく詳しく説明しましょう。
3.提案・見積もり
システム開発会社から提案書と見積書を受け取ります。この内容に基づいて開発が進むため、入念にチェックすることが重要です。システム要件や費用、スケジュールなどを詳細に至るまで確認し、必要に応じて修正してもらいます。
4.契約
提案や見積もりに納得したら契約を結びます。この契約は請負契約が一般的です。請負契約を結ぶと、開発会社はシステムを完成させる義務と、後で不具合が見つかった際に無償で修正する「瑕疵担保責任」を負います。契約内容をしっかり確認して、安心してプロジェクトを進めていきましょう。
5.要件定義・設計
要件定義書は、システムに必要な機能や性能を明確に記述した文書です。要件定義書は、いわば成果物となるシステムの青写真のようなもので、エンジニアでなくても大部分を理解できます。認識のずれが生じていないか、この段階でしっかり確認しておくことが大切です。この要件定義書に基づいてエンジニア向けの設計書が作成されます。
6.システム開発
要件定義書と設計書に基づいて、プログラミングとテストが行われます。システム開発の進め方は採用している開発手法によって異なります。たとえば、アジャイル型は、システム開発と要件定義・設計が反復的に実施されるのが特徴です。
7.納品・検収
実運用可能なシステムが構築できたら納品されます。依頼者側は、要求した機能や性能が実現できているか検収し、不備があれば改善を依頼します。
契約で瑕疵担保責任が明記されている場合、後で不具合に気づいた場合でも、修正してもらえます。
8.運用・サポート
システム開発会社によっては、システム導入支援や保守運用サービスを提供しています。たとえば、操作説明会や研修を実施する、セキュリティソフトのアップデートや、アクセスログの監視などの運用保守を請け負うシステム開発会社もあります。
システム開発の費用目安
システム開発の費用相場
システム開発の費用は、開発規模や要件によって大きく変動します。ここでは、一般的な費用相場やコストが決まる要因、適正な見積もりを判断するためのポイントを解説します。
システム開発の費用は、システムの規模や機能、担当するエンジニアのスキルなどによって異なりますが目安となる費用相場は以下をご参考ください。
規模 | 費用目安 |
---|---|
小規模なWebアプリケーション | 100万円~500万円程度 |
中規模な業務システム | 500万円~1,000万円程度 |
大規模なエンタープライズ向けシステム | 数千万円~数億円 |
一般的には、既存のソフトウェアや、プログラムコードを組み合わせるパッケージ開発の方が、一から開発するスクラッチ開発より費用を抑えられます。
例えば、社内業務を効率化するための管理システム(顧客管理や案件管理など) であれば500万~1000万円程度、ECサイトや予約システム なら1000万円前後が一般的です。
また、開発費用には以下のような要素が含まれます。
- 設計費用(要件定義・UI/UX設計)
- 開発費用(プログラム実装)
- テスト・検証費用
- 運用・保守費用
併せて読みたい:システム開発の見積もりを確認するポイント|算出方法や項目も解説
コストが決まる要因
システム開発のコストは、以下のような要因によって決まります。
① 開発規模
開発するシステムの規模が大きくなるほど、工数が増えるため費用が高くなります。
シンプルな機能のシステムと、複雑な機能を持つシステムでは、開発期間や人件費に大きな差が出ます。
② 開発手法
フルスクラッチ開発(ゼロから開発) : 費用が高くなるが、自由度が高い
パッケージ導入+カスタマイズ : 比較的安価に導入可能
ノーコード・ローコード開発 : 小規模なシステムならコストを抑えられる
③ 開発リソース(国内 or オフショア)
国内開発会社 → 品質やサポート面で安心だが費用は高め
オフショア開発(海外委託) → コストを抑えやすいが、言語や時差の課題がある
④ システムの機能数
機能の数が増えると、開発工数が増えるため費用も上がります。
不要な機能を省き、最小限の機能(MVP)からスタートすることでコストを抑えられます。
⑤ 連携するシステムの有無
既存システムや外部サービス(会計ソフト、CRM、決済システムなど)と連携する場合、API開発が必要になり、その分費用が増加します。
⑥ 納期
短納期での開発は、追加のリソース(エンジニアの増員)が必要になり、コストが高くなる傾向があります。
余裕を持ったスケジュールで依頼すると、費用を抑えられます。
見積もりのチェックポイント
開発会社から見積もりを受け取った際は、以下のチェックポイントをチェックしましょう。
① 見積もりの内訳が詳細に記載されているか
「設計」「開発」「テスト」「運用・保守」など、各工程の費用が細かく分かれているか を確認しましょう。
一式見積もり(まとめて○○万円) になっている場合、どの作業にどれだけの費用がかかるのか不明確なので、内訳を明示してもらうように依頼
するのがベストです。
② 人件費の計算方法
エンジニアの作業単価は会社によって異なります。
一般的には、開発者のスキルレベル(ジュニア/経験者/シニア)によって単価が設定されるため、費用を抑えようとする場合には慎重に検討しましょう。
「この作業には何人のエンジニアで、どのくらいの期間が必要なのか?」を確認し、工数とスキルれ別の妥当性を判断しましょう。
③保守・運用の有無
システム開発後の保守・運用は、月額で数万円〜数十万円かかるケースが多いです。
「契約後の追加費用が発生しないか」「保守プランの範囲はどこまでか」を事前に確認しましょう。
④ 複数の会社から相見積もりを取る
1社だけの見積もりでは、高いのか安いのか判断が難しいため、必ず3〜5社ほど比較することをおすすめします。
ただし、安すぎる見積もりには注意が必要 です。
「後から追加費用を請求される」「品質が低い」などのリスクがあるため、価格だけでなく、開発実績やサポート内容も合わせて検討しましょう。
システム開発の依頼先の探し方
ここではシステム開発会社を探す主な手段として、マッチングサイト、クラウドソーシング、知人の紹介、展示会の4つを解説します。
マッチングサイト
システム開発会社を探す方法の一つとして、マッチングサイトの利用があります。マッチングサイトでは、開発会社の実績や得意分野、料金目安などを比較しながら依頼先を選ぶことができます。
マッチングサイトを利用するメリット
✅ 多くの企業を比較できる
✅ 予算や要望に合わせたマッチングが可能
✅ 過去の実績や口コミを確認できる
デメリット
❌ 登録企業が多く、選定に時間がかかる
❌ 手数料が発生する場合がある
マッチングサイトは、「多くの企業を比較してじっくり選びたい」という場合におすすめです。
クラウドソーシング
比較的小規模なシステム開発や、試作品(MVP)を作りたい場合には、クラウドソーシングを活用するのも一つの方法です。
クラウドソーシングとは、Webシステムやアプリケーションの開発・保守・運用など、多様な依頼が可能なプラットフォームです。クラウドソーシングの主な発注先はフリーランス、個人事業者などです。このため、小規模なシステム開発を依頼したい場合に向いています。
クラウドソーシングのメリット
✅ 比較的安価に開発できる
✅ 短期間で依頼しやすい
✅ 個人エンジニアと直接やりとりできる
デメリット
❌ プロジェクト管理を自社で行う必要がある
❌ 大規模開発には不向き
❌ 開発者のスキルにばらつきがある
特に、試作品の開発や簡易的なシステムを依頼する場合は、クラウドソーシングが有効です。
知人から紹介してもらう
信頼できる開発会社を探す方法として、知人や取引先からの紹介も有効です。実際に開発を依頼した経験のある企業からの紹介であれば、品質や対応の信頼性が高いことが期待できます。
紹介を活用するメリット
✅ 信頼できる実績のある企業を選べる
✅ トラブルが発生しにくい
✅ 紹介割引などの特典がある場合も
デメリット
❌ 選択肢が限られる
❌ 紹介先が自社の要望にマッチするとは限らない
知人からの紹介を活用する場合は、「開発実績」「開発体制」「サポートの充実度」なども確認しておくと良いでしょう。
システム開発の展示会に行く
システム開発の最新トレンドや開発会社を知るために、展示会やイベントに参加するのもおすすめです。
代表的なIT・システム開発関連の展示会
- Japan IT Week(国内最大級のIT展示会)
- CEATEC(最新技術やデジタルソリューションの展示)
- AI・業務自動化展(AIやRPA関連の開発会社が出展)
システム開発の展示会に行くと、関係者と直接話せたり、実物を見学したりできるのがメリットです。また、最新のソリューションや、新たな技術を知るよい機会でもあります。ただし目的が明確でないと、どのシステム開発会社から話を聞くか、迷いやすい面があります。
展示会を活用するメリット
✅ 最新技術やトレンドを把握できる
✅ 開発会社と直接コミュニケーションが取れる
✅ デモンストレーションを見て判断できる
デメリット
❌ 開催時期が限られている
❌ 遠方の場合、参加が難しい
展示会では、開発会社の技術力や対応力を直接確認できるため、より具体的なイメージを持って依頼先を決定できるメリットがあります。
どの方法を選ぶべきかは、開発規模や目的によって異なります。自社のニーズに合った探し方を選び、最適な開発パートナーを見つけましょう。
併せて読みたい:オフショア開発のおすすめ企業17選|選び方を解説
システム開発会社を選ぶ際のチェックポイント
自社に合ったシステム開発会社を選ぶ際に重要な、4つのチェックポイントを解説します。
システム開発の対応範囲
システム開発会社が対応している業務範囲は各社で異なります。システム開発のみ対応している会社もあれば、企業課題の把握から運用・サポートの支援まで、ワンストップで提供している会社もあります。
たとえば、どのようなシステム開発を行うべきか不明な場合は、ITコンサル業務に対応している会社を選ぶなど、自社の目的を達成できるか確認しておくことが重要です。
コミュニケーションの取りやすさ
システム開発を依頼する際、コミュニケーションの取りやすさは重要です。専門知識や技術がない場合、要望を的確に汲み取ってもらえるかどうかが、プロジェクトの成功を左右します。自社の要望をしっかりと理解し、当事者意識を持って対応してくれる開発パートナーを選ぶことが、システム開発成功のポイントです。
システム開発の実績や強み
システム開発会社を選定する際は、実績やエンジニアのスキルを、コーポレートサイトなどで確認することが重要です。
たとえば、物流業界のシステム開発を依頼する場合、同業界での開発経験が豊富な会社に依頼すると、より適切なシステムを構築してもらいやすくなります。また、同じ技術を用いた開発事例があると、知見を持ったエンジニアが在籍していると推測できます。
開発リソースや納期
大規模なプロジェクトを依頼したい場合や、短納期でシステムを構築したい場合は、システム開発会社の開発リソースが特に重要です。十分な数の人員を配置してもらえるか、希望の納期に間に合わせてもらえるか、見積もり段階で確認しておくとよいでしょう。
システム開発の発注先ごとのメリット・デメリット
システム開発を依頼する際、発注先にはフリーランス、国内開発会社、オフショア開発などさまざまな選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、プロジェクトの目的や予算に応じて適切な発注先を選ぶことが重要です。
ここでは、それぞれの特徴を比較しながら解説します。
1,フリーランスに依頼する
個人で活動しているエンジニアやデザイナーに開発を依頼する方法です。
主に、クラウドソーシングやSNS、エンジニア向けのマッチングサイトを活用して探します。
メリット
✅ 費用が比較的安い
開発会社に比べて、間接費(営業・管理費)がかからないため、コストを抑えやすい。
✅ 柔軟な対応が可能
個人との直接契約となるため、開発スピードや仕様変更の調整がしやすい。
✅ 特定のスキルに特化したエンジニアを探せる
「AI開発が得意」「モバイルアプリ専門」など、必要なスキルを持ったエンジニアをピンポイントで選べる。
デメリット
❌ 対応範囲が限定される
システム設計、インフラ構築、運用保守など、複数の役割を1人でこなすのは難しい。
❌ 品質にバラつきがある
スキルレベルや経験によって成果物の品質が異なるため、選定時にポートフォリオや実績を慎重に確認する必要がある。
❌ 長期のサポートが難しい
開発終了後、エンジニアが別の案件に移ると、保守や追加開発の対応が難しくなる。
向いているケース
- 小規模なシステム開発(プロトタイプやMVP開発)
- スタートアップで低予算で開発したい場合
- 特定のスキルを持つエンジニアをピンポイントで探したい場合
2,国内のシステム開発会社に依頼する
日本国内のIT企業に開発を依頼する方法です。
中小企業から大手企業まで多くの選択肢があり、開発規模に応じたパートナーを選べます。
メリット
✅ 開発全体をトータルで任せられる
要件定義から設計、開発、テスト、運用・保守まで一貫したサポートを受けられる。
✅ 品質が安定している
経験豊富なエンジニアやプロジェクトマネージャーが関与するため、一定の品質を保てる。
✅ コミュニケーションが取りやすい
日本語でのやり取りがスムーズにでき、文化や商習慣の違いによるトラブルが少ない。
✅ 契約やセキュリティ面で安心
日本の法律に基づいた契約が可能で、情報漏洩やトラブルリスクが低い。
デメリット
❌ コストが高め
フリーランスやオフショア開発に比べて、開発費用が高くなる傾向がある。
❌ 開発スピードが遅くなることも
大手の開発会社ほど、案件管理や社内手続きが多く、スピード感に欠ける場合がある。
向いているケース
- 中規模~大規模のシステム開発
- 長期的な運用・保守が必要なプロジェクト
- セキュリティや契約を重視する場合
3,オフショア開発(海外開発)を利用する
海外(特に東南アジアや東欧)の開発会社にシステム開発を委託する方法です。
コスト削減の手段として、大手企業も積極的に活用しています。
メリット
✅ 開発コストを大幅に削減できる
人件費の安い国(ベトナム、フィリピン、インドなど)に発注することで、国内の半額~1/3のコストで開発できる。
✅ 開発リソースを確保しやすい
エンジニアの人手不足が進む日本に比べ、オフショア開発では豊富なリソースを確保できる。
✅ 大規模開発に対応しやすい
開発規模が大きくなっても、リソースを増やしやすいため、スケールアップしやすい。
デメリット
❌ コミュニケーションの課題
言語の壁や時差によって、意思疎通に時間がかかることがある。
❌ 品質管理が難しい
開発スキルや経験にばらつきがあり、日本の品質基準を満たさないことがある。
❌ 契約や知的財産のリスク
法制度の違いによって、契約や知的財産権の保護が不十分になる可能性がある。
向いているケース
- 開発コストを抑えつつ、大規模な開発を進めたい場合
- 人材不足を補いたい場合
- オフショア開発に慣れた企業(管理体制が整っている場合)
💡 ポイント: 国内の「オフショア開発支援企業」を経由することで、コミュニケーションや品質管理の課題を軽減できます。
システム開発を依頼する際の契約のポイント
システム開発を依頼する際は、契約内容をしっかり確認することが重要です。
契約を曖昧にしてしまうと、「納品後にトラブルが発生する」「追加費用が発生する」「システムの権利を巡って争いが起こる」などのリスクが高まります。
ここでは、システム開発の契約で特に注意すべき 「契約書に盛り込むべき事項」 と 「知的財産権の取り扱い」 について解説します。
1. 契約書に盛り込むべき事項
システム開発を発注する際は、口約束ではなく、しっかりと契約書を交わす ことが大切です。契約書には、以下のようなポイントを明確に記載しましょう。
① 開発範囲(スコープ)
- どこまで開発するのか(システムの仕様・機能の範囲)
- 何が含まれ、何が含まれないのか(UIデザインやAPI開発が対象かどうかなど)
💡 ポイント:
後から「これも追加してください」と言われないよう、開発の範囲を明確に定めることが重要。
② 納期とスケジュール
- システム開発の各フェーズ(設計、開発、テスト、納品)のスケジュール
- 遅延が発生した場合の対応(ペナルティの有無)
💡 ポイント:
「遅れたらどうするのか?」を事前に決めておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
③ 費用と支払い条件
- 開発費用の総額
- 支払いのタイミング(着手金、中間支払い、納品後の残金支払いなど)
- 追加開発が発生した場合の料金計算方法
💡 ポイント:
「後から追加料金が発生しないように」「どのタイミングで支払うのか」を契約書に明記する。
④ 受け入れ基準(検収)
- 納品物の受け入れ基準(動作確認テストの方法、バグの許容範囲)
- 検収期間の設定(例:「納品後10営業日以内に不具合を報告しなければ受領とみなす」)
💡 ポイント:
「どの状態なら納品完了とするか」を明確にし、納品後のトラブルを防ぐ。
⑤ 運用・保守の範囲
- 契約に含まれる保守内容(バグ修正、機能改善の対応範囲)
- 保守契約の期間と料金
💡 ポイント:
開発が終わった後のアフターサポートがどうなるのかを明確にする。
⑥ 契約解除の条件
- 一方的に契約解除ができるか
- 違約金や損害賠償の有無
💡 ポイント:
「開発が進まない場合」「品質に問題がある場合」にどのように対応するかを決めておく。
2.知的財産権の取り扱い
システム開発を依頼する際、「完成したシステムの権利は誰にあるのか?」 を明確にしておくことが重要です。知的財産権に関する取り決めがないと、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
- 開発会社が権利を持ち、他社にも同じシステムを販売する
- ソースコードの改変や二次利用ができない
- システムを運用するために継続的なライセンス費用が発生する
① 著作権の帰属
開発したシステムの著作権を発注者(自社)が持つのか、開発会社が持つのかを契約で明確にする。
- 発注者に著作権を譲渡するケース
- システムを完全に自社の資産として保有したい場合
- 他の開発会社に引き継ぎや改修を依頼したい場合
- 開発会社が著作権を持つケース
- 開発会社が既存のシステムをベースに開発する場合
- 開発費用を抑える代わりに、ライセンス契約として提供する場合
💡 ポイント:
「著作権は発注者に帰属する」 という契約にしておくと、後から自由に改修・運用が可能になる。
② ソースコードの所有権
システムのソースコード(プログラムの中身)の所有権も重要です。
- 発注者がソースコードを受け取れるか?(納品時に提供されるか)
- ソースコードの改変が自由にできるか?(他社に依頼してカスタマイズできるか)
💡 ポイント:
「ソースコードを納品してもらい、自社でも改修できる状態にしておく」と、後々の改修やメンテナンスがスムーズになる。
③ ライセンスの取り扱い
- 開発会社が提供するライブラリやフレームワークのライセンスはどうなっているか?
- オープンソースを利用する場合、そのライセンス条件を遵守できるか?
💡 ポイント:
「ライセンス違反がないか」「後から追加費用が発生しないか」を確認する。
システム開発依頼の費用対効果を高めるポイント・注意点
システム開発の費用対効果を高めるには、無駄な費用を減らしながら、優先順位が高い内容に予算を割り当てるのがポイントです。そのための方法を3つ解説します。
システム開発の目的を明確にする
システム開発にあたっては、まず目的を明確にすることが必要です。目的が明確であるほど、限られた予算を優先順位が高い順に割り当てられるようになります。また、必要な機能を洗い出して、抜けや漏れを防げます。
たとえば、売上管理システムの開発を依頼する際に、「売上データの一元管理」が目的であれば、クラウド環境でのデータ入力機能や、情報共有機能などが優先事項になるでしょう。それ以外の機能には予算を割かずに済みます。
1社でなく複数の見積もりを取る
システム開発を依頼する際は、複数社から見積もりを取るのが基本です。同一条件で相見積もりを取ると、費用や納期、サービス内容などを横並びで比較できます。各社の強みや弱みも把握しやすくなり、自社に合ったシステム開発会社を選びやすくなるでしょう。
また、おおまかな費用目安を把握するためにも相見積もりは効果的です。1社のみの見積もりの場合、適正な費用が提示されていなくても気づかない場合があります。
利用できる補助金がないか調査する
システム開発で利用できる補助金は多くあります。2024年8月時点では、「IT導入補助金」、「ものづくり補助金」、「事業再構築補助金」、「小規模事業者持続化補助金」などが利用可能です。
自治体が独自に実施している支援も確認しておくとよいでしょう。補助金の一部は申請期日や適用期間があるため、最新情報を確認し、計画的に活用を検討することをおすすめします。
システム開発の依頼でよくある失敗例と対策
1. 予算オーバー
💥 失敗例
- 「最初の見積もりでは500万円だったのに、最終的に800万円になった」
- 「追加機能の要望を出したら、その都度費用が発生し、予算を大幅に超えてしまった」
- 「開発途中で想定外の課題が発生し、対応コストが膨らんだ」
🛠 対策
✅ 事前に必須機能とオプション機能を明確に分ける
→ 「本当に必要な機能」と「後から追加しても問題ない機能」を区別し、初期の開発範囲を限定する。
✅ 見積もりの内訳を細かく確認する
→ 「どの機能にいくらかかるのか」「追加開発の際の費用計算ルール」を契約時に明確にする。
✅ 開発費用だけでなく、運用・保守費用も考慮する
→ システムは開発後も運用・保守が必要。サーバー費用、サポート費用、バグ修正のコストを見込んでおく。
2. コミュニケーション不足
💥 失敗例
- 「開発会社に丸投げしてしまい、途中の進捗が分からなかった」
- 「仕様を伝えたつもりだったが、開発会社の理解とズレていて、イメージと違うものが納品された」
- 「定期的なミーティングがなく、開発の進行状況を把握できなかった」
🛠 対策
✅ 定期的なミーティングを設定する
→ 週1回・隔週などの頻度で進捗確認の打ち合わせを行い、認識のズレを早期に修正。
✅ 開発の各フェーズでレビューを行う
→ 「設計完了時」「プロトタイプ完成時」「テスト段階」など、各ステップで開発物を確認する。
✅ コミュニケーションツールを活用する
→ Slack、Chatwork、Google Meet などを活用し、スムーズな情報共有を心がける。
3. 期待と成果物のズレ
💥 失敗例
- 「こんなシステムを作りたかったわけじゃない…」
- 「思っていたよりも操作が難しく、現場の社員が使いこなせない」
- 「開発会社の解釈で仕様が決まってしまい、当初の目的を果たせなかった」
🛠 対策
✅ 要件定義をしっかり行い、仕様を文章化する
→ 口頭だけでなく、仕様書やワイヤーフレームを作成し、開発会社と共通認識を持つ。
✅ プロトタイプを作成し、早い段階で確認する
→ 開発の初期段階で簡単な試作品を作り、イメージと合っているかをチェックする。
✅ 最終的な利用者(社内スタッフなど)の意見を取り入れる
→ システムを実際に使う人のフィードバックを反映し、現場で使いやすい仕様に調整する。
4. 途中での仕様変更が多すぎる
💥 失敗例
- 「開発を進めるうちに、新しい機能が次々と追加され、納期がどんどん延びてしまった」
- 「最初に決めた仕様を途中で何度も変更し、そのたびにコストが上がった」
- 「開発会社と調整を繰り返し、プロジェクトが迷走してしまった」
🛠 対策
✅ MVP(最小限の機能)を意識し、段階的に開発する
→ すべての機能を一度に作ろうとせず、まずは「本当に必要な機能」だけを開発し、後から拡張する。
✅ 仕様変更のルールを決める
→ 「途中で仕様変更をする場合の影響範囲」「追加費用の計算方法」を契約時に明確にしておく。
✅ 要件定義をしっかり固めてから開発を開始する
→ 仕様の決定を開発開始後に持ち越さず、事前に要件を確定させる。
システム開発は、計画段階でどれだけ準備ができるかによって、成功率が大きく変わります。
「開発を始めてから考える」ではなく、事前にリスクを想定し、適切な対策を講じることが重要 です。
まとめ
システム開発を成功させるためには、適切な準備、依頼先の選定、契約の確認、開発中のコミュニケーション、そしてトラブル回避のための対策が欠かせません。
本記事では、システム開発を依頼する際に必要な知識や流れ、費用相場、依頼先の探し方、契約時の注意点、よくある失敗例とその対策について解説しました。
💡 システム開発を成功させるために
システム開発は、単なる「発注」と「納品」ではなく、パートナーと協力しながら作り上げていくプロセスです。
そのため、開発会社に「丸投げする」のではなく、自社側でもしっかりと準備・調整しながら進めることが成功のカギとなります。
適切な知識を持ち、慎重に進めることで、コストを抑えつつ、使いやすいシステムを開発することができます。
本記事の内容を参考にしながら、最適な開発パートナーを見つけ、システム開発をスムーズに進めていきましょう。
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